ソレミテ〜それでも霊が見てみたい〜(漫画)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『ソレミテ〜それでも霊が見てみたい〜』とは、漫画家小野寺浩二と総合プロデューサー石黒正数が「実際に心霊体験をしたい」という目的の下、様々な心霊スポットを巡る「心霊スポット探訪ガチレポート漫画」である。
『月刊ヤングキングアワーズ』で2012年9月~2015年2月まで連載。
メジャーからマイナーまであらゆる心霊スポットへ赴き心霊体験とその証拠を掴むため東奔西走する、ホラーを取り上げつつも全くホラー要素を感じさせない新感覚な心霊漫画。

あるホテルの「出る」と噂の部屋に、小野寺と石黒が泊まることにした。事前にビデオカメラを設置しておいたので、それを確認してみた。カメラは突然謎の振動が続く様子を写し、その後は何も起きていなかった。
その晩、レコーダーにドミノが倒れたような乾いた音と、何かが軋むような音が2分ほど録音されていた。さらに、隣りに泊まっていた漫画家の宮原は「誰も使っていないトイレから、水が流れる音がした」と話した。宮原は恐怖を打ち消すため、上の階の音が響いただけだと自分に言い聞かせていたが、上の階には部屋はないことを小野寺と石黒は知っていた。
メンバーは謎の音が記録されたので、近いうちに霊を見ることができるのではないかと期待した。

画報社こっくりさん

少年画報社の新年会で、こっくりさんをやることになった。
なかなか動かないので、メンバーを変えて再挑戦し、動いたかと思われたが結局こっくりさんは来ていないという結果になった。肩と指が疲れただけだった。
この時、こっくりさんを拒否した宮原に異変が起きていた。泊まったホテルに「出る」と聞いてしまった宮原は、机の上にお守りを置いて就寝した。結局何も起きなかったが、お守りがベッドの下に落ちていた。これを聞いた小野寺は、また参加してほしいと彼女に期待した。

戸山公園

あまりの恐怖に安達が取材を卒業することになった。安達の卒業式を兼ねて戸山公園で取材をすることにした。
雨の中探索を続けるも何も起こらず、安達は帰ろうと怒りだした。雨ごときで取材はやめないと、自殺者が出たという公衆便所に小野寺と石黒が探索に向かった。
それを安達と星野は待っていたのだか、偶然通りかかった車が彼女らを見て、急に驚いた様子でハンドルをきって去って行った。星野は「霊を見つけようとしている側が、見せてしまったのでは」と驚いた。

観音埼灯台

日本初の灯台で多くの霊が目撃されている観音埼灯台に行った。今回は安藤の代わりに深澤が参加した。
戦没船員の慰霊碑では軍人の霊がよく出ると言われていたが、ここでは石黒が腰を痛めただけだった。灯台周辺まで行くと、ただのデートスポットだと石黒は残念がった。
道をさらに進むと、女性の霊が出ると噂があるトイレを発見した。そこに行こうとした時、深澤が「変な音がする」と言い、石黒も話し声を聞いた。周囲を見渡すとそこには釣り人がいて、その話声ではないかということになった。しかし、釣り人は1人しかおらず「なぜ話し声が聞こえたのだろう」と石黒は思った。

秩父湖の吊り橋

埼玉県にある秩父湖は、自殺者が多い有名な心霊スポットだった。今回は、視える人認知をされた萩原と、最近霊を感じるようになった大野が参加した。
吊り橋を渡ろうとすると、向こう側に何かの気配を感じた。石黒が懐中電灯を点滅させると、向こうも点滅させたので人だと分かった。
先客が帰ったのを確認し吊り橋を渡ると、そこには満天の星空と湖面に映る月という絶景が待っていた。
「これでは何も出ない」と焦った小野寺と石黒は、星野から聞いたもうひとつの吊り橋に行くことにした。
移動中午前0時だというのに、3台のタクシーが通り過ぎた。しかも車の進んだ先は駐車場があるだけの行き止まりだった。小野寺が「タクシーが3台、さっきの若者が3人妙な偶然だ」と言うと、石黒と星野は2人だったと主張した。その直後車を止めた萩原が、木の間に白い人影を見つけてしまった。彼は気のせいだと言いながら、メンバーが心配するほど長く震えていた。もうひとつの吊り橋まで行ったら、どうなっていたのかと怖がるメンバーだった。

等々力渓谷

小野寺と石黒が編集部に行くと、ダウジングロッドを自作した水上が待っていた。気合いたっぷりの水上と担当の須見と一緒に、今回の取材場所の等々力渓谷へ出かけた。
ここのゴルフ橋の近くで、白い服の女性の幽霊が出ると噂されていた。
早速それらしき人影を見て驚くが、電話をしている人だった。
渓谷を満喫するだけだったので、星野が鈴ヶ森刑場跡へメンバーを案内した。
鈴ヶ森刑場跡は江戸時代の処刑場で、着物を着た霊がでると言われていた。小さい心霊スポットだったが等々力渓谷より雰囲気があった。写真を撮ると「パン!」と音がした。

心霊ツアー

『月刊ムー』編集部から声がかかり、実際に起きた事件の現場を心霊スポットとして巡る企画を実行した。
まず、バラバラ殺人事件の遺体の一部が捨てられていたという空き地に向かった。「捨てられた人の名前を呼ぶと写真が撮れる」と言われ、怯えながら小野寺が写真を撮るが何も写らなかった。
『ムー』の編集者は「犯人は遺体を空き地でなく代々木公園に捨てるつもりだったが、公園が真っ暗に見えたのでやめたらしい」と話した。
その代々木公園を訪れた時、探索前に大野が林の近くを確認して戻るとパチンパチンと音がした。周りを確認したが誰もいなかった。
大野は遺体が捨てられた空き地で足が痛くなったのだが、気のせいだと思われていたが、実は下半身が捨てられていたことが発覚し霊障かと期待された。

八甲田山

八甲田山は陸軍歩兵が雪中行軍訓練をして、210名中199名が死亡するという大惨事が起こった場所だった。
一番よく出ると言われる、後藤伍長の銅像へ向かい何枚か写真を撮った。オーブが大量に写ったが、心霊写真は撮れなかった。
その後、八甲田山の別荘に車で向かったがどんどん山に入っていき、おかしいと思った時には墓場の前に着いていた。
ここで普通なら恐怖を感じるだろうが、あらゆる心霊スポットに行った小野寺と石黒は全く何も感じなかった。「いつの間にか、人として大切な何かを失いつつある」と感じる2人だった。

恐山

日本三大霊場のひとつである恐山にメンバーは向かった。
恐山では各々1人で探索することにした。異世界に迷い込んだような不安を感じながら歩いていた小野寺は、極楽浜と呼ばれる場所で倒れている石黒を発見した。石黒は道中何もなかったので「こうなれば」と瞑想していたのだった。
結果はいつも通り何もなく、恐山の存在に人生観が変わっただけだった。
この時、ボイスレコーダーには足音の合間に、か細い女性の声が録音されていた。

青木ヶ原樹海

溶岩流の上に形成された大樹林帯の青木ヶ原樹海は、方位磁石が使えず出られなくなる自殺で有名な場所だった。
開けた場所にテントを張り、小野寺と石黒がビニールひもを命綱にして探索を続けた。木々がこすれて軋む音がし「何か吊るされているのでは」といつもと違う緊張感があった。

2回目の少年画報ビル

有名な心霊スポットを回りつくした小野寺と石黒は、行くところがなくなり途方に暮れていた。
石黒が「最初の画報社ビルが一番怖かった」と言ったので、原点回帰することにした。
画報社ビルの出る場所の地下と2階エレベーター前、2階編集部角のPC前や5階をそれぞれ探索した。しかし全く何も起こらなかった。
そして小野寺と石黒は、今まで行った心霊スポットに幽霊はおらず、安全な心霊スポットだと安全宣言するのだった。

エピローグ

『ソレミテ』連載終了後、荒れて酒を飲んでいた小野寺のもとに、石黒からメールが届いた。それは画報社ビル5階の書庫で録音されたデータだった。
そこには、ガチャと扉を開く音や、ギシギシ扉が揺れるような音、カチとなった後にしばらくしてガタガタと原因不明の音が続く様子が録音されていた。
「我々の旅は、まだ終わっていないのかもしれない」と小野寺は思った。

『ソレミテ〜それでも霊が見てみたい〜』の登場人物・キャラクター

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