ヒックとドラゴン(How to Train Your Dragon)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

「ヒックとドラゴン(How to Train Your Dragon)」とは、イギリスの児童文学作家クレシッダ・コーウェルの原作をCGアニメ化した作品。知恵はあるが腕力がいまいちのバイキング一族の少年ヒックが、彼がツゥースと名付けたドラゴンと共に冒険を繰り広げるファンタジー・アドベンチャー。世界興行で5億ドル近い大ヒットを放ち、14年に続編「ヒックとドラゴン2」が作られた。

『ヒックとドラゴン』の概要

スティーヴン・スピルバーグ監督や元ディズニーのジェフリー・カッツェンバーグ等によって設立された映画会社ドリームワークスのアニメ部門、ドリームワークス・アニメーション制作の3Dアニメーション。
監督は、「リロ・アンド・スティッチ」のディーン・デュボアとクリス・サンダース。二人は、日本のジブリ作品に大きな影響を受けているらしく、「ヒックとドラゴン」にもジブリの宮崎駿作品へのオマージユを感じさせる場面が随所に見受けられる。
また、3D作品として作られているが、飛び出す3D映像を避け、画面に引き込まれるような3Dを心掛けたそうで、自然光を意識した映像を目指したそうだ。
登場キャラの声を担当したのは、「魔法使いの弟子」「トロピック・サンダー/史上最低の作戦」のジェイ・バルチェル、「キング・オブ・エジプト」「オペラ座の怪人」のジェラルド・バトラー、ドラマ「アグリー・ベティ」でゴールデングローブ賞&エミー賞の主演女優賞を受賞したアメリカ・フェレーラ、「スーパーバッド 童貞ウォーズ」「ウルフ・オブ・ウォールストリート」のジョナ・ヒル他、個性派&実力派が揃っている。

『ヒックとドラゴン』のあらすじ・ストーリー

はるか北の海にぽつんと浮かんでいるバーク島。
島で暮らすバイキング一族は、たびたび襲ってくるドラゴンと戦い続けていた。
鍛冶屋のゲップのもとで見習い修業中の少年ヒックも、ドラゴンとの戦いに加わりたいと思っていたが、父親でバイキングの族長でもあるストイックから、お前は、ひ弱で力がないから無理だと言われ、戦いではいつも邪魔者扱いされていた。
ある夜、ドラゴンたちが島に襲来したときにヒックは、体力の劣る自分にだってドラゴン退治が出来るのを大人たちに見せたいと、戦いに紛れて自分で作ったドラゴン捕獲のための投擲機(とうてきき)を外に持ち出した。
そして、夜空に、まだ誰もその姿を見たことがないというドラゴン、ナイト・フューリーらしきドラゴンを目にしたとき、投擲機で見事に撃ち落とし、ドラゴンは岬の向こうに落ちて行った。
だが、それを見た者がおらず、父親のストイックはもちろん誰からも信じてもらえなかった。

翌日、ヒックは撃ち落としたドラゴンを確かめるため、村はずれの岬の周囲を探索することにした。
そして、小さな湖のそばで、投擲機から発射された縄に巻かれ傷ついて横たわっているドラゴンのナイト・フューリーを見つけた。
ヒックは、ナイフを取り出し、「僕はバイキングだ!父さんに見せるんだ!」と自分に言い聞かせながら、ドラゴンを殺そうとした。
だが、なぜか殺すことができなかった。巻きついた縄をナイフで切り落とすと、ドラゴンはヒックは伸し掛かってきた。
殺されるんではと恐怖におびえるヒックだったが、ドラゴンは彼の顔を見つめると咆哮をあげ、そのまま飛び去ろうとした。
しかし、空から落ちたときに尻尾の先の片方の翼を失っていたドラゴンは飛ぶことができなかった。
うまく飛べないドラゴンは、湖の魚を捕まえることもできなかった。それを見て可哀想に思ったヒックは、食料として魚を持参した。
最初は互いに警戒していたが、次第に打ち解け、ヒックと、彼がトゥースと名付けたドラゴンとの距離が次第に縮まっていった。
ヒックは、トゥースが飛べないのは尻尾の翼を失ったからだと考え、トゥースのために手作りの片翼を作ることにした。
たくさんの魚をトゥースに食べさせて注意を逸らしながらヒックが片翼を取り付けた途端、トゥースは彼を尻尾に乗せたまま空に飛んだ。
初めは、少ししか飛ぶことが出来なかったが、ヒックは片翼の改良を重ね、トゥースの背中に鞍を取り付け、練習を重ねた。
やがて、一緒に自由自在に大空を飛べるようになった。

島では、ドラゴンの棲み家を見つけるためストイック率いるバイキング達が船に乗って出かけており、残された子供たちはゲップを教官に、ドラゴン退治の訓練に励んでいた。
ヒックも訓練に参加していたが、最初はへっぴり腰で、彼の憧れの少女、気丈なアスティや他の仲間にバカにされてばかり。
でも、トゥースと親しくなっていったヒックは、ドラゴンの習性や弱点をいろいろと知り、おかげで訓練では徐々に成績が上がり、仲間から一目置かれるようになった。
ただ、アスティだけは、急に成績の上がったヒックに不審の目を向けていた。

しばらくしてストイック達が、ドラゴンの棲み家を見つけられずに戻ってきた。
気落ちしていたストイックだったが、ゲップからヒックがドラゴン退治の訓練で目覚ましい成績を上げたと聞き、これで息子も一人前のバイキングになれると大喜びした。
ヒックは成績トップとなり、バイキング達を前に最終試験として実際にドラゴンを殺すところを見せなければならくなった。
だが、トゥースと友達になっていたヒックには彼らを殺すことなんてとても出来なかった。いっそトゥースと一緒に逃げ出そうと家出することにした。
身支度をしてトゥースのもとに向かうと、突然アスティが現れた。ヒックの後を付けてきていたのだ。
なんとか誤魔化そうとするヒックだったが、急に成績が上がった秘密を教えなさいと強引に迫るアスティ。
そのときトゥースが、友達をいじめていると思ったのか険しい表情をして二人に近寄ってきた。
驚いて逃げ出すアスティだが、ツゥースに乗ったヒックが追いかけてきて彼女を捕まえた。
そして、怖がらないで乗ってみてとヒックに言われ、仕方なくアスティは恐る恐るトゥースの背中に乗った。
空に舞い上がると最初はキャーッと悲鳴を上げたアスティだったが、やがて怖さが消え、彼女もドラゴンは自分たちの敵ではないと思い始めた。
そのとき、突然、大勢の獲物を抱えたドラゴンたちがヒックとアスティの周りに現れた。
急に逃げ出すことも出来ず、ドラゴンたちの向かう方向に一緒に飛び続けると、ストイック達が必死に探していたドラゴンの棲み家にたどり着いた。
棲み家には、巨大なドラゴンがいた。
その巨大ドラゴンに食料を差し出すため、ドラゴン達はバイキング一族の島を襲っていたのだ。
巨大ドラゴンは、持参した食料が少なすぎる小さなドラゴンがいたら、そのドラゴンを丸ごと食ってしまう残忍さを持っていた。
真実を知ったアスティは島の人たちに話すと言ったが、ヒックはトゥースが殺されるかもしれないから今は秘密にしてくれと彼女に頼んだ。

ヒックは、最後の試験に臨むことにした。その場でバイキング達に、ドラゴンを殺す必要はなく、彼らを誤解していたことを知ってもらおうと考えたのだ。
檻から出てきたドラゴンを前にして、ヒックが武器を捨て、手を差し伸べようとする姿にバイキング達は驚いた。
それを見たストイックは、ヒックの行為に怒鳴り声をあげた。その拍子に、ドラゴンが凶暴さに目覚めたかのようにヒックに襲いかかってきた。
あわや食い殺されようとした時、ヒックの危機を悟ったのか、トゥースが彼を救おうと飛んできた。
だが、ドラゴンを追い払いヒックを救ったトゥースだったが、まだドラゴンが敵だと思い込んでいるストイックに捕獲されてしまう。
ヒックは、誤解を解こうとストイックに説明するが全く聞き入れられず、ストイックは、「お前はドラゴンに寝返った!」とヒックを裏切り者扱いした。そしてトゥースを鎖でつないでドラゴンの棲家に船を引き連れ向かった。

残されたヒックは、アスティと共にトゥースを助けることに決めた。
アスティが訓練仲間達に事情を話すと、彼らも喜んで協力を申し出た。

ドラゴンの棲み家に辿り着いたストイック達は、岩を崩し大きな洞穴の中に押し入った。
すると、ヒックが話していた獰猛な巨大ドラゴンが現れた。暴れ狂う巨大ドラゴンに、バイキング達は全く太刀打ちできず、次々と傷つき、逃げまどうばかり。
その時、訓練場のドラゴンに乗ったヒックやアスティ達が空を飛んでやってきた。トゥースの救出とバイキングの加勢にやって来たのだ。
それを見て、初めて自分が間違っていたことに気付くストイック。
アスティ達がドラゴンと共に勇敢に巨大ドラゴンと戦っている最中、ヒックはトゥースの鎖を解きに船に向かった。
船は巨大ドラゴンが吐いた炎で火の海と化し海に沈んでいったが、ヒックは水中に潜り必死に鎖を解こうとした。
だが、なかなか解けず息が切れて気を失いかけた時、ストイックがヒックを海から引っ張り上げ、自分が飛び込んで鎖を解き放った。

ヒックは自由になったトゥースにまたがり巨大ドラゴンに立ち向かっていった。
トゥースが空高く飛び上がると、巨大ドラゴンも追いかけるように飛び上がった。
激しい空中戦が続いたが、最後に巨大ドラゴンが大きく口を開いたとき、口中にトゥースが強烈な炎を噴き放った。
トゥースと仲良くなるなかで、ヒックはドラゴンの口の中が炎に弱いことを知っていたのだ。
案の定、弱体化した巨大ドラゴンは地上に真っ逆さまに激突し、辺りは猛烈な炎に包まれた。
倒した巨大ドラゴンから飛び去ろうとしたとき、鞍が外れヒックは炎の中に落ちてしまった。
それに気づいたトゥースはヒックを助けに炎の中に飛び込んだ。
やがて炎が沈静化したが、ヒックの姿はどこにもなかった。
死んでしまったのかと悲しみに暮れるストイックだったが、横たわっていたトゥースが折り畳んでいた翼を広げると、その中に傷つき気を失ったヒックがいた。
トゥースがヒックを守ったのだ。

そして幾日か経ち、ヒックはバーク島の自分の家で目を覚ました。
起き上がろうとして、左足の先が義足になっているのを知った。巨大ドラゴンとの戦いには勝ったが無傷では済まなかったのだ。
ヒックが外に出ると、バイキング達がドラゴン達と共に暮らしている姿を目に入った。
ヒック達の活躍によって、バーク島にやっと穏やかな日々が訪れたのだ。

『ヒックとドラゴン』の主な登場人物・キャラクター

ヒック(声:ジェイ・バルチェル、日本語吹替:田谷隼)

バイキングの族長の一人息子で鍛冶屋で修行中の身。父に認められる一人前のバイキングなりたいと思っているが、知恵はあるのに腕力に乏しく、意欲が空回りして、いつも父に迷惑をかけている。ドラゴンのトゥ-スと出会ったことから、それまで敵だと思っていたドラゴンに対する考えが変わり、心を通わせ親しくなっていく。気の強いバイキングの少女アスティに恋心を抱いているが、なかなか相手にしてもらえないでいる。

ストイック(声:ジェラルド・バトラー、日本語吹替:田中正彦)

バーク島のバイキング一族の族長で、少々頑固なヒックの父。大柄で見るからにタフで頼れる存在。息子を深く愛してはいるが、ひ弱でバイキングらしさの欠片もないのが悩みの種。だが、ドラゴン退治の訓練でヒックが優秀な成績を収めると、それでこそ我が息子と大喜び。しかし、ヒックがドラゴンと仲良くなったと知ると期待を裏切られたと思い彼を突き放してしまう。どうも思い込みが激しく頭が固いようだ。

アスティ(声:アメリカ・フェレーラ、日本語吹替:寿美菜子)

バイキング一族の勝ち気な少女。ドラゴン退治の訓練でも優秀な成績だったが、急にヒックが彼女を上回る成績を収めたことで彼をライバル視するようになる。ヒックの成績アップの秘密を知ろうと後を付けたことから、彼の秘密を知って仰天する。でも、ヒックと共にトゥースに乗って空を飛んだことで彼女の気持ちも変わり、ヒックに対しても好意を抱くようになっていく。

ゲップ(声:クレイグ・ファーガソン、日本語吹替:岩崎ひろし)

バーク島の鍛冶屋の主人でヒックの師匠。ストイックとは昔からの友人で共にドラゴンと戦った仲。戦いで左腕と右足を失い義肢になっているが、戦士としてはまだまだ現役の陽気なオッサン。ストイック達がドラゴンの棲み家探しにバーク島を留守にしている間は、アスティやヒック達のドラゴン退治訓練の教官をつとめ、捕えた小さなドラゴン相手の厳しい実践レッスンを行っている。

フィッシュ(声:クリストファー・ミンツ=プラッセ、日本語吹替:宮里駿)

まん丸顔で太ったバイキングの少年。温厚で動きは少々トロいが、ドラゴンマニュアルを読み込んでおり、ドラゴンに対する知識は豊富。でも、それを訓練ではなかなか生かすことが出来なかったが、巨大ドラゴンとの戦いでは彼の知識が大いに役立つ。

スノット(声:ジョナ・ヒル、日本語吹替:浅井孝行)

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