海街diary(漫画・映画)のネタバレ解説・考察まとめ

『海街diary』(うみまちダイアリー)とは、『月刊フラワーズ』にて2006年から連載されている吉田秋生による漫画、及びそれを原作とする映画である。外に女を作り出て行った父と、それにショックを受け新たな男を作り家族を捨てた母親。そんな両親を持つ三姉妹が父の訃報をきっかけに腹違いの妹・すずと出会い、絆を深めながら生き生きとそれぞれの人生を生きていく様が鎌倉を舞台として叙情的に描かれている。

「かんたんに人のことかわいそうって言う人すっごムカつく!」

利き足の手術後、義足でチームに戻った裕也の練習を見学し、「病気に負けないで頑張って」を連呼するファンの女子たちを思い出して言ったすずのセリフ。
父を亡くした際に散々そのような言葉をかけられた自身の経験と重ね合わせている。実際にはそこまで関わる気は無いにもかかわらず、一時のイベントとして同情する無責任さをとがめた一言になっている。

「いくら努力してもどうにもならないことってやっぱあるけど だからって別に終わりじゃないんだなって」

手術後義足ではじめて試合形式の練習に復帰した裕也のプレーを見た風太の言葉を受け止めたときのすずのセリフ。
チームのエースだった裕也はかつてのプレーができなくなっていた。けれどそんな中でも、義足の右足に見切りをつけ利き足ではない左足を中心としたプレーにシフトチェンジすることで、彼は何か打開策を模索していた。風太は持ち前の視野の広さと観察力でそのことに気付き、そのすごさを素直に「あいつやっぱすげー」と感心できてしまう。
裕也のメンタルの強さと、風太の感性。当初裕也のプレーをみて、かつてとのギャップにただショックを受けただけだったすずが、二人の心意気を受けてそれを自分なりに消化した一言になっている。

静岡行きを躊躇するすずを風太が後押しするシーン

進路選択に迷うすずを風太が後押しするシーン。
オクトパスで活躍するすずのもとに静岡の高校から特待生としてスカウトしたいという話が舞い込む。けれど、地元を離れるとまた父親を亡くして一人になってしまったときの孤独な環境に戻ってしまうのではないかという不安から、すずはその話を受けることをなかなか決断できないでいた。そんなすずの不安の種を見抜いた風太は、どこに行っても家族は家族で、「どこにもいない」のと「遠くにいる」ことは違うと後押ししてくれる。
すずのことを好きという気持ちははっきりしていながら、度々躊躇して結局告白できないなど、いつもは煮え切らない態度の風太の男らしい一面が垣間見えるシーンである。

「臆病だったあの頃を取り戻すために、あの場所に戻ろうと思う」

千佳の恋人浜田のプロポーズのセリフ。
子供の頃は臆病だった浜田は、登山を知ったことで自分に自信をつけることができ、前に進むことができるようになった。けれどエベレスト登頂の際、少しのペースの遅れを取り戻そうと欲を出し、違和感があるにもかかわらず頂上を目指して進んだことで結果的に吹雪に巻き込まれ凍傷で足の指を失うことになる。
単にチャレンジを恐れる臆病さではなく、過信でもない、何かにチャレンジするための臆病さを取り戻したいという登山家・浜田ならではのセリフになっている。

『海街diary(実写映画)』

『海街diary(実写映画)』の概要

漫画を読んだ是枝裕和が2013年より脚本の執筆を開始し、同名タイトルで2015年に公開された。監督・脚本は是枝裕和。物語の中心となる四姉妹は、綾瀬はるか、長澤まさみ、夏帆、広瀬すずが演じている。第39回(2016年)日本アカデミー賞最優秀作品賞をはじめ受賞暦多数。第68回(2015年)カンヌ国際映画祭コンペティション部門出品作品。

『海街diary(実写映画)』の主なキャスト

香田幸 : 綾瀬はるか
香田佳乃: 長澤まさみ
香田千佳: 夏帆
浅野すず: 広瀬すず
坂下美海: 加瀬亮
井上泰之:鈴木亮平
浜田三蔵:池田貴史
尾崎風太:前田旺志郎
緒方将志:関ファイト

ほか

海街diary オリジナルサウンドトラック:菅野よう子

1. 夏の表紙
2. 海街diary
3. 河鹿沢行き
4. いもうと
5. すずのテーマ~海へ
6. 不思議な住人たち
7. わたしのへや
8. 両足使い
9. 紅葉ヶ谷
10. 坂道~すずのテーマ
11. イルミナ
12. つぼみ
13. 桜トンネル
14. さざ波
15. 縁側
16. 波打ち際にて
17. 幸あれ
18. 花火
19. 柱の傷
20. じゃれる
21. ここにいていいんだよ
22. エンドロール
23. 映画 シーン「夏」より(BGM「海街diary」「河鹿沢行き」)
24. 映画 シーン「秋」より(BGM「不思議な住人たち」)
25. 映画 シーン「冬」より(BGM「両足使い」)
26. 映画 シーン「春」より

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