映画監督マイケル・ベイ、独特の撮影テクニックと作品に対する評価

「マイケル・ベイ」とは、映画『バッドボーイズ』『ザ・ロック』『アルマゲドン』『トランスフォーマー』シリーズなどの監督であり、いずれもメガヒットを記録している。
彼の撮影テクニックは特徴的であるが、映画評論家からは少なからず批判を受けてもいる。
監督のこだわり、作品の特徴、撮影テクニック、評論家からの評価が低い理由について解説。

マイケル・ベイ監督の作る映画の演出・展開方法は独特である。また、CM製作の経験から、独自の撮影手法も持っていて、映画製作場面では監督独自の撮影車両を使用することも多々ある。
撮影車両の多くは改造が施されたもので、一見すると使用用途の分からないものも多い。

爆破シーンの多さから「ベイ・ヘム」という造語をつけられる

『13時間』の爆破シーン

現実ではありえないような演出・展開をアメリカではマイケル・ベイ(Michale Bay)とメイヘム=破壊行為(Mayhem)を掛け合わせたベイ・ヘム(Bay-Hem)という造語で表現されている。
作品の特徴としては、以下のものが挙げられる。
・斬新でスタイリッシュな映像
・テンポがよく、大胆な物語
・ド迫力のアクション(全ての監督作品にアクションが盛り込まれている)
・1つの作品に5回以上のハプニング
・戦う男たちの描写
・ほと んどの監督作でカーチェイスバトルが盛り込まれている
・映像の色彩表現がカラフル
・カメラアングルが過剰なまでに動き回る演出で「画面酔い」を引き起こす観客が多く、「カメラが動きすぎ」という意見がある(しかし、カメラア ングルがよく動く作品は『バッド・ボーイズ2バッド』と『トランスフォーマー』のみ)
・米軍が頻繁に登場し、実際の基地や兵士を使って撮影を行うことも多い。作中で軍を格好良く描くことが多いため、撮影許可が下りやすい

マイケル・ベイ監督の思い付きによる撮影手法

「Bad Boys」4:10あたりから

アサヒスーパードライ「GRAND SHOUT」編

マイケル・ベイ監督は、自ら撮影カメラを持って撮影することが多々あり、その理由として、撮影方法をスタッフに説明してもスタッフが理解できないことが挙げられる。
また、監督の撮影手段の特徴として、登場人物を中心に、カメラをらせん状に回して上昇しながら撮影するという手法がある。
監督の1番の特徴となっている撮影方法で、初監督作品『バッドボーイズ』でウィル・スミスとマーティン・ローレンスのまわりを、マイケル・ベイがカメラを持って回ったことに始まり、その後『ザ・ロック』、『パール・ハーバー』、『バッドボーイズ2バッド』でも取り入れられていて、日本でも、アサヒスーパードライのCMを監督が製作した際に用いられている。
被写体の前後に風景を置くことで遠近感を強調し、役者の目線での場面の大きさを表現できる撮り方である。
そもそも『バッドボーイズ』の撮影中に監督が思いついたことがきっかけで、当時の撮影スタッフたちは半ば理解できない中指示に従ったという。
現在では撮影の際、クレーン付きカイエンなどが使われていて『トランスフォーマー』シリーズでは、ロボットの変形シーンや合体シーンでも、360°で見せられるように効果的に用いられている。

カーチェイスシーンのために作られた特殊車両

カーチェイスシーンでは、地面すれすれの状態で斬新かつスタイリッシュな映像を実現するために改造された撮影専用車両を多く用いている。
下記が、監督が用いている撮影車両である。

「自殺未遂車」の異名をもつ車両「ベイ・ボマー」

黒い四角形の形をしたゴーカートで車体の地面すれすれの映像を撮る場合や、高速でのカーチェイスなどで用いられる。
予想以上の速度を出すことができ、障害物だらけで入り組んだ道路を130km近くの速度で走行させて撮影することがほとんどである。
その危険性から「自殺未遂車」と呼ばれたことがある。

鉄筋や鉄骨で溶接された頑丈な車両「ベイ・バスター」

ベイ・バスターで車にぶつかりながら撮影する様子

ピックアップトラックを鉄筋や鉄骨で溶接して改造された、一見三角形状になっている特殊撮影車両。
カーチェイスシーンにおいて放り出された車めがけて突進し、衝突してもビクともせずに走行し続けるほどの頑丈さを誇っている。
搭載されているカメラは物にぶつけることを目的として使われる「アイモ」を使っていて、通常ならば危険な映像を取ることができている。

クレーンカメラが付いていて自在に動かせる車両「クレーン付きカイエン」

監督と演者の後ろに見える車両がクレーン付きカイエンである

屋根に大型のリモコン駆動の無人クレーンカメラが付いた、5人乗りのカイエン。
クレーンを動かすことで、カイエンの周囲を360°撮影することができ、走行しながら円を描くように、走行する車を撮影することを主体として用いられる。
屋根との接着部分であるカメラとクレーンをつなぐ関節部分がそれぞれ回転させることができ、多彩な角度での撮影を実現させている。

「分かりやすい」という内容が批判の対象に

「ど派手で迫力があって分かりやすい」という意見が多くあるマイケル・ベイ監督の作品。
派手なアクション映画好きには魅力あふれる作品が多く、メガヒット作も少なくはない。
しかし、その分かりやすさが、映画評論家からの批判の対象となってしまっている。

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