笑ゥせぇるすまんが衝撃を与えた恐ろしいトラウマ回!

「忍者ハットリくん」などで知られる藤子不二雄A原作のマンガ作品。正体不明のセールスマン、喪黒福造。彼は様々な欲望を抱く人間に近づき、願いを叶えます。しかしその人間の結末は地獄のような苦しみを味わうことになります。人間の欲望、愚かさを描いた「笑ゥせぇるすまん」には、多くの読者に衝撃を与えたトラウマ回がある事をご存知でしょうか?

『笑ゥせぇるすまん』とは

藤子不二雄Aによるブラックコメディ漫画。
悩みを抱える人間の元に「喪黒福造」という正体不明の男が現れ、その人間の願望を満たしていく。その人間は大体にして人生を破滅させることとなる。

喪黒福造は「魔の巣」というバー出没することと、小田急電鉄沿線に住んでいるということ以外は謎に包まれている。名刺には「ココロのスキマ、お埋めします。」というコピーが印字されている。喪黒福造の手を借りる場合に金銭は要求されない。喪黒曰く、客が満足することが何よりの報酬だと話している。
作者は、喪黒福造は人間ではないと発言している。

「笑ゥせぇるすまん」にはトラウマになりそうな悲惨な人生を過ごす人物が多く存在する。しかし、喪黒福造は意外にも他人を陥れるだけではなく、人助けもしている。
今回は「笑ゥせぇるすまん」の中でも特に怖い回を紹介する。

「ドーン!!!」について

人生破滅の転機の際には、必ず相手の顔を指差し、「ドーン!!!」と言う。これをきっかけに相手は破滅に向かうようになる。「ドーン!!!」を受けた人物はその後、操られたように行動する様子が見られる。その他にも自身の身を守るために使ったこともあった。その場合は相手の体が吹き飛んだりしている。

『笑ゥせぇるすまん』のトラウマ回

たのもしい顔

会社員の頼母は幼少の頃から頼もしい顔をしており、ずっと周囲から頼られ続けてきた。大人になった今でも、会社の部下、母親、嫁、子供から頼りにされていた。頼母はそんな周囲に期待されることにうんざりしていた。
ある日、頼母は酒を飲みすぎて帰りの道中で吐いていた。すると、後ろから頼母の様子を見かねた喪黒福造が声をかけてきた。喪黒の肩を借り公園で一息つく頼母。そこで頼母は喪黒に頼られ続ける人生に疲れたと言葉を漏らす。それを聞いた喪黒は薄ら笑いを浮かべ、頼られ続ける人生を送る頼母に同情をする。そこで喪黒は頼母が頼ることができる人物を探しておくと言い、去っていく。

後日、会社に出社した頼母の元に喪黒が訪ねてくる。頼母は先日は酔っていたこともあり、喪黒と取り合わなかった。喪黒はあっさりと帰っていくが、帰り際に探し出した相手の住所を記した名刺を置いていく。その後、仕事に励む頼母だったが、家庭トラブル、仕事のトラブルが重なり周囲からの期待を寄せられ限界を迎える。気づくと頼母は名刺に記された場所へ来ていた。そこはくたびれたボロボロのアパートだった。アパートの前に喪黒が待っており、「ドーン!!!」を受ける。案内された部屋へ行くとそこにはお釈迦様が待っていた。喪黒は存分に甘えていいと言い残し部屋を去って行った。

喪黒は頼母の家へ向かい、嫁と子供を連れてボロアパートへ向かう。
ドアを開けた嫁と子供の目には、汚い部屋で醜い女性に裸で甘える頼母の姿があった。
喪黒は笑顔でアパートを後にし、「あの光景を見て、頼母さんの本当の心を理解できるか、嫌悪の情をもよおすか、頼母家の幸せはそれ次第ですなぁ。」と言うのであった。

プラットホームの女

銀行員の直木純一は通勤する際に駅で見かけるマスクをつけた女性に一目惚れしていた。直木は電車の中でその女性に見とれるあまり、喪黒福造の足を踏んでいることに気づかなかった。喪黒は直木の様子を見ており、その女性に好意を持っていることを見抜く。そして二人の間を取り持つと言う。直木は自分で告白できると立ち去るが、その背後から、突然告白したら驚かせるだけで拒絶されてしまうと喪黒は言う。

直木は仕事の帰りに駅でマスクの女性を見かける。思わず女性の後を尾行してしまう直木。しかし尾行が女性に気づかれてしまい、警察を呼ばれてしまう。慌てて家に帰った直木は喪黒に依頼することを考える。翌日、なぜか直木の元に現れた喪黒は、直木が依頼を考えていることを言い当て、「彼女の事は私にお任せください。」と言い、直木の返事も聞かずに立ち去って行く。
その後、直木の元に現れた喪黒は、なんと女性の方も直木に好意を持っていると言う。さらに今夜、直木のアパートを訪れると女性が約束したらしい。驚きながらも喜ぶ直木だったが、それには条件があった。彼女は幸せの身の上でないらしく、好奇心や興味だけで彼女に会いたいのであれば会うのを辞めろと喪黒は忠告する。それに対し直木は、マスクで顔は隠れているが、綺麗な目をしたあの女性を愛しているのだと自身の気持ちを宣言するのだった。

家に帰った直木の部屋がノックされ、扉を開けるとマスクの女性が立っていた。部屋へ招かれた女性は突然「もし私が、結婚してほしいと言ったら、あなたは結婚してくれますか?」と質問する。直木が驚きながらも同意すると、女性は衣服を脱ぎ、マスクを外す。直木が女性の顔を見ると、そこには整った顔があった。直木は感激し、なぜマスクをするのか不思議がる。すると女性は「この顔は整形手術で作った顔。でも失敗したの。ご覧なさい。」と言い、眉間に指を当てる。その途端、女性の顔にヒビが入り、顔の皮を剥がれたような醜い顔になってしまう。

アパートから聞こえる悲鳴を背に、喪黒は「見方によって女性は全て美人に見えるものです。あの程度の欠点なら彼の深い愛情で十分に補える事でしょう。」と高笑いするのであった。

切る

理容店を営んでいる出無野風太(でぶのふうた)は顔剃り(顔の毛をカミソリで剃る作業)が苦手だった。風船で練習してもすぐに割ってしまう。風船相手だから本気になれていないと言う店長は、次に入ってきた客の顔剃りを風太にさせることを決める。そこへ喪黒福造が入ってくる。喪黒は散髪はせずに顔剃りを依頼する。戸惑いながらも顔を剃る風太だったが、喪黒の顔から鼻が落ちる。パニックになる風太と、戸惑うスタッフ達だったが、喪黒は笑いながら起き上がった。喪黒の顔にはいつも通りに鼻がついていた。落ちた鼻はゴム製の鼻であり、喪黒はただの冗談だと言う。

風太は練習台にしたことを喪黒に謝り、カミソリを握るのが怖いと告白する。風太はいつも自身の脛で練習していたが、その脛もカミソリの切り傷だらけだった。自身の不甲斐なさに涙する風太だったが、それに対し喪黒は、他人を傷つけるぐらいでビクビクしていたらこの世の中では生きていけない、もっと自信を持て、と言う。どうしたら良いのかと、頭を抱える風太を見かねた喪黒は、一本のタバコを差し出す。そのタバコは薬用タバコで、それを吸うと不安がなくなり、自身が湧き出るという。喪黒はタバコを吸って朦朧となる風太に「あなたはもう大丈夫。カミソリなんて怖くない。」と語りかけ、「ドーン!!!」する。
店に現れた風太は自ら顔剃りを買ってでる。一同が見守る中、風太は見事に顔剃りをやってのける。喪黒に礼を言おうとかけるけるが、喪黒がいた部屋にすでに姿がなく、そこには薬用タバコと手紙が置いてあった。そこには「薬用タバコをあるだけおいていきます。このタバコをすわなくてもカミソリが震えないように頑張って自信をつけてください。」と記してあった。風太は泣いて喪黒に感謝するのであった。

その後、タバコで精神を落ち着かせながら仕事をする風太に、同僚の男が顔剃りを依頼する。
精神を落ち着けようとタバコを吸おうとするが、あるはずのタバコは無くなっていた。実は前日に風太の留守中に麻雀をしていた同僚とその仲間はタバコを切らし、風太のタバコを吸ってしまっていた。風太は「あれがなきゃ…あれがなきゃ駄目なんだ…」と震えながらカミソリを手にした。店外には男の悲鳴が響くのであった。

喪黒はその声を店の外で聞いていた。
「やっぱりやりましたか。あのタバコ最初の一本以外は普通のタバコでしたからねえ。しかし、カミソリで喉笛を剃られる瞬間のスリル!ゾクゾクしてたまりませんな〜。」と笑って去って行くのであった。

男ぎらい

会社での悩みを喪黒に打ち明ける刈谷。

キャリアウーマンである刈谷麻子は会社の課長からのセクハラに悩まされていた。
ある日、同僚たちと飲みに出かけた刈谷だったが、同じ店にいた男たちからナンパされる。しかし、女を性の対象としか見ない男に刈谷は失望しており、同僚たちを置いて一人店を出る。愚痴をこぼしながら帰る刈谷だったが、足を取られて川へ落ちそうになる所を喪黒福造に助けられる。
助けられた刈谷は喪黒とBarへ行くことへなり、セクハラに悩んでいる事、課長のセクハラが続くようであれば会社を辞めようと考えている事を話した。喪黒はそんな刈谷のために課長が会社を辞めれば解決する、この件は任せてくれ、と言う。後日、課長は電車内で痴漢を働き、会社を辞める事となった。刈谷は課長がいなくなった事を喜んだ。すると喪黒は「せっかく仕事に専念できる環境が得られたのですから、女性の地位を高めるためにも男にうつつを抜かすなどという事の無い様、お願いしますよ。」と言う。仕事に生きる刈谷はそんな喪黒の心配を笑い飛ばした。喪黒は「そうでないと、課長だって浮かばれませんからねぇ。」と笑うのだった。

その後、課長に代わって順調に仕事をしていた刈谷は、商談相手の男性にランチを誘われる。「ランチぐらいなら…」と思って付いて言った刈谷だったが、そこでデートに誘われる。その様子を喪黒は近くで見ていた。
デートを楽しんだ刈谷は喪黒の言葉を思い出すも、相手に迫られ、キスをしてしまう。マンションへ送ってもらい、幸せなデートを噛みしめる刈谷だったが、エレベーターの扉の向こうには喪黒が立っていた。
「あなたは私との約束を破りましたね。会社を辞めた課長のためにも、あなたは恋などしてはなりません!あなたは男性などに心を奪われず、自立した女性として生きていくべきなのです!」といい「ドーン!!!」をするのであった。

その後、デートをした男性との待ち合わせに急ぐ刈谷は「恋などしてはいけません。」と言う喪黒の幻を見る。駅のホームで待ち合わせをしていた刈谷だったが、男性が刈谷を驚かそうと、忍び足で近づいてきた。突然、肩を叩かれた刈谷は驚き、つい肘で男性を押してしまう。男性はその反動で線路に落ちてしまう。そこには電車が迫っていた。

人身事故のアナウンスをする駅を尻目に「あれでは当分彼女にはセクハラどころか、男は誰も寄り付かないでしょうなぁ。」と笑うのであった。

ともだち屋

人形の女性がなんとも気味が悪い。

サラリーマンの青井は寂しい人生を過ごしていた。会社の同僚たちの飲み会に行こうとするも、他に誰か探すから、と言われ仲間外れにされたていた。
一人寂しくアパートに帰り、カップラーメンを食べる青井はあまりの寂しさに泣いていた。そこへ「ごめんください。」と声がし、振り返ると喪黒福造が立っていた。喪黒は名刺を渡し、「ともだち屋」と名乗る。喪黒は「私の仕事は寂しい人たちに夢と希望を与える素敵なお友達を紹介することです。例えばあなたには…」と言いながら、美人の女性が写っている写真と、その女性の声を録音したカセットテープを差し出した。一目で女性のことを気に入った青井だったが、まずはカセットの声に合わせて会話をし、互いに気があう人物なのか確認しなければならないと喪黒は言う。お金がかからないということもあり、青井は早速女性とのやり取りを始める。

会社でもカセットテープの声に合わせて話す青井はどんどん写真の女性に惹かれていった。そこへ喪黒が訪ねてきて、写真の女性はタイプの女性なのか質問する。青井はすでにベタ惚れしおり、すぐにでも写真の女性に会えるように喪黒へお願いする。喪黒は了承しながらも先に手紙を書くほうが先だと言う。喜んで書くという青井に、喪黒は青井と女性が一緒に写っている合成した写真を渡した。
写真を見て恋をする青井は、仕事も精力的になり、孤独な人生を脱していた。ある日、アパートに女性からの手紙が届いていた。そこには「青井に会いたい」と書いてあり、待ち合わせの場所と時間が記してあった。

夜の公園で待ち合わせた青井は写真の女性を見つける。女性の横には包みが置いてあり、青井へのプレゼントだと言う。青井は恥ずかしがりながらも女性の横に座り、持参した花を差し出す。すると女性は力なく、倒れてしまう。不思議に思った青井が女性を抱き起こすが、それは女性ではなく、人形であった。
近くに潜んでいた喪黒の手にはリモコンが握られており、スイッチを押すと人形から女性の悲鳴が響き始めた。青井は痴漢と間違えられ、公園に居た人間に取り押さえられる。さらに青井へのプレゼントだという包みからは女性の下着が発見され、青井は警察に捕まってしまう。

「これで彼は、世間の注目を浴びて孤独な寂しい生活とオサラバ出来るでしょう。」と笑って喪黒は去って行った。

押入れ男

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