citrus(シトラス)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『citrus』とは、サブロウタ原作の百合漫画、およびそれを原作としたアニメ作品。
主人公の藍原柚子は母親の再婚によって女子高へ転校するが、そこで出会ったクールな生徒会長・藍原芽衣が自分の義理の妹であることを知る。同性愛(いわゆる「百合」)を描いた作品だが、友情・姉妹の枠を超えた絆の物語となっている。ピュアな柚子が懸命にクールで寡黙な芽衣の気持ちを理解し、自分の気持ちを伝えようと歩み寄ろうとする姿に胸を打たれる作品。

『citrus』の概要

『citrus』とは、サブロウタによる漫画、およびそれを原作としたアニメ作品。原作は『コミック百合姫』2013年1月号から2018年10月号まで連載されており、続編である『citrus+』が同誌にて2019年2月号より連載中。2017年3月に『月刊コミック百合姫』にてテレビアニメ化が決定したことが発表され、アニメはパッショーネ制作で2018年1月6日から3月まで放送された。

ギャルっぽい印象が強い柚子と、クールで真面目な芽衣が友情を超えて惹かれ合うストーリーとなっている。クールで感情と行動が読めない芽衣の気持ちを、柚子と徐々に理解を深めていき、二人の心の距離が縮まっていく。
柚子を取り巻く周囲の登場人物たちも個性豊かで魅力的である。ライバルの登場、退学の危機など次々と柚子たちに立ち塞がる困難も共に助け合い、乗り越えていく展開が多くのファンから支持を集めている。
ニコニコ動画では第一話が219500回以上再生されている。

『citrus』のあらすじ・ストーリー

義理の妹

藍原柚子(あいはら ゆず)は母親の再婚がきっかけに、女子高に編入することとなる。登校初日から生徒会長の藍原芽衣(あいはら めい)に目を付けられた柚子だったが、その日、新しい家族として迎え入れられたのは芽衣だった。こうして二人の共同生活が始まったが、同室になったその晩、柚子は義妹の芽衣にファーストキスを奪われてしまう。それ以降、柚子は芽衣を意識してしまうようになる。また、柚子はどうしてもキスの後に見せた芽衣の悲しげな表情が気になっていた。そんな中、藍原学院理事長である芽衣の祖父が、芽衣を自身の屋敷に連れ戻してしまった。柚子も理事長の孫になったという立場を利用して、集会で集まった生徒の前で「理事長の孫なんでよろしく」と宣言する。柚子は後ろ盾に理事長がいると宣言をすることで、ギャルな自分の行動を周囲から否定できないようにしたのだ。しかしこの行動が理事長の逆鱗に触れ、理事長は柚子を退学させようとしたのだった。

芽衣と離れ離れになってしまった柚子は、芽衣に抱いていた感情が「恋」であることに気づく。何とか理事長を説得して再び二人で生活できるようにしようと、柚子は理事長室を訪れた。そこで急病に倒れる理事長を発見した柚子は、速やかに救急車を呼び、理事長は一命をとりとめた。一方、連絡を受けて病院に駆けつけた芽衣は、柚子が理事長を助けようと懸命に動いた事を知り、はじめて胸の内を語り始める。そんな芽衣に対して柚子は気持ちをぶつけ、キスをしてしまう。

幼馴染のライバルたち

芽衣の幼馴染で生徒会副会長である桃木野姫子が柚子と芽衣の関係を怪しみ、柚子は休日に呼び出される。幼いころから芽衣を慕っていた姫子は、柚子に自分のポジションを奪われてしまったと悔しがっていた。そして「わたくしと会長は、一線を越えた仲なんですのよ!」と姫子に宣言された柚子も、「自分も一線を越える!」と対抗心を燃やすのだった。こうして、どちらが芽衣とランチをするのか学校で争うことになるのだった。

ある日、柚子は芽衣を連れ出す。そこは墓地で、芽衣は柚子の父親がすでに亡くなっていることを知った。墓参りから帰ると、帰国した芽衣の父親が突然二人の前に現れる。芽衣の父親は、芽衣や理事長とは正反対の性格で、何事にも縛られない好奇心旺盛な人物だった。初対面の柚子にもフレンドリーに接し、すぐに打ち解けた。一方で芽衣は、久しぶりの再会にもかかわらず、父親を拒絶する。

芽衣の父親はかつては仕事熱心な人で、幼かった芽衣もそんな父親の姿に憧れていた。父親と離れ離れとなってからは、芽衣は父親の代わりになりたいと規則を守り、学院のために尽力してきたのだ。しかししばらく会わないうちに、父親は雰囲気が変わってしまっていた。父親を拒絶する娘に対し、父親も「もう学院には戻らない」と告げる。逃げるように部屋へ入る芽衣に何も言えなかった柚子だったが、その夜、改めて芽衣に声を掛けた柚子は、芽衣とお互いに求めるようなキスをすることになるのだった。

理事長である祖父の機嫌を損ねないようにテスト勉強をする二人だったが、柚子はキスのせいで集中できずにいた。そんな中、柚子はゲームセンターで幼馴染の水沢まつりに再会する。中学2年生のまつりは柚子を姉のように慕っていたが、違法なバイトをしたり日中からゲームセンターで暇つぶししたりしているまつりのことを柚子は心配していた。まつりは突然できた柚子の義理の妹に対抗心を燃やしており、芽衣を柚子から引き離そうとする。さらにまつりは芽衣の弱みを握り、芽衣を脅迫して、柚子が芽衣に失望するよう罠を仕掛けるのだった。

修学旅行

芽衣が脅されていることを知らない柚子は、芽衣と過ごす初めてのクリスマスの準備に追われていた。張り切ってケーキを作る柚子だったが、芽衣から「生徒会の仕事が残っていてクリスマスパーティーには出られない」と突然伝えられる。一方、まつりからクリスマスデートに誘われた柚はまつりに会い、芽衣がはめられたことを知る。柚子はまつりに「誤りに行こう」と言い、まつりに説教をする。そして芽衣に負けたことを知ったまつりは、柚子を取り返すことを諦めた。そしてクリスマスの夜、芽衣は柚子の気持ちを受け入れてくれたが、柚子は一線を越えることができなかったのだった。

クリスマスの夜以降、ギクシャクしている二人。時は流れ、修学旅行の日、集合時間に遅刻した柚子は自力で現地に向かうことになってしまった。同時刻、別の学校に通うタチバナ・サラは修学旅行中に妹のニナとはぐれてしまった。駅で出会った二人は、目的地が同じ京都だったため一緒に行動する。柚子とサラはお互いに好きな人がいることを告白し、仲良くなった。宿泊するホテルまで同じだった二人は無事に妹達と合流するが、サラが好きな人とは東京駅で偶然出会った芽衣のことだったのだ。そうとは知らない2人だったが、勘づいたニナがサラを応援し、サラは芽衣に告白してOKをもらってまう。一方の柚子はサラの恋を応援したいと思っていたが、芽衣が好きだという気持ちは絶対に譲れない。柚子はきちんと芽衣に気持ちを伝えなければと決心する。

一方、サラは芽衣が落とした手帳から、柚子と芽衣の親しい関係を知ってしまう。そして芽衣の瞳に自分が写っていないことに気付いたサラは、芽衣とのデート中に柚子を呼び、芽衣との関係を続けるよう応援するのだった。八坂神社にいるという芽衣に会いに行った柚子は、芽衣を追いかけながら「芽衣のことをもっと知りたい」という素直な気持ちを伝える。お互いにきちんと気持ちを伝えていなかったせいで、すれ違っていたのだ。戸惑う芽衣にキスで確かめようとする柚子だったが、芽衣は自分のお気に入りの熊のぬいぐるみでキスをした。不器用な芽衣に微笑んだ柚子は、手をつなぎ、今度は互いに唇をつける。こうして二人の修学旅行はハッピーエンドで幕を閉じたのだった。

『citrus』の登場人物・キャラクター

藍原 柚子(あいはら ゆず)

CV:竹達彩奈

本作の主人公で16歳、藍原芽衣の義姉である。藍原学院女子高等学校に編入したギャルである。
派手なファッションが大好きな今時のギャル。カールのかかった金髪とギャルメイクが特徴的で、各話ごとにツインテール・ツーサイドアップ・アップスタイル、ストレートなどといった、様々な髪型を披露し、視聴者を楽しませている。女子力を常にアピールしているが、異性との交際経験がないため、恋愛に強い憧れを抱いていた。
明るく活発な性格の持ち主である。何事にもポジティブな姿勢で、辛い状況に陥っても立ち直りが早く、規律に囚われないマイペースさも持ち合わせている。登校初日は注意されたため、メイクを控えていたが、理事長の孫であるという事実を知ってからは、学校でも遠慮なくギャルメイクを続けている。一方、後先を考えずに突拍子もない行動に出るなど、非常に無鉄砲な面を備えている。
柚子のように、高校からの加入組である谷口はるみとは気が合い、心強い友である。
物語当初は、校則違反の件で叱ってきた生徒会長の藍原芽衣に反発するなどしたが、後に芽衣が再婚相手の娘であり、一緒に暮らす義理の妹であることを知る。

藍原 芽衣(あいはら めい)

CV:津田美波

本作のもう一人の主人公の16歳、藍原柚子の義妹。藍原学院女子高等学校生徒会長である。現理事長の一時的なポストである。ストレートの黒髪から、真面目で大人っぽさが伝わってくる外見である。
幼少期、父親と母親と離婚した。父親は藍原翔で柚子の母親と再婚した。藍原学院女子高等学校理事長の孫、次期理事長後継者と目されている。
柚子とは対照的に清楚な出で立ちで、艶やかな黒髪に切れ長の眼元が特徴的だ。容姿端麗・成績優秀という才色兼備の持ち主だが、柚子と異なり家事全般が苦手という意外な一面もある。
常にクールで感情を表に出さず、実年齢以上に落ち着きのある性格である。厳格な家庭環境で育ったため、プライドや規範意識が非常に強い。事態をすんなりと受け入れる懐の深さがあり、一方で悩みを1人で抱え込んでしまう傾向がある。
一見すると、大人びた人物に思われがちだが、テディベアが好きなど幼さを持ち合わせている。
父親藍原翔との離別により藍原学院女子高等学校の先行きを案じ、自分の意志を抑えてまで学院のことで躍起になっていた。当初は能天気な柚子に反発したが、急病の祖父を助けてくれたことを境に柚子に心を開き始め、距離が縮まっていく。

藍原 翔(あいはら しょう)

CV:前野智昭
藍原芽衣の父親。若い時は藍原家の一員として厳格な雰囲気を持ち、芽衣から「先生」と呼ばれるほど芽衣の憧れの存在だった。
若い時、妻と離婚し、藍原学院女子高等学校理事長である父親に反発し、物語の5年前に藍原学院女子高等学校から離別する。現在に至るまで海外で学校を作り、自分の生き方を模索している。再婚後も頻繁に海外に赴いているため、めったに家にいない。中途半端に伸びた髭、整えられていない髪型から、周囲を気にせず自由に生きている様子がうかがえる。

藍原 梅(あいはら うめ)

CV:植田佳奈

藍原柚子の母親。前夫を亡くし、その後は女手ひとつで柚子を育ててきた。小柄でボブの茶髪が特徴である。
基本的に大らかで明るく優しい性格で、柚子、芽衣ともに平等に可愛がっている。

谷口 はるみ(たにぐち はるみ)

7matukun1010
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