Wakfu(アニメ版ワクフ)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

「Wakfu(ワクフ)」とはフランスのANKAMA社制作のアニメーションのことである。同名のMMORPGと共通した世界観で、ポータルを使っての瞬間移動能力を持ったユーゴという少年が「本当の家族」を探すために様々な仲間に支えられながら旅をしていくストーリーとなっている。日本ではNetflixもしくはディズニーXDにて視聴することができる。

Wakfu(ワクフ)の概要

Wakfu(ワクフ)とはフランスのANKAMA社制作のアニメーションのことである。
アニメーションはAdobe Flashを使用して制作された。

2008年にフランスで第1期が放送、2010年に第2期が放送された。日本でも(ファンの有志による字幕翻訳つき仏語音声版を除いて)2015年9月にNetflixで日本語字幕つきの英語音声版の配信が開始された。
さらには2017年7月23日にディズニーXDにて日本語吹き替え版の放送が決定した。

ストーリーはコミカルとシリアスが入り混じった冒険活劇。
第1期は主人公であるユーゴ、敵方のノックスを軸に「家族」をテーマとしている。
外伝のスペシャルエピソードも家族や仲間といった「絆」を主軸としたシナリオを展開している。

同名のMMORPGと世界観を共有しており、MMO版の数年~数十年後がアニメ版の舞台となる。
台詞には専門用語が多数登場し、その解説もなく話が進むため、世界観をまったく知らない初心者には少々難解である。

以下、表記はフランス語版を日本語翻訳したもの、英語版を日本語翻訳したものなどの各媒体での翻訳の違いが多数存在するため、フランス語版を基準にNetflixの日本語字幕、MMO版の日本語表示などを参考に日本のファンの間で固着した固有名詞を用いる。

Wakfu(ワクフ)のあらすじ・ストーリー

第1期

世界に異変が起き始めている。薄々感じ取っていた異変が確信に変わり、伝説のドラゴン・グルガログランは手を打つことにした。
「オグレストの混沌」と呼ばれる大災害により秘宝「エリアキューブ」も行方不明となり、同族も小さな子ドラゴンと小さな赤ん坊だけしかいない。世界の異変に巻き込まれる前にこの赤ん坊をどこか安全な場所に隠さなければならなかった。
世界を作った神々に最も近いとされる「エリアトロープ」の赤ん坊を預けるに相応しい人物を探し、世界を放浪するグルガログラン。やがてたどり着いたエメルカ村への道さしかかろうとしたその時、グルガログランを呼び止める不穏な影が割り込んできた。
「伝説のドラゴンである御仁のワクフ(生命エネルギー)をいただく」と言い、ノックスと名乗った人物はグルガログランに襲いかかる。それを難なくいなし、何事もなかったかのように歩き出すグルガログラン。そして、グルガログランはようやく世界の運命を担うであろう子供を預けるに足る人物を見つけた。
エメルカ村のアリベートという男性に揺りかごを渡し、メッセージを託す。
「この子はいずれ力に目覚めるだろう。その時、本当の家族を見つけるために旅をさせなさい」と。

それから12年。青い帽子の赤ん坊はユーゴと名付けられ、エメルカ村の宿屋の主人アリベートの元で大切に育てられた。
養父思いの優しい少年に育ったユーゴは、養父の手伝いをしながら日々を過ごしていた。
ある時、棚から落ちた調味料瓶を咄嗟に取ろうとした手に青い円のようなポータルが生成される。それこそがユーゴの「エリアトロープ」の力であった。
アリベートの元に親友であるリュエルが訪れる。数年ぶりの再会を喜んだのも束の間、宿屋に化物が現れる。それは、「シュシュ」と呼ばれる悪魔が取り付いた人間であった。本来シュシュというものは、シュシュを使役する「シュシュの守護騎士」という役目の人間が武器に封印して管理するものだが、目の前のシュシュはどうやら主人である守護騎士を乗っ取ったもののようだった。
シュシュが取り付いた証である額の眼球を引き剥がせば元の姿に戻ると聞いて、目覚めたばかりのエリアトロープの力で対抗するユーゴ。ルビラックスという名のシュシュを無事、守護騎士の額から引き剥がすことに成功する。
その様子を見て、アリベートは12年前に託されたメッセージを思い出す。
「この子はいずれ力に目覚めるだろう」というメッセージを思い出し、ユーゴに「本当の家族」を見つけるために旅立つよう言う。
しかし、すべて言い終わらないうちにエメルカ村に悲鳴が響き渡った。村の住民が次々と樹木に変わっていくのだ。アリベートもまた、「本当の家族を…」と言い残して樹木に変わってしまう。
樹木に変わった原因は町外れの森の主であるソフトカシワの精霊の怒りによるものだった。村を見守ってくれる心優しいソフトカシワに一体何が起きたのか、何よりアリベートを元に戻すためにユーゴは森へと向かうことを決める。
そこにシュシュに乗っ取られた状態から助けてくれた恩を返すためにシュシュの守護騎士・トリストパンと、親友の頼みを引き受けてリュエルが同行を申し出る。
道中、巡礼の旅の最中に偶然エメルカ村を訪れたアマリアとエヴァンジェリンを加え、ユーゴたちはソフトカシワの元へ向かう。
そしてそこで、森から次々とワクフが奪われていることを知り、そのせいでソフトカシワは怒っているのだと判明する。その黒幕はノックスという人物の仕業であった。
植物と対話することができるアマリアの能力のおかげで怒るソフトカシワを宥め、エメルカ村の人々を元に戻すことに成功する。
ソフトカシワによる騒動が収まり、改めてアリベートはユーゴに説明する。この世界の何処かにユーゴの本当の家族が存在し、それを見つけるために旅に出なければならないことを。

ユーゴはトリストパン、リュエル、アマリア、エヴァンジェリンと一緒に旅に出る。
ケルバ村では市場を襲撃するブラッククロウを撃退したり、オンブラージというシュシュによって住民がグールと化してしまった村ではオンブラージを封印したりと、様々な人物と出会いながら行く先々で問題を解決し、「本当の家族」についての手がかりを探していく。
そしてノックスと名乗る人物が暗躍し世界中からワクフを奪っていること、そしてその最終的な獲物が伝説のドラゴンであり、ユーゴをアリベートに預けたグルガログランであることを知る。

そしてついにユーゴの「本当の家族」がオマ島と呼ばれる場所にいるということが判明する。しかしオマ島は辺境中の秘境であり、オマ島に行くためには船を手に入れなければならない。その手段としてリュエルが目をつけたのがゴッボウルという球技の大会で優勝することであった。
なんとリュエルは若い頃、ゴッボウルのプレイヤーとして名を馳せていたのだ。その当時のチームメンバー、そしてユーゴたちを加えたチーム「レアル・ボイタード」を結成し大会に臨むリュエル。
クリス・ラ・クラス率いるチーム「ボウフトン・ルージュ」との決勝戦を制し、賞金で船を手に入れた一行はオマ島へ向けて大海原へと漕ぎ出した。

しかし大嵐によって船が難破し、一行は散り散りになってしまう。狭い砂浜しかない孤島に泳ぎ着いたアマリアはすぐにエヴァンジェリン、リュエル、トリストパンと合流するが、しかしユーゴだけが見つからない。
ユーゴを探し始めるアマリアたちはこの島が不思議な島であることに気付く。
この島は立派なジャングルと地下神殿が建つ巨大な島であり、撹乱魔法により狭い孤島と見せかけていたのだった。そしてこの小さな砂浜に見せかけた巨大な島こそが、目的地であるオマ島であった。

一方、アマリアたちがいる砂浜とは別の地点に泳ぎ着いたユーゴは、アダマイと名乗る小さなドラゴンと出会う。
「ボクに追いつくことができたら、君の本当の家族ってやつについて教えてあげる」と言い、逃げるアダマイを追いかけ、ユーゴはジャングルの中をポータルを駆使しながら駆け回る。
まるで追いかけっこのように逃げ回るアダマイに追いつき、アダマイを捕まえたユーゴは彼の口から「エリアトロープ」について、そして「本当の家族」についてを聞く。
ユーゴは「エリアトロープ」最後のひとりであり、アダマイはユーゴと対となる兄弟、つまり「本当の家族」なのだと知る。
そしてユーゴもまた、ノックスがグルガログランを狙ってオマ島を襲撃しようとしていることをアダマイに知らせるのであった。

その頃、ユーゴを探し地下神殿に迷い込んだアマリアたちは伝説のドラゴン・グルガログランに遭遇する。
侵入者だと誤認し襲いかかるグルガログラン。どうにか誤解を解いたアマリアたちの前に、ノックスの襲撃の危機を知らせにユーゴとアダマイが現れる。
ノックスの襲来を悟り、時間がないことを察したグルガログランはアダマイが説明し損ねた部分である「エリアトロープ」とその秘宝「エリアキューブ」の逸話を説明する。
所有者の力を無限に増幅させるという秘宝「エリアキューブ」が行方不明であること、自分たちの使命はそれを見つけてこの手に取り戻すことであること。
「エリアキューブは正しい心を持つ者が管理しなければならない。もし悪しき者に渡れば世界が滅ぶだろう」と。そしてその悪しき者とはノックスであるということを。

そしてついにオマ島にノックスが現れる。ユーゴがアダマイと追いかけっこをしているその騒動の間にひっそり島に忍び込んだ部下たちを使い、自らの居城を召喚する。
ノックスを迎え撃とうと対峙するユーゴたちだが、グルガログランはドラゴンの力で空間転移を行い、ユーゴたちとアダマイをはるか遠くのフリゴスト島へ逃がす。
グルガログランはここでノックスを挫き、ノックスの元にある「エリアキューブ」を取り戻そうと考えていた。ノックスもここでグルガログランを討ち、グルガログランの持つワクフを吸収しようと企んでいた。
何のためにワクフが必要なのか、ノックスは自らの目的を話す。自分の目的は時間遡行し「過ちを正す」ことであると。「エリアキューブ」で増幅された時間操作の力を起動させるため、多量のワクフを必要としていた。

咆哮だけで海が割れ山が噴火するグルガログランの力と、「エリアキューブ」により強化されたノックスの時間停止の力が激突する。
その激闘を制したのはノックスであった。「エリアキューブ」で強化された時間停止の力でグルガログランの動きを止め、その身からワクフを吸い取ろうとする。しかしグルガログランは最期の力を振り絞り、自死をすることでワクフを吸収されることを防いだ。
そして最期の力を振り絞り、ユーゴ達にノックスの次なる目標が「サディダ王国の「生命の木」」と「グルガログランの魂が転生したドフス(ドラゴンの卵)」であることを明らかにし、ノックスより先にドフスをユーゴに保護してほしいとメッセージを残した。
自分の祖国であるサディダ王国が狙われていると知り、一刻も早く王国に危機を伝えたいと主張するアマリア。しかしユーゴとアダマイはグルガログランのドフスを保護するためにドラゴンの神殿に向かわなければならない。
それぞれの目的のため、一行はここで分かれなければならない。だが孤独でないことを約束し、「何が起きようとも僕たちは一人じゃない」と誓い合う。そしてその証にと、自分たちは「トフの兄弟たち」であると名乗ることを決める。
そして「トフの兄弟たち」一行はここで別れる。ユーゴとアダマイはドラゴンの神殿へ、アマリアたちはサディダ王国へそれぞれ旅立つのであった。

ドラゴンの神殿に向かうユーゴは「エリアトロープ」の力を使いこなすため、道中を使って修行をする。
ポータルで物を瞬間移動させるだけでなく、他にも何か能力が目覚めないだろうか試行錯誤をするが、うまくいかない。その背中をノックスが送り込んだ刺客のイゴールが狙っていた。
パンサーのイゴールはアダマイを丸呑みにし、小さなトフ(小鳥)の姿に変えてしまう。どうにかイゴールを振り切り神殿へとたどり着くが、「こんな子供がグルガログランの名代なはずはない」と門番に追い返されてしまう。
しつこく食い下がり、神殿を守護するゴーレムを実力で倒すことで自身が「エリアトロープ」であることを認めさせ、無事ユーゴはグルガログランのドフスを手に入れる。
グルガログランのドフスを無事手に入れたユーゴは、アマリアたちのもとへと合流すべくサディダ王国へ向かう。

フリゴスト島に立ち寄った海賊たちに助けられ、船に載せられたアマリアたちは無事サディダ王国に到着する。
王にすぐさまノックスのことを話すが、なかなか信じてもらえない。アマリアが四苦八苦している中、王国の衛士がトリストパンを馬鹿にしたことで乱闘騒ぎが起きてしまう。
兵士の訓練場である闘技場で対決をすることになったトリストパンは兵士たちをあっという間に倒し得意顔をする。
その騒ぎを聞きつけてやってきたアルマンド王子、アマリア、エヴァンジェリンが闘技場に到着した。アルマンド王子は兵士たちから事情を聞き、トリストパンと1対1の勝負を申し出る。
決闘をすることになったトリストパンだが、アルマンド王子の植物を操る力に手も足も出ない。苦戦する様子を見て、ルビラックスは自らを解放することを囁く。
トリストパンはアルマンド王子に勝ちたい一心でルビラックスを解放してしまう。トリストパンの体を乗っ取り化物と化したルビラックスは圧倒的な力でアルマンド王子を捻り潰そうとする。
このままではアルマンド王子の身が危ないと察したエヴァンジェリンは二人の間に割って入る。だが、ルビラックスは容赦なくエヴァンジェリンを殴りつけ、弓を折る。
制止むなしく攻撃され、誇りである弓を壊されたことでエヴァンジェリンは涙ぐんでしまう。その涙を見て、ルビラックスの中に眠るトリストパンの自我が叫んだ。
ルビラックスから身体の主導権を取り戻したトリストパンは「俺はそうしたくてやったわけじゃない!」と叫び、闘技場を飛び出し森の中へ消えていく。

そのままサディダ王国を飛び出し、砂漠まで疾走するトリストパン。脳裏にはエヴァンジェリンが涙する姿が浮かんでいた。
男女として好意を持っていたエヴァンジェリンを泣かせてしまったことを悔い、その原因であるルビラックスを手放す決意をする。
地面に穴を掘り、そこにルビラックスの剣を埋めたトリストパンは砂漠を放浪する。蜃気楼で幻覚を見ながらもたどり着いたのは師匠のところであった。
師匠に事情を話し自らの挫折を告白するトリストパンに師匠は諭す。「女性の心は弓よりもずっと強くしなやかなものだ」と。
そしてシュシュの守護騎士の役目を放棄するのは逃げであり、その後悔を払拭するにはトリストパンがルビラックスの主人になることが必要だと叱る。主人となるには、ルビラックスとの決闘で勝ち、力を認めさせなければならない。力を認めさせることができればルビラックスを完全に制御できるようになり、今回のような惨事も起きないからだ。
翌日、覚悟を決めたトリストパンは、地中から脱出し後を追いかけてきたルビラックスと決闘する。「頭を使え」という師匠のアドバイスに従い頭突きでもってルビラックスに勝利し、無事トリストパンはシュシュの守護騎士としての矜持を取り戻す。

サディダ王国を飛び出していったトリストパンとルビラックスを探し、エヴァンジェリンは森をさまよう。一方、城ではアマリアが父である王の説得に成功し、ノックスを迎え撃つ準備をし始める。リュエルは決戦に備え、実家の地下に隠した「あるもの」を取りに行くと言ってサディダ王国を離れる。そしてそれから少し遅れ、ユーゴとアダマイがサディダ王国に到着した。
トリストパンの姿を探し森をさまようエヴァンジェリンは不思議なものを見つける。亡者のようなものが森の中で何かを建設しているのだ。王宮へ報せようとするが、エヴァンジェリンは亡者たちに見つかってしまう。
逃げ惑うエヴァンジェリンの悲鳴が聞こえ、アマリアとユーゴは王宮を抜け出しエヴァンジェリンの元へ急ぐ。合流に成功するが、亡者たちに追い詰められてしまった3人を颯爽とトリストパンが救出する。
4人は力を合わせ、亡者を撃退する。それと同時にサディダ王国の海岸にノックスの手下たちが次々と上陸していた。
ノックスの手下を迎え撃つサディダ王国の兵士たち。戦況はサディダ王国が優勢であった。しかし海岸での戦闘は囮であり、本命は森の中。つまり亡者たちが建設していた転移ポータルであった。
転移ポータルを使い、巨大な移動要塞ごとノックスがサディダ王国に現れる。ノックスの目標である「生命の木」は目の前であった。
ノックスを止めようとユーゴたちが立ちふさがる。それを排除しようとノックスは「レイザータイム」という機械兵器を放つ。
レイザータイムの強力な一撃に手も足も出ないユーゴたち。あれを止めるにはノックスを倒さなければならないと判断したアダマイは、レイザータイムをアマリアたちに任せてユーゴと2人でノックスがいる要塞の中に乗り込むことを提案する。
レイザータイムを引き受けたアマリアたちだったが、周囲の森ごと消し飛ばす光線を放つレイザータイムに太刀打ちできず膝をついてしまう。
動けないほど疲弊したアマリアを庇おうとするエヴァンジェリンにレイザータイムの光線が狙いを定める。その間に割って入ったのはトリストパンだった。
ルビラックスを完全に制御できるようになったトリストパンはレイザータイムの強力な光線を受けながらもエヴァンジェリンを庇う。
しかしそれも長くは持たず、光線の追い打ちを食らい重傷を負ってしまう。思わず駆け寄り抱き止めるエヴァンジェリン。「俺は伝説に踏み出したんだ」。そう言い残してトリストパンは息絶えた。
トリストパンの死から数歩遅れ、ようやくリュエルが合流する。ストルード家自慢のドリル兵器で立ち向かうものの、歯が立たない。
誰も止められるものはなく、レイザータイムは森を破壊しながら「生命の木」へ向かう。そして「生命の木」に針を突き立て、ワクフを吸収し始める。ワクフをすべて吸収され「生命の木」は枯れてしまった。

「200年ぶりだ……もうすぐパパは帰るよ。待っていてくれ、我が息子たち…」
「生命の木」のワクフを吸い取り、エネルギーが満ちてくる様子に歓喜するノックス。「エリアキューブ」を用いた時間遡行の術が始まろうとしていた。
その耳に慟哭が響く。トリストパンの死を悟り、怒りと悲しみにまみれたユーゴであった。
時間遡行の術が発動するまでにはまだ時間が必要であった。それまで相手をしてやるとノックスはユーゴたちを相手取る。
戦う間にも刻一刻と術の発動までの準備が整っていく。そしてついに時間遡行の術は完成する。

しかし、そのノックスの企みは思わぬところで頓挫する。200年の時を巻き戻すはずの術は、たった20分しか巻き戻せなかったのだ。
200年かけて準備をして効果はたったの20分だけ。そのことに絶望するノックス。執着が絶望に変わり、落胆するノックスは呆然と立ち尽くす。
それをサディダ王国の兵士たちが取り囲む。もう手段も方法も残っておらず、心が折れたノックスはもはや脅威ではない。そう言ったユーゴは何処かへ向かおうとするノックスを見逃す。
「エリアキューブ」を取り返したユーゴたちに構わず、ノックスはふらふらとその場を立ち去っていった。

無事に「エリアキューブ」を手にしたユーゴは、ふとあることに気がつく。
短かったが確かに20分、時間遡行はなされたのだ。時間が巻き戻ったということは、時間遡行によって「生命の木」が枯れたことがなかったことになったのと同じように、もしかしたらトリストパンの死もなかったことになったのではないか。
そう希望を抱き皆の元へ急ぐユーゴだが、トリストパンはエヴァンジェリンの腕の中で冷たくなったままであった。

すべてが終わり、再びサディダ王国に平和が訪れる。
トリストパンの生涯は伝説として語り継がれ、サディダ王国の一角に墓と記念碑が建つことになった。
仲間の喪失を嘆き、「トフの兄弟たち」は悲しみに暮れる。その姿を記念碑に刻まれた英雄の笑顔が見守っていた。

スペシャルエピソード「Noximilien l'Horloger」

時計職人ノクシミリアンは貧乏ながらも妻と子供に囲まれた幸せな生活を送っていた。
ある日、家族と海辺にピクニックに出かけたノクシミリアンは海岸の洞窟で不思議なキューブを見つける。
家族の反対を押し切り、ノクシミリアンは未知の力が秘められたキューブを家に持ち帰る。
これで新たな発見をすれば、その偉大なる発見に見合った報奨がもらえる。その報奨でもって質屋に借りた借金を返せるのではないかと研究に没頭する。
寝食を忘れて研究を続けるノクシミリアン。家族のことを顧みず取り憑かれたように研究をするノクシミリアンを気味悪がり、妻はキューブを捨てて元の穏やかな夫に戻ってほしい一心で子供を連れて家を出る。
一度はキューブを捨て家族がいるマヤラ島へ行こうと旅支度をするノクシミリアンだったが、キューブの持つ未知の力を捨てきれず研究に戻ってしまう。
そして研究がついに完成するが、妻と子供がいるという島は「オグレストの混沌」という大洪水によって水没し、生存者はいないと知らされる。

キューブによって人生が狂わされたと自身の研究を罵倒するノクシミリアンだが、ふとあることに気がつく。
「あぁ、そうだ、そうだ!私にはできる!我が人生の時計を修復できるだろう!」
この未知の力を秘めたキューブの力によって時間遡行を行い、キューブと出会ったあのピクニックの日に戻ればよいのだと。

「私はもはやノクシミリアンではない。我が名は……ノックス」

スペシャルエピソード「Goultard」

トリストパンの師匠である英雄ゴルタードが何故英雄と呼ばれるに至ったかを描く。

子供の頃から怪力を有し、大人の何倍も大きなミノトロール(2足歩行の牛の獣人)を片手で投げ飛ばすことができたゴルタード。その怪力は大人になり剣術と合わさったことで「英雄」と呼ばれるに至る。
ある日、観衆の中にいた女性に一目惚れをし猛烈なアタックの結果結ばれ、結婚し子供を設ける。幸せな生活であったが、それも長くは続かなかった。
カタールと名乗る男がゴルタードの不在の隙に妻と子供を誘拐したのだ。

ゴルタードはいくつもの難関を越えてカタールのもとにたどり着く。
「妻と子供には何もしていないだろうな?」とものすごい剣幕で詰め寄るが、カタールはニヤニヤと笑いながら「何もしてないさ」と答える。
カタールを倒さねば妻と子供を解放できないと判断したゴルタードはカタールに剣を向ける。向かう所敵なしのゴルタードを相手に、カタールは妙な動きで素手を駆使して戦う。
血を吐いても構わずに向かってくるカタールに蹴り飛ばされ、吹っ飛ばされたゴルタードは転がり出た先で信じられないものを見る。
そこには、拘束され吊るされたまま「何もされていない」……つまりは水も食事も与えられず飢えと乾きで事切れた妻と子供の姿があった。
ゴルタードは愛する妻と子供の無残な状態に怒り狂い、岸壁を貫通するほどの威力で殴りつけカタールを圧倒する。
「何故こんなことをした!」と胸ぐらを掴み詰め寄ると、カタールは「あの方に怒りを捧げるため」と答える。あの方とは、と更に質問を重ねようとしたゴルタードだったが、カタールの様子がおかしい。
もごもごと口を動かしたカタールの口から、黒い液体のようなもやが飛び出す。それは「シュシュ」と呼ばれる悪魔であった。カタールはシュシュに操られていたのだ。
シュシュは用済みとなったカタールを捨て、ゴルタードに狙いを定め、その口に侵入していく。

シュシュに自我を乗っ取られ、ゴルタードはシュシュの思うままに暴れる。
それは、近寄ることすら危険と警告がなされるほどであった。

「警告しておこう。君が相当の命知らずか馬鹿でもなければだが……ゴルタードと対峙してはならない」

Wakfu(ワクフ)の登場人物・キャラクター

ユーゴ

アニメ本編の主人公。12歳。一緒に連れているのは「アズ」という名前のトフという小鳥。
困っている人を見たら放っておけない性格で、ついつい手を差し出そうとする。そのせいで本来の目的を忘れそうになって仲間から咎められることもある。
物体をワープさせる能力を持つ種族エリアトロープの生き残りで「本当の家族」に会うために旅をする。

アズ

ユーゴのそばにいるトフ(ひよこのような小鳥)。ユーゴとは赤ん坊の頃から一緒にいる。
ただの鳥で戦う能力も持たないがユーゴの大事な相棒であり友達。
尾羽根にグルガログランが隠したメッセージが仕込まれていて、その尾羽根を介してグルガログランの死をユーゴたちに伝えた。
ここから名を取って「トフの兄弟たち」と命名された。

アマリア・シェラム・シャーム

13歳。植物の国サディダ王国の王女様で、巡礼のための旅をしている最中にエメルカ村に立ち寄り、ユーゴたちと出会った。
おてんばでわがままな性格だが、自然に対する愛に溢れている。植物を操る種族サディダの能力で植物や人形を操る。

エヴァンジェリン

愛称は「エヴァ」。アマリアの幼馴染兼護衛としてサディダ王国から旅立ち、エメルカ村にてユーゴと出会う。
真面目で堅実な性格で、それ故に状況に振り回される苦労人。
弓の名手である種族クラの名に恥じない射撃の腕を持つ17歳。

トリストパン・パーシダル

おとぎ話に登場する騎士やヒーローに憧れている16歳。
猪突猛進で考えなしのおバカ。「バカップ」と揶揄されることもしばしばだが、その一直線さが仲間を引っ張っていく。
師匠であるゴルタードから悪魔ルビラックスの宿る剣の守護を託されている。

7hfighter0214
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