テイルズ オブ リバース(Tales of Rebirth、TOR)のネタバレ解説まとめ

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『テイルズ オブ リバース』はバンダイナムコゲームス発売のRPGであり、『テイルズ オブ シリーズ』の第6作目のマザーシップタイトル。ジャンル名は「君が生まれ変わるRPG」。
主人公のヴェイグ・リュングベルが、さらわれた幼馴染の少女クレア・ベネットを救うべく、仲間たちと共に旅に出る中、「ヒューマ」と「ガジュマ」二つの種族の共存と対立の問題に直面していく物語である。

『テイルズ オブ リバース』概要

2004年12月16日にPS2用RPGとして発売され、後の2008年3月19日にPSPに移植された。キャラクターデザインはいのまたむつみ、主題歌はEvery Little Thingが担当。

主なシナリオのテーマは異なる人種や民族間における共存と対立で、作中には「ヒューマ」と「ガジュマ」という対照的な特徴を持つ架空の人種が登場する。タイトルの「rebirth(再誕)」は「人間関係や種族関係の再構築」という意味合いで名付けられ、「民族問題」というシナリオのテーマ発案は、メインシナリオ担当の平松正樹が民族間での対立が残るユーゴスラビアを旅行した経験に基づいたものとなっている。

これまでのテイルズ オブ シリーズは熱血の主人公やパーティメンバーのひとりとして戦うヒロインが多かったが、今作では珍しく、主人公のヴェイグが無口で暗い性格であったり、ヒロインのクレアが戦闘に参加しないNPC(ノンプレイヤーキャラクター)となっている。

『テイルズ オブ リバース』のストーリー

第一部

時は遡ること1年前。世界全土を国土とする統一国家「カレギア王国」の国王ラドラス・リンドブロムは、原因不明の病で病床に臥し、明日をも知れぬ命となっていた。そんなある月夜の晩、何かに取り憑かれたように自らの持つ特殊な力「フォルス」を解放。その異変に気付いたカレギア王国軍の特殊部隊「王の盾」の隊長である「ガジュマ」の獣人ユージーン・ガラルドと、正規軍の将軍ミルハウスト・セルカークが止めに駆けつけるが、ラドラスは自らのフォルスを完全に解放してしまい、死亡する。直後、世界中に光が降り注ぎ、フォルスが覚醒する人間が続出し、「バイラス」と呼ばれる魔物たちが大量発生。さらにフォルスの覚醒は暴走を引き起こし、各地で被害が連鎖的に発生し、カレギア王国は一晩のうちに大混乱に陥った。こうした未曾有の大惨事は、後に「ラドラスの落日」として語り継がれることになった。
同じ頃、辺境の村・スールズに暮らすヴェイグ・リュングベルの肉体に、氷を自在に操る「氷のフォルス」が覚醒。湧き上がってくるその力を必死に抑えつけようとするヴェイグだが、その場に居合わせ、心配して彼に駆け寄ろうとした幼馴染のクレア・ベネットに向かって、氷のフォルスは暴発してしまう。絶叫するヴェイグの目の前で、クレアは氷塊の中に生きたまま閉じ込められてしまった。

そして1年後。氷漬けのクレアの前で、自分の力の暴走を止められなかったことに深い悲しみに暮れるヴェイグの前に、ユージーン、そしてマオと呼ばれるフォルス能力者の少年が現れる。自分を迎えに来た、という二人を前にしても、ヴェイグは「話すことなど何もない。帰れ」と、素っ気なく突き放す。するとマオは、炎を自在に操る「炎のフォルス」の力で簡単に氷を溶かし、クレアを救出した。その様子を見て、自分と同じ力を持っていることに驚いたヴェイグは、助けてくれたお礼としてクレアによって家へ招かれ、接待を受けることになったユージーンとマオから話を聞く。ユージーンはかつてはフォルス能力者で構成されたカレギア王国軍の特殊部隊「王の盾」の隊長だったが、親友であった王国の医師を殺害した容疑で追放された。そしてマオは記憶喪失の少年で、フォルス能力を買われたことで「王の盾」に入隊したが、敬愛するユージーンにくっついて「王の盾」を脱走。それから二人は、ラドラスの落日における、ラドラスの死の間際の不可解な行動の謎を探るべく、自分たちに協力してくれるフォルス能力者を探す旅に出て、そこでヴェイグの噂を聞いてこのスールズまでやってきたという。二人からヴェイグは仲間になってくれと誘われるが、ヴェイグはクレアのそばにいたいとこれを固辞する。
するとそこへ、カレギア軍を引き連れた「王の盾」の4人の幹部クラスで、強大なフォルス能力者「四星」のサレとトーマが現れる。「この村で美しい娘をよこせ」と村人をフォルスの力を使って脅迫するサレとトーマに、村人を守るために立ち向かうヴェイグだが、その圧倒的な力の前に成す術もなく捩じ伏せられてしまう。そして、村人を守るために自らが美しい娘と名乗り出たクレアを連れ去り、サレとトーマは引き揚げていくのだった。その後、ヴェイグはクレアを取り戻すため、マオとユージーンはこのスールズだけでなく、王国各地で勃発している、ヒューマの女性を対象とした誘拐の真意も含めた今の王国の動きを探るため、共闘関係を結んで旅立つことになる。

ユージーンに殺されたとされる王国の医師の一人娘で、彼を仇として付け狙うと共に、彼と同じガジュマを憎む少女アニー・バース。工業で盛んな都市・ペトナジャンカの製鉄工場で働く中、姉をサレとトーマにさらわれた青年ティトレイ・クロウ。そしてサレとトーマにさらわれたヒューマの娘を装い、ヴェイグたちへの刺客として送り込まれた「王の盾」所属の能力者ヒルダ・ランブリング。旅の道中、この3人をもそれぞれの経緯で仲間に迎え入れ、共に旅をすることになったヴェイグは、クレアを追って旅に次ぐ旅を続ける。そして、サレとトーマと同じく「王の盾」を束ねる「四星」のワルトゥとミリッツァをはじめとする敵の妨害や、各地で目にしてきた人々の対立などの問題に巻き込まれながらも、ついにカレギア王国の首都・バルカに辿り着く。
そこで、クレアたちヒューマの女性の誘拐を指示したカレギア王国の女王で、ラドラスの一人娘であるアガーテ・リンドブロムと対面する。ヴェイグたちはアガーテにクレアたちの誘拐の真意を問うが、アガーテは聖獣王ゲオルギアスの存在を語る。世界を形作る六つの元素を司る「聖獣」たちを統べ、万物の頂点にも立つ最強の存在であるゲオルギアスは、遥か昔からこの世界を守護し続けてきたが、ある時、世界を巡って聖獣たちと諍いを起こすことになり、その戦いに敗れて封印されたという。ラドラスの落日以降、世界各地の能力者の出現とバイラスの大量発生でカレギアは日に日に混乱の一途を辿り、アガーテはゲオルギアスの力を借りることでこの混乱を収めようと決意した。その復活の儀式を執り行う為にゲオルギアスの憑代としてヒューマの女性が必要だという。
そしてアガーテは、憑代として集めてきたヒューマの女性たちの中でもクレアは「わたくしの希望」というほどの特別な存在であるとも言った。その真意が理解できないヴェイグはさらに問い詰めようとするが、ここでアガーテの様子が一変。「クレア……あれは、わたくしのもの……」と、まるでクレアに何か思い入れをしているかのようにぼんやりとつぶやき、両手をかざす。すると、彼女の体から放たれたフォルスと思しき謎の力が、ヴェイグたちをねじ伏せる。さらにアガーテの側近であるジルバ・マディガンが、兵士にヴェイグたちをを捕らえろと命令。訳がわからないままヴェイグたちは応戦するが、多勢に無勢。次々とジルバがけしかけてくる兵士たちを防ぎ切れず、ついに捕らえられてしまうのだった。

その後、能力者専用の収容所に入れられてしまうヴェイグたちだが、道中で小競り合いを起こした、「王の盾」に所属する自称精鋭で「漆黒の翼」と名乗る3人組に助け出される。そして、バルカの一角にある地下通路からカレギア城に潜入し、そこで待ち受けていたサレとトーマら大勢の敵を蹴散らして、アガーテが儀式を執り行おうとしているカレギア城の屋上に辿り着く。しかし、時すでに遅し儀式は執り行われてしまい、アガーテはゲオルギアスの力を手に入れてしまい、その場に憑代として連れてきたクレアを呼び寄せる。それを見たヴェイグは、ジルバが再びけしかけてくる兵士たちを蹴散らし、単身アガーテに挑みかかる。だが、アガーテの力を前に全く歯が立たず、逆にはねのけられてしまう。そして、アガーテは白く輝く光の球を作り出してクレアを送り込み、自分もその中へ入り込んだ瞬間、異変が発生。光の球から渦巻いてきた漆黒のオーラの中から、二股に分かれた巨躯と多数の翼を持つ、竜の姿をした神々しくも凶々しい存在。聖獣王ゲオルギアスが、ついに姿を現した。
「我が使命は地上に安寧をもたらすこと。すなわちヒューマの殲滅」クレアとアガーテを取り込んだゲオルギアスはそう言い放ち、圧倒的な力で攻撃を仕掛けてくる。しかし、クレアを救うことを諦められないヴェイグは、仲間たちと共に決死の抗戦を試みる。そして、大激闘の末にヴェイグたちはゲオルギアスを打ち破り、クレアを助け出すことに成功するが、同時にゲオルギアスは消滅する最中、体から無数の光の塊のようなものを放つ。そして、その光の塊は、カレギア王国の各地へと飛び散り、降り注いだのだった。

第二部

ゲオルギアス復活の儀式からクレアを救出し、スールズへ無事に帰り着いたヴェイグ。しかし当のクレアはどこか辿々しい様子で、ヴェイグのことを認識できていないようだった。訝しげに思いながらも彼女を介抱するヴェイグだが、顔馴染みの武器屋の主人であるスティーブが慌てた様子で駆け込んできて、集会所へ来てくれと頼む。そして集会所では、同じく近所の顔馴染みのおばさんで、ヴェイグの好物のピーチパイを焼いてくれたポプラをはじめとするガジュマたちとヒューマたちが言い争っていた。何があったのかと尋ねようとするヴェイグだが、なんとポプラは「ヒューマなんかみんないなくなっちまえばいいんだ!!」と、罵倒し、掴みかかってきた。予想だにしない展開に驚きを隠せないヴェイグ。その時、アニーが突然現れて、「雨のフォルス」による雨をポプラたちに降らせて落ち着かせることで事なきを得た。アニーはヴェイグにポプラと同じガジュマであるユージーンも様子がおかしいということを話した。その後、スールズをこっそり抜け出し、何故かバルカへ向かおうとしていたクレア、そして途中で立ち寄ったペトナジャンカでティトレイを加え、4人でユージーンが待っているというメセチナ洞窟へと向かう。
メセチナ洞窟の前で待っていたマオによると、ゲオルギアスとの戦いの後、突如として日増しにヒューマへの憎しみが湧いてくるのを感じたユージーンは、暴走して誰かを傷つけることを恐れ、洞窟の最奥にある牢屋へ閉じ籠ってしまったという。そこでマオに案内されて牢屋にいるユージーンを尋ねてみると、なんと彼は「今すぐ俺を殺してくれ」と叫んだ。驚きを隠せないヴェイグとマオたちに、自分の心はヒューマへの憎しみで冒されており、このままだとヴェイグたちを殺しかねないから、その前に自分を殺せと必死に頼むが、やがて、憎しみに理性を押し流され、ヒューマへの怨嗟を叫び、暴れ出す。あまりの変わりように途方にくれるヴェイグたちだが、ラジルダという東の大陸の街に心を鎮める薬があるとアニーが言う。そして、ユージーンの看病のためにマオとクレアをメセチナ洞窟へ残し、ヴェイグたちはラジルダへ向かった。
ラジルダに辿り着いたヴェイグたちは、心を鎮める薬「鎮魂錠」の製法を知っているヒューマの族長・イーガと出会う。だがこのラジルダではイーガが族長を務めるヒューマと、フォグマが族長を務めるガジュマが互いに激しく対立し合っており、イーガもガジュマに鎮魂錠を渡すことを聞いた途端に断ってしまう。しかし、偶然にもラジルダへやってきていたヒルダと、イーガの息子であるイゴルの手助けによって鎮魂錠を手に入れ、ユージーンの元へ向かった。
同じ頃、メセチナ洞窟を抜け出したクレアは、なぜかカレギア城へと入ろうとしたが、門兵たちに追い払われる。「無礼者! 離しなさい!!」と、叫んで城の中へ入ろうとするクレア。そこへ騒ぎを聞きつけて、ミルハウストが現れる。クレアはミルハウストを見て顔を輝かせるが、逆にミルハウストはクレアを見るや否や「帰れ。二度とここへは姿を見せるな」と激しい言葉で拒絶する。そして、去っていくミルハウストに、クレアはその後ろ姿が見えなくなるまで、立ち尽くしていた。

その一方、鎮魂錠を手に入れたヴェイグたちはユージーンの元へ戻るが、ユージーンは憎悪を抑えきれず錯乱してしまい、槍をヴェイグたちに向けてくる。なんとか押さえつけて鎮魂錠を飲ませて落ち着きを取り戻させた彼を仲間に加えた後、メセチナ洞窟にあった1枚の石碑に描かれた紋章を見て、ヒューマとガジュマが対立しあう異変の原因がゲオルギアスにあるのではないかと考える。そこでヒルダがラジルダで同じ紋章を見たというのを手掛かりに、ラジルダへ再び向かう。その伝承を解読して、湿原の奥に隠されている「聖殿」と呼ばれる遺跡を見つけ出した。
聖殿を進む中、ティトレイは様々な幻覚を見せられる。それは、ラジルダと同じようにヒューマとガジュマが対立しあうペトナジャンカで、ただ一人の家族として慕っていた姉までもがガジュマを奴隷のように扱うという信じ難い光景だった。その光景に打ち伏せられながらも、自分をしっかり持ってヴェイグたちと共に先へ進むティトレイの前に、「闇」の力を司る聖獣イーフォンが現れる。異変をなくす為に力を貸してくれと頼むティトレイに、イーフォンは力を貸すに値するかどうかを確かめるべく、自分と戦えという試練を授ける。そして、ヴェイグたちと共に試練を乗り越えたティトレイにイーフォンは力を授ける。イーフォンはこの世界でヒューマとガジュマが争っているのは、聖獣王から放たれた憎しみの「思念」のせいであり、「思念」を打ち消すには、自分と同じ聖獣たちの力を借りて、世界を浄化するしかないと告げ、姿を消した。
その後、マオは「炎」の聖獣フェニア、アニーは「風」の聖獣ウォンティガと出会い、それぞれの試練を受ける。聖獣の力を手に入れたマオは、自分がフェニアによって創り出された存在であることを知らされる。産み出された理由は理由は聖獣たちが世界を観察するためだった。マオに記憶がないのは、フェニアの手で創られたからであり、ユージーンと出会い、「マオ」という名前を授けられるまでは自分にあるのは、フェニアとの親子としての繋がりだけだった。
そしてウォンティガの試練を受けたアニーは、父親がラドラス王に毒を盛って死に追いやった張本人であり、さらにそのことに気づいて問い質しに来たユージーンまで殺そうとしたが、逆にそれを止めようとしたユージーンに誤って殺されることになったという真実を見せられる。ウォンティガに「これを見ても君は父を信じられるのか」と問われるが、アニーはそれでも自分が父を尊敬していたという思いと、父から教えられた「命に色はない」、すなわち医者として助けるべき命にヒューマもガジュマもないという言葉を信じているということは変わらないと言った。そして、父が死んでからガジュマへの憎しみで胸がいっぱいだった自分でも、ユージーンは自分をまっすぐに見てくれて、手を差し伸べてくれたということを打ち明け、今度は自分が人として医者としてガジュマとも向き合っていくと誓う。こうしてウォンティガに認めてもらい、聖獣の力を手にしたアニーはユージーンと和解し、父に何があったのかを共に確かめることを誓った。その時、「水」の力を司る聖獣シャオルーンがマオに憑依する形で現れ、「今すぐベルサスへ向かうんだ! さもないとキミは大事なものを失うことになる!」と、ヴェイグに告げた。驚きを隠せないヴェイグたちは、西の大陸にある交易の街ベルサスへと向かう。

ベルサスは、かつてはヒューマとガジュマが共存する平和な交易街だったが、ラドラスの落日以降はヒューマの有力者・スカラベによってヒューマが権力を握るようになった。そしてガジュマは貧民街に追いやられ、仕事を奪われたり、火事を装って家に火を放たれるという迫害を受け続けていた。そんなヒューマがガジュマを支配する街で、いったい何が起きるというのか? ヴェイグたちが街に滞在して調査を続ける一方、貧民街には、先のゲオルギアス復活の儀式以来行方知れずとなっていたアガーテが現れていた。カレギア城から飛ばされてきたアガーテは、あてもなく各地を転々とする中でベルサスに辿り着くや否やスカラベに捕まってしまうも、スカラベの娘であるスージーの計らいによって貧民街に逃れていた。そこでスラムのガジュマたちをまとめる女性ジャンニに、スカラベに協議の申し立てをしてほしいと頼まれるアガーテは、スカラベの元へ戻ってそれを申し込むが、逆に彼の怒りを買って拘束されてしまう。
それから次の日。街の広場でスカラベがヒューマとガジュマの協議の場を開くということで街の民衆を集めたが、その協議の話はただの口実にすぎなかった。スカラベは、カレギアを混乱に陥れた罪としてアガーテを公開処刑に処し、さらにクーデターを起こすべくヒューマたちに決起を呼びかけようとしていたのだ。断頭台に立たされるアガーテを見て驚きを隠せないヴェイグたち。そして、スカラベに余興として命乞いをする時間を与えられたアガーテは、自分の村で焼かれて、みんなが美味しいと食べてくれるパイの話を通して民衆たちにこう訴えかける。「あなたが美味しいと感じる心に、種族はありますか?」その言葉を聞いた瞬間、ヴェイグはアガーテにクレアが重なって見え、アガーテの姿をしているが、中身はクレアそのものだということに気がついた。その直後、ミルハウスト率いるカレギア軍が現れ、公開処刑を阻止するべく乱入。ヴェイグたちもクレアを救うべく断頭台に向かって走る。追い詰められたスカラベは、ギロチンのロープを切り落とした。迫り来る刃を前にして、ヴェイグがクレアの名を叫びながら氷のフォルスを放つ。断頭台は間一髪の所で破壊され、ヴェイグはクレアを無事救出することに成功。ヴェイグの腕の中で、アガーテの顔をしたクレアは「私、信じてた。どんな姿をしても、ヴェイグなら気づいてくれるって」と、安堵の笑みを浮かべた。
その後、スカラベは女王を処刑しようとした容疑で逮捕された。ミルハウストは、クレアと外見が入れ替わったアガーテを見て、愕然となりながらも「本当にアガーテ様なのですか」と問う。アガーテは頷き、自分が持つ、王家に代々伝わる「月のフォルス」によって他人と体を入れ替えることができると語った。月のフォルスの力にミルハウストは言葉を失い、あの時クレアの姿をしたアガーテがカレギア城へやってきた時、自分がアガーテであることに気付いていれば、と後悔する。
そしてアガーテは、こうも告白した。ノルゼンへ向かう道中に立ち寄ったキョグエンという街で盗賊団に誘拐されて、それからヴェイグたちが助けに来る前、実は自分の体を持ったクレアもあの場にいた、と。「クレアさんが連れて行かれたのを知ってて黙ってたって言うのか」と、驚き狼狽えるティトレイに問い詰められたアガーテは、結果的にヴェイグたちを騙すようなことをした罪悪感に責め苛まれ、その場から走り去ってしまう。後を追うミルハウスト。ヴェイグたちもそれに続こうとするが、再びシャオルーンがマオの体を借りて呼び止める。アガーテに持ち去られる形となったクレアの体を放ってはおけないヴェイグたちだが、シャオルーンは大事なのは「心」であり、大切なもの、すなわちクレアはこうして救い出せたことで失われずに済んだと諭す。そして、異変を解決したければ自分の所へ来い、と言い残し、シャオルーンは姿を消した。
その後、アガーテの捜索はミルハウストに任せる形で、ヴェイグたちは聖獣の試練巡りを再開した。ヴェイグはシャオルーン、ヒルダは「光」のギリオーヌ、ユージーンは「地」のランドグリーズとそれぞれの聖獣と出会い、試練を受ける。ヴェイグは心はクレアでも、体はアガーテという現実のジレンマ、ヒルダはヒューマとガジュマの間に生まれた「ハーフ」としての過去、ユージーンは自分の中に芽生えたヒューマへの憎悪と葛藤にそれぞれ悩まされる。しかし、側にいた仲間たちの力と想いも借りて、この試練を乗り越え、聖獣の力を手に入れることに成功する。
その後ランドグリーズは、遥か昔、ヒューマがガジュマに対して戦争を仕掛け、戦争によって世界中で負の感情が高まったことで、ゲオルギアスは負の感情で世界が崩壊することを恐れたとヴェイグたちに語った。そして、ヒューマが仕掛けた争いであることからヒューマを消し去り争いを終結させようとゲオルギアスは考えたが、6体の聖獣はヒューマとガジュマの対立は自然の営みの一部であり、自分たちが干渉するべきではないと反対し、ゲオルギアスに手を引くよう諫言した。それでもゲオルギアスは考えを変えなかったため、ついに聖獣同士の激しい争いが起きてしまう。苛烈な争いの末にゲオルギアスは6体の聖獣により封印され、世界中の負の感情は聖獣達により浄化されたが、これにより世界は荒廃してしまい、ヒューマとガジュマは共存の道を歩まなければ生きていけなくなったのだという。
こうして、6体全ての聖獣の力を手に入れたヴェイグたちは、力を解き放ち、世界各地で人々を争いに駆り立てる邪悪な「思念」の浄化を行った。これで全てが終わった、と一行が安堵しかけたその時、目の前でカレギア軍のガジュマ兵とヒューマたちの啀み合いを目撃する。「思念」は浄化したはずなのに、なぜ? 驚きを隠せないヴェイグたちに、シャオルーンが再三現れてこう告げる。「世界中で、ガジュマとヒューマが戦いを始めようとしてるんだ!」

同じ頃、バルカへと戻ってきていたアガーテは、ジルバならきっと力になってくれる、と信じ、もう一度彼女に会おうとカレギア城へ向かう。そして再び、門兵に見咎められ、足止めを食らいそうになったところを、なんとサレが現れて助け舟を出してきた。しかもサレは、外見がクレアだが、中身はアガーテであるということに気づいており、ジルバなら祭儀場にいて「祭り」がこれから始まる、と楽しそうに案内した。不可解に思いながらもアガーテが祭儀場に向かうと、そこではジルバがガジュマたちを集めており、煽動的な演説を行っていた。この国は二つの種族の対立に翻弄されていて、その状況を作ったのはヒューマであり、自分たちガジュマはその煽りを受けて苦しめられているに他ならない。そう言ったジルバは、高らかにこう宣言した。「我ら善良なるガジュマをしいたげ、平和を乱すヒューマたちに言ってやろうではないか。我々は恐れてはいない。戦うのは望むところだ。もう二度と、ガジュマを殴らせはしない!!」それは明らかな、全てのヒューマに対する宣戦布告だった。自分が信じていた側近の苛烈なる振る舞いに愕然となるアガーテだが、場にいたガジュマたちに気づかれ、捕まえろと騒ぎ立てられ、逃げるようにして祭儀場を後にした。さらに追い討ちをかけるように、アガーテを出迎えたサレもこう言った。あれがジルバの本性であり、ヒューマを滅ぼすという目的のためにカレギアの全権を握るべく、聖獣王復活の儀式も含めて色々と小細工をしていたのだ、と。今まで、家族同然にジルバを慕い信じていたアガーテにとって、それは信じられないことだった。だが、そんなさらに愕然となる彼女を嘲笑いながら、サレは「ヒトの心なんてあてにならない。そんなものを信じたあなたが悪いんです。他人を信じたあげくが、地位も身体も失って、無一文。それはどんな気分なんです?」と、言い放つ。
アガーテは、ミルハウストに恋心を抱いているが、一向に実らない恋心が種族の違いにあると思い込み、ヒューマの体を手に入れることを望むようになり、どうしたら手に入るのか思い悩んでいた。そんなある時、ジルバに聖獣王の復活の話を持ちかけられ、カレギアを混乱から救えると共にヒューマの体も手に入るとも教えられる。それを信じたアガーテは、女王としてゲオルギアスを復活させて混乱を収めることを口実にし、ヒューマの体欲しさにゲオルギアスの憑代と称してクレアたちヒューマの女性を集めた。しかしそれがカレギアにさらなる混乱を呼んでしまい、ヒューマの体が手に入ってミルハウストに会いに行っても拒絶され、さらに信じていたジルバにも裏切られることで全てを失った。そんな自分の今までの行いが生んだものの重さと大きさを思い知らされたアガーテだが、「わたくしは、わたくしにできることをやるだけ」と、震えながらも拳を握りしめ、その場を後にした。

第三部

聖獣の力で悪しき思念は浄化されたものの、人々の心に芽生えた負の感情までは消えず、シャオルーンの言うようにカレギア王国の各地ではガジュマとヒューマの争いが勃発していた。ヴェイグたち、そしてアガーテは、それぞれの行く先々で起きる争いを止めて、手を取り合うよう説得していく。
しかし一方、ヴェイグはクレアを元の姿に戻せない焦りと苛立ちでフォルスの制御がうまくできず、日に日に体が凍りつくのを感じていた。そんな中、港町ミナールでアガーテの外見のクレアを見て、女王と勘違いして囃し立てるカレギア兵たちに苦悩が頂点に達したヴェイグは、ついにフォルスを暴走させてしまう。仲間たちにも刃を向け、荒れ狂う彼を見て、暴走の原因が自分にあると悟ったクレアは深く悩み、哀しんでしまう。そして「苦しめて、ごめんね。今まで、ありがとう」と、気を失ったヴェイグにそう言い残し、去ってしまった。
そして、ミナールの宿屋で目を覚ましたヴェイグはクレアが消えたことに気づき、ひとり後を追いかけようとする。その途中、ミルハウストがヴェイグの目の前に現れ、クレアなら自分の所にいる、彼女は自らの意思で私のもとに来た、と言う。苦しみから逃れるためではなく、ヴェイグをこれ以上苦しませないためだとも。驚くヴェイグに、ミルハウストはこうも言い放った。「今のおまえの隣に、彼女の居場所はあるのか?」それに対し、ヴェイグは言葉を返すことができない。そんな彼の覚悟を試すべく、ミルハウストは剣を抜いた。ヴェイグも剣を抜くが、ミルハウストの言葉が胸に突き刺さり、打ち合うことすらままならない。そして、呆気なく敗北したヴェイグに見向きすることなく、ミルハウストはどこかへ去っていった。
再び、ミナールの宿屋で目を覚ましたヴェイグ。そこには傷ついたヴェイグを見つけ、ミナールまで運んでくれた仲間たちと、アガーテがいた。アガーテの姿を見るや否や、自分と一緒に来いと言うヴェイグ。するとアガーテは、自分はもう月のフォルスを使うことはできず、ミルハウストと一緒にいるクレアの所へ行っても何もできないと首を振る。しかし、焦りと苛立ちで冷静に判断することができないヴェイグは、それでも構わないから、一緒に来いと強く言う。それに対しアガーテは「なぜ、クレアはあなたのもとを去ったのですか? わたくしが行けば、あなたのところに戻ってくるのですか?」と、諭すように言った。逆上し、さらに開き直ろうとするヴェイグを見兼ねたティトレイが割って入り、有無を言わせぬ凄味で、海岸へ来い、と言い放った。
海岸へひとりでやってきたヴェイグ。そこで待っていたティトレイは、「おまえを見てるとな、ムカムカするんだよ!! ひとりで世界中の不幸を背負ったような顔してんじゃねえ!!」と、怒鳴りつけると共に拳をお見舞いしてきた。それに触発されたヴェイグも「おまえにオレの何がわかる!!」と、叫んで殴り返し、そこから夕陽に照らされながらの殴り合いに発展する。
殴り合いは、騒ぎを聞いて駆けつけてきた仲間たちとアガーテが止めに入るまで続いた。そこでヴェイグはいつの間にか自分が意固地になるあまり、一人で全て抱え込んでいて、クレアもティトレイたちも心配をしていたことに気づいた。それが逆に、守るべきものであるクレアを傷つけていたことにも気づいてはいたが、どうすればいいのかわからなかった。そんな今の今まで抱えていた苦悩の全てを打ち明けたヴェイグに、ティトレイは優しく言った。「おまえが苦しんでるのはわかってた。だけど、暴走するまで、ひとりでがんばる事はねぇだろうよ? 一緒に悩ませてくれよ。仲間だろ?」拳と激しい言葉をぶつけてきてまで、意固地になっていた自分の目を覚ませてくれたティトレイの熱い思いに、ヴェイグは声をあげて男泣きするのだった。
その後、ヴェイグは自分をもう一度見つめ直すべく、仲間たちやアガーテと共に旅の出発点となったスールズへと戻る。その一方で、ミルハウストはクレアに混乱の続く王国を一度落ち着かせるためにも、女王アガーテとして自分と一緒にバルカへ帰還してほしいと言った。クレアも静かに頷き、彼と共にバルカへと向かった。

アガーテと仲間たちと共にスールズへ戻ったヴェイグは、クレアの両親で自分の養父母であるマルコとラキヤにこれまでの経緯を話した。マルコとラキヤはヴェイグの悩みを親身になって聞く一方、クレアの姿をしたアガーテを、クレアではないと見抜きつつも、とやかく言わずにクレアと接し、受け入れてくれた。
それからヴェイグは、ポプラに会いに行った。ポプラは思念の浄化によって完全に落ち着いたが、ヒューマたちに暴言を吐き、そしてヴェイグにも手を挙げてしまったことを後悔する一方、その振る舞いが自分の本心かどうかを考え、答えがわからなくなるあまり、家に閉じこもってしまっていた。そんな彼女の心中を聞いたヴェイグは「オレもおばさんと同じだよ」と言って、旅をする中、ヒューマやガジュマの二つの種族について考えたこと、クレアを傷つけてしまったことを打ち明けた。その上で、自分は自分で、ポプラはポプラであることに変わらないということ。この村にいる皆で、ヒューマもガジュマもポプラが作ったパイを美味しいと言って食べてくれたこと。それらも伝えたヴェイグは、元気を出してくれ、と言い残し、ひとまずその場を後にした。
すると、少しした後、ヴェイグたちの所にポプラがやってきた。その手の皿には、焼きたてのパイがあった。心配と迷惑をかけた詫びとして、今一度ヴェイグのためにパイを焼いてきたポプラは、この村のためにも自分が元気を出さなければいけないと決意を固めてきた。そして、ポプラの焼いてきたパイにヴェイグも仲間たちも大絶賛。感嘆したティトレイがどうやったらこの味を出せるのかと聞こうとしたが、ポプラは秘密だと笑って誤魔化した。そんな彼女の様子を見て、ヴェイグもようやく元の調子に戻ってくれたと安心する。すると、パイの香りにつられてスティーブたち村人がやってきたが、先の集会所の争いのことが後ろめたくて食べにくることはできなかった。そこでポプラが「おばさん、ピーチパイ焼いちゃう! みんなのために!」と、一肌脱いで、集会所でパイパーティーを開くことになった。
そして、集会所では村人全員が集まり、盛大なパイパーティーが開かれた。この様子を見たアガーテは、クレアが「心に種族はない」と言っていたことを思い出し、人々がこんな風に平和に暮らしていたことを知らず、ジルバに丸め込まれてそれを奪ってしまったということを反省する。そして、自分のような過ちを犯す者を出さないためにも、もう一度国を取り戻すために自分も戦うことを誓った。
こうして、パイパーティーでスールズは以前の穏やかな雰囲気を取り戻し、両親やポプラたち村人との交流で、ヴェイグは心の迷いを断ち切った。もう二度と、クレアやアガーテのことで迷ったりしない。このまま二人が元に戻らなかったとしても、クレアは必ずこのスールズへ連れて帰ってくる。そう誓い、旅立とうとした時。不気味な地響きが東大陸から聞こえてきた。シャオルーンに乗ってその地響きが聞こえてきたラジルダ周辺に行くと、突如として巻き起こった大地震と津波で沈んでいった。
この異変を察し、再び現れた他の聖獣たちの元へ向かうと、聖獣たちはラジルダは積もりに積もったヒューマとガジュマの負の感情によって発生した力で崩壊し、このままでは他の街もラジルダと同じように負の感情で崩壊すると言った。それを止める手段は、ただひとつ。バルカの北の獣王山へ向かい、そこに眠るゲオルギアスを復活させる。そして聖獣王を説得し、王の力を借りるということだった。しかし、ゲオルギアスはこうなることを恐れてヒューマを殲滅しようとしたので、崩壊が始まった今、説得しようとしてもその考えを変えるつもりはないかもしれない。まさに最後の賭けというに相応しい方法だが、ヴェイグたちは世界を守るためにこの方法に出ることを決意した。
同じ頃、カレギア城にいたクレアは、ミルハウストからラジルダ壊滅と、ヴェイグたちが獣王山へ向かったという報せを聞かされる。自分はヴェイグたちを止めるために出動命令を受けたとも言うと、クレアはヴェイグたちはこの国を救うために戦っていると訴えた。しかしミルハウストも「この国を守るのは我々だ。得体の知れぬ者がその秩序を乱すとなればなおさら」と取り合わず、兵士たちを率いて獣王山へと向かった。

アガーテの案内で、獣王山に辿り着いたヴェイグたち。ゲオルギアスの遺体が眠っている「王家の聖所」の頂上を目指すが、そこへ四星やミルハウストら王国の精鋭たちが立ち塞がる。
獣王山の入り口にて、一番手として現れた四星は全員揃い踏みとなっての総力戦を挑んでくるが、激しい戦いの末、ヴェイグたちに倒される。王国への高い忠誠心を抱き、かつての上司で戦友であり、今も信頼を寄せるユージーンに敗れてもなお挑もうとするワルトゥは、「おまえのやり方は正しいとは言えない。だが、俺もおまえも気持ちは同じだ。この国を守ろうとする気持ち、そして陛下と民を救いたい気持ちは」というユージーンの一言と、一緒に戦おうと手を差し伸べてくる彼の信念を前に武器を捨てる。それを見て、「王の盾」の一員として王国の命令は絶対と信じるミリッツァは逆上し、裏切り者となったワルトゥに武器を向けるが、ヒルダに抱き止められる。自分と同じハーフであり、「王の盾」に拾われるまではヒューマとガジュマの両方から忌避され続けた過去を持つミリッツァに、自分も今の世の中に居場所なんてないと思っていたが、ヴェイグたちと出会ったことで居場所を見つけられたとヒルダは伝える。そして、「居場所なら、私たちにだって作れる。私たちの後に生まれてくる子たちの為に居場所を作ることが、私たちのやるべきことなんじゃないの?」というヒルダの優しい言葉にミリッツァも心を打たれ、武器を捨てた。こうしてワルトゥとミリッツァはヴェイグたちとの戦いを止め、どこかへ去っていった。その直後、満身創痍で起き上がったサレが「僕にとどめは刺さないのか」と呼び止めてきたが「おまえを殺すためにここに来たんじゃない」と、ヴェイグは相手にはしない。そんな彼を嘲笑いながら、情けをかけるのならさっさと自分を殺せと吐き捨てるサレだが、それでもヴェイグたちは振り返ることなく獣王山へと入っていった。二度にわたる敗北を喫した末に、とどめを刺されずに見逃され、プライドを傷つけられたことへの悔しさと怒りのあまり絶叫するサレ。すると彼を背後から刃が貫く。驚きに目を見開いたサレが振り返ると、同じく満身創痍となったトーマが立っていた。用済みになったら始末しろというジルバからの命令と、種族主義者としての性分から来るヒューマへの蔑みと憎しみから、ワルトゥの武器を拾ってサレを突き刺したのだ。そんなトーマを前に、ヒューマとガジュマの共存なんて夢物語だと自嘲しながらも、今まで楽しかったと礼を言い、サレもトーマをレイピアで突き刺してとどめを刺した。その後、「現実はこんなものさ」と呟いた後、サレは静かにその場に倒れ、息を引き取った。
続けて獣王山の頂上手前で立ち塞がったミルハウストは、世界を救うためにゲオルギアスを復活させたいというヴェイグたちやアガーテの言葉に嘘はないと感じ、共感を覚えながらも、カレギアの軍人としての務めと誇りを捨てることはできず、剣を引き抜く。これに対し、ヴェイグが一人で剣を抜いて前へ進み出て、ミルハウストに再びの一騎討ちを挑むのだった。
一騎討ちの末、見事ミルハウストを下すことに成功するヴェイグ。その剣から強い覚悟と思いを感じ、ヴェイグが迷いを断ち切ったことを悟ったミルハウストは、アガーテが自分に恋心を抱いていたということを知ってはいたが、カレギアへの忠誠を蔑ろにできず、今まで距離を置き続けていた。そして、ヴェイグを見ているとそんな自分を鏡で見ているようでもどかしかった、と告白し、今や迷いを断ち切ったヴェイグと自分は一体何が違うのか、と問うた。その問いに対しヴェイグは「何も違わない。オレには仲間がいる。そして、あんたにも」と言いながら、振り返ることでアガーテを指した。
すると、その場にクレアが現れた。クレアはあの時、黙ってヴェイグの前から姿を消したことを謝りたく、ミルハウストに無理を言ってついてきた。あの時はヴェイグを苦しめている原因が自分だとわかり、そばにはいない方がいいと思ったが、結局のところ、自分はヴェイグを置き去りにして逃げただけでしかないと感じるようになった。そう謝罪してくるクレアに、ヴェイグも今まで何も言わなかった為にクレアを苦しめてしまったことを謝罪する。その後、ゲオルギアス復活に賭けた思いと覚悟を本物と認めたミルハウストが道を開けたことで、ヴェイグたちのついにゲオルギアスの遺体が眠る「王家の聖所」、獣王山の頂上へと足を踏み入れた。
その時、「まったく役立たずどもめ。時間稼ぎすらできんとはな」と呆れた女の声が出迎える。そこへ現れたのは、なんとジルバだった。思わぬ彼女の登場に驚きを隠せない一行を嘲笑いながら、ジルバは全てを話した。ガジュマを「選ばれし民」であると信じる根っからの種族主義者である彼女は、ヒューマを滅ぼし、ガジュマだけの王国を創り上げることを目論み、種族主義者ではないユージーンやラドラス、はてはアガーテまでもをただの邪魔者としか見ていなかった。さらに自身も月のフォルスの能力者であり、そのフォルスを使ってアニーの父親の体を乗っ取ってラドラスに毒を盛り、ユージーンを殺そうとして逆に返り討ちにあうも、彼に罪を着せて追放させた。そしてミルハウストに恋心を抱くも、なかなか恋が実らない原因が種族の違いにあると思い悩んでいたアガーテに「聖獣王を蘇らせればヒューマの体が手に入り、さらにカレギアの混乱を収めることもできる」と吹聴し、復活の儀式を行わせることで、アガーテの追放とゲオルギアスによるヒューマの殲滅を企んだ。結果的にゲオルギアスはヴェイグたちに倒されたが、アガーテは儀式で行方不明となり、自分はもう一つの目論みであるカレギアの全権を握ることに成功。そして今度は、この獣王山でゲオルギアスを復活させ、その力を横取りしてヒューマを今度こそ殲滅しようとしているのだ。
ガジュマを至上の種族として狂信するあまり、ヒューマを滅ぼしてガジュマだけの王国を創り、未来永劫、自分は幸福に支配者として在り続ける。そのためにカレギアとゲオルギアスの力を求めるだけでなく、アガーテの恋心までもを利用したジルバの厚顔無恥ぶりにヴェイグたちは激怒した。「おまえのような奴に、ゲオルギアスの力は渡さない!!」そのヴェイグの叫びと共に、一行は武器を手に取り、すべての黒幕として凶悪な本性を現したジルバに戦いを挑む。
死闘の末、ついにジルバを打ち破るヴェイグたち。とどめの一撃を刺されてその場に崩れ落ち、戦意を喪失しながらも、ジルバはヴェイグたちへの怨嗟とヒューマの滅亡を叫び続ける。そこへ杖を手にし、アニーが前へ進み出る。本当の父の仇である自分を睨み付けてくる彼女をジルバは嘲笑った後、「親子愛……泣かせてくれるじゃないか。ヘドが出るよ!!」と、大声で罵倒し、息絶えた。

ヴェイグたちは聖獣の力を使い、ゲオルギアスを復活させ、世界を救うために力を貸してほしいと説得する。しかしゲオルギアスは、もう遅い、と諦観したような態度をとる。ゲオルギアスによると、ヴェイグたちが自分を倒した時に飛び散った思念は自分のものではなく、「ユリス」と呼ばれる存在の思念だという。ユリスとは、遥か昔にヒューマとガジュマの持つ数多の負の感情が集合・具現化することで誕生した争いと破滅の化身で、長年にわたりゲオルギアスによって封印され続けていたが、カレギア城でヴェイグたちにゲオルギアスが倒されたのを機に復活。その後はゲオルギアスの名を騙り、ジルバの種族主義者としての本心に付け込んで彼女を操り、ヒューマの殲滅へと踏み切らせて世界に争いと混乱を巻き起こしたのだ。
そして、ジルバの亡骸と、彼女の中に残っていた負の感情を取り込んで、ユリスがついに獣王山上空に姿を表す。ゲオルギアスを遥かに上回る真っ白な巨体に2本の腕と1対の翼を持ち、所々にヒトの体の部位のようなものが見受けられる悍ましい外見を持ったその怪物は、圧倒的な力でゲオルギアスを相手にすることなく撃破した後、獣王山上空に自らが支配する暗黒の世界「ユリスの領域」を作り出した。
このままだと、ユリスは領域を拡大させて世界を侵食していき、すべてを崩壊させてしまう。ヒトの負の感情、啀み合いと争いが生み出した存在の強大かつ凶悪さを前にしたゲオルギアスは、「こうなる前に、ヒトを滅ぼしておくべきだった」と悲嘆に暮れる。だが、ヴェイグたちは自分たちの大切なものや思いを守るためにも今一度武器を手に取り、自分たちが負けたら後は頼むとゲオルギアスにそう言い残したあと、シャオルーンに乗って獣王山上空へと向かった。
ユリスの領域に足を踏み入れたヴェイグたち。だが、領域に巣食う凶悪なバイラスたちと共に、領域全体に澱のように淀み、満ちた負の感情が彼らを責め苛んでくる。だが同じ頃、世界各地でミリッツァや漆黒の翼をはじめとしたヒトの心の中の光を信じる者たちが率先し、共に力を合わせるよう決起を促す。これによって世界各地のヒューマとガジュマたちが次々と手を取り合い、ユリスの領域の出現によってさらに大量発生して襲い来るバイラスに立ち向かっていく。そんな彼らの持つ心の光が、領域を進むヴェイグたちの元へと次々と集まっていき、新たな力となっていった。そして、領域の最奥でミルハウスト、アガーテ、クレアが現れ、一緒に戦わせてほしいという3人の同行を受け入れたところで、ヴェイグたちはユリスの元に辿り着き、最終決戦を挑んだ。
そして、大激闘の末、ユリスを倒すヴェイグたち。だが聖獣たちは、実体を滅ぼしても、本体である邪悪な意思をゲオルギアスの力で消さなければユリスを倒すことにはならないと叫ぶ。しかし、ゲオルギアスの力を宿せるアガーテもまだクレアの身体のままで、月のフォルスを失っている。ここまで来て、もう駄目だというのかと悲嘆にくれるアガーテだが、ヴェイグやクレアたちの激励によって、自分の心と、世界中で力を合わせ、戦っているヒトの心の力を信じ、願うことでフォルスが復活。そして、クレアとアガーテはそれぞれの元の身体に戻ることができた。「わたくしが頑張らなくては……これまでのみんなの頑張りが……負けない……負けたくない!!」アガーテは、渾身の覚悟でフォルスを解放し、ゲオルギアスの力を自分の体に再び宿らせる。そして、ヴェイグたちの持つ聖獣の力と合わせることで、ついにユリスを消滅させることに成功した。

聖獣たち、そしてゲオルギアスは、ヒトはユリスに打ち勝ち、希望と未来を掴んだが、その後の道にはまた苦難が待ち受けていると言った。そのために、また自分たちの力が必要ならば貸すことも厭わないと問いかけたが、ヴェイグはこれを辞退。ユリスを倒したのはヒトの力と意思であり、ヒトは自分たちが選んだ道を自分たちの足で歩いていかなければいけない。だから、ここから先は自分たちに任せてほしいと言った。その言葉にヒトとしての思いを受け取ったゲオルギアスと聖獣たちは地上を去ることを決意。「汝らが道を誤れば、再びユリスは現れ、ヒトに、世界に災いをもたらすであろう。その時、そこに我らの力はない」と、去り際にゲオルギアスはそう言い残していったが、ヴェイグたちの決意は揺らがなかった。
そして、無事に地上へ帰ってきたヴェイグたちだが、フォルスを使い果たしたことでアガーテが倒れてしまう。驚き、駆け寄るミルハウストに、アガーテは言った。愛する人との種族の違いに思い悩み、ヒューマの体を欲しいと思ってしまった為に国に混乱をもたらしてしまったが、ヴェイグたちと出会い、共に世界を旅をすることで、自分にとって本当に大切なものは体ではなく気持ちであることに気づくことができた。そして、この国の女王としてひとつだけ、人のために尽くすこともできた。弱々しい声でそう語り、最後まで迷惑をかけてしまったことを詫びながら自分にこの国を託そうとするアガーテに、ミルハウストは陛下なしでどうすればいいのかと悲痛な声で叫び、そして「生きてください、私のために」と、訴える。その時、陛下とは呼ばず、名前で呼んでくれたことを嬉しく思いながら、アガーテは「ずっと…あなたのことが…好きだった」と、言い残し、息を引き取った。動かなくなったアガーテを抱きしめ、ミルハウストは悲しみに震え、ヴェイグたちも胸が締め付けられる思いとなりながら、彼女の最期を看取った。
その後、アガーテの墓前で、ミルハウストとヴェイグたちは、ユリスが消滅してもなお続いている種族の争いをなくす為、共に手を取り合うことを誓った。その時、ヴェイグはミルハウストに「あんたの作る道を、ヒトは進む。その道標になれるような気がするんだ。オレたちなら…そう、オレたち、だから」と、言ったと共に、穏やかそうな笑顔を見せた。

『テイルズ オブ リバース』のキャラクター

パーティメンバー

ヴェイグ・リュングベル

0000734327

CV:檜山修之

本作の主人公で、厳しい寒気と美しい景観の同居する北辺の村「スールズ」で生まれ育ったヒューマの若者。
強力な冷気を放ち、敵や炎などの障害物を凍らせる「氷のフォルス」の能力者。

幼い頃に両親を亡くし、幼馴染のクレアの家に引き取られ、実の家族同然に育てられていた。しかし1年前の「ラドラスの落日」で突如覚醒、暴走したフォルスによってクレアを氷漬けにしてしまったのを切っ掛けに、心を閉ざし、周囲と言葉をかわすこともなくなってしまった。
そのため、ともすると他人からは冷たい男と思われがちだが、本当は間違ったことを見過ごせない、熱いものを秘めている。

クレア・ベネット

0000734326

CV:安田未央

ヴェイグの幼馴染で、彼と同じくスールズに住むヒューマの娘。
幼い頃に引き取られてきたヴェイグとは、人情篤い両親のもとで家族同然に育てられた。

器量が良く、他人を思いやる優しい心根と精神的な芯の強さを併せ持っており、他人の欠点よりも長所に気づき、誰とでも分け隔てなく接することができることもあり、村の皆から好かれている。そして、ヴェイグにとっては数少ない気を許せる存在で、無口で無愛想な彼もクレアの前では表情を和らげ、クレア自身もヴェイグに頼り切りになることはなく、自身の力で状況を打開しようとするほど行動力にも長けている。
「ラドラスの落日」でフォルスの覚醒・暴走に苦しむヴェイグを見て助けに駆け寄ろうとした矢先、逆にフォルスによって氷漬けにされてしまう。1年後、マオの「炎のフォルス」によって解放されるも、その直後スールズに現れたサレとトーマに誘拐されてしまう。

マオ

Image 5 3

CV:渡辺明乃

まだあどけなさの残るヒューマの少年。赤い髪と中性的な顔立ちが特徴で、火炎や熱風を行使する「炎のフォルス」の能力者。

冗談好きで明るく活発な性格だが、実は一年前の「ラドラスの落日」をきっかけに記憶を失ったらしく、天涯孤独の身の上である。そんな彼を保護したのがユージーンで、そのためユージーンを父親同然に慕っている。
フォルス能力者であったことから「王の盾」の一員となるも、ユージーンが軍から追放された時は一も二もなく後を追い、軍を脱走した。その後、ユージーンと共に各地を旅し、「ラドラスの落日」の真実と自身の記憶を探る中、スールズに行き着いてヴェイグを外の世界にいざなうことになる。

ユージーン・ガラルド

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CV:石塚運昇

黒く艶やかな毛に覆われたガジュマの戦士の大男。武器や鎧の強度を上げたり、物理的な質量を持ったエネルギーを発したりできる「鋼のフォルス」の能力者。

鍛え抜かれた肉体は紛れもない武人のそれながら、冷静沈着で洗練された物腰からはそれ以上のなにかを感じさせる。そんな武勇と外見から「カレギアの黒豹」の異名をとり、ガジュマの間では最高の戦士として名高い、英雄的存在であった。
しかし、「ラドラスの落日」の後の混乱の最中、親友であったカレギア王国の医師の殺害容疑で軍を追放される。その後、「ラドラスの落日」に端を発した不可解な事件の真相を探るため、マオと共にその正体を見極めるべく旅を続けている。

アニー・バース

keeper
keeper
@keeper

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