MONSTER(モンスター)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『MONSTER』とは、浦沢直樹による漫画およびそれらを原作としたアニメ作品。
舞台は1980年代後半から90年代後半のヨーロッパ。
日本人の天才脳外科医・テンマは強盗事件にまきこまれ重傷を負った少年・ヨハンの命を助ける。しかし、その9年後にヨハンと再会したテンマは、彼が平気で殺人を繰り返す殺人鬼であることを知る。
殺人鬼・ヨハンを生き返らせてしまったことに責任を感じたテンマは、その責任を果たすため、ヨハンを抹殺する旅に出る。

声 - 仲木隆司

リーベルト夫妻殺人事件、アイスラー記念病院院長ら殺害事件を捜査していた警部。
それから数年が経過した定年間際に、ヨハンと関係のある殺人犯に出会ったため、ヨハンが絡んでいた過去の事件を不審に思い、Dr.ギーレンとともに再度捜査を行う。

『MONSTER』の用語

なまえのないかいぶつ

フランツ・ボナパルタが描いた絵本の1つ。

昔々、名前が欲しくて仕方なかった「なまえのないかいぶつ」が、2つに分かれ、世界を旅して名前を手に入れようとするというストーリー。
2匹のうち、東に向かった「なまえのないかいぶつ」は、相手の体の中に入り、名前を手に入れる代わりにその人の力を強くするという交換条件を持ちかける。しかし、おなかがすくと自分が入っている人物を食べてしまうため、いつも「なまえのないかいぶつ」に逆戻りしてしまっていた。
病気の王子様の中に入った東の「なまえのないかいぶつ」は、その名前がとても気に入ったので王子様を食べることを我慢していたが、空腹に耐えきれなくなり、ついに王子様の周りの人間をみんな食べてしまう。
ある日、東の「なまえのないかいぶつ」は西に向かった「なまえのないかいぶつ」と再会し、自分に名前が付いたことを報告するが、西の「なまえのないかいぶつ」は「自分たちはなまえのないかいぶつだから、名前なんていらない」と言う。その言葉を聞いた東の「なまえのないかいぶつ」は西の「なまえのないかいぶつ」を食べてしまう。
せっかく名前が付いたのに、誰も呼んでくれる人はいなくなった。「ヨハン」、素敵な名前なのに。

「西ドイツを駆逐する優秀な戦闘員を育成する」ことを目的とした人格改造実験のために描かれた絵本。
ヨハンの人格形成に大きな影響を与えた本である。大人になって偶然この本と再会したヨハンは、本を読むなり強いショックを受け、気絶してしまう。

超人シュタイナー

グリマーのもう一つの人格。
いつもにこやかなグリマーだが、激しい怒りを感じると理性を失い、極端に凶暴になる。
この症状はグリマーが幼少期に受けた511キンダーハイムの実験が原因である。

なお、「超人シュタイナー」という名前は、グリマーが子供のころみていたアニメにちなんでつけられている。
いつもにひ弱な主人公が、悪者が現れると自分でも気づかぬうちに無敵の超人シュタイナーに変身し、悪を倒すというストーリーである。

3匹のカエル

チェコにある、3匹のカエルの看板がかかった小さなアパート。
ヨハンとニナは、幼少期に母親とともにそこで暮らしていた。

赤いバラの屋敷

赤いバラに覆われた、フランツ・ボナパルタの別荘。

ボナパルタは、ここで自身の絵本を用いて、「朗読会」と呼ばれる、子供たちの人格改造実験を行っていた。
「朗読会」の目的は、子供たちを西ドイツを駆逐するための優秀な戦闘員にすることだった。
「朗読会」に参加した子供たちは成人後、人を愛せない、感情が乏しいなどの人間的な欠陥がみられるようになる。

「西ドイツを駆逐する優秀な戦闘員を育成する」ことを目的とする人格改造実験の首謀者的な立場だったボナパルタだが、「エリート同士に子供を作らせ、その子供を西ドイツを駆逐するための優秀な戦闘員に育成する」という計画に巻き込まれてしまったヨハンとニナの母親に恋をする。そして、非人道的な人格改造実験をやめるべきだと思うようになる。
そして、この屋敷の2階で行われた計画の成果報告パーティーで、計画の関係者全員を殺害する。

その後、関係者らが殺害された部屋は固く閉ざされ、部屋の中にはヨハンとニナの母親の肖像画が飾られていた。

511キンダーハイム

かつて東ドイツにあった孤児院。

その実態は、「連れてこられた孤児たちを西ドイツを駆逐するための優秀な戦闘員にさせる」ことを目的とした人格改造実験の場だった。
実験には、フランツ・ボナパルタが「朗読会」で活用していた人格改造実験のノウハウが活用されていた。
そこにいた子供たちは、戦闘員として優れた人材になるため、哀れみを全く感じない冷酷な人間に育てられた。

その実験を受けて育った子供たちは、「朗読会」の子供たちと同様、人を心から愛せない、感情が乏しいなどの人間的な欠陥を抱えるようになり、そうした元生徒たちの多くが自殺した。

ヴォルフ将軍により入所させられたヨハンのマインドコントロールにより、生徒や教師が互いに殺し合うようになり、施設は崩壊する。

朗読会

かつてフランツ・ボナパルタが「赤いバラの屋敷」に子供たちを集めて開いていた絵本の朗読会。
ボナパルタが自身の絵本を朗読し、子供たちにその絵本が示す意味を問いかけるという内容の会だった。

実は、ボナパルタが深く関わっていた、「西ドイツを駆逐する優秀な戦闘員を育成する」ことを目的とした人格改造実験の場だった。
この朗読会に出席した子供たちは、511キンダーハイムの子供たちと同様、人を愛せない、感情が乏しいなどの人間的な欠陥を抱えるようになる。

終わりの風景

「3匹のカエル」からニナとともに脱走し、国境近くをさまよっていたヨハンが見た風景。

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