キング・コング(King Kong)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

映画史に残る1933年制作の怪獣映画の古典「キング・コング」を「ロード・オブ・ザ・リング」のピーター・ジャクソン監督がSFXを駆使してリメイクしたのが、この2005年版「キング・コング」。映画撮影のため南海に浮かぶ海図には乗らない神秘の島・髑髏(どくろ)島に到着した撮影隊がキング・コングを初め様々な怪獣や恐竜たちと遭遇する、ラブロマンスとホラー要素もある痛快アクション・アドベンチャー。

キング・コングの大きな手に掴まれ、恐怖に怯えるアン。

髑髏島の原住民によってキング・コングの生贄にされたアンが、キング・コングを初めて目にし絶叫する

キング・コングと3匹のバスタトサウルス・レックスのバトル

アンを狙うバスタトサウルス・レックスの前に現れたコング

アンを追ってきた凶暴なバスタトサウルス・レックスの前に立ちはだかったキング・コングが、3匹のバスタトサウルス・レックス相手に繰り広げる迫力満点のバトル。
縦横無尽のカメラーワークで、岩場に始まり崖に張られた蔓に絡まりながらの戦いが息つく暇なく展開される。
蔓に掴まったアンがブランコのように揺れて、歯をむき出しにしたバスタトサウルス・レックスが迫るところはもうハラハラ感たっぷり。

蔓に絡まりながらもアンを食おうとするバスタトサウルス・レックス

エンパイアステートビル頂上で飛行機の攻撃に立ち向かうコング

迫ってきた飛行機を鷲づかみにして投げ飛ばすコング

軍隊に追われ、エンパイアステートビルの頂上に登ったキング・コングが、迫ってきた飛行機を蹴散らそうとするオリジナル作品でも描かれた、作品のハイライトとも言える名シーン。
ここでも、胸を叩いて自分を鼓舞し雄叫びを上げながら銃撃を浴びせる飛行機を掴もうとするキング・コングを多彩なカメラアングルで描写し、高所恐怖症の人が見たらビクついていしまうほどスリリングにしてパワフルなアクションが展開する。

『キング・コング』の名言・名セリフ

「美しいわ!」

美しい夕陽をキング・コングとアンが並んで見つめる。

恐竜達からアンを救ったキング・コングが棲み家の崖っぷりに座り込み、物静かに美しい夕陽を眺めているのを見てアンが言うセリフ。
キング・コングへの愛情が深くなったアンが、彼を喜ばせようと石を使ってお手玉をするんだがあまり喜んでくれようとせず、ただじっと夕陽を見つめている姿を見て「美しい」と思わず呟いてしまう。
すると、キング・コングが手のひらをアンの前に差し出し、乗ってくれというような眼差しを送り、彼女は素直に彼の手のひらに乗って夕陽を見つめる。
キング・コングとアンの心が通じ合う実に印象的なシーンでもある。
同じセリフを、キング・コングがアンと共にエンパイアステートビルに上がった時に、輝く朝陽を見て彼女が島で一緒に見た夕陽を思い出したかのように呟いている。

エンパイアステートビルに上がったキング・コングとアン。

「飛行機じゃない。美女が野獣を死なせたんだ。」

カールが地上に落ちて死んだキング・コングをじっと見つめるラストシーン。

飛行機の銃弾を浴びて地上に真っ逆さまに墜落し死んでしまったキング・コングの傍らにカールが近づいて言うセリフ。
新聞記者らしき男が「飛行機が止めを刺した」と話しているのを聞いたカールが「飛行機じゃない。美女が野獣を死なせたんだ。」と思い詰めたような顔つきで言い放つ。
1933年のオリジナル版のラストと同様のセリフが使われいて、ジャクソン監督がオリジナル版に敬意を表しているように感じられ、映画ファンならニヤリとさせられる。

『キング・コング』の見どころ

ピーター・ジャクソン監督

ピーター・ジャクソン監督は、本作でのキング・コングをモンスターとしてではなく、もっとゴリラに近い存在にしたかったと語っているが、そんな豊かな感情を持つ生き物としてキング・コングを描いているのが見どころだ。
アンに対してキング・コングがとる行動や仕草が、オリジナル版に比べて実にきめ細かく描かれ、キング・コングとアンの間に生まれる愛情が見ている側にすんなりと伝わってくる。
撮影では、アンディ・サーキスがキング・コングのモーション・キャプチャーを演じたが、彼は演じるに当たり世界的マウンテンゴリラの観測スポットであるルワンダにこもり、ゴリラの動作を研究したそうで、それだけにキング・コングをリアリティあふれる存在として映像に描きこむことができた。ジャクソン監督も、彼がキング・コング役に徹してくれてキャラクター作りのうえで大いに助かったと語っている。

『キング・コング』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話

特殊メイクアーティスト、リック・ベイカーがカメオ出演

パイロットに扮したリック・ベイカー。

「狼男アメリカン」「ウルフマン」などでオスカーを手に入れたハリウッド映画の特殊メイクアップの巨匠リック・ベイカーが、クライマックスのエンパイアステートビル頂上でキング・コングを銃撃するパイロットとしてカメオ出演している。
76年版の「キングコング」(監督=ジョン・ギラーミン)で、キングコングのスーツアクターを演じたのがベイカーだったそうで、ある意味キングコングvsキング・コングが実現した特撮ファンなら大喜びの顔合わせだ。
リックは、蓄えていた髭を剃り落して、神妙にパイロット役を演じている。

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