雷火(Raika)のネタバレ解説まとめ

Raika

『雷火』とは、原作寺島優、作画藤原カムイによる日本の漫画作品。スコラの漫画雑誌『コミックバーガー』および『コミックバーズ』にて1987年から1997年まで連載された。舞台は紀元3世紀ごろの邪馬台国。日本を乗っ取ろうと企む魏からの外交官・張政を相手に戦うライカたちの活躍を描く。邪馬台国卑弥呼の後継者、壱与を守ろうとするライカたちと壱与を利用して日本を乗っ取ろうとする張政たちの戦いは、周りの国をも巻き込む戦となっていく。

『雷火』の概要

『雷火』とは、原作:寺島優、作画:藤原カムイによる日本の漫画作品。
弥生時代の世界観や、邪馬台国後の日本が舞台という珍しさ、それに合う藤原カムイの絵の筆致が好評であった。

紀元3世紀の邪馬台国。女王卑弥呼の後継者、壱与を利用して国を支配しようとする魏からの外交官、張政の野望を阻止しようと立ち上がるライカたち。もともと捨て子であり、近郊の山で大陸から渡ってきた老師に神仙術を教わりながら育てられたライカであったが、邪馬台国とのかかわりから、「国」というもの自体に興味を持ってゆく。張政に対抗しながら邪馬台国を守ろうとする壱与と別れ、ライカは自身の力を持つために幼馴染のオタジ、ウツキとともにさすらい、仲間を増やしてゆく。そして邪馬台国と敵対していた狗奴国に乗り込んでゆくが、そこでライカは狗奴国王、ヒメキコソの息子であることが判明し、ともに張政に支配された邪馬台国へ侵攻してゆく。幽閉された壱与を助けるため、一人邪馬台国の地下洞窟へと踏み込んで行くライカ。あとから追いかけてくる仲間たちと共に、張政の部下たちと死闘を繰り広げ、とうとう張政を追い詰める。しかし、張政は皆の想像を上回る計画を練っていたのであった。追い詰められてゆくライカたち。大国同士の争いは、やがて人知を超えた戦いへと発展してゆく。

「ライカ」は単行本として3種類あり、最初のデラックス版 全12巻 (スコラ刊)は 1988年から1997年にかけて発刊。各巻は約300ページ、小口三方色塗り、パール紙のカバーといったデラックス版の名の通りの装幀である。最終12巻は500ページを超えている。出版社倒産につき現在は絶版。2種類目の普及版 全21巻 (スコラ刊)は、 まだ連載中であった1997年から1998年にかけて、毎月1巻のペースで発売された廉価版。表紙はすべて描き下しである。DICカラーガイド第二版のみから選択した渋い配色のデザインが好評だった。出版社倒産につき現在は絶版。3種目の凍結版(今後はネームの変更も加筆修正も行わないことを意図している) 全15巻 (角川書店刊)は 「Kamui Collection」の一部として2000年から2001年にかけて発売。巻末に製作にまつわる裏話やキャラクターの設定などのページを収録した他、表紙描き下し、1巻のほとんどの顔を加筆修正、顔は2巻以降も修正が加えられており、その他修正も加えられている。長い連載であっただけに第一巻とそれ以後の絵の違いが目立ち、作者の画力が変化し定まっていった時期でもあった。その後アニメ化や実写化など話には出るもののどれも実現しなかったのだが、2017年6月にNON STYLEの石田明が脚本を手掛け、舞台化が実現した。

『雷火』のあらすじ・ストーリー

1巻 闕史(けっし)編

物語の舞台は紀元3世紀頃、倭の国の中心都市である「邪馬台国」。そこでは女王・卑弥呼の鬼道による政治が行われ、その権力は絶対であった。名声は遠く魏の国まで及び、そこより迎えた帯方軍塞曹掾史(いわゆる外交官)・張政(ちょうせい)とともに、新しい時代を迎えつつあった。
そんな折、邪馬台国の近く、熊鬼山に住む孤児たちの一員で忍術の原型である神仙術の使い手、ライカ・オタジ・ウツキは、ある日、山の中で神仙術を使って鳥たちと戯れる不思議な少女を目にする。少女の名は壱与。邪馬台国次期女王候補の巫女であった。その時、壱与は卑弥呼亡き後、一緒に邪馬台国を乗っ取ろうとキジノヒコという卑弥呼親衛隊長に話を持ち掛けられ、拒絶したため襲われていた。ライカたちは壱与を救い出すも、オタジは同じ神仙術の使い手であるキジノヒコに左腕を切られてしまう。何とかキジノヒコを撃退したライカたちであったが、壱与が勾玉の首飾りを落としていったため、ライカはそれを届けに邪馬台国へ忍び込む。壱与に首飾りを返したものの、周りの者たちに曲者扱いされたライカは女王卑弥呼、キジノヒコの攻撃にあい、危なかったところを熊鬼山の老師に助けられる。老師は国は結局滅ぶものとライカを諭し、ライカに邪馬台国へ行くことを禁じる。しかし、国というものに興味を持ったライカは老師の教えを破り、邪馬台国へ再度侵入する。しかし張政は手下・イキナメを差し向けて卑弥呼を暗殺し、ライカに女王卑弥呼殺しの罪を着せる。

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張政は魏の権威を利用し、自分に抵抗する力を持たない壱与を女王に即位させることにより、張政自身が邪馬台国を支配、魏の属国にしようと企んでいた。しかし、小鳥や動物たちと戯れて暮らしたい壱与は女王になることを拒み、ライカを信じ、忍狼を使って助けてほしいと女王就任式の日にライカを呼ぶ。張政の支配に疑問を抱く、邪馬台国同族国の投馬国王は、キジノヒコと共謀して女王就任式の際に張政を暗殺しようとするが失敗し、張政に首を切られ命を落とす。

2巻 鼎立(ていりつ)編

その騒ぎの中、何とか抜け出したライカ、壱与、そして父親を卑弥呼の殉葬者にされた少年・タキの3人であったが、壱与はもう邪馬台国に帰らず、ライカたちと一緒に生きていきたいという。
一方、張政暗殺に失敗し、傷を負いながら山中に逃げていたキジノヒコは狗奴国の部隊長・夜美の騎馬軍団に助けられ、狗奴国の大きさ、狗奴国王・ヒメキコソの度量の大きさを知り、邪馬台国に攻撃を仕掛けようとしていた狗奴国の一員として戦に参加する。しかしその時、山の神の怒り(噴火)が起こり、戦いは一時休戦となる。
一方、女王壱与を失い、心のよりどころをなくした邪馬台国の民たちは、無気力となっていた。壱与を取り戻すため、邪馬台国の重臣、ナシメはタキの母親を囮に、イキナメとともに、ライカたち一行をおびき寄せる。激しい戦いの末、ライカたちはタキの母親を救い出すが、母親は瘧鬼の祟り(マラリア)に侵されており、「女王様…邪馬台国をお救いください」という言葉を残し息を引き取ってしまう。その後、無念のため髑髏蜘蛛(どくろぐも・人の怨念が体に浮かび上がった蜘蛛)になってしまった邪馬台国の生口(せいこう・奴隷の意)たちの魂を成仏させた壱与は、残った生口たちのため、邪馬台国に戻ることを決意する。
その夜、馬で遠出をしたライカと壱与であったが、そのとき壱与は朝日を見つめるライカの瞳の中に、生まれながらにして大王に導かれる運命を持つという伝説の帝星(みかどぼし)を見つけ、ライカが倭の国を治める大王になる者だと確信する。

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3巻 遮莫(しゃまく)編

壱与を邪馬台国まで送っていったライカは、壱与一人の力で民たちが平伏する様子を見て、熊鬼山で漂流民として生きてきた彼には考えられない「国」というものにますます惹かれていく。
邪馬台国に帰った壱与は生口たちの酷い扱われ方を目の当たりにし、張政の目前で、生口たちに危害を加えることを禁止する。張政は、壱与が張政を無視して国を動かしていくつもりだと知り憤りを覚えるが、張政にはまだ壱与の神と交信できる巫女としての力が必要であった。折しも魏の国から160名もの城作りなどの職人たちが邪馬台国に到着する。張政は邪馬台国を倭の王者にふさわしい都にするために呼び寄せたと壱与に告げる。壱与は国がどんどん張政の思い通りになってゆくことに不安を覚えていたが、ライカが大王として戻ってくると信じ、彼を待つことにする。
一方、ライカは壱与が去った後、自分がどうしたいのかを冬中考えていた。壱与ひとりで張政に立ち向かうことが難しいと思い続けていたライカは、春になって「張政を倒し、自分たちの手で新しい倭の国を建設する!」と決断をする。

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ライカはオタジ、ウツキとそう誓い合い、まず狗奴国の騎馬軍団を利用しようと歩を進めた矢先、人とも獣ともつかぬものの大群に襲われる。それらを撃退したライカたちであったが、今度は不思議な武器を使う男たちに捕らわれてしまう。連れられていった先は、クコチヒコという男を頭とする砦であった。ここでは例年、先ほどの人獣・山童(やまわろ)に食糧を奪われたり、人が殺されたりしており、ライカたちはその仲間ではないかと疑われたのだ。折しも山童の大群が砦を襲ってくる。事情を知ったライカたちは山童たちを許せず、戦闘に参加する。ここでは武器に鉄(まがね)を使っており、今までの青銅の武器とは比べ物にならない頑丈さであった。やがて山童たちは誰かに操られていることがわかり、山童たちの住みかに攻撃を仕掛けることになる。

4巻 牢籠(ろうろう)編

敵の正体は大昔に生きていた邪馬台国の巫女に取りつき、3人の生死人(いきしびと)を操る猫又であった。辛くも勝利を収めたものの、砦は甚大な被害をこうむってしまう。タキが好意を持っていた少女、キクナも殺され、タキは強くなりたいと願うようになる。砦の長老はクコチヒコにご神体である剣を渡し、彼が砦を引き継ぐ時が来たと告げるが、クコチヒコは別な考えを持っていた。ライカに首領になってほしいというのだ。クコチヒコがライカにご神体を渡そうとすると、剣は浮き上がり、ひとりでにライカの手の中に収まる。ご神体に選ばれた首領として、ライカはクコチヒコをはじめ、砦の者たちを従えることになる。

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そのころ邪馬台国では張政のもとに魏の国が滅亡したという知らせが届いていた。魏の国を後ろ盾にしていた張政は、イキナメに魏の滅亡を邪馬台国の者たちに口外しないよう命ずる。
邪馬台国の重臣ナシメは、このままでは国が張政のものになってしまうと危機を感じ、女王である壱与に連絡を取るが、ひとりぼっちで疑心暗鬼になっていた彼女はナシメを信じることができず、孤立を深めるのだった。
一方ライカたちは狗奴国に近づき、ウツキとオタジが偵察に出ていた。狗奴国ではヒメキコソが病を患っており、長老たちは彼亡き後、この国がどうなってしまうのか心配していた。「雷とともに生まれ、邪鬼と卦が出たため山に捨てられた皇子さえいてくだされば…」忍び込んでいたウツキは偶然その話を聞き、ライカがこの国の皇子であることを知る。オタジとともに早く砦のライカに伝えようとするウツキだったが、オタジはここで自分の左腕を切ったキジノヒコと会い、戦闘を始めてしまう。苦戦しているその時、狗奴国の馬を盗んだ仲間が現れ、オタジとウツキはその馬に乗って逃げ出すが、ウツキは背中を切られ、落馬して捕虜となってしまう。

5巻 莫邪(ばくや)編

馬を取り返そうとオタジたちを追う狗奴国の夜美であったが、その途中、神仙術を使う老人に出会う。それはライカたちを育てた熊鬼山の老師であった。老師は夜美にぼろ切れを投げつけ、ヒメキコソに渡せと伝え、姿を消す。
ウツキが狗奴国で捕まったと聞いたライカは即出陣しウツキを助け出そうとするが、ヒメキコソと対峙して相互睨み合う。そこへ武器商人で越の国(今のベトナム)から来ていたチャンという男が象に乗って現れ、ひるんだすきにライカをはじめ砦の皆は捕まってしまう。入れられた牢の隣には拷問を受けて半死半生になっているウツキがいた。ライカが狗奴国の皇子だと伝えたその瞬間、ウツキは痙攣を起こしてしまう。激高したライカは牢を破り、薬をよこせと叫ぶ。その姿を見たヒメキコソ、長老たちは逆立ったライカの髪を見てこの国の皇子だと直感する。ヒメキコソの息子が生まれた時、そのカミナリのような頭を見て、これは邪鬼の卦がありと占いで出たため、長老の一人が赤子を山に密かに捨ててきたのだ。息子である確証がほしいとヒメキコソは悩む。

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その頃、邪馬台国では張政に篭絡されたタマキという女が新しい女官として壱与のお付となる。そして壱与が知らないうちに張政による徐目(じもく・任命式のこと)が執り行われ、日ごろから張政に疑問を抱いていたナシメはすべての職務を解かれてしまい、壱与と連絡を取ることが一層難しくなってしまう。
一方、熊鬼山では海岸に難破船と沢山の遺体が流れ着く。老師は海のかなたで何か異変があったものと直感する。難破船は狗奴国の海岸にも多数打ち上げられ、嵐の中、ヒメキコソたちは自分たちの命を懸けて彼らを救い出す。それを見たライカたち一行は、ヒメキコソの度量の大きさを今さらながら知るのであった。そしてヒメキコソは助けた難民たちの話から魏の滅亡を知る。

6巻 磊塊(らいかい)編

夜美が老師から受け取ったぼろ切れは、ライカが捨てられた時に着ていた産着であった。その紋章から、ライカが狗奴国の皇子であることが確認される。しかしライカは自分は漂流民であり、狗奴国の皇子ではないと強く否定する。
その頃、邪馬台国ではイキナメの仲間が魏から到着していた。人数は6人。イキナメを含め、公孫一族の7人衆という、いずれも手練れの張政の部下たちであった。張政は彼らを前に、この邪馬台国で故国である魏を再建することを誓う。
一方、壱与はその行動を厳しく張政に制限され、タマキから監視を受ける生活を送っていた。ナシメを信じなかったことを悔やみ、張政の暴挙に焦る壱与は、忍狼を使ってナシメと、協力者である生口頭のダナンと連絡を取り、一致団結して張政を倒すことを計画する。決行は3日後の新月の夜。その情報は生口から生口へ、口づてに伝えられた。しかし、その中に張政の部下、公孫一族の一人であるワタハタが潜入していたことに気づくものは誰もいなかった。
やがて新月の夜、壱与は張政の力を封じる祈祷を始め、生口たちは武器庫を襲ったが、そこには何もなく、彼らは公孫一族の者たちに次々と倒されて行ってしまう。壱与の祈祷も呪詛返しにあい失敗する。そこへ張政が現れ、お前たちの情報など筒抜けだったと笑い、神仙術を使って皆を殺そうとするが、間一髪、壱与たちの一斉蜂起を知った熊鬼山の老師に助けられる。張政は老師に首をはねられ、反乱は成功したかに思えたが、首を切られたのは張政の部下、ラトウだった。老師が去ったあと無傷の張政が再び現れ、張政を倒したと思っていた壱与はその衝撃で気を失ってしまう。
その頃、ライカは狗奴国で無為な日々を送っていた。この国の皇子ということへの反発が彼を無気力にしてしまっていたのだ。邪馬台国で内乱があったと知らせが届いても動く気になれず、狗奴国の馬番の娘・リンと遊び呆けていた。そこへ生口頭のダナンが命からがら狗奴国に逃げ延びてくる。内乱が失敗したのは女王の壱与が裏切ったせいだというダナン。それを聞いたライカはそんなことは絶対にないと、邪馬台国に行くことを決意する。

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