宇宙よりも遠い場所(よりもい)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『宇宙よりも遠い場所』(そらよりもとおいばしょ)とは、マッドハウス製作のオリジナルアニメ作品。国内外で絶賛された作品で、「2018年 最も優れたテレビ番組」の1つに選出された。略称は「よりもい」。
何かを始めたいが何も始められない高校2年生の玉木マリは、周りに無理と言われ続けながらも夢を諦めない少女、小淵沢報瀬と出会う。高校を中退した三宅日向と、タレントをしているために友達を作ったことのなかった白石結月の二人も巻き込み、4人はそれぞれの理由から“宇宙よりも遠い場所”こと『南極』を目指していく。

『宇宙よりも遠い場所』の概要

『宇宙よりも遠い場所』(そらよりもとおいばしょ)とは、マッドハウス製作のオリジナルアニメ作品である。
シリーズ構成・脚本は『ラブライブ!』シリーズなどを手掛けた花田十輝。監督はいしづかあつこ。『ノーゲームノーライフ』のチームが製作している。

2018年1月より放送され、その高いクオリティと感動を呼ぶストーリーによって国内外が絶賛された。同年12月、『ニューヨーク・タイムズ』において「2018年 最も優れたテレビ番組(The Best TV Shows of 2018)」の海外番組部門の10作品の1つに選出されている。さらに「第22回文化庁メディア芸術祭」でアニメーション部門審査委員会推薦作品とされるなど、様々な評価を受けている。

失敗することを恐れて何も出来ないまま高校2年生になってしまった“キマリ”こと玉木マリ(たまき マリ)は、何かを始めたいと思っていた。そんなある時、「南極」というあだ名を付けられ馬鹿にされながらも、母が亡くなった土地である南極へ高校生の内に行き見返してやろうと努力する小淵沢報瀬(こぶちざわ しらせ)と出会う。
周りに馴染めなかった為に高校を中退し大学を目指す三宅日向(みやけ ひなた)と、タレントをしている為友達を作ったことのなかった白石結月(しらいし ゆづき)の二人を仲間に引き入れ、4人は民間南極観測隊の一員として“宇宙よりも遠い場所”こと「南極」を目指していく。

『宇宙よりも遠い場所』のあらすじ・ストーリー

目指すは“宇宙よりも遠い場所”

“キマリ”こと玉木マリ(たまき マリ)は、高校2年生の女の子。「何か青春らしいことがしたい」と望んではいたが、きっかけを見付けることもできなければ自分の意志で踏み出すこともできず、幼馴染の高橋めぐみ(たかはし めぐみ)に呆れられながら過ごしていた。
ある日マリは、同じ学校の生徒である小淵沢報瀬(おぶちざわ しらせ)が、周囲に「そんなことができるわけがない」とバカにされながらも本気で南極に行こうとしていることを知る。報瀬の母親の小淵沢貴子(おぶちざわ たかこ)は、3年前に南極観測隊に参加して行方不明になったらしく、「母が最期に何を見たのか、自分を日本に残してまで母が目指した南極とはどういうところなのかを知りたい」というのが報瀬が南極を目指す理由だった。同級生がすさまじい事情を抱えて“宇宙よりも遠い場所”を目指していることを知り、マリは彼女と共に南極に行こうと考える。

同い年のフリーター三宅日向(みやけ ひなた)、1学年下の芸能人白石結月(しらいし ゆづき)も南極を目指す旅に加わることとなり、一行は民間南極観測隊「南極チャレンジ」の隊長である藤堂吟(とうどう ぎん)に直談判する。気持ちだけで突き進むマリたちを危険な南極観測に参加させることに藤堂は難色を示すが、資金集めの一環で芸能界の力を借りる必要が生じたこともあり、最終的には彼女たちを受け入れる。
ついに自分の青春が動き始めたと意気込むマリだったが、ここでめぐみからあまりにも意外な事実を告げられる。めぐみはマリを「自分がいないと何もできないダメなヤツ」と心のどこかで下に見ており、彼女が本気で南極行きを目指し始めたことに嫉妬を覚え、密かにその行動を妨害していたというのだ。「私たちは一緒に居ちゃいけないんだ」と涙を隠しながら語るめぐみから一方的に別れを告げられたマリは、「いつかきっとめぐみと仲直りできる」と信じながら、報瀬たちとの南極行きの準備を進めていく。

南の果てへの船旅

南極観測隊としての基本的な訓練を受けたマリたちは、日本を発って南極観測船・砕氷船「ペンギン饅頭号」があるオーストラリアを目指す。その途中、パスポートを紛失したりといったトラブルに見舞われたり乗り越えたりしながら、4人は仲間として友人として絆を深めていく。
晴れてペンギン饅頭号に乗り込んだマリたちは、猛烈な船酔いに苦しみながらも荒れた海を越え、南極チャレンジの一員としてついに南極圏へと到達。初めて氷の大地の上に降り立った時、報瀬は「今まで誰もが“南極に行くなんて無理だ”と私をバカにした。それでも私は諦めなかった、ついに南極にやってきたんだ」と喜び、マリたち共々自分をバカにした者たちに向かって「ざまぁみろ」と連呼する。

凍てつく大陸の日々

南極にある昭和基地では、マリたち女子高生4人組は奇異の目で見られつつも好意的に受け入れられ、様々な実験や観測の手伝いに従事することとなる。一方で女子高生レポーターとしてテレビ出演を果たし、「友達とはなんなのか」が分からず時折周囲を振り回す結月に付き合いつつ、南極観測隊の仕事を世間に紹介する役目を担う。
そんな中、日向のかつての級友から「仲直りしたい」とのメッセージが届く。彼女たちこそは様々な軋轢から日向が高校を中退するきっかけを作った張本人で、「向こうが仲直りしたいというなら許すべきなのか」と彼女を大いに悩ませる。日向の苦悩を見た報瀬は、「私の友達をこれ以上苦しませるな」と彼女の級友たちに向かって啖呵を切り、「どうしても許したくないなら許さなくてもいいのだ」とマリたちもこれを支持する。

ある時、藤堂はそうやって友情を強くしていくマリたちを内地の任務に誘う。そこはかつて貴子が行方不明になった場所でもあり、報瀬にとっては南極までやって来た最大の目的地でもある場所だった。母の遺体を見つけることも、“何も見つからない”ことを突きつけられて目標を見失うことも恐れる報瀬だったが、マリたちは「ここまで来て報瀬を母に会わせないまま帰るなんてできない」と考えて懸命に彼女を励ます。
藤堂と共に内地へと向かったマリたちは、報瀬の母が確かに最後にここに来たことを確認し、「せめて何か遺品を見つけたい」と必死に施設の中を探し回る。やがて彼女たちは貴子が娘とのメールのやり取りをする際に使っていたノートパソコンを発見し、これを受け取った報瀬は「母は確かにここにいた、自分のことを忘れたわけではなかった、ちゃんと想いは通じていた」と知って号泣する。マリたちも静かに涙を流す中、彼女たちの南極観測は最終日を迎える。

日本への帰還

さらに南極観測を続ける隊員たちと別れ、マリたちは日本へと向かう船に乗り込む。再び壮絶な船酔いに苦しむ中、ノートパソコンが復旧したことで貴子が死の間際に送ったメールを受信することとなった報瀬は、「お母さんが愛した南極はすごいところだった、自慢の友達が私をそこに連れて行ってくれた」と亡き母に報告する。
日本に戻ったマリたちは、変わらぬ友情と「いつかまたこの4人で旅に出よう」という約束を誓い合い、それぞれの日常へと戻っていく。日向はフリーターとして働きながら大学を目指し、結月は「本当の友達ができた」との確信を胸に再び芸能界で活動する。報瀬は母への鬱屈した想いを清算し、学業を再開する。

マリはマリで、日本に戻ってまずめぐみとの和解を果たそうと考えていた。南極はすごいところだったこと、友達がたくさん増えたこと、オーロラがとても綺麗だったことを報告すると、めぐみからは「残念だったな、私は北極だ」とのメッセージが帰ってくる。
マリが何か月もかけて南極を目指す間に、めぐみはめぐみで北極を目指して大冒険していたのである。それはめぐみからの「別々の場所で成長して、もう1度友達になろう」という迂遠な提案でもあったが、それを知ってか知らずかマリはどこか嬉しそうにしながらも大いに驚くのだった。

『宇宙よりも遠い場所』の登場人物・キャラクター

主要人物

玉木マリ(たまき まり)

CV:水瀬いのり
なにかを始めたいと思いつつも、失敗することを恐れてしまい、なにも出来ないまま高校二年に上がり青春が終わってしまうと焦り出す。百万円を拾ったことで所有者だった小淵沢報瀬と出会い、彼女の言葉を聞くうちに自身も南極を目指すことを決意する。
部屋は汚かったり、荷物整理が出来ないなどだらしがない。民間南極観測隊の隊長、藤堂吟が報瀬についてめんどくさい性格と言うと「いいですよね、めんどくさいの」と答え南極向きの性格と言われた。
玉木マリの最後の三文字を取ってキマリと呼ばれている。

小淵沢報瀬(こぶちざわ しらせ)

CV:花澤香菜
母が南極観測隊の一員だったが、南極で行方不明になってしまう。母への気持ち断ち切る為、南極で母が待っていると言い南極を目指していた。
南極へ行く資金にするためにアルバイトを続けて貯めた百万円を落としてしまい、それを拾い届けに来たのをきっかけにマリと出会う。
マリが言うには敵認定した相手がいる場では「なんじゃわれぇ」みたいになるものの、リポートの撮影時には緊張でガチガチになってしまったり、日向のパスポートを預かったことを忘れて大事にしてしまったり、残念な一面も多い。

三宅日向(みやけ ひなた)

CV:井口裕香
高校に入ったものの周りに馴染めずに中退し、コンビニでバイトをしながら大学を目指している。バイト中に現れ南極のことを話すマリと報瀬の話を聞いているうちに南極に興味を持ち、マリが同じバイト先になったことで二人と意気投合し南極を目指すことになる。
名言のようなことをよく言うが、全て自作である。ギャグを言ったり場を盛り上げようとしたりムードメーカー的な存在だが、人から気を使われることが苦手。

白石結月(しらいし ゆづき)

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@shuichi

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