雷火(Raika)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『雷火』とは、原作寺島優、作画藤原カムイによる日本の漫画作品。スコラの漫画雑誌『コミックバーガー』および『コミックバーズ』にて1987年から1997年まで連載された。舞台は紀元3世紀ごろの邪馬台国。日本を乗っ取ろうと企む魏からの外交官・張政を相手に戦うライカたちの活躍を描く。邪馬台国卑弥呼の後継者、壱与を守ろうとするライカたちと壱与を利用して日本を乗っ取ろうとする張政たちの戦いは、周りの国をも巻き込む戦となっていく。

『宇宙の大王…!? それが俺の望んだものなのか……』

「五房の行」を終えても狗奴国の皇子になることを拒絶したライカ。無意識にもっと大きな望みを抱いていたことに自ら気づく場面。この体験によりライカは狗奴国の真人が与えた能力を超える力、精神を身に着けることになる。それはライカの人生の大きな転換であった。

『ヒメキコソ…和の国が大地の中心であり大地の果てでもある。そいつはあんたの言う開かれた国ってことと一緒じゃねーのかな。オレたちはいつの間にかおんなじことを考えていたんだ。』

「五房の行」を終え、初めてヒメキコソと二人きりで話をするライカ。このあとヒメキコソは持病が悪化して亡くなってしまう。最初で最後の、親子の会話となった。

「壱与は誰にも渡さねえ」

洞穴の中でやっと再開したライカと壱与。ライカの本心がこの一言に集約されている。

「壱与…おまえがいたから俺はここまでこられたんだ」

天の龍の力を手に入れるため、結ばれるライカと壱与。ライカの体の傷はすべて壱与を守るためのものだった。ライカの壱与への大きな愛情を垣間見る名場面。

「…そして人間ひとりひとりの中にも自分自身の神がいる。国は権力者ひとりのものじゃねえ…そして神もお前ひとりじゃねえんだ…」

火山の中に落ちていった張政。ライカはその張政に話しかける。宇宙の大王としての考えが語られる名ゼリフ。

『雷火』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話

「雷火」舞台化の流れについて

ライカは2017年6月に舞台化されている。舞台化のきっかけについて藤原カムイは、飲み屋さんで『雷火』のことが好きだというスタッフと知り合って、舞台化したいという話をしたという。また「雷火」は、これまでにもアニメ化や実写化などの話が浮上していたのだが、どれも話が潰れてしまったという不遇な作品であったため、話があれば、表現される媒体は問わず、形にしたいと考えていたそうだ。藤原カムイにとっても思い入れのあるかわいい作品であったそうで、作品のことを好きなスタッフに作ってもらえるのであればこの話はいいんじゃないかと思い、舞台化を承諾したという。

週刊マンガ日本史改訂版発刊で語る藤原カムイ 「卑弥呼の生足はNGだった」

藤原カムイは、2009年10月より朝日新聞出版刊行の『週刊マンガ日本史』において、創刊となる「卑弥呼」、第16号の「雪舟」を執筆している。また、付録である歴史人物カード450枚を描いた。朝日新聞出版編集部のインタビューによると、「雷火」で卑弥呼が登場しているのを知っていた編集部メンバーの方から、藤原カムイに執筆を打診。その企画と、「雷火」では老婆として登場し、冒頭で暗殺されてしまった卑弥呼を若く描けるのが面白いと思った藤原カムイが執筆を承諾した。最初に藤原カムイが描き上げた卑弥呼について、編集部が母親たちから意見を聞いた際、「生足がかなり出ていて、ちょっとイヤらしい」といわれ、描き直したいきさつがある。なお、2010年より第2期となる『週刊新マンガ日本史』が刊行されたが、こちらには執筆していない。

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