ハイスコアガール(High Score Girl)のネタバレ解説まとめ

Hi score girl cover

『ハイスコアガール』は、押切蓮介によって連載されている漫画作品。ゲーマーである主人公ハルオの視点でゲームの歴史を丁寧かつ楽しく描いている。小学生時代の前半はゲームを中心としたコメディ展開が多いが、高校生に近づくにつれて恋愛描写やシリアスな展開が起きる。しかしながら全編に渡って散りばめられたコメディ要素は読者とクスリとさせてくれ、決して疲れさせることはない。

概要

ゲームセンターを主な舞台とし、アーケードゲームの歴史の変遷と、主人公のハルオを中心とした恋模様を描いた青春物語。
著作権侵害問題・刑事告訴事件のため、2014年VOL.9以降は休載中だったがSNKとの和解成立により2016年VOL.8より連載が再開された。2013年版『このマンガがすごい!』オトコ編で2位を獲得。2013年12月にアニメ化が発表されている。
往年のレトロゲームから近年のアーケードゲームまで細かい描写がなされている事が特徴として挙げられ、その時代を生きてきた世代ならば「あったあった!」と思わず頷いてしまうゲームと物語の諸所に散りばめられたギャグも非常に秀逸でクスリとさせてくれる。
さらにハルオを中心とした恋模様は小学生時代~高校生時代まで丁寧に描かれており、胸が締め付けられる経験をさせてくれるだろう。

あらすじ・ストーリー

小学生編

主人公である矢口春雄(やぐちはるお)は「豪指のハルオ」として行きつけのゲームセンターに通い、特に格闘ゲームではほぼ敵なしの強さを誇っていた。学校では勉強ダメ、運動ダメ、絵もヘタという3ダメのレッテルを貼られているハルオだったが、ゲームセンターではヒーローだった。
いつも通りゲームセンターの格闘ゲームで豪指をふるうハルオ。しかしそんな彼の前にクラスでは優等生のお嬢様として知られている大野晶(おおのあきら)が登場し、あろうことかハルオは得意の格闘ゲームで押されてしまう。反則まがいの戦法でどうにか勝ちを拾おうとするハルオだったが、その場で大野に殴られ乱闘騒ぎを起こしてしまう。
自分とは違う優等生が自分にとって”聖域”とも呼べるゲームセンターに何故やってくるのか、ハルオは憤りを隠せない。しかも乱闘騒ぎのおかげで行きつけのゲーセンから出入り禁止を喰らってしまった。これが2人の因縁の始まりだった。
はじめこそ大野を敵視していたハルオだったが、その圧倒的なまでのゲームセンスとどこか憎めない無口なキャラクターに次第に打ち解けていく。一方の大野は無口ゆえその心はわからないまでも、ハルオに対して次第に心を開く様子を見せる。
そんなある日、大野が夏休み明け海外へ転校してしまうことが発覚する。大野とのお別れ会でも素直に送り出すことができないハルオ。いつも通りゲームセンターに向かうが、どうにもスッキリしない。自分の聖域に踏み込んでくる忌々しい存在。そう思っていたはずの大野が、いつのまにか自分にとってかけがえのない存在になっていたことに気付き、大野が海外へ出立する空港に駆けつけ、大野と再会する。
ハルオはいつか2人で出かけたゲームセンターでゲットした景品である指輪を大野に渡し、大野は涙する。
そして2人は再会の約束をして別れるのだった。

中学生編

大野と別れてから2年余が過ぎ、中学2年生になったハルオだったが相変わらずゲーム三昧の日々を送っていた。そんな自堕落で良く言えば自由なハルオにクラスメイトの日高小春(ひだかこはる)が興味を持つ。次々と発売される格闘ゲームの新作に熱狂するハルオを後ろから眺めながら、勉強くらいしかやることがなく、自分が何をしたいのかもわからなかった小春は次第にその姿に強く惹かれていく。
一方でハルオは、大野との再戦を待ちわびながら格闘ゲームの腕を磨く日々を送っていた。
やがて中学3年生になったハルオはアメリカから帰国し、ハルオの学校に転入してきた大野と再会する。しかしここでひとつのすれ違いが生じる。
ハルオにとっての再会はつまり格闘ゲームにおける再戦の誓いであり、また格闘ゲームの腕を競い合えるものと思っていた。しかし大野の感情はそうではない。一人の人間としてハルオに魅力を感じ、好意を持っていたのだ。大野が別れ際の空港で流した涙は対戦できない悲しみではなく、単純にハルオとの別れを悲しんだものだった。そんな2人の微妙なすれ違いから再戦の機会がなかなか訪れない。
ハルオは「何故自分と格闘ゲームで再戦してくれないのか。あんなに練習を重ねてきたのに」と考え、大野は「自分との再会で思う事は格闘ゲームでの再戦だけなのか。他に言う事はないのか」と考えていた。そうして二人はすれ違ってしまう。
そんな状況に焦るハルオだったが、修学旅行の自由時間に参加した格闘ゲーム大会で同じく参加していた大野の姿を見つける。
ハルオと大野が偶然一緒に参加できたゲーム大会の機会を逃すまいと鬼神のごとくで勝ち上がり、決勝の大舞台で遂に因縁の再戦を迎える。結果勝利するハルオだったが、大会終了後大野側のコントローラが故障していたことに気付く。
「こんな俺にはキックボタンのみで余裕ってか…表彰された俺はさぞかし滑稽だったろう」とハルオは激怒し、大野と乱闘を行うが、その時小学生時代にプレゼントした指輪を大野が未だに首から下げていたことに気付く。
こうして衝突を経た2人はまた昔のように大野と遊ぶようになる。ハルオは次第に「大野と戦いたい」ではなく「大野と一緒にいたい」と思っている自分の想いを自覚するようになった。
高校に進学する2人。学力で圧倒的にハルオを上回る大野は家の厳しい教育方針もあり進学校への挑戦を選択する。一方ハルオは大野の進学先を知り、現在の学力では到底不可能であるはずのその学校への入学試験挑戦を決意し、ゲームを封印した。

高校生編

ハルオは進学校への受験に失敗した。結局再び大野と別れることになってしまったハルオはゲームセンターへの足が遠のき、悶々とした日々を過ごす。そんな状態を見かねた小春は半ば強引にゲームセンターへとハルオを連れ出し、格闘ゲームで勝負を挑む。格下であるはずの小春にハルオは余裕をもって対戦を承諾するが、結果は完膚なきまでの敗北。小春もまた大野の近くにいたくて勉強したハルオと同じように「ハルオに近づきたい」一心で格闘ゲームの腕を磨いていたのだ。まさかの敗北で失意のどん底に落ちるハルオ。しかしこの敗北によってゲーマーとしてのプライドが再燃し、遠のいていたゲームセンターへ足しげく通うようになる。ゲームセンターとはハルオと大野の関係上でも”出会いの場”であり、それは大野への再戦の想いに再び火が付いたことを表している。こうしてハルオのゲームセンター通いと言う名の修行が再開された。
一方大野はハルオへの恋心を自覚しながらも、厳しい教育方針をもつ家庭環境に阻まれ会いに行くことすら難しい状況にあった。そんな大野の様子を知ったハルオは大野のために自分ができることを考え、小春や友人との会話の中の端々に大野の姿が映るようになる。そんな2人の絆を目の当たりにし胸の痛みを隠せない小春。そんな3人の想いが交錯する中、想いを抑えられなくなった小春はある日ハルオへ決死の告白を行う。「私と勝負して私が勝ったら私と付き合ってほしい」と。
一方大野は家庭でのお目付け役である業田先生と対立していた。大野の姉は自由奔放な性格で大野家の厳しい教育方針に反発している。その結果妹である大野は大野家の中で業田先生から過剰な”教育”という名の締め付けを受けていた。自由な外出もほとんど許されず、毎日弓道や勉強に縛り付けられる日々。そして業田先生は大野が外出する理由にハルオが関係していると考え、半ば無理矢理ハルオと会う事を禁止する。しかし離れてもなおハルオの心は大野に、大野の心はハルオに向き、その熱い想いを胸に2人は日々を過ごしていく。
そして夏休みの終わりを前に、ハルオは小春から告白された際に約束した格闘ゲームの戦いに身を投じる。結果はハルオの勝利に終わったが、諦めきれない小春はハルオに再戦の約束を取り付ける。
その後ハルオは地元ゲームセンターに通う日々を続けるが、小春の取り巻きの男子たちのハルオへの嫉妬により地元ゲームセンターを追い出され、別の街のゲームセンターへ通うようになる。
そんなある日、地元ゲームセンターとハルオの通う別の街のゲームセンターの対抗戦とも言える格闘ゲーム大会が開催される。その大会の中でハルオにアプローチをかける見ず知らずの女子がいることに気付いた小春は怒りのチカラで百戦錬磨の活躍を見せ、その大会を全員抜きで勝利する。
大会後小春はこんな大会に意味はないとハルオを外に連れ出し、半ば無理やりデートをする。その後終電を逃した2人はファミレスで一夜を過ごして外に出る。ここで長年の想いが溢れ出た小春はハルオを抱きしめ、抱きしめてほしいと懇願する。その状況を目撃する少女が一人。
大野は呆然としたまま抱き合う2人を見つめていた。

登場人物・キャラクター

矢口 春雄(やぐち はるお) / ハルオ

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本作の主人公。無類のゲーム好きの少年。ジャンルとしては格闘ゲームや横スクロールアクションを好んでいるが、ゲーム全般を愛している。特に格闘ゲームにについてはその腕前に相当の自信を持っており、近所では敵なしの実力を誇ることから「豪指のハルオ」を自称する。
勉強も運動もついでに絵も苦手な劣等生で、担任教師やクラスメイトからも見下されバカにされる。そんな中唯一ゲームの腕前だけが誇れるものであり、自分が最も輝ける場所であるゲームセンターを「聖域」と呼んでいた。しかしそんなある日行きつけのゲームセンターに現れた大野晶との出会いを境に、己の居場所とプライドを脅かす存在である大野に対抗意識を燃やす。そんな2人の激突は避けられない。
こうしてゲームしか脳がないように見えるハルオだが、他人にはなかなか気づかれない不思議な魅力と優しさを持ち、大野もそんなハルオの魅力に次第に惹かれていく。またハルオも、無口ながらゲームと真摯に向き合う大野を好敵手として認めていくようになる。
小学校から高校にかけて格闘ゲームや家庭環境でのぶつかり合いを通じ、ハルオと大野は互いに想いを募らせ惹かれ合っていく。なお小春からの想いには困惑気味。

大野 晶(おおの あきら)

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本作のヒロインであり、才色兼備・文武両道のお嬢様。容姿も端麗で、学校では周囲から慕われる一方で、家庭では財閥の令嬢として多くの稽古事を強いられており、息苦しい日々を送っている。その日々の息抜きのために放課後はこっそりゲームセンターに通っている。
極めて無口でなおかつ財閥のお嬢様ということもあり、周囲から一方的な好意を寄せられることはあるものの、友人と呼べるものはいない。普段は無口で静かな美少女だが、格闘ゲームにて卑怯な戦法で攻めてきたハルオを筐体ごと蹴っ飛ばすなど喧嘩っ早い一面も持つ。
そんな無口で何を考えているかわからない大野だが、ハルオはゲームを通じて彼女と関わり、次第に表情や挙動を通して大野の感情を少しずつ理解できるようになっていく。大野も小学生当初はハルオに対し敵意を向けていたが、ゲームを通じて次々と知らない世界を見せ、不器用ながらも自分を思いやってくれるハルオに心を許し、次第にハルオは大野にとって大切な存在になっていく。

日高 小春(ひだか こはる)

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本作のもう1人のヒロイン。中学生時代にクラスメイトとしてハルオと出会う。端正な顔立ちと成長著しい胸が人目を引く可愛らしい容姿の持ち主だが、人付き合いが苦手な性格からクラスではあまり目立たない存在である。
勉強くらいしかやることがなく、無趣味な自分と違い、毎日楽しそうにゲームをしているハルオに興味を抱き、その興味は次第に好意へと変わっていく。
格闘ゲームについては天賦の才があり、さらにハルオに近づくため練習を重ねた小春はめきめきとその腕を上達させていく。
元々無趣味でどこか無気力な小春は自分に自信が持てずにいたが、ゲームを通じて自信がついたことでハルオを挑発・翻弄するような小悪魔的一面も垣間見せるようになっていく。
ハルオと大野の間にある自分には越えがたい絆には気付いている。しかし自分の中にあるハルオへの想いは止められない。
ある日ハルオと小春の2人はひょんなことから始発を待って夜を過ごすことになり、小春は勇気を出してハルオを布団のある部屋へと誘うが、ハルオは戸惑いながらそれに応じることはなかった。

矢口 なみえ(やぐち なみえ)

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ハルオの母親。年中無休でゲームに熱中している。というかゲームしか頭にないハルオに頭を痛めつつも愛情を注いでいる。夫は単身赴任中であるが、夫婦仲は円満。矢口家に業田先生が乗り込んできた際には、一方的にハルオを糾弾する業田先生に対して自身の教育観を以て反論すると同時に息子を誇り、援護してみせた。大野・小春双方のヒロインと面識があり、ハルオを取り巻く恋模様についてもある程度状況は察しているが、苦悩しながらも前へ進もうとする息子を尊重して、その背中を押している。

じいや

大野家に仕える執事。晶の送迎はじいやの運転するリムジンにより行われている。幼少期から大野の成長を見守っており、大野の良き理解者でもある。厳しい教育方針に縛られる大野のためにたびたびゲームセンターに送り届けたり車にこっそり携帯ゲーム機を忍ばせるなどの気遣いを見せている。ハルオに対しても当初はなんとも思っていなかったが、中学生時代以降は大野を支えてくれる重要な人物として接している。

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