りゅうおうのおしごと!(ラノベ・漫画・アニメ)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『りゅうおうのおしごと!』とは、白鳥士郎によるライトノベル。将棋の世界で生きる若き棋士たちを題材としており、2018年にアニメ化された。アニメーション制作はproject No.9。監督は柳伸亮。
16歳で将棋界のタイトルの1つを持つ九頭竜八一の下に、突然小学3年生の雛鶴あいがやって来る。あいは「以前弟子入りさせてもらう約束をした」と言い張り、そのまま八一の押しかけ弟子となる。燃え尽き症候群気味だった八一は、あいを育てる中でその並外れた棋士としての才能を知り、自身も改めて将棋と向き合っていく。

『りゅうおうのおしごと!』の概要

『りゅうおうのおしごと!』とは、白鳥士郎によるライトノベル。イラストをしらびが描いている。2018年にアニメ化された。
監督は柳伸亮、音楽には「機動戦士ガンダム00」の川井憲次、将棋監修には将棋棋士の野月浩貴が担当している。

九頭竜八一は16歳にして将棋界で「竜王」のタイトル獲得後、大きなスランプに陥っていた。
そこへ小学生の少女いわゆるJSが「約束通り弟子にして欲しい」と突如現れる。
ありえなさそうで、現実の将棋界に負けず劣らずのドラマティックな勝負がかかる世界観に、丁寧な将棋の知識も得られる。
時には愛らしく、時には大人をも負かす勢いで描かれるガチ将棋青春師弟ストーリー。

『りゅうおうのおしごと!』のあらすじ・ストーリー

新弟子は小学生

高校生棋士にして「竜王」のタイトルホルダーである九頭竜八一(くずりゅう やいち)の下に、雛鶴あい(ひなつる あい)という小学生の女の子がやってくる。「弟子にしてほしい」と懇願するあいに困惑する八一だったが、彼女の棋士としての並外れた才能に驚き、「この子を自分の手で育ててみたい」と考えるようになる。
姉弟子で密かに八一に好意を抱く空銀子(そら ぎんこ)はこれに驚き、「弟子ともなれば八一とあの子は一緒に暮らすこととなる、冗談じゃない」とあいの存在を強く警戒する。そんな彼女もあいの才能については認めざるを得ず、将棋界は“若き竜王とその弟子”を巡って活気づいていく。

そんな中、あいの両親が八一の下へと乗り込んでくる。実はあいは石川県にある老舗温泉旅館の娘で、八一に憧れるあまり両親に無断で実家を飛び出していたのだった。「娘は返してもらう」とはっきり言い切るあいの両親に対し、八一は必死の説得を重ね、近々行われる研修会試験の結果でどうするか決めることとなる。
かくして始まった研修会試験。3連勝を目標に快進撃を続けるあいだったが、最後の相手は銀子だった。最後の最後まで必死に戦うあいだったが、今の時点で銀子とは明確な実力差があり、最終的に敗北。約束通りあいを連れ帰るという彼女の両親に、八一は「あいが敗れたのは事実だが、彼女の才能がここで終わるのはあまりに惜しい。あいの意志ではなく自分の希望として、彼女を弟子として育てさせてほしい」と懇願する。渋々ながら彼女の両親がこれに応じたことで、あいは正式に八一の弟子となるのだった。

ライバル登場

晴れて八一の弟子となり、棋士となるための奨励会に参加することとなったあい。しかし同年代の指し手ではあいの相手にならず、彼女は連戦連勝する一方でかつての勝負強さを失っていく。
この頃、八一は知り合いの棋士から「弟子に取ってほしい子がいる」との話を持ち掛けられていた。夜叉神天衣(やしゃじん あい)というその少女は、「序盤の展開」で類稀な実力を発揮しており、「終盤に力を発揮する」あいとは対照的な棋風の持ち主だった。

あいと天衣はちょうど同い年で、「良いライバルになる」と考えた八一は彼女を弟子にすることを承諾。あいはこれに反発するも、実際に対局して彼女の実力が自分にも匹敵することを理解し、惜敗の悔しさに涙を流す。
八一はかつて、先輩棋士にして天衣の父親である夜叉神天祐(やしゃじん たかひろ)と「娘を弟子にする」という約束を交わしたことがあった。天衣は八一がこの約束を忘れていたことに腹を立てていたが、ようやくこれを思い出した彼に謝罪されたことで弟子入りを受け入れる。かくして、八一に2人目の弟子が誕生するのだった。

女棋士たちの戦い

「女流棋士」というカテゴリーが存在するのは、“男性の棋士と女性の棋士では、その実力に大きな差がある”ことが理由である。女性としては最上位の実力者である銀子ですら、男性の棋士を入れると1000位以下の存在でしかない。それでも銀子は「女流棋士」ではなく「プロ棋士」として戦うことにこだわり、血を吐くような努力を続けていた。全ては、好意を抱く八一と同じ世界にいたいという想いのなせる技だった。
プロになるための時間制限が迫り焦る者。手段を選ぶことなくあくなき強さを求める者。女性の棋士たちは、それぞれに様々な想いを抱えて将棋界を必死で生き抜いていく。類稀な才能を持つあいも、知り合いの棋士を打ち破ってしまった際に「相手を傷つけてしまった」と思い悩むが、「勝利のために突き進む精神を持てない者に、将棋の世界で生きていく資格は無い」と八一に諭されて成長していく。

名人との対局

間違いなく現役最強、あるいは歴史上最強とも称される「名人」という棋士がいた。八一にとっても憧れであり恐怖の対象でもあるその男は、竜王以外のタイトルホルダーともなっており、残る唯一のタイトルを得るべく竜王戦の挑戦者に名乗り出る。
自身のタイトルを守るため、必死に研究を重ねる八一だったが、タイトル戦の七番勝負でいきなり3連敗してしまう。「名人に勝つ術を探さなければ」と焦るあまり、八一はあいや銀子といった周囲の人々に当たり散らすようになる。

しかし彼女たちはそれでも八一を信じ、「不可能だと思えることだって、諦めなければ道が開ける」ことを行動で証明する。自分への無言のエールを受け取った八一は、「あいたちにひどいことをしてしまった」と反省し、再び名人との対局に臨む。
第4局は歴史に残るレベルの接戦となり、互いに最善手を指し続けるすさまじい内容となる。最後の最後までもつれたこの一戦は、「自分の実力は名人に及ばないが、それでも自分の将棋を極めたい」との想いに至った八一が紙一重の勝利を手にする。

その後八一は4連勝し、竜王のタイトル防衛に成功。自分でもその結果が信じられない八一に、あいは「師匠なら当然だ」と自慢げに言い切る。タイトル防衛を祝う宴が始まるまで、八一とあいは2人だけで将棋を楽しむのだった。

『りゅうおうのおしごと!』の登場人物・キャラクター

九頭竜八一(くずりゅう やいち)

CV:内田雄馬

16歳で竜王を獲得した将棋界の若き才。
しかしその後は連敗続きでスランプに陥っていた。

あいとは竜王戦の時、極度の緊張で倒れ込んでいたのを助けてもらっていたが、本人はその緊張のせいもあり記憶になかった。
あいの、どこまでも負けまいと食いつく姿勢を見て、将棋に掛ける熱意を取り戻していく。

雛鶴あい(ひなつる あい)

CV:日高里菜

小学三年生。一人で金沢から大阪まで出て、八一に弟子入りを申し込んだ。
実家は金沢の高級旅館で、八一がそこで竜王戦をした事から出会いが生まれる。
その時の八一の将棋にほれ込み、経験もなかったが祖父の持つ将棋の本と、タブレットで将棋のゲームをして三か月後に八一の元を訪ねる。
詰将棋の本を読み込みすべて覚え込むなど、その将棋の才能は八一を魅了するほどの物だった。
八一への執着心が大きく、よくヤキモチを焼く。

対局中勝負に熱くなってくると腰を上げ、盤に前のめりになり、身体を揺らしながら「こう…こう…こう…」と呟くのが癖。

空銀子(そら ぎんこ)

CV:金元寿子

八一より年下の中学生ではあるが、姉弟子の女流棋士で奨励会二段。
幼くも、女王、女流玉座の2冠を持つタイトルホルダー。
冷たい面持ちの美少女で「浪速の白雪姫」としてアイドル扱いもされている。
人見知りで人付き合いが苦手であり、心許す面々にしか懐いた様子を見せない。
八一と面と向かう際には基本的に好意を表に出さず、やや横柄な態度を取りがち(いわゆるクーデレ)であり、さらに八一が女心に疎いことから、八一からは「単なる姉弟子」として扱われている。

夜叉神天衣(やしゃじん あい)

CV:佐倉綾音

八一が知り合いから頼まれて、将棋を教えている少女。
両親を亡くしていて、祖父に甘やかされて育てられたせいか、やや態度が横柄で生意気。
しかし思慮深く、将棋もその棋風があり観察力も優れているため、八一にもその才能は認められている。

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