ここはグリーン・ウッド(GW)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

「ここはグリーンウッド」は那州雪絵による少女漫画作品。白泉社「花とゆめ」に連載された。単行本は全11巻。少女漫画ながら男性ファンも多い作品。
私立緑都学園に入学し、変人の巣窟と噂される緑林寮(通称:グリーン・ウッド)に入寮した蓮川一也が、個性的な先輩・同輩に囲まれて過ごす学園生活の日常を描く作品。

六条 倫子(ろくじょう のりこ)

CV:松井菜桜子

手塚旭の元婚約者。黒い長い髪が特徴的な美女。美大に通っていたが卒業後は絵の仕事をしている。
幼い頃から父に連れられ手塚家に行っており、手塚家の誰かと結婚するのだと思っていた。倫子は旭なら良いと思っていたのだが、旭が出奔してしまったため、後継と目されている忍との婚約話もあるという。
忍とは6歳差。
一人暮らしのため、家で息が詰まった忍が度々泊まりに来るようになった。しかし、高校に入った忍が光流との出会いや寮での生活を経て変化してきたことに対して苛立ちを見せ、忍に「ダメよ忍くん、今さらおりようなんて。ちゃんとあなたに負けた旭の分までギスギスした人生送ってよね」と言っている。
忍から旭がテレビ局のカメラマン助手をしていると教えられ、旭に会いに行ったが、その後、いろいろなしがらみと決別し、忍や旭の前から失踪している。

『ここはグリーン・ウッド』の名言・名セリフ/名シーン・名場面

蓮川一也が同室の如月瞬が女と言われて騙されたシーン

入学式前日に胃潰瘍を発症し、入学が1ヶ月遅れてしまった蓮川一也。入寮すると寮長から同室の如月瞬は事情があって女であるにも関わらず男としてここで生活していると教えられた。確かに瞬は長髪で可愛い顔をして声も甲高い。信じられない気持ちもあったが、それを信じた一也は、瞬に気を遣いながら寮での生活を始めた。彼女の着替えの時は部屋の外で待っていたり、2段ベッドのカーテンを閉めて絶対見ないようにしたり、気を遣っていた。
入寮して3日目の午後、たまたまトイレで瞬と出会ったことで、瞬が男であるとわかった。騙されたと知った一也は瞬を問い詰めると黒幕は寮長・池田光流と同室の手塚忍であるとわかった。
一也が光流の部屋に押し入ると、一也がいつ嘘に気づくか、という賭けをして一也の歓迎会の資金を集めていたという。
怒り狂った一也は光流を拳で殴りつけた。
先輩を殴りつけるという骨のある一也を気に入った光流は、これ以降一也をおもちゃとして構い倒すことになる。

この一件で、緑林寮内での一也の立ち位置(光流と忍のおもちゃ)が決まった名場面。一也にとってみても、緑林寮がどういう所なのか身にしみて理解できたシーンだった。

引用:ここはグリーン・ウッド 1巻

「弱みというのはね、失いたくない物のことなの。弱みがないということは何も愛していないということだわ」

出来の良すぎる弟を持った手塚渚は、自分が血の滲むような思いをして必死に努力し、勉強でもスポーツでも結果を出したにも関わらず、弟の忍が涼しい顔をして当たり前のように成し遂げる姿に苛立ちを感じていた。弟を痛めつけてやらねばどうしても気が収まらない渚は、本人を攻撃しても効果はなく、忍の持ち物を壊しても隠しても全くなんの効果もないばかりか、物を大事にしろと自分が親から怒られる始末で、忍への恨みが募る一方だった。
しかし、忍が帰省している時に珍しく友人・光流のことを話しているのを小耳に挟んだ渚は、光流を誘拐して忍にダメージを与えようと考えた。

何事にも動じない忍に初めて出来た弱味(友人)を利用し、忍の鼻をあかしたかった渚だが、この後助けに来た忍や一也たちに痛い目に合わされてトラウマを植えつけられている。

忍を恨んでいるからか、よく忍を観察している渚のセリフ。冷酷無比だった忍をよく表している。

引用:ここはグリーン・ウッド 2巻

光流が誘拐され、忍が感情をあらわにするシーン

光流が誘拐され、それが自分の姉の仕業であるとわかった忍は、姉に呼び出され後輩の蓮川一也と如月瞬を連れて高級マンションに向かった。
到着するとそこには光流誘拐に使ったとされる高級外車が停めてあった。
光流誘拐の一報を受けてから、ずっと冷静に対処していた忍は、一也から「光流先輩がつれてかれたのは忍先輩のせいなんですよ!!いつまでばっくれるつもりですか!!」と言われてしまった。それでも冷静に振舞っていたが、光流を連れ去った車を見ると、拾った釘で思いっきり深く長く傷をつけた。

顔だけ見ると冷静であったが、実は一報を聞いてから忍はずっと怒っていたのではとようやく気づいた一也と瞬だった。

滅多に感情を表さない忍の怒りが伝わる珍しいシーン。

引用:ここはグリーン・ウッド 2巻

「兄なんてもんはなあ…弟を同じ人間だなんて思ってないんだ!」

夏休み、如月瞬が実家に帰省中に瞬の弟が、家出をしてきた。静岡で旅館を営む如月家は代々女性が社長を務めていたのだが、瞬と麗名の男しか生れず、長男である瞬が家を継ぐものとされてきた。しかし、12年ぶりに待望の女子が生まれ、瞬は後を継がなくても良い立場となった。
瞬自身は社長になりたくなかったため、妹の誕生を喜んでいたのだが、兄がずっと努力してきたのを見てきた弟・麗名は反発し、緑林寮に家出をしてきたのだ。
瞬が迎えに来ても麗名は我が儘ばかりで、瞬の言うことに耳を貸さない。側で2人の様子を見ていた一也は思わず麗名を蹴り飛ばしていた。そして、瞬に弟を甘やかすからこういう赤子少年ができると苦言を言った。小さい子は守ってやりたいという瞬に対して一也は、「守られてばっかりいたら弱くなるのが当たり前だろう!!他人はやっちゃいけないことなのにおまえがやらなかったら誰がこいつを泣かすんだよ!そんでそんときは嫌われても恨まれてもほんとの気持ちはいつかはちゃんと伝わるんだーから…」と言った。

自分は弟として、兄に色々ひどいことをされてきたけど、そのおかげで強くなったし、今は兄の気持ちもきちんと伝わっている、という一也の主張を瞬は聞き入れ、今後は麗名に厳しく接すると誓った。
一也の兄・一弘に対する愛情が伝わって来る名セリフ。

引用:ここはグリーン・ウッド 3巻

体育祭で一也が爆走するシーン

緑都学園の体育祭はクラスごとの縦割りで団を組み争われる。C組である一也は同じくC組の光流と同じ団に所属することになる。
1年C組でリレー選手を決めている時に、陸上部でもない一也の記録が速すぎるとしてその記録を疑い、陸上部の浦田を選手に選び、一也を補欠とした。

しかし、練習が始まってみると浦田の様子がおかしくなった。一也に選手を代わってくれという始末で、理由を聞いてみると、リレーでバトンを渡さなくてはいけない相手の光流が怖いという。浦田の近隣中学に通っていた光流はその当時名のしれた不良で、その噂は浦田の中学まで流れてきたという。
そのため、光流を前にするとどうしても恐怖心が出てしまい、上手くバトンが渡せないというのだ。
結局、一也に断られた浦田は、徒競走で転倒したことでドクターストップがかかり、リレーには一也が出場することになった。

一也と光流が出場するスウェーデンリレーは走者4人がそれぞれ100m、200m、300m、400m、と走るリレーである。一也は第3走者で光流はアンカーを務める。
バトンパスをミスったC組は一也にバトンが来た時には先頭と100mの差がついたダントツのビリだった。しかし、バトンを受け取った一也はあっという間に6人を捉えてごぼう抜き。300m走る中で先頭に追いつき、トップでアンカーにバトンを渡した。

驚異的な走りを見せる一也が印象に残る名シーン。

引用:ここはグリーン・ウッド 3巻

「どうかもう少しのあいだ、ここに いられますようにー…そうしたら そうしたらー…」

光流と忍が1年の頃の回想話。
光流と同室になった忍は、いつもニコニコとして人当たりがよく先輩からも同輩からも慕われる光流を「何かと役に立つ人間」と認識し、表面上は穏やかに和やかに接し、味方に付ける方が得策と考えていた。

球技大会で全力で試合に臨む光流に対し、忍はチームのレベル、相手のレベルを見て適当に手を抜いていた。光流はそれを見破り、相手をバカにしているとして、忍に意見した。忍は人に分からないように手を抜いていたにも関わらず、それを見破った光流に対し、ただの馬鹿ではないと思うようになった。

生徒会選挙が始まり、忍は生徒会副会長に立候補することになり、光流はその応援演説を担当することになった。現副会長が会長の最有力候補なのだが、忍は自分が操りやすい人物を会長の座につけて、傀儡にしようと画策していた。人の弱みを握りそれに付け込んで票を集めるという汚い手段を取り始めた忍に気づいた光流は、それをやめさせるための方法を考え抜いて誰にでもわかる形で忍を負かしてやろうと、図書室で忍と殴り合いの喧嘩を始めた。剣道に加え柔道も習っていた忍に光流は苦戦するが、喧嘩慣れしている光流が優勢となり、顔面への一発が決定打となり光流が勝利した。
光流は、忍の実家がかなりあくどいことをやって成り上がった名家であり、そのやり口を嫌っていながら忍が同じような手口を使い、人を操ろうとしているのを止めさせようとしたのだ。自分が傷つくように動く忍に、「悪い奴はいずれちゃんと負けるし、善い奴は貧しくても幸せになるし、世の中は不公平でもお前が心配してるほどは悪くないって。だから、もうやめろ。おまえが不幸になる必要なんかないんだから」と光流は言いたかったのだ。保険医と光流の会話でそれを知った忍は、光流を初めての友人だと認識した。

兄の婚約者である六条倫子に、一里塚の話をし、そこに植えてある常緑樹の下で旅人は雨宿りをしていたのだろうと語った。たとえ雨がやまなくても日暮れまでにはそこにいられなくてもそこはとても居心地がいいのだろうと忍は言う。
光流と忍は行く道は違うが、一里塚のように居心地のよい光流との生活をもう少しこのまま過ごしたいという忍の切なる思いがよく現れている名言。

引用:ここはグリーン・ウッド 5巻

一也が泣きながら一弘を擁護するシーン

蓮川一弘の妻・すみれの従兄弟が緑都学園にやってきた。彼はとうに二十歳を超えている大人なのだが、何故だが緑都学園の制服を着て、物陰から一也に色々な物を投げぶつけるという嫌がらせをしている。保健室へも行き、一弘に素性を隠して面会し、すみれのことなどを聞いてくる。一弘は難しい思春期を迎えている男子高校生の悩みを聞き、少しでも助けになりたいと保険医になり、生徒たちに向き合っていたのだが、男子校の保険医ということで、生徒からはホモであるとの噂を流されたこともあった。
すみれの従兄弟がその噂を聞きつけ一弘を誘惑すると、一弘は気持ちに応えようとした。それを見ていた一也は泣き叫びながら「すみれちゃんとのことはなんだったんだ!」と詰め寄ってきた。
実は、一弘はすみれの従兄弟が緑都の生徒ではないことに気づき、彼の誘いに乗ったふりをして彼の目的を探ろうとしていたのだ。
彼は神田利幸といい、高校を卒業してアメリカの大学に入学しているはずだった。しかし、想いを寄せていたすみれが結婚したと聞き、蓮川兄弟からすみれを奪い返すために大学を休学して日本に戻り、蓮川兄弟を探っていたのだという。
神田は、絶対にすみれを取り戻すと宣言して、学校から去っていった。

翌日、一也の帰りを待ち伏せしていた神田に連れられ、一也は神田と2人で喫茶店に入った。神田は一也のすみれへの気持ちを知っており、一弘から奪おうと持ちかけてきた。一弘の悪口をさんざん言いまくり、頼れる両親や親戚がいないことや、一弘がうだつの上がらない保険医であることなどを言われ、黙って聞いていた一也はたまらず「うるさあい!!」と怒鳴りつけた。「おまえなんかにわかっ…」涙を流しながら言葉にならず、一也はその場を飛び出した。
すると、一也は側に来ていた一弘に抱きとめられた。一也を抱えながら一弘はすみれを交えて話をしようと神田に持ちかける。一弘は溺愛する一也を泣かした神田を許せず、神田を日本に帰ってこれないほどにやり込める気だった。
後日、蓮川家を訪れた神田は、すみれの幸せオーラに当てられ、しかもすみれの妊娠を知らされ、絶望してアメリカに帰った。

本来ならば、優秀な一弘は大企業に勤めることも夢ではなかったのに、それを捨てて保健医になった事を一也はずっと怒っていた。それは、仕事とか見た目とかすぐ見えるところで立派なように見えていなければ、よく知らない人は一弘がどんな人間かわからない。だから、保険医ではなく優良企業に入って誰にでも認められる存在でいて欲しかったのだ。一也は立派で尊敬する兄を、いつも誰かに褒めて欲しかったのだ。

兄に対して嫌ったように見せていても、本心では兄を誰よりも大切に思っている一也の本音が理解できた名シーン。

引用:ここはグリーン・ウッド 6巻

緑林寮の寮生たちが一丸となって光流の後輩・五十嵐を助けたシーン

近隣高校である愛誠学園の不良グループに狙われているといい、池田光流の中学時代の後輩・五十嵐巳夜が助けを求めて緑林寮にやってきた。光流の後輩といっても、光流が中学の生徒会長をしていた時に、巳夜たちのグループと対立してケンカになり、そのケンカに光流が勝ったため、巳夜たちのグループが舎弟ヅラするようになったという程度の付き合いしかない。しかも、巳夜は学校の総番などではないのに、同じ学校の生徒が、愛誠学園の不良グループの縄張りで好き勝手をして不良グループに捕まり、総番と話を付けると言われて、五十嵐巳夜の名を出したことから話は始まった。何度か巳夜に愛誠学園のグループから呼び出しがあったのだが、身に覚えのないことなので無視していたら、相手の行為がどんどんエスカレートして、家や学校にまで付け狙われるようになったのだ。
昔の仲間を頼ろうにも、皆仕事を持っていたり、母になっていたりと、気軽に頼れないようになっていた。行く宛がない巳夜と、光流のそっけない態度に怒りを覚えた新寮長の一也は、自分の裁量で巳夜を匿うことにした。
200人もいる緑林寮の男たちから巳夜を守るため、巳夜に自分のベッドを使わせ、一晩中こたつで過ごしていた光流と一也。光流は風邪をひき、高熱を出してしまった。弱った光流を見た巳夜は、これ以上迷惑はかけられないと自分の家に戻ることにした。
実は、巳夜の母が海外に単身赴任となり、今、巳夜は一人暮らしをしていた。家に帰りたがらなかった理由は、不良グループに狙われているだけじゃなく、夜中にミシッとなる家鳴りをお化けと勘違いしていたからだった。
一也にそれは家鳴りという自然現象で、夜静かな時に古い家ではよく聞こえていると教えられた巳夜は、寮から出て家に帰ることにした。

一也に送られて家に帰る途中で、愛誠学園の不良グループに見つかった巳夜は、今夜、1人で橋のたもとにこいという要求を飲み、1人で果し合いの場所へ向かった。一方の蓮川は、すぐに寮に戻り、光流に報告すると、光流は巳夜を助けるため、女装して現地へ向かった。一也も付いていこうとするのだが、喧嘩慣れしていない一也が行っても戦力にはならないと、置いていかれてしまった。一也にはどうしようと、頭を抱えるしかなかった。

果し合いの場所へ行ってみると、愛誠学園の不良グループと数人の男たちがいて、巳夜をいたぶろうと待ち構えていた。光流も合流し2人で大勢を相手に戦おうとしていると、そこに一台のバイクが割って入ってきた。それは、瞬に頼まれて光流の加勢に来た緑林寮OBの古沢だった。さらに、「待たせたな、五十嵐!!加勢に来たぜ!」という声に周りを見てみると、そこには橋のたもとを取り囲むように大勢のいかつい男達の姿があった。さらに、黒塗りの高級車、黒いサングラス、黒いスーツを着た取り巻きを連れた手塚渚が現れた。
愛誠学園のグループは、巳夜に大勢の仲間がいたと勘違いし、さらに、黒塗の高級車でやってきた渚をその筋の人だと勘違いし、大慌てで逃げていった。

実は、彼らは緑林寮の寮生とOBで、忍や瞬に頼まれて光流を助けに来たのだ。渚に至っては忍に騙されてその場に誘導されていたのだ。
たった2人で不良グループに勝てるはずもないので、忍や瞬が光流を助けるために考えた作戦だった。不良グループが完全に逃げたことを確認すると、その場には大きな拍手が巻き起こり、それぞれが寮に、家にと帰っていった。

緑林寮寮生の絆の強さと、光流の人望のあつさが伝わってきた爽快感のある名シーン。

引用:ここはグリーン・ウッド 8巻

光流の珍しい特技が見られたシーン

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