ヴァイオレット・エヴァーガーデン(Violet Evergarden)のネタバレ解説まとめ

『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』とは、暁佳奈によるライトノベル作品。京都アニメーションによりアニメ化された。京都アニメーションが開催している「京都アニメーション大賞」で初めて大賞を受賞した。心を持たない少女・ヴァイオレット・エヴァーガーデンは、大切な人に残された言葉を理解するため、「自動手記人形」と呼ばれる代筆屋の仕事に就く。ヴァイオレットは依頼人との出会いから少しずつ人間らしい心を育み、敬愛する上官「ギルベルト」が残した「愛してる」の意味を知る。

自動手記人形育成学校でローダンセに認められ修了した証のブローチ。

ヴァイオレットは自動手記人形になる事を選ぶが、軍人であったその境遇から他人の気持ちを理解する事が最大の難関であった。
恋文を渡したいが軽い女だと思われたくないツンデレな依頼人女性の言葉をそのまま手紙に書いてしまったり、報告書のような淡々とした直接的な言葉を連ねた事務的な手紙しか書けなかった。
そこでヴァイオレットは自動手記人形育成学校へ行く事を決意し、そこで教師のローダンセや、同級生のルクリアなどに出会う。
ローダンセはヴァイオレットのタイピングの速さは評価したが、手紙の内容はただの報告書だと評価し、ヴァイオレットの修了を認めなかった。
しかしルクリアがヴァイオレットに手紙の執筆を依頼し、ヴァイオレットはルクリアの兄への気持ちを聞き、ルクリアが伝えたい事をは何かを考えて手紙を書いた。
その手紙はシンプルなものであったが兄・スペンサーの心に届き、兄妹は元の関係に戻ることが出来た。
この手紙をルクリアがローダンセに渡した事でローダンセはヴァイオレットの修了を認め、ヴァイオレットは一流の自動手記人形の証であるブローチを受け取った。

ヴァイオレットの依頼人達

同級生「ルクリア」と、兄「スペンサー」。二人とも別々に依頼人となった。

ドロッセル王国の王女「シャルロッテ」とドロッセル王国の王子「ダミアン」。ヴァイオレットがシャルロッテの恋文を書き、二人は結ばれた。

劇作家の「オスカー」。ヴァイオレットが執筆の手伝いをし、新しい作品が生まれた。

ユースティーティア天文台シャヘルにいた「リオン」。ヴァイオレットの生き方に影響され、旅に出た。

依頼人「クラーラ」の娘「アン」。寿命が近いことを察した母から娘へ50年分の手紙を執筆し、アンはそれを糧に大人になっていく。

兵士「エイダン」の最期の言葉を恋人「マリア」に届けた。マリアとエイダンの両親はヴァイオレットに感謝した。

初めはシンプルな手紙や、拙いが気持ちの伝わる手紙を書いていたヴァイオレット。
しかし依頼回数を重ねるにつれその技量は上がって行き、兄弟愛・恋愛・親子愛・家族愛などさまざまな気持ちを感じ取って手紙を執筆していく。
依頼人へ対するヴァイオレットの対応も段々と柔らかくなっていき、ヴァイオレットは依頼人たちと接する事で人間らしくなっていくのであった。
そしてずっと探し続けている「愛してる」とは何かの答えに段々と辿り付いて行く。

ギルベルトの死を知るヴァイオレット

ホッジンズはヴァイオレットがまだ受け止めきれないと思い、ギルベルトの死を隠していた。
しかし事情を知らなかったエヴァーガーデン夫人との会話の中で、ヴァイオレットはギルベルトが既に亡くなっていることを知ってしまう。
ギルベルトは爆発からヴァイオレットを庇ったためか、遺体が発見されてない未帰還兵扱いになっているという。
信じられなかったヴァイオレットはギルベルトに会うため軍に行き、そこでディートフリートにギルベルトはもういないと言われるも、信じずにギルベルトの家へ向かった。
使用人にギルベルトはいるかと尋ねると、ギルベルトのお墓に案内された。
墓石にはギルベルトの名前が刻まれていた。
ヴァイオレットはギルベルトと共に最後に闘った場所に行き、そこにホッジンズがヴァイオレットを迎えにやってきた。
ヴァイオレットは引きずられる形でホッジンズに連れられ会社に戻るが、その後部屋に引き篭もってしまう。
ギルベルトの死を突きつけられたことや、これまで戦争で自分がしてきた事の罪の意識に苛まれ、自ら命を絶とうとするが、それも出来ないでいた。
しかしアイリスとエリカから手紙を貰った事や、ローランドの配達を手伝った事、スペンサーから手紙の依頼をされた事、そしてこれまでの依頼人の活躍を見て、ギルベルトからヴァイオレットという名の似合う人間になるように言われた事を思い出す。
ヴァイオレットはC.H郵便社に行き、ホッジンズに自分は生きていても良いのかと問うと、ホッジンズは「してきた事は消せない。でも、君が自動手記人形としてやってきた事も消えないんだよ」と答えた。
ヴァイオレットは悲しみを乗り越え、自動手記人形として新たな一歩を踏み出す事になった。

ヴァイオレットの人間としての成長

第一話の登場時、人形のように無表情であったヴァイオレット。

ヴァイオレットはギルベルトというかけがえのない存在を失った事で、命の尊さや重み、会えない事の寂しさや苦しみを知る。
人形のようであったヴァイオレットは少しずつ表情が豊かになっていき、言動にも柔らかさが見えるようになっていく。
同時に死に対して敏感に反応するようになり、一人一人が誰かの大切な存在であるのだと感情移入する。
そしてもう誰も死なせたくないと思うようになった。
物語の最後にヴァイオレットはギルベルトへ自分の気持ちを綴った手紙を書いた。
ヴァイオレットはギルベルトがまだどこかで生きていると信じており、もしもう一度会うことができたら今はギルベルトが言った「愛してる」を少し理解できるようになったと伝えたいと思っていた。

命の尊さや愛を学び、人間らしい感情を見せるようになっていく。

「ヴァイオレット、君は生きて…自由になりなさい。心から…愛してる」

ギルベルトとヴァイオレットは戦争の終結となりえる戦いへ身を投じ、そこで勝利を収めるが、生き残っていた敵兵によってギルベルトが撃たれてしまう。
ヴァイオレットは敵を倒してギルベルトを救おうとするが、敵の銃弾によって両手を失ってしまう。
そして敵兵の放った爆弾が爆発する寸前、ギルベルトはヴァイオレットに自由に生きるように言い、最期に愛してると告げ、ヴァイオレットを爆発から庇った。
生き残ったヴァイオレットは最期にギルベルトから言われた「愛してる」の意味が分からず、その意味を知るために自動手記人形になる道を選んだ。
ヴァイオレットが自動手記人形になり愛を知るためのきっかけになる、物語の核となるセリフである。

「“愛してる”を、知りたいのです」

心を持たないヴァイオレットは、愛とは何なのか知らずに育った。
正確にはヴァイオレットは既に愛を知っているが、それがどういうものか体感として理解できずにいた。
ヴァイオレットがギルベルトに抱く思いこそが愛であるのだと、周りの人々は早々に気づくが、ヴァイオレット自身はそれが分からない。
同僚のエリカやアイリスからは他人の気持ちを理解できない人形だと思われていたが、二人はヴァイオレットが愛を知りたいと真っ直ぐに思う気持ちに心を打たれる。
愛を知りたがる時点でヴァイオレットは感情の無い人形ではないのである。
ヴァイオレットは依頼人や周りの人々と関わる事で、家族愛や恋愛などの様々な愛の形を知る事になる。

「君は道具ではなく、その名が似合う人になるんだ」

keeper
keeper
@keeper

Related Articles関連記事

ヴァイオレット・エヴァーガーデン(第2話『戻ってこない』)のあらすじと感想・考察まとめ

ヴァイオレットは自動手記人形の見習いとして仕事を始める。しかし、人の心を察することが出来ないヴァイオレットは大きな失敗をしてしまう。 今回は「ヴァイオレット・エヴァーガーデン」第2話『戻ってこない』の内容(あらすじ・ストーリー)と感想・考察を紹介。

Read Article

ヴァイオレット・エヴァーガーデン(第3話『あなたが、良き自動手記人形になりますように』)のあらすじと感想・考察まとめ

ヴァイオレットは自動書記人形育成学校へ通い始めた。タイピングや、学科は優秀な成績を残すが、代筆の授業では上手くいかなかった。そんな時、ヴァイオレットは隣の席になったルクリアが秘めた兄への想いを知る。 今回は「ヴァイオレット・エヴァーガーデン」第3話『あなたが、良き自動手記人形になりますように』の内容(あらすじ・ストーリー)と感想・考察を紹介。

Read Article

ヴァイオレット・エヴァーガーデン(第1話『「愛してる」と自動手記人形』)のあらすじと感想・考察まとめ

戦場で重傷を負い療養をしていたヴァイオレットの元に軍の関係者であったホッジンズが訪ねてくる。ヴァイオレットは戦場で別れた上官の安否を尋ねる。ヴァイオレットは上官からある言葉を残されていた。 今回は「ヴァイオレット・エヴァーガーデン」第1話『「愛してる」と自動手記人形』の内容(あらすじ・ストーリー)と感想・考察を紹介。

Read Article

日常(Nichijou)のネタバレ解説まとめ

『日常』とは、あらゐけいいちのギャグ漫画、及び2011年に京都アニメーションで製作されたアニメーション作品。2012年にはNHKで再放送された。原作漫画は2015年に完結。時定高校に通う「相生祐子」「長野原みお」「水上麻衣」「東雲なの」などのキャラクターを中心に日常を描いた作品。日常と言うタイトルでありながら日常では起こらないような、シュールで疾走感のあるギャグが描かれる。

Read Article

響け!ユーフォニアム(Sound! Euphonium)のネタバレ解説まとめ

武田綾乃による小説、及びそこから派生したアニメ、漫画作品。 2013年12月にシリーズ一作目となる『響け!ユーフォニアム 北宇治高校吹奏楽部へようこそ』が刊行。 京都府宇治市の高校を舞台に、吹奏楽に青春をかける男女の姿を描いた作品。 アニメは2015年4月から第一期(全13話)が、2016年10月から第二期(全13話)が放送された。

Read Article

CLANNAD(クラナド)のネタバレ解説まとめ

『CLANNAD』とはゲームブランド"Key"が制作した恋愛アドベンチャーゲーム、及びそこから派生したアニメ作品。 坂道の上にある学園に在籍する不良学生・岡崎朋也が、様々な人と人との"絆"を通して成長していく作品。 2004年4月28日に全年齢対象のPCゲームとして発売され、その後2007年10月4日より京都アニメーション制作によるテレビアニメが放送開始された。

Read Article

けいおん!!(K-ON!!)のネタバレ解説まとめ

けいおん!!(K-ON!!)はまんがタイムきららに連載されていたかきふらいによる四コマ漫画を原作とするアニメの、2010年4月から2010年9月まで放送された第2期である。1期は感嘆符が一つだけだったが、2期では二つ表記されている。 単行本第3巻以降の「3年生編」がベースになっており、メインキャラクター達の卒業までのストーリーが描かれる。

Read Article

氷菓(Hyouka)のネタバレ解説まとめ

氷菓とは米澤穂信の小説「古典部シリーズ」をアニメ化したもの。省エネを信条とする主人公「折木 奉太郎」はひょんなことから「古典部」に入部することとなる。好奇心旺盛なヒロイン「千反田 える」、中学生からの腐れ縁「福部 里志」と「伊原 摩耶花」、彼ら4人が神山高校を舞台に数々の事件を推理していく青春学園ミステリー。 アニメは2012年4月から9月まで放送された。

Read Article

Free!(フリー)のネタバレ解説まとめ

「Free!」とは、おおじこうじによる小説『ハイ☆スピード!』を原案とした、京都アニメーション製作のテレビアニメ。原案小説で描かれた小学生時代の出来事を元に高校生になった彼たちの男子水泳部での日々を描く。自然豊かな岩鳶町を舞台とした水泳と青春と絆の物語。 一期では競泳を通じて仲間との絆をつなぐ姿、二期では高校三年生になった主人公たちの進路の問題や夢へ向かう姿など更なる成長がリアルに描かれた。

Read Article

けいおん!(K-ON!)のネタバレ解説まとめ

『けいおん!』はまんがタイムきららに連載されていた、かきふらいによる四コマ漫画が原作のアニメ。 音楽経験の全く無かった高校生平沢唯と個性的な仲間達が織りなす、ほのぼのとしていながらも時折ふっと切なくなる空気系青春バンドストーリーである。 劇中でキャラクター達が結成するバンド「放課後ティータイム」の楽曲のクオリティの高さも相まって社会現象にもなった。

Read Article

涼宮ハルヒの憂鬱(アニメ)のネタバレ解説まとめ

『涼宮ハルヒの憂鬱』とは、谷川流原作のライトノベルであり、また「涼宮ハルヒの憂鬱」を含む涼宮ハルヒシリーズを原作としたTVアニメである。 同作品は、ごく普通の男子高校生キョンの視点から、クラスメイトである涼宮ハルヒが巻き起こす非日常を描いたアニメである。 主題歌「ハレ晴レユカイ」は、キャッチーなメロディに加え、キャラクターが踊るダンスも注目され、動画投稿サイトに『踊ってみた』関連の動画が溢れるほど大きな反響をよんだ。

Read Article

小林さんちのメイドラゴン(アニメ・漫画)のネタバレ解説まとめ

「小林さんちのメイドラゴン」はクール教信者による漫画作品を原作とするアニメーション。放送時期は2017年1月12日から2017年4月6日。「ドラゴンでメイド」という、異色のヒロイン・トールと作品の主人公・小林さんの日常を描いた作品。 酔いに酔った小林は山奥に一人で侵入し、トールと出会う。酔った勢いでトールに「うちに来るか?」と尋ねたことから小林は彼女をメイドとして雇うことになる。

Read Article

アニメライブの先駆者!ゆるゆるアニメなのに大ヒットしたけいおんの魅力に迫る!

2009年4月深夜帯でテレビアニメの放送が開始されると、作中に登場する楽器や楽曲にも注目が集まるなどの大きな反響があった「けいおん!」 その反響は数字としても現れており、テレビアニメ第1期の終了時点で、ポスターなども含めた関連商品の点数は200点以上におよび、TBSの番組としては最多であった『ROOKIES』の103点を倍近く上回っています!そんな「けいおん!」の魅力について考察していきます!

Read Article

目次 - Contents