魔装学園H×H(ハイブリッド・ハート)のネタバレ解説まとめ

魔装学園H×Hとは、久慈マサムネによるライトノベル。2015年9月からアニメ化され、全12話が放送された。「魔導兵器」と呼ばれる未知の脅威から世界を守るため、それに対抗する「魔導装甲(ハート・ハイブリッド・ギア)」の操縦者を育成する戦略防衛学園に入学した主人公の飛弾傷無。魔導装甲の強化のためにヒロインたちへの性行為を強いられることに困惑しながらも、向き合っていく。

『魔装学園H×H』概要

『魔装学園H×H』(「H×H」は「ハイブリッド・ハート」と読む)は久慈マサムネの角川スニーカー文庫の学園バトルライトノベル作品。イラストはHisasiが、メカデザインは黒銀が担当している。『月刊コンプエース』ではあやかわりくが手掛ける漫画版が連載されている。2015年9月にアニメ化が決定し、2016年7月から9月にかけて監督・古川博之、製作・プロダクションアイムズにて全12話が放映された。

原作ライトノベルは2012年、第18回角川スニーカー大賞で優秀賞を受賞した久慈マサムネの「ソウルシンクロマシン」を原型として、同著者によって執筆されたものである。
異世界の侵略者が操る兵器に対抗できるパワードスーツの強化手段として性行為を設定に選んでおり、アダルト作品のように直接的な性的描写が多いのが特徴的。巻を重ねるごとにその表現がさらに過激で顕著なものとなってきているが、その性行為でパワーアップして敵と戦うというエロチックかつクレージーさが一種の魅力となっており、多くのファンを獲得している。

そのため、アニメ化の発表時には歓喜と感謝に沸く作者を祝う声が原作のファンから挙がっているが、原作を知らない人も含めて内容の過激なエロさに地上波での放送や声優を心配する声、果てにはテレビアニメとしてのアニメ化に反対する声が挙がっていた。よってAT-X以外の放送分には、接続改装シーンを中心として性的なシーンに光やロゴなどによるさまざまな修正が入っている。

『魔装学園H×H』のあらすじ・ストーリー

異世界との衝突面(エントランス)が出現し、そこから「魔導兵器」と呼ばれる侵略者たちの操る兵器が世界を襲い始めていた。そして、魔導兵器は従来の兵器では太刀打ちできない力を持っているため、人類は緊急避難用として世界各地に作られた海上巨大移動都市「メガフロート」に移住せざるを得なくなり、そこで海の上の生活を続けながらも反撃の時を伺っていた。
そんな中、主人公の飛弾傷無は姉の怜悧に呼び出され、日本フロートにある戦略防衛学園アタラクシアを訪れるが、道に迷ってしまう。そこで一人の少女・千鳥ヶ淵愛音に出会い、初対面でいきなり毒舌を浴びせられる。可憐な見た目と違って残念な女だと思う傷無。そこで突然、警報が鳴り響き出し、上空を見ると数機の魔導兵器が急襲をかけてきた。更に目の前で、突然服を脱ぎだす愛音。戸惑う傷無だったが、愛音は一瞬にして自らの愛機である魔導装甲「ゼロス」を呼び出し、魔導兵器たちへと向かっていった。
その姿を見て、傷無は自分が所持しているとされる魔導装甲「エロス」の存在を思い出す。数機の魔導兵器を相手にひとりで戦う愛音を見て、助けに行こうと思ったが、同時にエロスはこれといった戦闘能力がないことを思い出し、今自分が行ってもどうすることもできないと思い悩む。魔導兵器と戦いを繰り広げる中、魔導装甲の活動エネルギーであるハイブリッド・カウントがなくなり、魔導兵器の攻撃を受けて愛音が墜落してきた。それを見て、エロスを咄嗟に呼び出して愛音を受け止めた傷無に、怜悧が通信回線で「助けたければ、まず愛音の胸を揉め」と言ってきた。いきなりのセクハラ行為の命令に困惑する傷無に、このまま接続改装が出来なければ死ぬだけだと怜悧は素っ気ない。仕方なく、そして怜悧に言われた通り、無心で愛音の体を愛撫する傷無。すると、傷無の目がピンク色に輝き、愛音はハイブリッド・カウントを全回復させ、襲いかかってきた魔導兵器を一瞬にして撃破してのけた。

この一件から、傷無はエロスが魔導装甲の回復とパワーアップを同時に行う「接続改装(ハート・ハイブリッド)」と呼ばれる機能を持っていることを知るが、同時に接続改装を行ったことが全校生徒に知れ渡って、女子からは女の敵、男子からは嫉妬と羨望の眼差しで目の敵にされ続ける。そんな状況に困惑する暇も与えないかのように、愛音たちがいる特殊戦闘部隊「天地穹女神(アマテラス)」の隊長へと押し上げられてしまうのだった。
魔導兵器と戦う手段は魔導装甲しかなく、魔導装甲を強くするには接続改装するしかない。最初のうちは接続改装と、それによる周囲からの態度と反応に苦悩させられていた傷無だったが、姉を始めとした学園の仲間たちを守るためには自分も戦い、この接続改装と向き合っていくしかないと決意するのだった。

隊長に就任して早々、傷無は隊員のひとりであるユリシアに興味を持たれる。怜悧によって強引にペアを組まされ、とある小島への衝突面の調査任務へと向かうことになる。表向きは傷無に対して好意的に接しているユリシアだが、いきなり隊長に任命されただけの未熟な傷無に興味や好意など持っておらず、ただの足手まといとしか見ていなかった。そんな中、魔導兵器たちが現れ、襲いかかってくる。足手まといとなる傷無に別行動中の愛音たちを呼びに行かせた後、果敢に迎え撃つユリシアだが、ハイブリッド・カウントを使い過ぎてしまい、動けなくなってしまう。そこへ容赦なく魔導兵器が攻撃を仕掛けてくる。もはやこれまでかと思ったその時、なんと傷無が戻ってきて、身を挺してユリシアをかばった。
驚きを隠せず、どうして出会って間もない自分の為にそこまで、と叫ぶユリシアに、傷ついた傷無は力なく笑いながら「女の子が危ない目に遭ってるんだ…当たり前だろ?」と、言った。そして逃げろ、と言いながらも傷無が手を伸ばしたのはユリシアの胸で、その勢いで接続改装を行い、成功させてしまう。瞬時に力を取り戻したユリシアは、力尽きて気を失った傷無に「ありがとう、助けに来てくれて」と、心からの感謝を述べて、魔導兵器を駆逐した。
そんなユリシアとの一件の後、傷無は怜悧に呼び出され、過去に母の那由多が行っていた魔導装甲の実験の映像を見せられる。その映像で判明したことは、魔導装甲は所持者の生命力をハイブリッド・カウントへと換えて駆動していて、カウントがゼロになると所持者は死亡してしまい、それは傷無や愛音たちも例外ではないということだった。しかも母の那由多はそれを承知で実験を行っており、さらにこの事実は愛音たちはまだ知らないということに傷無は愕然となるが、それを知ってて皆を戦わせていたのか、と怜悧に食ってかかる。だが怜悧は、人類の脅威である魔導兵器に対抗できるものは魔導装甲しかなく、その所持者である傷無たちに戦いの命令を下すと共に傷無たちの命を預かる立場を強く実感していると強く言う。いつか自分が地獄に堕ちることになったとしても、自分はこの立場を捨てることはできないという覚悟を露わにする姉に、傷無はそれ以上は何も言うことができなかった。
そして、休む暇も与えないかのように、今度は異世界の艦隊が魔導兵器と共に現れ、アタラクシアへ攻撃を仕掛けてきた。さらに激しさを増す戦いの中、愛音は我武者羅に敵を倒し続けるが、ハイブリッド・カウントを使い過ぎた上に敵艦の攻撃を受けて墜落してしまうが、間一髪のところで傷無に助け出される。
目を覚ましてもなお、愛音は死に急ぐかのように戦場に戻ろうとする。強く引き止めながらも理由を問う傷無に、愛音は「私には魔導装甲しかないの!」と叫んだ。
愛音はかつて、自分の名前も含めた記憶がないまま日本に流れ着いてきたところへ、那由多に拾われた。それからは魔導装甲の適性が高いということで、那由多の実験に使われ続けており、友達を作ることはおろか、那由多の研究所の外に出て何かをすることは全くなかった。そんな自分の唯一の心の拠り所が魔導装甲で、自分が魔導装甲を使って強くなると那由多が喜んでくれた。そして、その那由多もどこかへ失踪した今、魔導装甲を使って戦うことだけが自分の全てだと信じて我武者羅に戦い続け、さらに魔導装甲を回復・強化できる傷無とも会い、彼のことも利用してまで強く在ろうとしたのだった。
愛音の過去を聞いた傷無は、自分も幼い頃に母の研究を手伝っていたと語り始める。そこへその頃の幼い愛音と出会い、彼女の方が魔導装甲の適性が高いという理由で、もう必要ない、という一言と共に母に捨てられてからは、愛音と同じように他人とまともに話ができず、右も左も分からないままの生活を強いられてきた。そんな中、自分を拾ってくれた怜悧に「人間の価値とは能力が高いか低いかではない。どう生きるかが問題なんだ」と教わり、自分はそれを信じて今日まで自分の在り方を探しながら生き続けてきた、と打ち明けた
そんな傷無の過去と思いを聞いた愛音は、最初はどう生きればいいのかわからない、と困惑していたが、「一緒に考えていこうぜ。どう生きていけばいいか」と傷無に優しく諭され、もう一度、自分を見つめ直すために傷無と接続改装を行う。そして、副作用で性欲が高まった状態で接続改装よりも強力な「絶頂改装」を行った愛音はゼロス共々覚醒し、「背徳武装」と呼ばれる強力な兵器を手に入れる。そして背徳武装で戦艦を撃墜し、アタラクシアの危地を救ったのだった。

こうして愛音の背徳武装で敵の襲撃をなんとか退けた傷無たちだが、その喜びを嚙みしめる暇もなく傷無たちの前に、「バトランティス帝国」という異世界の勢力に所属するという、謎の女性アルディアが現れる。
大量の魔導兵器、さらに異世界で作られた魔導装甲「ゼエル」をも操り攻撃を仕掛けてくるアルディア。そんな彼女の強大な力を前に成す術もなく、撤退を余儀なくさせられる傷無たち。だが、アマテラスの隊員のひとりである姫川はこの撤退に一人納得できず、制止してくる傷無たちに一方的に反発し、挙句に我武者羅にアルディアにひとりで挑みかかってしまう。逆に返り討ちにあい囚われの身となりかけるが、愛音たちと共に駆けつけてきた傷無に助け出される。
ようやく我に返った姫川は、自分の身勝手で仲間を危険な目に合わせたことにただただ涙する。何があったのかと尋ねる傷無に、姫川はかつて自分は避難民の護衛任務についていたが、魔導兵器の襲撃にあい、目の前で避難民たちを虐殺されてしまったことを語る。その時に何もできなかった弱い自分が許せなくて、学園の風紀委員としてアマテラスの一員として規則正しい生活を送り、日々の鍛錬を絶やさず、自分の使命の為に全てを尽くすと決めてきた。だが結局、自分は過去に縛られ、意地を張っていただけで、結果として傷無たちを危険にさらしただけだった、と、姫川はさらに涙した。それに対し傷無は、自分もエロスを持ちながらも戦闘能力が全くなく、接続改装以外しか力になれることがないことに悩んでいたと言い、そんな自分たちでも共に力を合わせればどんな相手でも戦うことができると強く訴えた。その傷無の熱い想いに触れた姫川は、今まで頭では理解していたが気持ち的に遠ざけてしまっていた接続改装を受け入れる。そして、絶頂改装に発展、成功したことで、ついに愛音と同じ背徳武装を手に入れ、アルディアへ再戦を挑み、背徳武装で魔導兵器たちを一掃することに成功する。しかしアルディアの力はそれでも強大で、さらに再び異世界の艦隊が現れて攻撃を仕掛けてくる。
再び苦戦を強いられる傷無たちの元へ、アメリカに所属するもう一つの特殊戦闘部隊「マスターズ」が現れる。そのリーダーであるスカーレットと、マスターズの隊員たちの救援もあり、傷無たちはアルディアを退けることに成功した。

そしてスカーレット率いるマスターズもアタラクシアに編入されたが、まるで恨みでもあるかのように、ユリシアとスカーレットは互いを目の敵にし合い、傷無を取り合う。さらには接続改装を行うときにまで競い合うようにして体を差し出してくる二人に、傷無はただただ困惑するばかりだった。
そんな二人の関係を疑問に思った傷無が訳を尋ねると、スカーレットはかつてユリシアもマスターズの隊員で自分とは戦友の関係にあったが、魔導兵器の中でもA級と高いレベルと強さを持つドラグリエとの戦いの時、ユリシアはスカーレットたちを先行して、ドラグリエと悪戦苦闘させた挙句に手柄を独り占めしたと語った。だからこそ、ユリシアは絶対に許さないと怒りを露わにするスカーレット。それを信じられない傷無は二人に話を聴こうとするが、スカーレット、そしてユリシアは彼の言葉を聞こうとせずに去っていってしまう。
そんなギクシャクした雰囲気の中、異世界からさらにバトランティス帝国の将軍を名乗る女性・グラベルが現れる。同じく異世界で作られた魔導装甲「ゾロス」を操り、アルディア以上に圧倒的な力で攻撃を仕掛けてくるグラベルに、ユリシア、愛音、姫川、スカーレットらマスターズも成す術もなく捩じ伏せられてしまい、そして傷無も深手を負う。そんな中、グラベルは愛音に向かって「お前は自分が何者か知っているか? 知りたければ私と共に来い」と、意味ありげな台詞と共に手を差し伸べる。意味が理解できない愛音。そこへ満身創痍の傷無が愛音を守るようにして向かってきたところで、グラベルはまた会おう、と言い残し、異世界へと飛び去っていった。
その後、グラベルに対抗するには、接続改装と絶頂改装よりもさらに上をゆく魔導装甲の強化「連結改装」、つまりエロスを持つ傷無に対し、改装を行う女性を二人以上にするという新たな試みをすることになった。しかし、その連結改装を行うには女性同士が強い信頼関係に結ばれていないと実行できなかった。そこが唯一のハードルだが、傷無はその連結改装を行う二人にユリシアとスカーレットを指名した。
お互いに過去の因縁を持っているため、連結改装を行うことに乗り気でないユリシアとスカーレット。そんな中、傷無は過去の二人が楽しそうにしている映像を見せた。ユリシアと一緒に戦い、訓練し、笑い、泣いた時のことを映像で見せられたスカーレットは、そんな彼女が自分たちを捨て駒にするはずがない、と戸惑いを隠せない。するとここで傷無がユリシアに「本当はドラグリエが出現するなんて知らなかったんだろ?」と、聞いた。
そこでユリシアは全てを語った。あの時は魔導兵器は市街地まで攻め込んできていて、スカーレットのアレスが持つミサイルでは住民を巻き込んでしまう恐れがあり、もしもそのようなことになったらスカーレットが立ち直れなくなる。だから市街地の敵は自分が引き受けようと思い、あえてスカーレットたちを遠ざけるために嘘をついた。しかし、そのスカーレットたちの所にドラグリエが現れてしまい、自分は市街地で多くの敵をひとりで倒すという、スカーレットの言うように結果的に手柄を独り占めにしてしまったのだった。
そんなユリシアの真実を聞いたスカーレットは、結果は望まぬ形になってしまったが、彼女が自分を騙したのではなく、自分のことを気遣ってくれたのだ、と気づく。そうしてユリシアとついに和解したスカーレットは、傷無と連結改装を行い、クロスとアレスの同時強化に成功。そこで魔導兵器を率いて再び現れたグラベルとアルディア。激しい戦いの中、ユリシアとスカーレットは見事な連携でアルディアを撃破し、傷無は連結改装によって複製・獲得したクロスとアレスの武装を使った奮戦の末にグラベルを退ける。こうして、占領地となっていた日本の沖縄を解放することに成功した。

その後、勝利と解放の記念として、アタラクシアでは学園祭が開かれた。学園全体が束の間の休息を楽しむ中、これまでに接続改装を行ってきたことで愛音は徐々に失われていた自身の過去を思い出していた。学園祭の中で、浮かない様子の愛音に気づき、傷無が声をかけると愛音はこう語った。自分が思い出した景色は、世界のどこにも存在するものではない。それはまるで、別世界のようだと。これまでどおりに接続改装を行うことでそのようなものを思い出すことに恐怖と不安を感じた愛音は、もう接続改装はしないと語る。それに対し傷無は「心配はいらない。何があっても愛音は愛音だ。お前がどんな過去を持っていようと俺たちは変わらない…お前は大切な仲間だ」と、言葉と手で優しく包み込む。そして、接続改装を行った直後、怜悧からバトランティスの艦隊が出現したと報せが入る。すぐさま出撃する傷無たち。その矢先、旗艦と思しき巨大な艦に、一人の白衣に身を纏った女性を目撃する。その女性の姿を見て、傷無と怜悧は言葉を失った。「久しぶりね。傷無」そう微笑みかけてくる女性は、那由多だった。
かつて、魔導装甲の研究のためだけに幼い自分を使えるだけ使い、用済みと見なしたらあっさりと切り捨てた母との再会に、困惑を隠せない傷無。さらに今、人類の敵である異世界側の勢力に身を置いているということが納得できず食ってかかるが、那由多は表情一つ変えずに、自分の研究の為にどうしてもバトランティス帝国に赴く必要があったから、とだけ答える。そんな相も変わらず自分の研究を優先する那由多に、通信回線越しに怜悧がさらに食ってかかるが、那由多はそれでも表情を変えずに「私に用があるなら東京に来なさい。きっと面白いものが見られるわ」と、言い残して、姿を消してしまう。
その後、アタラクシアに戻った傷無たちからは、怜悧から近日中に「東京奪還作戦」を行うと聞かされた。本土に上陸し、そこに拠点を構えているバトランティス帝国の本隊を制圧し、東京を解放する。まさに文字通りの本土決戦であり、バトランティス帝国とは今まで以上に激しい戦いを繰り広げることになるということに、傷無たちは緊張が高まるのを感じた。そして、傷無は、怜悧からその東京奪還作戦に備えて、新たなアマテラスメンバーを戦力として補充するという話を聞かされる。そのメンバーの候補は、傷無の世話役であるシルヴィアだった。驚きを隠せず、そして死ぬかもしれない戦いに幼いシルヴィアを巻き込むことに葛藤する傷無。その後、新たな魔導装甲の所持者となる話をシルヴィアにすることになったが、魔導装甲はコアを人間の体内に埋め込むことで初めて使えるようになるという事実から、傷無はシルヴィアをアマテラスのメンバーとして受け入れることができないでいた。「隊長はシルヴィアを認めてくれないんですか!?」と、涙を流して反発するシルヴィアはその場を走り去ってしまう。追いかけて彼女を抱き止めた傷無は、自分は愛音たちと同じようにシルヴィアを死なせたくないからアマテラスに受け入れることができない、と言った。
するとシルヴィアは、自分はロンドンで行方不明になった両親を探すためにアタラクシアにやってきて、アマテラスにやってきたのだと打ち明ける。そこで傷無たちと出会い、共に過ごしてから、隊長として思慕、敬愛する傷無の為に戦いたいというもうひとつの目的ができたと言い、「隊長と一緒に、隊長の為に戦わせてください。シルヴィアをアマテラスに入れてください!」と、必死に訴えた。その揺るがない決意と思いに心を打たれた傷無は、シルヴィアに新たな魔導装甲「タロス」のコアを埋め込み、彼女をアマテラスのメンバーとして受け入れたのだった。

奪還作戦当日、ついに傷無たちは東京の新宿区へと乗り込んだ。そこで待ち受けていた那由多から見せられたのは、魔力によってつくられた幻影としての新宿の街と、その中で過ごしている人間たちの姿で、その人間たちかの身体から放たれるエネルギーの光が上空の魔法陣のようなものに集められているという異様な光景だった。那由多はこれをバトランティス帝国にエネルギーを送るためのプラントであり、将来的には東京も含めた日本全域、そして全世界がプラントとなるという。そんな非道な計画に愕然となり、そして母への怒りに身を震わせ始める傷無は、人間の体内に埋め込まれて生命力を活動エネルギーとして稼働し、やがて人間を死に追いやる魔導装甲のコアの解除方法を教えろと叫ぶが、那由多は表情を変えずに「それは無理です」と一蹴し、自分はコアを用いて、普通の人間でも魔力の代替としてエネルギーを産み出すシステムとして魔導装甲を作っただけに過ぎないと語る。さらに愕然とさせられ、「ふざけるな!! 皆死ぬんだぞ!? 皆!!」と、悲痛な叫びをあげるが、それでも那由多は表情を変えることはなく、無慈悲にもこう言い放った。「人は皆、死ぬものでしょう?」まさに血も涙もない那由多のその態度に、傷無はついに激昂して挑みかかるが、その行く手をバトランティス帝国の親衛隊の一員である少女・ラグルスが、巨大な魔導装甲「デモン」と魔導兵器たちと共に遮る。そこへ愛音、ユリシア、姫川が駆けつけて共に戦うが、ラグルスの操るデモンのパワーの前に手も足も出せなくなってしまう。「その女は連れて帰るとして、他の奴はどうでもいいらしいから消してあげるわ」と勝利を確信して傷無と愛音に躙り寄るラグルス。その時、どこからともなく放たれるビームが行く手を遮った。ラグルスが驚いて振り返ると、デモンと同じように巨大な魔導装甲「タロス」に乗ったシルヴィアが駆けつけてきた。「皆はシルヴィアが守ります! これ以上指一本触れさせません!!」と勇ましく叫びながらラグルスに挑むシルヴィア。せっかくの勝利の余韻に浸っていた所に水を差されたラグルスは逆上してシルヴィアに襲いかかり、壮絶な戦いを繰り広げる。
そして、戦いの末に軍配はシルヴィアへと上がり、ラグルスは悪あがきにデモンの自爆装置を起動させた。関東一帯を消滅させるほどの凄まじいエネルギーを発生させるその自爆に対し、シルヴィアはタロスの背徳武装であるブラックホールの発生機構「究極重力圧縮(ティターニア)」で対抗し、これを見事相殺したのだった。

こうしてラグルスを撃破し、東京の奥へと進む傷無たち。そこへついに、バトランティス帝国の親衛隊隊長であるゼルシオーネが現れる。精神支配という強力な技を持つ魔導装甲「テロス」の使い手であるゼルシオーネの凶悪さと強大さを前に、ユリシア、姫川、シルヴィアは次々と倒されてしまい、テロスが見せる幻影に苛まされ続ける。残された傷無と姫川に降伏を勧告するゼルシオーネだが、二人は当然のようにこれを拒否し、ゼルシオーネに挑みかかる。
最初のうちは、ゼルシオーネは傷無と姫川を同時に相手取り、逆に追い込むほどの強さを見せつけたが、何度倒されても仲間を守るために諦めずに立ち上がってくる傷無の不屈の闘志に逆襲を受け、ついにテロスの精神支配を破られ、ユリシア、姫川、シルヴィアを取り戻されてしまう。形勢逆転されたゼルシオーネは、最後の手として隙をついて精神支配した愛音を操って傷無を殺させようとするが、自分を何度も守ろうとし、手を差し伸べてきてくれたことから傷無への想いに目覚めていた愛音は、涙ながらにこう叫ぶ。「アナタを感じたいの! この手で、体で、全てで!! 抱きしめたい! 一つになりたい! だから、力が欲しい!!」その叫びと共にゼルシオーネの精神支配を振り切った愛音は、《禁断武装》と呼ばれる魔導装甲の最終兵器「術式解体(コード・ブレイカー)」を発動し、ゼルシオーネをついに打ち倒した。同時に衝突面も消滅したことで、東京は解放され、作戦は無事成功となった。
荒廃した東京の街中で、二人で夕陽を見上げる傷無と愛音。「綺麗だな」と呟く傷無に、「本当に」と返す愛音。そんな二人を、遠い場所から見つめている、ひとりのどこかの国の王女のようないでたちをした謎の少女が見つめていた。その少女、バトランティス帝国の皇帝グレイス・シンクラヴィアは、愛音を見て愛おしそうに「フフッ、姉さま」と呟いた。

『魔装学園H×H』の主な登場人物・キャラクター

飛弾 傷無(ひだ きずな)

CV:赤羽根健治

本作の主人公。アタラクシア高等部戦技科2年甲組の転入生で、魔導装甲(ハート・ハイブリッド・ギア)「エロス」の所持者。
魔導装甲の開発者である飛騨那由多の実子で、アタラクシアの総司令官である姉・怜悧を持つ。

特殊部隊「天地穹女神(アマテラス)」の新米隊長として急遽任命されることになり、さらに「接続改装(ハート・ハイブリッド)」という能力が能力であることから、男子生徒からは嫉妬と羨望、怒りを買い、女子生徒からは女の敵と罵られ、その周囲の反応と魔導装甲との戦いの板挟みに苦しむ日々を送っている。
しかし本来の性格は真面目でポジティブであり、板挟みの日々を送りながらも愛音や姫川のように手のかかる相手でも他人を思いやる優しさを忘れず、「アマテラスのメンバー、そしてアタラクシアを守り、世界を取り戻す」という強い意志の元、任務を行っていく。

千鳥ヶ淵 愛音(ちどりがふち あいね)

CV:影山灯

本作のヒロインのひとり。天地穹女神の一員で、魔導装甲「ゼロス」の所持者。
銀髪の神秘的な美少女で、巨乳の持ち主。
頑固で意地っ張りな性格で、他人との会話では基本的に毒舌で相手をこき下ろすことから、友達付き合いはあまり良い方ではない。しかし実は超がつくほどの恥ずかしがり屋で、毒舌も実は照れ隠しの場合が多い。

実は記憶喪失で7年前から先のことは全く覚えていなく、気を失って行き倒れになっていたところを那由多に拾われ、魔導装甲の実験の日々を送っていた。那由多がいなくなってからは、魔導装甲を纏って戦うことは自分の存在意義だと悟って魔導兵器との戦いを望んでいるが、魔導装甲の性能の違いから姫川やユリシアに後れを取っていることにコンプレックスを感じている。
そんな中、ゼロスの中に眠る「背徳武装」の存在に気付き、それを手に入れればより強い力が手に入ると信じ、傷無に接続改装を何度か迫っていたしかし、その性格と無意識な抵抗から傷無と反発しあっていたが、アタラクシアの敵の総攻撃を機に傷無と互いの過去と想いを確かめ合ったことで和解。接続改装を行うことで背徳武装を獲得して敵の大軍を一掃し、さらに傷無との絆も深めることができた。

また、アニメでは語られることはなかったが、原作のライトノベルにおいて愛音の過去が明らかになっている。
異世界に存在するバトランティス帝国の第一皇女で、本名はアイネス・シンクラヴィア。先帝である父の死の後に弱冠10歳で新帝として即位するが、7年前に地球人との戦いの最中に記憶を失い、異世界の侵略を受ける前の東京・千鳥ヶ淵に流れ着き、そこを那由多に拾われたのであった。

ユリシア・ファランドール

CV:赤崎千夏

本作のヒロインのひとり。天地穹女神の一員で、魔導装甲「クロス」の所持者。
柔らかいウェーブのかかった金髪ロング、碧眼、アメリカのグラビアモデルのようなスタイルが特徴的でセクシーさでは一番。
さらに頭脳やコミュニケーションにも優れていて、考え方も大人びており、本音と建前を使い分ける、要領の良さも持っている。かつてアメリカのトップチーム「MASTERS」の元エースで、世界最強と謳われるほどの実力の持ち主。

当初は傷無のことを「戦いもできない軟弱な男」と過小評価し、表向きでは好意的に接しながらも邪魔者扱いしていた。しかし、出会って間もない自分を必死に助けてくれて、さらに接続改装を行ったことにより、傷無に本格的な好意を抱くようになる。
その後、過激なアプローチを傷無にぶつけてくるようになり、逆に彼から困惑させられている。

姫川 ハユル(ひめかわ はゆる)

CV:長妻樹里

本作のヒロインのひとり。天地穹女神の一員で、魔導装甲「ネロス」の所持者。
ストレートの黒髪ロングで、愛音やユリシアと比較して胸が小さいことを気にしている一方、お尻が大きいのが悩みの種となっている。
清廉潔白で素直かつ実直で、人の言うことを疑わず、とても真っ直ぐな人物。そして学園では風紀委員を務めるなどお堅い性格だが、短気で怒りっぽく融通がきかないところもある。

ネロスの強化のため傷無と接続改装をしないといけない事は頭ではわかっていても気持ち的に抵抗があり、彼を遠ざけてしまう。
そして過去、敵の魔導兵器により避難誘導していた一般市民達を助けられなかったというトラウマを抱えていて、その仇とも言うべき魔導兵器が現れたことで感情が爆発。冷静になれと諭そうとしてくる傷無と怜悧たちに逆に反発、失望した末に独断出撃をし、無策で魔導兵器に戦いを挑み、囚われてしまう。
その後、傷無たちに助け出されるが、自分の醜態と蒙昧さに気づいて自己嫌悪に陥るが、傷無の説得を受けて自分の限界と意固地さに気づいて改心し、接続改装を受け入れる。それが切っ掛けとなり、傷無との距離は縮まった。

シルヴィア・シルクカット

CV:木野日菜

金髪で元貴族のイギリス人で、小柄で控えめな体格の美少女。
健気で無垢な性格で、傷無を「隊長」と呼んで慕っており、さらに怜悧の命令で彼の身の回りの世話を焼く。しかし一方で、彼とアマテラスのメンバーの仲についての状況を調査する任務を負っている。

飛弾 怜悧(ひだ れいり)

CV:衣川里佳

傷無の実姉で、アタラクシアの総司令にして中等部及び高等部の校長。
弟の傷無を呼び寄せ、戦力として扱うことを彼に言い渡す。頭脳明晰・容姿端麗・運動神経抜群と完璧な人物。

他人にも厳しいが自分にも厳しく、他人に厳しくするのも戦いで命を落とさないようにという不器用な気遣いから来ている。そして、世界を救うためとは言え、弟に「女子生徒との性行為を行って接続改装をしろ」という卑猥な命令を下していることには少々気が引けている。
母の那由多を、自分の研究にしか頭になく、そのために他人の命を犠牲にすることも厭わないことから、「悪魔」と罵倒するほど激しく憎んでいる。

スカーレット・フェアチャイルド

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