頭文字D(イニシャルD・イニD)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『頭文字D』とは1995年~2013年まで、しげの秀一が『週刊ヤングマガジン』で連載していた漫画およびそれらを原作としたアニメ作品である。実在する日本の峠を舞台にし、自動車を高速で走行させて峠を攻める事を目的とする「走り屋」達の物語を描いた作品である。トヨタスプリンタートレノ(ハチロク)のドライバー藤原拓海が卓越したドライビングテクニックを駆使して数多くの走り屋とのバトルを繰り広げる様を描く。

高橋啓介のFDに勝利した拓海であったが、いまいち走るという意味や走り屋という存在が理解できずにいた。そんな中で、スタンドへやってきた妙義ナイトキッズの中里毅(なかざとたけし)が拓海へとバトルを申し込んでくる。ちょうどスタンドに居たのは拓海の親友でバイト仲間である武内樹であり、走り屋という存在に憧れていた樹は中里からの言葉を聞いて調子に乗って、拓海に断ることも無くバトルを受けてしまうのだった。
後にその事実を知り驚愕した池谷は、勝手にバトルを受けたことを報告しなかった樹を叱るのだったが、既に妙義ナイトキッズの中里と藤原拓海のバトルの話は数多くの走り屋の知る所となっており今更バトルは無しと言える状態ではなかった。そんな中でその話を聞いたスタンドの店長である立花祐一(たちばなゆういち)は、池谷と樹へ助け舟を出すのだった。拓海を呼びつけた祐一は、「公道最速マシンの名前を持つR32GT-RとAE86では勝負にならない。馬力と性能差があることからも断って当然と思えるようなバトルであり誰も逃げたと何て思わない」と拓海に伝えるのだが、その立花祐一の話に「R32 GT-R ってそんなに凄い車なんですか?」と拓海はだんだんと車に興味を持ち始めるのだった。結果的に拓海をうまく説得し一芝居を打つことで拓海のやる気を出させることに成功する。最初の頃はバトルというものに否定的であった拓海であったが、R32 GT-R という車の速さが気になったり、父親である文太にR32 GT-R の事を聞いたりと、だんだんとやる気になり始めるのだった。そしてバトル当日、池谷や健二が説得の為に拓海を迎えに行くも、何故かハチロクが無い。それは文太が知らないうちにR32GT-Rと戦うためにハチロクのセッティングを行っていたのだった。タイムリミットぎりぎりでセッティングから戻ってきたハチロクに乗り込み中里とのバトルへ向かう拓海。相手は既に秋名に到着し赤城レッドサンズの高橋兄弟を始めとした多くのギャラリーが押し寄せていた。

そんな中で、責任をとるために一人で秋名に残っていた武内樹は自分が無責任に受けてしまったバトルであることから謝罪しようと思い、一歩一歩と中里毅の元へと向かっていた。そんな中でギリギリであるが間に合ってきてくれたハチロクと拓海に感激し抱き着くのだった。友人のためにもそのメンツを保った拓海は「ごめんなイツキ遅くなって。走り屋は車で挑戦されたら受けて立たなければならないんだろ?」と言い、中里とのバトルが始まるのだった。

圧倒的な加速性能を持つR32であるが、中里は、「ストレートでちぎったら勿体ないだろ?勝負はコーナーに入ってからだ」と言いアクセルを思いっきり踏み込んで引き離すような真似はあえてしなかった。
中里はコーナでも一切ドリフトを行わずにグリップ走行を続ける。そんな後ろでドリフト走行を行う拓海に中里は「そんな蟹走りで俺についてこれるはずがないぜ!」と拓海のドリフトを小馬鹿にする。
そんなバトルの中で、運転しているうちに拓海はハチロクの変化に気づくのだった。
拓海「違う、今までよりワンテンポ速く踏める。これはこれでいい感じだ、思い切って踏んで行ける。」
と文太のセッティングを体で理解しそのセッティングに合わせていく拓海はいつも以上に鋭い走りでR32 GT-R の後を追うのだった。
上手く荷重をかけてアンダーを殺すR32の重さを生かした走行スタイルでじりじりと拓海のハチロクをとの距離を離し始める中里であったが、勾配のきつくなるダウンヒルでは、確実にハチロクが有利になっていく。
中里「サーキット最強の車は公道でも最強だぜ!俺のRについてこれるか?。」
あらゆるコーナーをドリフトで切り抜け、無駄な減速を一切しない走りを行う拓海は、だんだんと中里との距離を縮め始める。
ガードレールからギリギリの最短距離で追い詰めるハチロク。まさしく正確なドリフトコントロールに中里は驚くのだった。
しかしそんな中で、中里のR32 GT-R はABSを利かせながら抉るようなステアリングを繰り返したことによってだんだんとグリップが厳しくなってきていた。
GT-R有利と見えたバトルでしたが思わぬ盲点があったのだった。
それはGT-Rの弱点ともいえる車重から来るアンダーステアである。ハードなダウンヒルを繰り返すとタイヤとブレーキがダメになってしまうのだった。
そしてあの高橋啓介の抜かれた5連続ヘアピンカーブへ向かう2台。
中里は高橋啓介とのバトルで溝を使って追い越すことを知ってたことからそれが行えないようにハチロクをブロックする走りを繰り返す。
そんなタイヤに負担をかける走りを繰り返したことからも、だんだんとR32 GT-R の挙動は危うい物へとなってくのだった。
どうにかR32 GT-R の前に出ようとするハチロクの動きをルームミラーで確認しながら中里は「よし!インには来ないな!」とハチロクの動きを監視し続けるのだった。

ギリギリに車を寄せる中里であったが、一瞬のスキでハチロクにインに入られてしまうのだった。
中里「これで勝ったと思うなよ!二速全開の加速で俺は前に出れるんだ。」
どうにかハチロクの前に出ようとR32 GT-R の強烈な二速全開の加速するが既にタイヤのグリップは限界となっており、そのままスピンして路肩に衝突してしまう。こうしてこのR32GT-Rが圧倒的有利ともいえるバトルは、ハチロクの勝利に終わるのだった。
ハチロクと藤原拓海とのバトルで得る物も多く満足げに煙草を吸いながら一言。
中里「痛てえなまた板金7万円コースか。」
とぼやくのだった。
圧倒的有利と思えたR32 GT-R とのバトルにも勝利した藤原拓海の名前はさらに強烈なライバルを秋名に引き寄せる事となるのだった。

庄司慎吾 EG6 VS 藤原拓海 AE86

ナイトキッズの中里が負けたことから、自分がナンバーワンになるために秋名のハチロクに勝負を挑む庄司慎吾。しかしそのやり方が気にいらない事から拓海はバトルを拒否する。しかし、どんな手を使ってでもハチロクをバトルに出させるために、親友の武内樹がようやく購入したハチゴーで秋名を下っている時に後方から煽り続け、カーブで故意にぶつかりこれをスピンさせてクラッシュさせてしまう。樹は病院へ運ばれるも幸いなことに怪我は大したことはなかったのだが、これによって怒り心頭となった拓海はマジギレして怒りのままに庄司慎吾とのバトルを受けてしまうのだった。その条件はガムテープデスマッチという、FF有利な条件付きであった。
右手をハンドルから離れないようにグルグルに巻き付けるこのガムテープデスマッチは旋回の際にハンドルの舵角が限りなく制限されてしまう。ハンドル操作は曲がるためのきっかけ程度にしか使えない、故に万が一操作を誤ると事故につながる危険な物だった。誰もがそんな無謀なバトルをやめるように言うが、親友の樹がやられてしまい頭に来た拓海はバトルを受けてしまうのだった。

バトルが始まるも後方にてハチロクが事故るのを見るために後追いでその走りを見学する慎吾。
そして、最初のコーナーで危うく曲がり切れずにガードレールに刺さりそうになる瞬間にどうにか持ち直すことに成功するハチロク。不幸中の幸いでこのバトルの本当の難しさを知った拓海は、こんな死と隣り合わせのバトルの中でもだんだんとこのバトルのコツをつかみ始めるのだった。
何時までも事故らないハチロクにイライラした慎吾は次の瞬間にわざとハチロクに車をぶつけてスピンさせようとするのだった。
ハチロクは一回転するも、しかし持ち前のドライビングテクニックで拓海はどうにか持ち直しに成功する。
拓海「わざと当てがやったな!絶対負けないからな!。」
ここから怒りの猛追が始まるのだった。
正しく怒りを走りで現したかのような走行スタイルで、ガードレールに故意に衝突させることでその車の方向性を変えるというありえない走法を駆使しEG6を猛追する。
そんな中で慎吾はついに自爆的な行動を起こしてしまうのだった。この勝負で負ければ中里の二の前だ、さらにFF有利なガムテープデスマッチと言う条件を駆使したにも関わらず負けたとなればチームの笑いものになってしまう。
慎吾「この勝負はダブルクラッシュといこうぜ!。」
そして完全にハチロクに車をぶつけてダブルクラッシュに持ち込もうとするも、それをハチロクに回避されてしまったEG6はガードレールに単独で激突してしまう。
怒りに任せたハチロクはそのまま止まることも無く峠から走り去っていった。
ガムテープデスマッチというFF有利でFR不利という条件下でありながらも勝利した拓海はこうしてまた一歩前へと進んだのだった。

佐藤眞子 シルエイティ VS 藤原拓海 AE86

碓氷でのインパクトブルー戦は、初の秋名以外でのバトルとなった。池谷先輩と佐藤真子との出会いによってバトルの仲立ちという形から始まった話であったが、そんな池谷の行動に健二は「仲間を売るような前は許せない。ここまでせっかく不敗神話を作り上げてきたのに初めて走る碓氷で拓海が勝てると思うのか?」と勝負にならないバトルをセッティングした池谷を責めるのだった。さらに健二は「お前とは絶交だ」と二人の友情が壊れる寸前まで事が進んでしまう。

碓氷峠はその狭さから追い越し追い抜きが難しく、先行後追いでのバトルが始まる。一本目から後追いを選んでしまう拓海は初めて走る峠でリズムを作れないことからも、乗れてない乗せられ得ているだけだと恐怖を感じるのだった。そんな状態でも、どうにか離されないように食いついて走っていくうちにだんだんと碓氷の走り方を理解し始める。拓海はインパクトブルーのラインをトレースすることでその走りを真似て走り始め、そして碓氷峠のC121をシルエイティと一緒にクリアするのだった。
完全に碓氷の乗り方を理解し始める拓海はシルエイティに離されることなくついていくのだが、だんだんと乗れてきている真子の鋭い走りもありついていくのがやっとの状態だった。

しかしそんな拓海の後方からの猛烈な追い上げにだんだんと注意力が散漫になってきた真子は、コーナーで突っ込みすぎてしまうのだった。そんなシルエイティの動きを事前に察知した拓海は危険を感じてアクセルを戻す。
沙雪「ハチロクがついてこない。ヤバい真子!これ突っ込みすぎ!。」
その言葉の通りにコーナーでつっこみすぎて立て直せずにスピンで逃げる事になるシルエイティは、ハチロクと衝突事故となってしまうのかという刹那、拓海の機転によってギリギリのラインを通して接触を避けることに成功するのだった。

こうしてお互いの全力を尽くしたバトルであったが、シルエイティのスピンを回避したことでのハチロクの運転技術の高さが明確であり、沙雪 はよそから来た走り屋を離せなかっただけでも負けだからと言って拓海の勝利を祝福するのだった。

このバトルは拓海が秋名以外で初めて勝利したバトルとなった。

中村健太 S14 VS 藤原拓海 AE86

妙義での中里と啓介とのバトルにギャラリーに来ていた拓海は、中村健太によってバトルに無理矢理巻き込まれてしまう。雨の走りに自信があるという健太、そのバトルを受ける拓海。FRは雨の日は難しいと言われ、それを得意とする健太の実力は中々の物であったが、雨の日も雪の日も天候に関係なく豆腐の配達をしていた拓海にとっては天候はそんなに有利な条件とはならなかった。
そして本格的なダウンヒルに入った瞬間にハチロクに追いつかれてしまう。健太は同じスピードでハチロクについてコーナーに飛び込むことが出来ない。圧倒的ともいえる拓海のドライビングスキルを見せつけたバトルだった。ハチロクは雨でも天候に左右されることがなく速いという事が知られるバトルとなった。

高橋涼介 FC VS 藤原拓海 AE86

シルエイティからのバトルから数日後、拓海のバイト先であるガソリンスタンドへ花束が届く。それにはあの群馬ナンバーワンであり不敗神話を持つ高橋涼介からの挑戦状だった。
同じスタンドでバイトをする池谷や樹は、ついに高橋涼介からのダウンヒルバトルの挑戦状が来たのだと沸き立つのであった。
今までに無いほどの数のギャラリーが出ている中で、群馬最速の決定戦が始まった。涼介はわざと拓海を先行させ、相手の運転を見る後追いを取って、後方からじっくりと拓海の走りを観察するのだった。
しかしバトルの駆け引きをあまり知らない拓海は後方から来る高橋涼介のプレッシャーを感じて、オーバースピードでコーナーに突っ込んでしまうというミスを犯し失速してしまい、涼介に抜かれてしまうのだった。
皆が高橋涼介の圧倒的なレベルにこの勝負は負けて当然だと思っているが、イツキだけは拓海の勝利を信じ続けていた。
前に出た涼介であったが、前半戦のハチロクの走りのコピーが予想以上にタイヤに負担をかけていた事から挙動がだんだんと怪しくなってくる。
まだチャンスはあると信じて、拓海は必死に涼介に食らいつく。そして、その差はだんだんと縮まりつつあった。
拓海「このままじゃ追いつけない。一気に差をつめなきゃ。」
そんな中で拓海は、かつて文太の言っていたもう一つの溝走りの話を思い出すのだった。
文太は秋名の溝走りは2つあると言っていた。

「コーナー重視の溝走り。」
「立ち上がり重視の溝走り。」
この劣勢状況を圧倒するために、拓海は本番ぶっつけでその溝走りをやってみることにしたのだった。運転センスとスキルでそれを成し得た拓海は、ついに涼介のFCへ追いつく。そして、FCは最後に外側へ膨らんでしまいハチロクは内側へと入り込むことでもう一度前に出ることが出来たのだった。拓海は群馬最速の高橋涼介に秋名という場所限定でありながら勝利を収めたのだった。

こうして赤城の白い彗星と呼ばれた最速の男である高橋涼介とのバトルは拓海の勝利によって終了する。

岩瀬清次 ランエボⅣ VS 藤原拓海 AE86

馬力の少ないハチロクを先行させるハンディキャップ方式で開始されるランエボⅣとハチロクのバトル。

拓海のハチロクを見て何かを感じ取った須藤京一は、清次に対して一番手ごわい相手へのシミュレーション3での対応を指示するが、清次はハチロクという相手に対して何故シミュレーション3という指示に疑問を持つ。
シミュレーション3は手ごわい相手とのバトルで使用する方法であり、どう考えても旧式のハチロクがランエボに勝てるはずないと思った清次であったが、しぶしぶ京一の指示に同意するのだった。

ハチロクの後方につく清次であったがだんだんとハチロクの後ろを走るという事にイラついて来る。そして京一の言いつけを破り、ついにハチロクを追い越してしまうのだった。ハチロクの前に出たエボ4はそのまま爆走しどんどんとその差を埋めていくのだったが、遥か後ろに突き放したと思ったハチロクはいつの間にかすぐ後ろまで食いついてきたのだった。
そしていつまでも突き放すことが出来ないハチロクの走りを見た清次は先ほどムカついていた理由を理解するのだった。それは、自分の方がコーナーではハチロクよりも僅かに遅いという事だった。

しかしランエボの瞬発的な加速性能はハチロクを凌駕しており、少しでも直線区間が長くなると簡単に距離を伸ばしてしまう。
その立ち上がり加速の凄さに拓海も「すげえ速い車だ」と驚くのだった。

追いつくためにも拓海は再び5連続ヘアピンカーブで溝落としを繰り返して清次のランエボとの距離を詰める。
しかしだんだんと車重差によってハチロクよりも重いエボⅣは窮地に追い込まれていくこととなるのだった。
コーナーからの立ち上がりで圧倒的に有利なエボⅣは、まだまだ勝機がある状況であり拓海は今まで勝負してきた車の中でもコーナーからの立ち上がりでの速さは一番であるとエボⅣの性能の良さを垣間見る事となった。

ここで拓海は、溝落としパート2である立ち上がり重視の溝落としをやることで勝利を得ようする。
そして立ち上がり重視の溝落としでコーナーの立ち上がりでエボⅣに追いついたハチロクはそのままエボⅣを追い越して勝利するのだった。
勝ったには勝ったが、拓海自身も秋名でなければ勝てなかった、他だったら負けていたという勝負となった。

須藤京一 ランエボⅢ VS 藤原拓海 AE86

彼女である茂木なつきが援助交際をしていたという事実を目の当たりにした拓海は怒りのまま、須藤京一の挑発もあいまって赤城へと向かう。信頼していた者からの裏切に対する気持ちを原動力として拓海はアクセルを踏み込み、ランエボ使いの須藤京一とのバトルが始まるのだった。地元ではない秋名以外での完全な格上の車両とのバトルに、どう考えても勝ち目など無いと周りは判断するも、拓海は時代遅れのハチロクでバリバリにチューニングした京一のエボⅢと互角にやり合うのだった。
しかし圧倒的な立ち上がり加速でついにエボⅢに抜かれてしまうハチロク、どうにかして追いつこうとアクセルを踏み込み今まで以上に鋭い走りを続ける拓海であったが、ついにその答えは追いつけないという最悪の形であるハチロクのエンジンブローという形で終末を迎えてしまうだった。

高回転域で回し続けられたエンジンはついにそのキャパシティーを超えてしまい、ブローしてしまうのだった。白い蒸気が立ち上るハチロクを前にして茫然とする拓海に京一は「レースの世界ではエンジンブローは負けだが、俺はバトルをしたつもりはない。ハチロクはもう潰したらどうだ?」と言い残し立ち去っていく。
バトルをしたつもりはないと京一は言うが、エンジンブローでこのバトルは終了となった。

藤原拓海 AE86 復活 と 秋山渉 AE86 カローラレビン

LK168g9
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