火の鳥(手塚治虫)のネタバレ解説・考察まとめ

漫画界の巨匠、手塚治虫の描く壮大な物語が『火の鳥』だ。その血を飲むと永遠の命が得られる伝説の鳥である「火の鳥」。この伝説の鳥を巡り、古代から未来へ、未来から古代へ。またミクロからマクロへ、マクロからミクロへと想像を絶するスケールで世界が流転する。文明の進化と衰退、科学の罪、生命進化、人間の心と、「火の鳥」を狂言回しに、あらゆる要素を紡ぎ、手塚治虫が読者へ送る「究極の物語」だ。

CV:牛山茂
登場作:第2作 未来編・第6作 復活編

未来編では登場時点で旧式の大量生産品であるが、復活編の終盤で、主人公レオナとチヒロが一体化した姿だと判明する。
電子頭脳が大きくなりすぎて、胴体内部が電子頭脳となっており、二足歩行は難しく、足ではなく「摩擦よけの車」と表現される臀部のベアリングで滑るように移動する。初代は足があったが、量産されたロビタは足が取り外された。

ロビタは、外見は旧式のロボットで構成物質も機械、しかも量産されているが、人間だと主張する。

復活編で、農場で子どもが事故死するという事件が起きる。それについて、農場で使用されていたロビタの過失であると、えん罪をかけられる。裁判が開かれ、ロビタらは反論し、十年に及ぶ審議が行われる。結果、農場にいたロビタ全てが故障したロボットだったとして溶解処理とされてしまう。
それをきっかけに、全てのロビタが反乱し、ロボットには絶対に不可能な行動である自殺を行う。
さらに月面に一台だけいたロビタも自殺ができないので、代わりに意図して殺人を行い自首を行う。

他の登場ロボットはAIなので、自殺や殺人、また人間に攻撃するなど自律した行動が行えない描写がある。口調もロビタのみ独自性があるように表現されている。
(例)
ロボット=「はい だんなさま」
ロビタ=「しかし だんなさま」

手塚治虫特集スペシャルアニメでは『鉄腕アトム』の登場キャラクター天馬博士の助手ロボットとして登場し、『ブラック・ジャック』のキャラクター、ピノコと言い争った。『アストロボーイ鉄腕アトム』では、お茶の水博士の助手ロボットとして登場している。

ムーピー(タマミ)

CV:冬馬由美
登場回:第2作 未来編・第8作 望郷編

どのような過酷な環境(例えば強い放射能)にも耐えうる生命力を持つ不定形の宇宙生物。
変身能力を有し、人間の社会に溶け込むことができ、さらに一種のテレパシーを使用し、好きな夢を見る「ムーピー・ゲーム」を行えるなど、その能力からペットとして人気が高い。

未来編では、美しい女の姿に化けている、未来編の主人公マサトの恋人。
ムーピーが退廃文化の一因だと判断したコンピューターは全ムーピーの殺処分を命じるが、マサトは情が移ってしまった恋人のタマミを殺すことが出来ず、ヤマトを脱走。荒れ果てた地上を彷徨うが、二人は火の鳥に導かれ、ロビタと猿田博士に保護される。
その後、人類が核戦争で絶滅すると、タマミは猿田博士の生物系復活計画に協力するため、人間の姿を完全に消去して培養槽内部のスライム状の生き物になる。
寿命は長いが、約500年で死亡する。未来編では30億年後に火の鳥の体内、コスモゾーンで恋人としてマサトと再会し、二人は永遠に一体化する。

望郷編では人間とムーピーのハーフの少年コムが登場する。ハーフ達は視力と聴力が無く、代わりに触角が生え、これで感覚を認識している。

タマミは手塚治虫のマンガ『ブラックジャック』にも登場する。第22話で、恋人マサトと白血病の問題から結婚ができず、ブラックジャックの元を訪ねるキャラクター。

牧村(牧村五郎)

CV:神谷明
登場回:第2作 宇宙編・第8作 望郷編

宇宙編、望郷編でともに宇宙飛行士として登場。

宇宙飛行士となる事を宿命づけられ、外宇宙に地球由来の細菌を持ち込まないために、無菌室で育成された。その無菌室で若い女性にガラス窓越しに誘惑され、牧村はその若い女性に初恋をした。牧村は無菌室を脱走してその女性にアプローチをしたが、実は単にからかわれていただけだと判明する。さらに無菌室の外に出たので、厳しい菌の検査を受けている。それ故に女性にトラウマを持ち、女性に冷淡な接し方をする。

その初恋の女性のトラウマから、結婚した異星人の鳥女を殺害し食してしまう。その罪により、火の鳥により流刑星に収監され、繰り返し若返りと老化を流刑星で行い、永遠に生き続けなければならない罰を受けた。

望郷編では、地球に帰郷する途中の惑星エデンの女王ロミと出会い、雑誌版ではロミを殺害する。逆に単行本では協力をする。

茜丸

CV:古川登志夫
登場作:第5作 鳳凰編

鳳凰編の二人の主人公の一人(もう一人は我王=猿田)。

我王が怒りで創作するのに対し、茜丸はおしゃれで洗練された彫刻家。仏師としてはエリートで、洗練された作品の技巧の能力の持ち主。鳳凰編では我王と鬼瓦の彫刻対決で作品で敗れる。しかし我王の過去の悪行を指摘することで勝利する。勝利後の茜丸は堕落し、火の鳥に「もう人間に生まれ変わることはない」とされ、死亡する。

我王に彫刻で負けたが茜丸の技術は高く、少女ブチをモデルにした仏像の作成などその能力は卓越していた。鬼瓦対決時には彫刻でスランプに陥り、仏に祈り、もがき苦しみながら必死に彫刻をしていた。

チヒロ (二五四五号、六一二八九号)

CV:小林美佐
登場作:第6作 復活編・第8作 望郷編

『火の鳥』では復活編ではヒロイン、望郷編でも登場する。精密機械局製造のロボット。六一二八九号は復活編でチヒロが美少女に見える主人公レオナと出会い感情が芽生える。二五四五号は望郷編で地球に不法侵入する少年コムを助けた。

チヒロ型のロボットは一千三百六十九万二千八百四十一体、他の型も合わせると世界に十二億七千七百五十四万四千五百三十九体製造されている。

青居

CV:なし
登場作:第10作 生命編

22世紀のテレビ局プロデューサー。青居はクローン動物をハンティングする番組で稼いでいたが、視聴者が飽き始めたので「クローン人間をハンティングする番組をはじめよう」と考え実行する。ペルーで火の鳥と人間のハーフの鳥女からクローン技術を受け取るが、勝手に青居本人のクローンが大量生産され、ハンティング番組が始まり、青居の人間もクローンもテレビ番組で狩られる。北海道まで逃亡し、少女ジュネと隠れて暮らす。

青居の最後は雑誌と単行本で異なる。雑誌掲載版では青居がテレビ番組内で殺されるが、単行本版では青居がクローン人間培養工場を爆破する部分が追加されている。また雑誌版では主人公の青井は最後にはっきりとクローンと断定されるが、単行本ではクローンではなく本物の青井であったと示唆がされる(失った指の部分)。

八百比丘尼(左近介)

CV:久保田民絵
登場作:第11作 異形編・第12作 太陽編

異形編と太陽編に登場する異形のものを寺で治療する尼。その正体は左近介で、寺の時空間が無限ループする空間で常に左之介が自分(八百比丘尼)を殺害しにくるループが起きている。

もともと、左之介女は女性で、父の八儀家正から跡継ぎの男として虐待されて育てられた。しかも恋愛関係にあった家老の息子も、父により討ち死にに追いこまれる。

父を恨む左近介は父が致死性の鼻の病に罹患し、治療を八百比丘尼に依頼することを知る。その治療を行わせず、父をこのまま致死性の病で死亡させる目的で、八百比丘尼を殺害すべく山の寺に向かい、比丘尼を斬り殺す。城へ帰る途中、なぜか道が閉ざされ、左近介は比丘尼の寺に閉じ込められる。そこへ、比丘尼の治療を願う村人らが何も知らずに来訪。左近介はやむなく比丘尼に変装し、火の鳥の羽で人々を癒して日々を送り始めた。

やがて己が比丘尼を殺めた罪で過去の世界に流されたこと、そしていずれ来訪する「左近介=過去の自分」に殺される罰を永遠に繰り返すのだと悟る。左近介は最初は取り乱して嘆く。しかし、罪と罰を受け入れ、人のみならず異形の妖怪までもを癒す寛大さを持つようになり、名実ともに八百比丘尼として己の死をも受け入れて死に続ける。

太陽編で、霊界の戦いで傷ついた神々の治療を行っているのは、負った罪の清算で行なっている。

『火の鳥』の名シーン・名場面

「世界だ」(第1作 黎明編)

黎明編ではラスト、クマソ一族は滅ぼされ、主人公ナギの血縁のクマソ一族が火山噴火でできた深いクレーターの深部で生き延びる。
閉じた世界でわずかな日光と水、草を食し、近親相姦で命を繋ぎ生き延びていた。
崖は切り立っており、這い上がる者は転落死し、クレーターからの脱出は不可能とされてきた。

だが、タケルは外の世界への憧れから、崖を這い上がる。なんども危機的状況になるが、そこを火の鳥の励ましもあり、ついにタケルは外の世界へたどり着く。

広く、明るい世界にタケルは感動し、旅をし、妻を見つける。
黎明編はもっとも古い時代を描いているが、この場面がラストシーンになる。閉鎖された閉じた世界が終わり、外の世界が始まる名場面。

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