セントールの悩み(A Centaur's Life)のネタバレ解説まとめ

「セントールの悩み」とは、「村山慶」による漫画作品。2011年から「月刊COMICリュウ」で連載を開始し、2017年に絵梦製作でアニメ化。六本肢の生き物が人類に進化した世界観で、上半身が人間で下半身が馬の「人馬」の主人公「君原 姫乃」を中心とした日常を描く。日常物をメインに描き癒し要素や萌え要素も多い作品であるが、差別や戦争などのテーマも含み、ディストピアな印象を残す作風でもある。

CV:神梛めい

真奈美の妹で、御魂家の五女。長耳人と翼人のハーフ。
愛称は「すえちゃん」。
生まれつき体が弱く、外で遊んでいると直ぐに息を切らして倒れてしまう。
霊感があるのか、実家の神社で遊んでいると気に神様と思われる女の子と遊んでいる時がある。

その他

ジャン・ルソー

CV:飛田展男

フランス国籍の両棲類人。男性。
フランスの宣教師に拾われ、哺乳類人と一緒に教育を受け、両棲類人では初の高等師範学校生となった。
その後小さい貿易会社に就職し、コングロマリット(複合企業)を買収し、少数民族保護の活動をしている。
テレビに出ることもある有名人で、姫乃たちの学校で講演会を行った。
故郷でもある両棲類人の人々とも交流を取っているが、両棲類人の持つ哺乳類人への差別に、複雑な心境を抱いている。

会長

CV:宮崎敦吉(少年時代CV:大津愛理)

ルソーの商談相手。翼人の男性。ユダヤ人。
子供の頃に戦争に巻き込まれ、ナチスと思われる政党に捕虜にされ、収容所で厳しい強制労働をさせられていた。
そこには同種族でありながらいがみ合う人たちと、異種でありながら自分に食料を分けてくれる人がいた。
アメリカ兵によって助け出され、現在に至る。
波乱万丈の過去から、違う形態への差別に対して思うことがあり、両棲類人であるルソーが手袋をしたまま握手をしようとしたのを見て手袋を外すように言う。
その後、部下が手を拭くウェットティッシュを持ってきたのを見て、私の手は汚れてなどいないと言い、部下の差別的な態度に呆れていた。

『セントールの悩み』の見所・名シーン・名場面

様々な種族たち

教室の絵だけでも様々な形態のクラスメイトが居る。

本作には様々な形態の人類が共存している。
人類として進化した生き物以外にも、6つ肢の犬や猫などのペットもいる。
人馬である姫乃の周りには、同じ人馬である家族や従姉妹、竜人・角人・翼人・長耳人・南極人などの友人がいる。
特に人馬は身体的特徴から二足歩行の人類とは違う形の服を着ていたり、体重・腕力・走力が他の形体とは決定的に異なる。
南極人のサスサススールは、顔が蛇である事から他の形態には一瞬怖がられたり、身体的特徴から食料の食べ方も異なる。
人魚は服を着る習慣が無いため基本上半身も裸であるが、人魚達にとってはそれが当たり前なのである。
他にも複数の形態の特徴を持つハーフのキャラもいる。
沢山の異なる形態を持つキャラクター達の交流が、本作の見所の一つとなる。

時折垣間見えるディストピアな世界観

本作は強い差別を行った歴史のために、子供たちは絶対に差別をしてはならないという教育を受けている。
時には人権や生命よりも平等であることが優先され、差別を行う物は思想矯正所に送られ実質死刑となる世界観なのである。
特にディストピアな世界観があらわになったのは、第9話のジャン・ルソーが登場する回である。
ルソーはフランス国籍を持つ両棲類人で、倒れていたところをフランス人の宣教師に保護され、そのまま他の人間達と同じように教育を受けた。
両棲類人は野獣として駆除された過去もあり、知性が無いという差別を受けても居たが、実際にはそんな事は無くルソーは両棲類人初の高等師範学校生となり、貿易会社に就職した。
少数民族保護の活動から有名になり、姫乃たちの通う高校へ講演会を行った。
そんなルソーとの商談相手であった会長は、部下達がルソーに対し差別的な態度をした事に呆れる。
会長は子供だった頃戦争を経験し、捕虜として敵に捕まって厳しい強制労働をさせられていた事があった。
そこでは同種族にも関わらず食料の多さの違いでいがみ合う者や、多種族であるにも関わらず自分の食料を分け与え庇ってくれる人間もいた。
そしてアメリカ兵に保護され、現在に至るのである。
そのような半生があるため、形態の違いで起こる差別に対しては思うことが多いのである。

また、姫乃たちの授業の中では形態に差がない世界がもしあったら、精々、髪・目・肌の色で争う程度だと言われていた。
しかし、会長が捕虜であった時の仲間は、もし形態の差がない世界があったら差別が本当にないのか、と会長に問う。
そして国家や民族、肌・髪・目の色、背の高さ、体の大きさ、服の違いなどほんの少しの違いで差別は必ず起こると語った。
本作は極端な形態の違いで起こる差別などが描かれているが、これらの描写は現実の世界でも通じる問題提起なのであった。

9話はほんわかした日常パートは殆ど無く、ルソーの半生とルソーの故郷に居る同種族達が持つ哺乳類への差別、会長の半生と戦争の悲劇が描かれ、ディストピアな世界観が強く印象に残る回となった。
現実の世界とは違う世界であるが、似たような戦争の歴史があり、世界観が繊細に作りこまれていることが伺える。
姫乃たちにとっては戦争は過去の物であり強い差別意識も授業で習った程度の認知であるが、ルソーや会長にとってはこれが「日常」なのである。

姫乃の先祖

姫乃は赤い髪の毛を持ち、それは人馬の日本人では珍しいことであった。
中学時代は先生に染めてるのではないかと疑われ、その先生は形態差別者として捕まっている。
姫乃母方の家系が赤毛を持つ家系であり、それについての伝承があった。
姫乃の先祖(黒髪)が紅毛の南蛮人に攫われ、兄達が妹を助けに追った。
兄達はヨーロッパを探し回り、漸く妹を見つけて助け出した。
しかし、妹は南蛮人に乱暴されてしまったのか、代々赤毛の子供が生まれるようになったという。
この話は作中では有名な逸話でもあり、兄達は妹を連れ戻すためにあちこちを襲撃し、一本矢で船を沈めたり、道中で解放した奴隷達が付いてきて軍隊のようになったというパターンもある。
父方は武家で旧大名家の家系であり、その影響で姫乃は流鏑馬を嗜んでいる。
そんな戦闘民族で武家の末裔の姫乃であるが、物凄い良い家柄ということでもなく、一般家庭の水準で育った普通の女子高校生なのであった。

ケツァルコアトル・サスサススールの登場

サスサススールは笑顔のつもりであったが…。

第4話のラストから第5話にかけての話で、サスサススールが姫乃のクラスに転校してくる。
南極人であるサスサススールには公安が警備に付き、学校はいつもと違う少し重い雰囲気になっていた。
姫乃は昔見たホラー映画の影響で南極人にトラウマがあり、サスサススールの口内を見て気絶してしまう。
サスサススールは笑ったつもりで口を大きく開けたのであったが、姫乃から自分を見ると食べようとしているようにも見えたのである。
姫乃の苦手意識は形態差別にも当たる行為で羌子達は心配するが、姫乃は映画「南極の恐怖」のせいだと語る。
トラウマを克服するため、姫乃・羌子・希はサスサススールも交え、「南極の恐怖」を一緒に見る事にした。
姫乃は勿論のこと、サスサススールも南極人が悪役として出てくる映画に怖がった。
映画では南極人が人間を丸呑みにしていたが、実際の南極人は蛇のような広がる顎を持っておらず、毒牙もないという。
顎の力も弱く、仮に南極人に噛まれたとしても子猫に噛まれた程度のことであるという。
一見映画は差別のように思えるが、サスサススールは哺乳類たちが自分達にこういった間違った認識を持っていることを知り、それを改めるために自分は来たのだと言った。
南極人が映画のような脅威ではないと知って姫乃は安心し、サスサススールと改めて友達になるのであった。

妹達の交流

姫乃には従妹の紫乃が、真奈美には三つ子の千草・千奈美・千穂と末の妹の未摘の4人の妹が居る。
紫乃は姫乃が大好きであり1人占めしたいため、三つ子達が姫乃に近づくのを良く思わない。
しかし三つ子達はそんな紫乃を同年代の友達と認識し、喧嘩をしながらも友人となる。
6話では姫乃・希・羌子・サスサススール・真奈美、そして紫乃・三つ子・未摘でプールへ行く。
元気で好奇心旺盛な三つ子は人馬である紫乃と同じ深さで泳ごうとして止められる。
紫乃は人馬であるため一般的な子供用プールでは浅すぎて泳げず、姫乃と共に深いプールへ行った。
最終的に子供用プールで全員で水の掛け合いで遊び、未摘は体が弱いためプールサイドにおり、皆が遊ぶのを楽しそうに眺めていた。
帰り道子供達は疲れて寝てしまい、紫乃を姫乃が、未摘を真奈美が、三つ子を希と羌子とサスサススールがそれぞれ抱っこして帰った。
妹達が出てくる回は特に日常色が強く、ほのぼのした内容となっている。

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