鉄コン筋クリート(松本大洋)のネタバレ解説・考察まとめ

『鉄コン筋クリート』とは、1993年から1994年にかけ『ビッグコミックスピリッツ』にて連載された松本大洋による漫画作品。
2006年に劇場アニメ化され、松本大洋の出世作と言われている。
本作品はヤクザやチンピラ絡みの暴力沙汰が絶えない「宝町」という街を舞台に、孤児であるクロとシロが驚異的な身体能力と子供とは思えない破壊的な力を武器に強く逞しく生き抜く姿を描く。

この台詞は、漫画第3話でネズミ(鈴木)が舎弟頭の木村に向かって発した言葉。
大精心会の組長がネズミ(鈴木)に向かってぞんざいな態度をとったことに不満を漏らした木村に対して、組や町で上手く生きていくための心得を説いている。

「もちもーち、こちら地球星日本国シロ隊員。応答どーじょー」

これはシロが宝町の公衆電話を使って行っている「報告」。
特に誰か特定の人物に向かって発しているというわけではなく、独り言のようにシロが単独で発する言葉。
シロは自分のことを「地球星・日本国」の「隊員」として、悪から平和を守っていると思っている。

クロ「心配ないよ。シロは俺が守るから」 源六「この街はもう長くねえ。俺ぐらいの年になると流れってやつが見えんだよ。自覚してるかどうかは別として、シロも同じ事を感じとる」

漫画第6話で源六とクロとシロが三人で仲睦まじく銭湯に入るシーンでの一コマでの台詞。
いつまで経っても成長する気配がなく幼稚な振る舞いをするシロを、自分が守ると豪語するクロに対して、源六が忠告する。
源六の見立てでは、シロは繊細ながらも周囲の動きを敏感に察知し、そこから未来の予測を立てる能力があるというものだった。

「燃えちゃえばいいんだこんな街。シロ、こんな街いらない」

殺し屋に襲われ逃げ回る中で我を忘れて壊れてゆくシロが、燃えて苦しみ悶える敵を見ながらクロに向かって発した言葉。
シロは自分たちの町だと信じていた宝町が、突然何者かによって奪われ、壊され、自分たちの存在をも否定されることに心底嫌気がさしていた。

「ちっぱいしてんの。神さまいっぱい。シロつくる時は、神さまでかくつくり過ぎたカバの口みて反省してたのきっと。だからシロいっぱいネジ無いの。心のネジ…それでクロね、クロもね。いっぱいネジ無いの。心のネジ」

これは漫画第24話で警察に保護された後、沢田と話しをするシロが絵を描きながら発した言葉。
シロは、自分もクロも人間として出来損ないであると心得た上で、その表現として「心のネジ」が人よりも少ないと話す。

『鉄コン筋クリート』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話

監督Michael Arias(マイケル・アリアス)と鉄コン筋クリート

本作で監督をつとめたMichael Arias(マイケル・アリアス)は80年代後半よりドリーム・クエスト・イメージズ社でVFXスタッフとして活動を始め、「アビス」や「トータル・リコール」といったハリウッド映画の大作といわれる作品に参加した人物である。彼は本作を手がけるにあたり、原作を読んでから製作に着手するまで、約10年もの間暖めてきたと話している。また、彼は原作を読んだ当時作品に感銘を受け、単独で遊びと実験を兼ね本作のある1ショットをCGで作ったと話す。

劇場版鉄コン筋クリートで描かれている街並み

原作から伝わる情報量の多さを劇場版もしっかり受け継いでいる。それは主に街並みの描写に表れている。
アジアの途上国の雰囲気がある一方で、大阪の下町風情を感じられる街並みによる背景の作り込みは映画のために再構築されているとのことである。

『鉄コン筋クリート』劇場版アニメの主題歌

ASIAN KUNG-FU GENERATION 『或る街の群青』

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