妖怪アパートの幽雅な日常(妖アパ)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

「妖怪アパートの幽雅な日常」は「香月日輪」による小説作品。2003年から原作小説が発売し、全10巻。2017年に「シンエイ動画」製作でアニメ化。「あにめのめ」枠で放送された。親を亡くし親戚の家で暮らしていた主人公「稲葉 夕士」は、縁あって格安アパート「寿荘」へ入居する。そこは人間だけではなく、妖怪や幽霊も住んでいる妖怪アパートであった。

るり子さんの料理

本作ではほぼ毎話、るり子さんの手料理を食べるシーンがある。
毎回違う献立で、寿荘の住人達はるり子さんの料理を毎日楽しみにしている。
飯テロ的な要素であり、見ていると思わずお腹が空いてしまう。
るり子さんは夕士のお弁当も作っており、クオリティの高いお弁当を美味しい美味しいと食べる姿は、山本からは母親の手料理を自慢しているように見えていた。
季節の食材を使って料理したり、誰か頑張った住人が居るとその住人のために豪華な料理を作ったり、大人たちが酒盛りを肴を作ってくれる。
手のみの存在のるり子であるが、夢であった料理を作る生活が出来るのが嬉しいのか、手の動きだけで楽しそうな雰囲気が伝わってくる。
夕士のお弁当のクオリティからるり子の料理の上手さは学校でも周知されているが、学校の人々はるり子がどんな存在であるかまでは知らない。

個性豊かな寿荘の住人

寿荘にはとても個性豊かな住人達が仲良く暮らしている。
喧嘩シーンなどはほぼ無く、住人同士がギスギスしている雰囲気も無い。
アパートであるが住人は大きな建物の一室を借りており、トイレ・台所・お風呂などは共同。
皆で夕飯を食べ、テレビを見て、お風呂に入り、たわいも無い話をして、愚痴を話したり聞いたりなど、ほぼシェアハウスに近い。
大人が多いためなにかと宴会を開きたがる。
夕士は妖怪・幽霊・人間が一緒に住む寿荘で暮らすことで、これまで持っていた常識を破壊され、自分の見ていた世界の狭さを知っていく。
住人達は夕士の日常で起こった悩みや愚痴を聞くが、それらのことに直接介入する事は少なく、夕士とは全然違う意見を持っていたり、所詮他人事であるのか夕士の困難を楽しむ。
だが年に一度、亡霊となったクリの母親が寿荘へクリを探しに来る時は普段の陽気な宴会とは異なり、結界が張ってある寿荘へ入れないクリの母親を肴に酒を飲むという少しブラックな宴会になる。
母親を亡くしてしまった夕士は、自分の子供を殺し死後も執着するクリの母親が理解できなかった。

夕士に出来る事

夕士は元々は普通の人間であったが、寿荘に住んだ事により霊能力者としての才能が開花する。
そのきっかけになったのが、事故に遭った田代をその場で治癒し救うという出来事であった。
夕士本人は自分にそんな能力があるとは知らず、無我夢中でたまたま出来た事であった。
その後、小ヒエロゾイコンを手に入れ、修行をし、夕士は普通の人間よりも出来る事が少し増える。
例えば、小ヒエロゾイコンを使って雷を鳴らしたり、万能の精霊ジンに何かを頼んだり、運命の女神ノルンを呼び出し占いをしてもらうなど。
しかしあくまで「小(プチ)」ヒエロゾイコンであるため、それらの事も大した効果は見込めない。
だが夕士が修行をして少しずつ霊力を高め安定した精神力を手に入れると、小ヒエロゾイコンであってもほんの少し効果が大きくなっていく。
夕士は小ヒエロゾイコンを活用し、不良を追い払ったり、千晶を助けたり、文化祭を盛り上げたりなどの活躍をしていく。
しかし、夕士にはできない事もある。
例えば、夕士のクラスメイトの男子が自らの意思で悪い不良とつるんでいたのを救う事はできず、三浦を精神的に救ってあげることは叶わず、山本と友人になることも出来ない。
夕士が歩み寄っても理解し合うことが出来ない人もいて、それぞれに生き方があり、それは夕士に口出しできる事ではないのである。
田代や千晶など夕士と縁があり夕士が助けることができる人が居る一方、夕士が活躍しなくても自力で立ち直る運命を持つ人間や、夕士以外の人間に救われる人間、誰にも救われない人間もいるのだ。

長谷の存在感

夕士の親友の長谷は、何をしてもそつなくこなす完璧な人間である。
長谷は夕士から寿荘の事や小ヒエロゾイコンの事を聞き、あっさり受け入れたように見えたが、実は内心とても驚いていた。
夕士のために寿荘の住人達へプレゼントをあげて根回ししていたが、何度も寿荘へ来るうちに寿荘が好きになり、根回しではなく寿荘へ来る事自体が目的に変わっていく。
特にクリに深い愛情を持ち、寿荘にいる時は父親の如くクリの世話をしている。
来るたびに住人達へ高額なプレゼントを持ってきていた長谷であったが、段々と夕士へのプレゼントは安価で適当なものになっていく。
それだけ長谷が寿荘に馴染んだということでもあり、アニメ後半ではかなりの確立で寿荘に居る。
長谷は夕士にとって唯一無二の親友であり、夕士の迷いや悩みも長谷に聞いて貰ったり、後押しして貰うなどする。
また長谷の方も夕士を良く見ていて、夕士が何かの事件に巻き込まれている時に心配するなど、良い親友関係築いている。

千晶派か青木派か

2クール目からの登場人物である、教師の千晶と青木。
千晶は悪っぽい印象であるが生徒の個性を尊重し、生徒と友達のように打ち解けあい、生徒と目線の近い先生である。
一方、青木は清楚な印象の博愛主義者で、少々偏った意見を持っているが決して悪い人間では無く、千晶よりも先生らしい先生である。
どちらも生徒からは人気があり、特に千晶はルックスから女子生徒から人気があり、青木はあまり目立たない大人しい生徒から指示されている。
フールによれば千晶も青木も自分をしっかり持ち整った精神を持つ人間であるという。
夕士は親の居ない夕士を特別扱いしない千晶に信頼を置き、親の居ない夕士を特別扱いする青木に敵意を持つ。
親が居ない事をハンデとされるのが、夕士は嫌だったのである。
夕士から見ると人間の中身をしっかり見ているのが千晶で、表面しか見ていないのが青木であった。
しかし寿荘の住人にその事を話すと、博愛主義を貫く青木をオルレアンの乙女(つまりジャンヌ・ダルク)と例え、青木を称えた。
また、青木は一部の生徒からカルト的な人気を持ち、散々夕士及び英会話倶楽部のメンバーを悩ませた気難しい山本は青木にのみ心を開いた。
山本が欲していたが誰もくれる事は無かった優しさや包容力そして自分を否定しない言葉を、青木は全て持ち合わせていたのである。
夕士にとって良い先生は千晶であったが、山本にとって良い先生は青木だったのである。
千晶と青木は度々対立しており、携帯の所有の是非や、生徒への態度、叱り方など、いずれも二人は正反対であった。

『妖怪アパートの幽雅な日常』の主題歌

オープニングテーマ

ロザリーナ:「Good Night Mare」

作詞・作曲・歌:ロザリーナ
編曲:渡辺拓也

Wi-Fi-5:「始まりのカレッジ」

作詞・作曲:池波晏寿
編曲:有木竜郎
歌:Wi-Fi-5

エンディングテーマ

8ycws
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