ホタルノヒカリ(Hotaru no Hikari)のネタバレ解説まとめ

『ホタルノヒカリ』とは、ひうらさとるによって2004年から2009年まで『Kiss』に掲載された漫画作品。2007年に綾瀬はるか主演にてテレビドラマ化され、2010年に『ホタルノヒカリ2』、2012年には『映画 ホタルノヒカリ』と続いた。恋愛するより家で寝ていたいと思っている27歳の干物女雨宮蛍が、枯れ果て忘れていた恋心を取り戻す物語。

概要

ひうらさとるによる日本の漫画作品。講談社「Kiss」にて2004年No.16から2009年No.13まで掲載された。全15巻。2007年7月日本テレビにて綾瀬はるか主演でテレビドラマ化された。2010年7月、ホタルノヒカリ2が放送。2012年6月ホタルノヒカリ2のその後の物語が映画化された。

SW社に勤める27歳独身の雨宮蛍は、会社では有能な仕事ぶりを見せるOLだが、家に帰るとジャージにちょんまげ、片手にビール。合コンよりも家でゴロゴロするのが大好きな干物女だった。それがある日、上司の高野部長と同居することに。
高野部長と新進家具デザイナーの手嶋マコトを相手に、枯れ果てた干物女が数年ぶりの恋愛に向き合う物語。

20代の女性であるにも関わらず、平日は会社から帰るとだらだらと漫画を読み、一人手酌で酒を飲む。休日はぐうたらと過ごすことを至上の幸せと感じている、だらけて恋愛から遠ざかっている女性を干物女といい、主人公・蛍の性格や生活スタイルなどに共感を持つ女性たちに高い人気を誇った。

あらすじ・ストーリー

27歳の雨宮蛍は恋愛よりも家でごろごろ寝ていたいというタイプだった。ある休日、家でごろごろしていたら、会社の部長である高野誠一、41歳が現れた。蛍が住んでいる家は、元は高野部長の物で、高野部長の父が住んでいるはずだった。蛍は海外へ行く高野の父と飲み屋で意気投合し、家を借りていたのだ。高野は、妻との別居を機に家に戻ってきたのだ。27歳という年頃の女性でありながら、休日に家で一人ゴロゴロしており、ジャージにちょんまげ姿、部屋の中は片付いておらず雑然として汚い。高野はそんな状態の蛍に激怒し呆れ、恋愛にも縁がない蛍を「干物女」と言い切った。高野は、蛍に出て行けというが、蛍の泣き落しに負け、すぐには追い出せず、仕方なく誰にも内緒で蛍と同居することになった。

蛍の勤めるSW社インテリア事業部に新進家具デザイナーの手嶋マコトがやってきた。若く才能溢れるマコトは事業部のアイドルで、蛍もマコトに憧れる一人だった。ある日マコトのサポートを任せられた蛍は舞い上がってしまい大失敗してしまう。現場で落ち込んでいると、皆で飲みに行ったはずのマコトが戻ってきて、蛍の失敗はむしろアイディアに詰まっていた自分にとって、時間を貰えたのでよかったと慰められた。会話中、バランスを崩した蛍を支えたマコトは思わず蛍にキスをしてしまった。マコトにとって蛍は少し気になる存在だったのだ。動揺した蛍はマコトを突き飛ばし家に逃げ帰り、家でくつろいでいた高野に、男は好きでもない女にキスをするのかと聞いてしまう。高野は惚れた女にしかしない、と答え、蛍はマコトとの恋愛に頑張ってみようと決めた。
蛍はマコトに好かれていると思ってマコトからの連絡を待つが何もなく、一週間も過ぎてしまった。それでも、マコトが家具を手がけたビルのオープニングパーティーの司会を高野に任された蛍は、彼の仕事に関われることを喜び、仕事に励んでいた。蛍は、パーティーの司会を任されたことをマコトに報告し、マコトもパーティに来ないかと誘ってみるが、忙しいと断られてしまった。キスした直後に蛍に逃げられたマコトは嫌われていると勘違いし、蛍を避けるようになってしまっていたのだ。断られた蛍は落ち込むが、高野に励まされ、気持ちを切り替えてパーティーを進行させていると、マコトが遅れたが来てくれた。マコトは綺麗に磨かれた自分の収めた家具を見て、丁寧に磨いてくれた蛍に感謝の言葉を口にした。家具の感想を蛍に聞くマコトは、蛍に「好きですよ」と言われた。蛍は家具だけでなく、マコトのことも好きだと伝えると、「オレのほうが絶対好き、彼氏になっていい?」とお互いの気持ちを確認し合い、2人は付き合うことになった。
恋愛から5年も遠ざかり、経験も乏しい蛍に恋愛はとても難しい。マコトの言葉を深読みし勘違い、その度に落ち込み高野からアドバイスをもらい、ぎこちないながらも蛍の恋は進んでいった。

新しいプロジェクトでLD社の三枝優華という女性とマコトと一緒に仕事をすることになった。可愛く、仕事や気遣いもでき、誰もが羨む「ステキ女子」である優華は、ロンドンでマコトと知り合い、マコトに好意を寄せいていた。蛍がマコトの彼女であると知っているにも関わらず、外国育ちの優華は積極的にマコトにアプローチをする。優華に負けまいと蛍も頑張るが空回りしてしまう。蛍がマコトの慰労と仕事の打ち上げのために企画していたパーティーは、同じことを考えた優華が企画したパーティーのレベルの高さに、自分も企画した、とは言えずに開催できずに終わってしまった。優華が企画したパーティー当日、高野から行かないのかと問われ、蛍は惨めで行けるわけがない、と卑屈になっていた。「自分も企画したって言えばいいのに」と言われたが、どうせ自分なんか優華にかなわないと僻んでしまう。「言わなきゃ伝わらない、君が頑張っていたのを知っている」と言われたが、それを振り切り、同日開催されていた同窓会に出かけてしまった。同窓会で当時、好きだった彼の話になった時、彼と一緒にいた女子が彼女だと思い込み、事実確認をする前に諦めてしまっていた事が判明した。自分の思い込みと僻みから失敗した高校時代と同じように、今の自分もマコトを信じず、勝手に卑屈になっていることがわかった。反省した蛍は、勇気を振り絞り優華の企画したパーティーに赴き、皆の前で優華に「マコトは譲れない」と言うことができた。マコトも皆の前で蛍は「誰にもなににも譲れない人」と公言し、蛍とマコトは公認のカップルになった。

公認の彼女となり幸せいっぱいの蛍は、週末もマコトの自宅でゆっくり過ごす。しかし、素の自分が出せずリラックスできない。蛍のリラックスは、ジャージにちょんまげ、縁側でビールという高野と2人で過ごす時間だった。
ある日、高野の父が海外から突然戻ってきた。高野と父は折り合いが悪く、喧嘩ばかりしている。しばらく3人一緒に暮らしていたが、その中で高野は父から、「家庭は型にはめて作るのではなく、好きな人と帰る場所がいつの間にか居心地のいい家になる」と教えられた。その言葉を、隣にいる蛍の顔を眺めながら、考えていた。
新しい仕事が始まり、LD社の神宮司要という人がやってきた。優華の大学の先輩であり、仕事はできるが口の悪い、まるで殿様のような人だった。
新しい仕事は、手島マコトプロデュースの会員制サロン。コーディネーターを要が担当する。要は仕事が早くかなり出来る人で、プロデューサーのマコトにとても厳しい。蛍はなんとかマコトを庇おうと積極的に意見を言ったり、マコトがキツく当たられていると要をその場から連れ出したりと応戦するが、要から干物姿を撮った画像を見せられ、蛍の態度次第ではこの写真をマコトにバラすと脅されてしまった。要と蛍の家は近所で、いつもの干物姿(ジャージにちょんまげ、サンダル)で出歩いていたところを撮影されていたのだった。またもや要からきつい言葉を浴びせられているマコトを庇おうとした直後、マコトから君の仕事には関係ないから口を出すな、しばらく個人的には会わないと言われ、干物姿がバレたと思い込み、蛍は会社を休み引きこもって落ち込んでいた。
しかし、資料といってマコトに送信された画像には、ジャージ姿の女性が蛍だとはわからないように加工が施されていた。要が蛍の秘密をバラしたから会わないと言われたのではなく、仕事に集中したいからだとわかった蛍は、要のことを誤解していたとわかり、それをきっかけに要と親しく話をするようになった。その中で、要が優華をずっと想っていること、優華を振ったマコトに良い感情を持っていないことを知った。

自宅に帰る途中、高野を見かけた要は何気なく高野の後をつけ、高野と蛍が同居している事を知ってしまった。マコトと付き合っているのに、他の男と同居していることを要に責められた蛍は、マコトに全てを打ち明けようともがくが、上手くいかない。意を決して高野に同居解消を申し出ようとするが、今の関係が心地よすぎてなかなか自分から言い出すことができなった。そんな時に、自宅に呼んでくれない蛍に不安を抱いたマコトがアポなしで家に来た。慌てて高野に連絡を取り、帰ってこないようにお願いし、なんとかマコトに同居がバレることは避けた。突然の訪問だったにも関わらず、優しい対応、家庭的な蛍を見てマコトは同棲を提案するが、蛍は聞こえないふりをしてしまった。これをきっかけに、自立することを真剣に考え始めた蛍は、庭にテントを張って住んでみたり、コンビニでバイトをしたりと挙動不審になってしまう。そんな蛍を見て、事情を察した高野は自分から家を出ていってしまった。

一人での生活、高野と一緒にいた時のように、きっちりきれいにするつもりだったのに、全くうまくいかない。一週間のスケジュールをしっかり決めてみたものの、少しずつ予定がずれ、明日やろう、明日やろうと思っているうちにかつて、高野と同居する前のように部屋は汚く、雑然としてしまった。
仕事をして生活をして恋愛までするのがこんなに大変だったのかと改めて思う蛍だった。
家を出たものの、蛍を気遣う高野は、蛍が急にイベント司会の代役を任されたことを知り、顔色が悪かったことを思い出し会場で見守っていた。蛍が体調不良で倒れそうになっているのを見かけ、駆けつけた高野の機転でその場は収まったものの、頑張りすぎる蛍を高野は叱る。同居は解消して、ただの上司と部下に戻ってみたものの、高野は蛍に対し心配でほっとけないという思いを抱いていた。

ある日、蛍はマコトの友人の結婚式にマコトと2人で出席することになった。感激する花嫁を見て結婚を意識してしまう蛍。以前言われた、一緒に住もうという発言を具体的にどう考えているかマコトに聞いてみると、「このまま一緒に住みたいくらい」と言われ、すぐにでも結婚なのか、これはプロポーズなのかと思い込み、話の途中で逃げてしまった。逃げたことを悔やみ、数日後マコトに連絡を取るが、マコトはこれからニューヨークに行くところで、詳しい話は全くできずに終わってしまった。マコトが帰ってくるまではわからないが、「一緒に住みたいくらい」とプロポーズに近いことを言われたと思った蛍は、結婚に向けて気持ちが盛り上がっていった。

ある休日、鉄道展に出かけた高野は、蛍の甥っ子2人に会った。2人は蛍の家に行く途中だったので、高野も一緒に行くことにした。久しぶりに行ってみた家は、蛍と初めて家で出会った時のように汚い。蛍は、かつてのように叱られながら掃除をさせられ、綺麗になった部屋の縁側で2人でビールを飲むと、1人では味気なく感じていたビールがやけに美味しく感じられた。蛍は、高野から「収まるところに収まった」と聞いており、妻と復縁してマンションに戻ったと思っていた。しかし「ヨリが戻らないことに話が収まった」という話を聞く。じゃあなんでこの家を出ていく必要があったのかと騒ぐ蛍に高野は、自分たち2人が住んでいたこの家にマコトを泊めたことが原因だと告げ、マンションに帰っていった。高野の一言に蛍は激しく動揺した。

高野が住んでいるマンションが水浸しになった。蛍はマンションの修理が終わるまでの期限付きの同居を申し入れた。高野は了承し、一緒に暮らすようになるが、今までとは違う、甘えたような一面を見せる高野に蛍はドギマギしてしまう。同僚たちに話を聞いてみると、どうやら高野はこの半月ほど珍しく沈んだ様子で、らしくないミスまでしていたらしい。その時期は、高野とその妻の復縁がなくなることが決まった頃と一致していた。今まで迷惑ばかりかけてきたお詫びに、今度は自分が高野の悩みを聞こうと、居間で飲もうと誘ってみるが拒絶され、蛍は「じゃあ甘えないでくださいよ」と逆ギレしてしまった。しかし、直後に蛍がすっ転び、緊迫した雰囲気はぶち壊しになる。高野は大笑いの後、どうでもいいことで怒ったりバカ笑いした他愛のない毎日が高野にとっても心が休まる大切な時間だったと本音を語った。蛍は自分だけでなく高野も同じことを思っていたと知り、気持ちのモヤモヤが晴れた。

長期間ニューヨークに行っていたマコトが帰ってきた。出張前には同棲を匂わされていたので、プロポーズされるのではと蛍は早とちりするが、マコトにその気配はない。しかし、北海道のマコトの実家に誘われた蛍は、今度こそ結婚フラグかと期待してみたが、結婚が意味のあるものかわからないとマコトに言われ、振られたと思い落ち込んだ。一方のマコトは、友人から自分の言い方が蛍に誤解を与える言い方だったと指摘され、蛍と話をするために蛍の家に向かう。
マコトから家に向かっていると連絡を受けた蛍はすぐに高野に連絡するが、なかなか繋がらない。高野は風邪をひき家で寝込んでいたのだ。郵便物を受け取りにたまたま外に出て、マコトの姿を見かけた高野は蛍にすぐに連絡を取り、マコトが家に着く前になんとか阻止することができた。このことで、高野との同居がバレた時にマコトにどんなショックを与えるか、自分が本当に取り返しがつかないことをしていたのだと自覚した蛍は、マコトに正直に話すことを決意した。自分がすぐにマンションに帰ればこのままバレずにマコトを傷つけずなかったことにできる、と高野は言うが、蛍はマコトに正直に話すことを選択した。蛍を気遣い、高野は黙って家を出ていき、蛍はマコトに正直に全てを告白した。
賃貸契約トラブルが原因で同居を始めたこと、上司と部下以上の関係ではないこと。マコトと付き合うためにはどうしても高野の言葉が必要だったこと。「好きな人ができてもオタオタするばっかりですぐ投げ出したくなって…、そのくせすぐカッコだけとりつくろって…身近な人の一言で…やっと…ちっちゃい一歩すすめる…そんな恋愛しかできない、情けないけどこれがホントのあたしです」と告白し、マコトとここからもう一度始めたいと訴えてみたが、気持ちの整理がつかないと言われ、受け入れては貰えなかった。

マコトは蛍の告白を聞き、混乱していた。蛍が家での時間をとても大切にしているのを知っていたので、その相手が高野と知り、どうしても悶々とした気持ちを抑えることができなかった。それでも、これまでの蛍の様子や高野の人となり、今まで蛍と一緒に過ごした時間などを思い出し、蛍が震えながら告白していたことや、結婚話が進み、家を出ることになればこのままバレずに済んだことをあえて告白した蛍に、向き合わなければいけないと考え始めていた。
ある時、仕事場で偶然マコトに出会った高野は、マコトを誘い2人で話すことにした。高野の蛍を全てを知っているような態度に腹を立てたマコトは、「勝手に一緒に住んでんじゃねーよ!バカヤロー」と高野に暴言を吐く。そしてなぜ許せないのか、ぶつかれないのか、蛍にきちんと伝えろと高野に諭された。マコトは高野に対する対抗心から蛍にもう一度だけ信じるから今すぐ一緒に暮らそうという。蛍は急いで荷造りを始めるが、その時、高野が事故にあったと連絡が入った。手術をするので、家族の同意が必要ということで、高野の妻の連絡先を知るために、高野のマンションに向かうことになった。高野が妻と別居中という事情を知る高野の友人・虎田六郎やマコトと一緒に、蛍は高野のマンションに行くと、出していない婚姻届けと指輪を見つけてしまった。高野は届けを提出し、結婚していたと信じていたのに、実は結婚していなかったということを、妻が出て行って初めて知ったのだ。10年も一緒に暮らし、信じていた人に隠し事をされていた事に、高野はショックを受け、悩んでいたのだ。高野が受けた苦しみや悲しみ、深い悩みを慮った蛍は高野を放っておくことができず、高野が退院するまで、マコトとの同居は待って欲しいと訴えた。事態を考慮し、同棲の延期を了承したものの、意識の戻った高野と蛍の言い合いに、2人の絆の強さを見せつけられた気がして、内心穏やかではないマコトだった。
病院で高野に付き添う蛍は、マコトとの同棲に向けて引越しの準備と高野の看病に負われて余裕が無くなり、綺麗に装うことを止めた。自分のいつもの干物姿(ジャージとちょんまげ)が入院患者にとても近いことに気づき、その姿であちこち歩き回るようになった。その姿を見舞いに来たマコトに見られてしまい、あわてて隠そうとするが失敗してしまう。そんな姿をごく普通に受け入れている高野を見て、もう、蛍を受け入れることは無理だと感じたマコトは蛍に別れを告げた。

マコトにはっきりと振られたものの、蛍の気持ちはまだ終わっておらず、まだ好きだという気持ちを伝えていないことに気づき、荷物をまとめてマコトの仕事場に押しかけた蛍は、話をさせて欲しいと伝えるが、マコトに話すことは何もないと追い返されてしまった。

マコトに振られ、1人で自活しなければ今までと変わらないと思い、高野の家も出た蛍は友人・古田優子の家に転がり込む。優子に怒られながら、自立の道を模索し、とりあえずウィークリーマンションに住むことに決めた。
仕事では「手嶋マコト作品展」という企画を任されることになり、別れたことを誰にも告げていない蛍は複雑だが、仕事を懸命に取り組む。作品展は大好評でオープニングパーティーにもたくさんの人が集まった。マコトを高く評価する海外のアーティストもパーティーに参加しており、この作品展を取り仕切り、マコトを深く理解する蛍も一緒にニューヨークに来るように誘われた。それを聞いていた人々の話に尾ひれが付き、それが結婚してニューヨークに行くことにまで話が広がってしまった。誤解を解くこともできず、うろたえる蛍からオープニングパーティーのスピーチでマイクを受け取ったマコトは、作品展に訪れている人々の前で蛍と別れたと宣言した。大勢の人の前で別れたことを発表された蛍はいたたまれない気持ちになったが、その場は気丈に乗り切り、誰も来ない裏口で一人泣いた。
蛍とマコトは上手くいっていると思っていた高野は、退院後、蛍がマコトに振られたことを知り、蛍に会いに行った。高野は蛍の作品展の仕事を褒め、作品展のブログにマコトがコメントを書いていることを知らせた。そこには作品展を見に来てくれた人への感謝と好評を博した作品展を取り仕切った蛍に対しての感謝が寄せられていた。蛍との過去があったから今の自分と未来の自分がいるのだというマコトのコメントを蛍に見せた高野は、蛍の辛いやりきれない気持ちを和らげた。

蛍は定住先が見つからず、未だにウィークリーマンションに住んでいる。さらに今まで蔑ろにしてきた会社の人との付き合いも積極的に行うようになったため、貯金が底を付き、途方にくれている時、偶然高野に会った。高野から初めに戻れば、と助言を受け、元居た家に戻った蛍。高野はマンション暮らしだから、これから一人暮らしを頑張ろうと決意を新たにするが、そこには居るはずのない高野の姿があった。
高野の言う「初めに戻れ」とは、身の丈にあった生活をしろ、という意味だったのだが、伝わらず、蛍はこの家に戻って来てしまった。高野はマンションを売り、父のために沖縄に一軒家を買い、ここで暮らしていたのだ。戻ってきた蛍の貯金残高は果てしなくゼロに近く、仕方なく高野は蛍を家政婦として雇うことにし、2人の同居が始まった。

少し前に神宮司要は三枝優華に7年越しの思いを告白していたが、優華は要を先輩としてしか見ていなかったため断られていた。しかし、告白されたことにより、要を意識するようになった優華は、マコトにひどい振られ方をした蛍を元気づけるために気遣う要が気に入らない。そんな2人の様子に気づいた蛍は、優華と要の恋を応援しようと画策する。あれこれ2人に構う蛍に高野は人のお節介を焼いていていいのかと言うが、蛍は自分の恋愛の時にたくさんのアドバイスをもらったことがかけがえのないことだったから、自分がダメになった今、2人を応援するんだと言い張る。蛍は2人のためにクリスマスイブにカフェデートをセッティングする。上手くいきかけた要と優華だが、仲の良い蛍と要の仲を誤解した同僚の言葉を聞き不安を覚え、優華はカフェに行けずにいた。結局優華はカフェに現れず、要は自分を信じず、思い通りにいかない優華を諦めるため、優華と行くはずだったホテルに蛍を連れて行った。
飲み過ぎ、酔いつぶれ、いつしか朝になっていた2人は途中から記憶が飛んでおり、もしかしたら2人の間に何かがあったのかもと疑いつつも口にすることができない。しかし、自然になんでもポンポン言い合える2人なら、付き合う事も有りではないかと思った要は蛍をデートに誘う。誘われた蛍は、高野の「恋愛上手な人間は来た波にとりあえずなんとなく乗ってみる」という言葉に触発され、要と飲みに行くことにした。アメで息を爽やかにし、要の事を考えると胸がドキドキしてときめいているような感じがした。試しに2人で出かけてみると、話も趣味も合い、全てが楽しい。しかしこれは愛情なのか友情なのか判断がつかない。結局2人が胸のトキメキだと勘違いした心臓の動悸は、2人がデート中服用していたアメの副作用だったことが分かり、恋愛ではなく、変わらぬ友情を誓い合った。
改めて優華と向き合おうとする要だが、男女の友情が信じられない優華は可愛くない態度で要を怒らせてしまう。要に呆れられてしまって落ち込む優華に同僚たちはたまには素直に正直になれ、と言い、優華は要に本当は好きなのだと伝えることができた。

蛍と再度同居を始めた高野は、自分も恋愛してみようかな、などと軽口を叩いていた。そして本当に、高野の近くに女の影が現れた。それは高野の亡き親友の妻と子供だった。親友の妻・葵は娘の父親になってくれる人を探しており高野に目をつけたのだ。葵は休日に家に押しかけ、手料理を振舞ったり、掃除をしたりとアピールが激しい。娘は母の気持ちを慮り、母と高野とくっつけようとするが蛍に邪魔をされ上手くいかない。娘が母のことをどれだけ大切に思っているか、親友が亡くなってまだ3年なんだから、無理して父親を見つけなくてもいいと高野に諭され、あの家は蛍が先に住んでいたので、他人を入れることはできないと言われた葵は高野を諦めることにした。高野は蛍に、2人で住んでいる家に勝手に他人を入れて悪かった、と謝った。
高野と住む家に他人が入り、不快に感じた蛍はその気持ちが恋であることに気づいた。

高野に向かってもう一度恋を頑張ろうと決めた矢先、高野の元妻・深雪から連絡が入った。高野の父が怪我をしたという。沖縄に移住した父は、偶然沖縄で店を構えていた深雪と会い、怪我の看病をしてもらっていたのだ。高野は急遽休みを取り、沖縄へ向かった。いてもたってもいられない蛍は金曜午後だったこともあり高野を追いかけ沖縄へ出発した。会社に連絡すると、都合よく沖縄での仕事が入り、仕事をこなしつつ高野に会いにいくことにした。
仕事のため、沖縄のアーティスト村に立ち寄るとそこにいたのは元彼・マコトだった。
再会した2人は、円満に別れられなかったお互いの未熟さ、傷つけてしまったこと、その時言いたかったことなどを語り合い、和解することができた。中途半端に終わった恋にようやく区切りをつけることができた。
もう、マコトには嘘をつきたくない蛍は、高野を追いかけて沖縄へ来たこと、高野への思いを正直に告げた。高野に会いに、深雪の店へ行ってみるとそこには和やかに話す高野の姿があった。穏やかに、安心した表情で深雪と接する高野を見て、蛍はショックを受ける。マコトはそれを慰め、高野に一泡吹かせないかと提案をする。
そしてなりゆきで4人で休日を過ごすことになった。
高野とマコトはフリークライミング。蛍と深雪は体験教室と別行動している時、蛍はニコニコと振舞う深雪に我慢できず、深雪の行動で高野がどんなに傷ついたのかわかるのかと問い詰めてしまった。深雪は、ちょっとした我慢が長年の間積み重なり、気づいた時には2人の間に大きな隔たりができていた、と話した。婚姻届も、出さなければいけないと思っていたが、気づけば1年も経ってしまい、その時初めて自分がすごく疲れていることに気づいたこと。深雪の気持ちが若い頃のまま、何も言わずに全てが分かり合えていた頃のまま、気持ちが終わっていたことを語った。
フリークライミングをしていたマコトは、高野の大人ぶった余裕な態度が気に触り、蛍とヨリを戻し、ニューヨークへ連れて行くと宣言してしまった。もちろんそれは一泡吹かせたいマコトの嘘なのだが、間に受けた高野は激しく動揺する。

沖縄から戻った高野になんとなく冷たくされ、せっかく任された大きな仕事にも身が入らない蛍。同じプロジェクトに参加することになったマコトも東京に来ており、蛍の心中は穏やかではない。実は本当にニューヨークに行かないかとマコトに誘われていたのだ。高野の冷たい態度とマコトからの誘いで動揺している蛍は仕事に行き詰まり、残業を命じられた。夜、1人で残業をしている蛍に高野はアドバイスをするため会社に戻り、冷たくして悪かったと謝った。妻とのことをきちんと決着をつけて、一番に蛍に報告しようと思っていたのに、マコトと共に現れ、中途半端な場面を見られてバツが悪かったのだという。
蛍は高野に深雪とヨリを戻すのか、自分との同居は解消するのかと聞くと、そんなことはしないと微笑まれた。それを聞き、蛍は高野に「部長が好きなんです」と告白をした。
高野はその告白を気の迷い、もしくは同情だと切り捨てた。蛍は自分の気持ちを否定され怒りを顕に家を飛び出してしまった。その為体調を崩し、フラフラしているところをマコトに付き添われ帰宅するが、その場を同僚に見られてしまった。面白がった同僚が2人の後をつけると、そこで、高野と蛍が同居していることが発覚してしまい、会社全体に知られてしまった。
たまたま東京に来ていた蛍の姉・揚羽がその情報を知り、高野に怒鳴り込むと、高野は自分の気持ちや蛍の気持ち、社会的な責任など、あらゆることを考え、責任を取らせて欲しい、蛍と結婚させてくださいと、思わず姉に口走っていた。
姉から連絡をもらい、高野が結婚すると言っていると聞いた蛍は、急いで家に戻り、高野に真相を聞くが、これからも一緒に暮らしたいというお互いの欲求と、社会的責任を統合すると、結婚するという答えがベストだという結果が出た、と言われてしまった。
仕事のような割り切り発言とあまりの急展開に蛍は唖然とするばかりだが、高野との結婚話はどんどん進んでいく。
高野はもうすぐ会社を立ち上げ独立するという。引き継ぎや新会社設立の準備と多忙な高野が蛍のためにいろいろ考え提案してくれることは嬉しいが、蛍の気持ちが追いつかない。2人の安らぎの場であった家も区画整理のために立ち退かなければならない。新しい家を探し、似たような縁側を高野は探してくれるが蛍には2人で住むビジョンが見えない。そして、今までの自分の幸せは、全て高野が与えてくれたものだったと気づく。高野と対等な恋愛をするためには、この居心地の良い空間から抜け出し、自立した大人になってから高野と恋愛しなければいけないと別れを決心する。
高野は待ってればいいの?と言ってくれたが、蛍は自分は勝手にずっと好きだけど、高野には自由にしてくれていいと言って、2人は別れることになった。
高野は会社を辞め独立し、蛍は大阪支社に転勤になった。

それから5年。蛍は大阪で自立した女性になるため、仕事に励み、資格もいくつも取り、着実にキャリアアップしていた。以前高野にもらった桜の盆栽を大切に育てており、いずれ自分が根付く場所に植え、それを高野に見てもらうことを励みに頑張ってきた。
そして東京に戻ってきた蛍は、郊外ではあるが高野と暮らしていた家によく似た古民家を購入し、桜を植えた。
仕事で高野の新会社とコンペで競うことになった。
この5年の頑張りを見て欲しい蛍は仕事に打ち込み、コンペで高野には負けたものの、対等に渡り合える成長を見せた。

ある日の休日。偶然蛍の住む街へバードウォッチングに来た高野と出会った蛍は、桜を見てもらおうと家に誘ってみるが断られてしまった。それに落ち込む蛍だが、周囲から励まされ、これからもずっと高野が好きなんだと気づき、高野と向き合うため、都内の高野の自宅を訪ねようとした。すると高野から連絡が入り、蛍の家にいるという。慌てて家に戻ると、高野が縁側に座っており、垣根の高さや池の位置にまで文句を言ってくる。その光景は、まるで一緒に暮らしていた頃のようだった。
高野をもてなし、もらった桜を大きくしたことを報告し、穏やかな時間を過ごすうちに、蛍は高野に「干物女」と称されたことを思い出した。干物は鮮度こそ落ちるものの、刺身とは違う深い味わいが出るから悪い言葉ではないと反論していると、高野は、「何がよくて悪いのか、人生と同じで最後まで分からないけど、蛍と一緒ならこれからも一生オレは楽しい」と告げ、2人はようやく結ばれることができた。

登場人物・キャラクター

雨宮 蛍(あめみや ほたる)

SW社インテリア事業部所属。27歳。恋愛するより家でゴロゴロ寝ていたいという女性だった。同居することになる上司の高野から、枯れている干物女、と称された。
3歳年下の家具デザイナー・手嶋マコトにキスをされたことにより、5年ぶりの恋愛を頑張ってみることにしたが、長年恋愛から遠ざかっていたため、とにかく臆病でなかなか前に進まない。高野から助言を受けなんとかごまかし続けてみたものの、高野との同居を告白し振られた。
のちに、自分に安らぎの空間を与えてくれていた高野に恋をし、一時期結婚話まで出るが、自分の未熟さを理由に破断。5年間離れ、自立した女性になって高野と再会。
お互いの思いが変わっていないことが分かり、結ばれた。

高野 誠一(たかの せいいち)

SW社インテリア事業部部長。蛍の上司。41歳。1月11日生まれ。クールでプライベートを見せない、かっこいい、いい感じの上司だと思っていたが、蛍が一緒に暮らしてみると、キレイ好きの口うるさい小姑のようだが、たまに少年のような瞳を見せる人だと分かった。鉄道や盆栽が趣味。妻が出て行き、蛍が住む家にやってきた。だらだらした干物女の蛍が精いっぱい頑張っている姿を見て、励ましたり助言をしたり、見守ってきた。妻が出て行き、やりきれない気持ちになった時、蛍に救われたことが何度もあった。蛍が手嶋マコトに振られた時、側で支えた。沖縄に移住した父親のケガから妻の居所が分かり、話し合い、決着がついた。
蛍に告白された時、同情だと切り捨てるが蛍の本気を知り、一気に結婚まで話を進めようとしたが、蛍の気持ちが追い付かず破断。蛍を待つことに。その間、新会社を立ち上げ、代表取締役に就任。
蛍が大阪から東京に戻り、お互いの気持ちを確かめ合った後は、蛍が購入した家に一緒に住むことになった。

手嶋 マコト(てしま まこと)

画像左が手嶋マコト

ロンドン帰りの新進家具デザイナー。24歳。若く才能あふれるデザイナーだが、少々マイペースで周りに迷惑をかけることもある。シャイで天然。高校の先輩に似ていることから蛍に興味を持ち、屋上でビールを口にする蛍に恋をした。職場での蛍は優しくて大人な女性を演じているので、蛍の干物姿は知らない。一時期蛍との結婚を前向きに考えようとしていたが、その矢先に蛍から高野との同居を打ち明けられ動揺。一度は蛍を許し、信じようとしたが、リラックスした蛍の干物姿を高野が自然に受け入れているのを見て、自分には蛍と付き合うことは無理だと別れを告げた。反省した蛍が湘南の仕事場を訪ねたが、会うこともせず追い返した。その後、自身の作品展で、蛍と結婚するという誤解を解くために、スピーチの場で蛍と別れたことを宣言。その後は、各地のアーチスト村を全国行脚して、実力を高めていた。
沖縄のアーチスト村にいた時、偶然蛍と再会。振った当時のことを謝罪し、蛍と和解。今度は高野と蛍を応援することにした。
のちにLAに渡り、現地のアーティストと結婚。

三枝 優華(さえぐさ ゆうか)

LD社のインテリアプランナー。24歳。蛍や誰もが憧れるステキ女子。何事にも計画的に取り組み完ぺきにこなす。しかし、予定が狂ったり予定になかった事柄が起きるとパニックになったりする。天然なところがあり空気が読めないこともある。手嶋マコトに思いを寄せていた。蛍という彼女がいることは知っていたが、彼女がいても好きな気持ちは止められないと、貪欲にアピール。蛍から皆の前で「この人は譲れない」と言われ、今度こそ諦める決心をする。
同じ社の神宮司要は学校の先輩だが、学生時代から思いを寄せられていたが、全く気付かなかった。要から告白され、そこから要を異性として意識するようになった。

神宮司 要(じんぐうじ かなめ)

画像右が神宮司要

LD社勤務。27歳。三枝優華の大学時代の先輩。仕事のできる隙のない殿様男。強気で強引。女性にもてる。少し身長が低い。広島弁を話す。学生時代から優華を想っていたが、告白できないでいた。蛍に背中を押され、一度告白をするが玉砕。しかし、優華に意識してもらうことには成功し、その後、紆余曲折を経て交際することになった。蛍とは、全く合わない敵だと思っていたが、話してみると、思っていることを何でもポンポンと話せる自然体でいられる友人であることが判明。時代劇や忍者が好きなど趣味も合う。仲が良すぎて、優華が嫉妬することもある。

名言・名セリフ/名シーン・名場面

蛍が高野部長の誕生日をお祝いするシーン

年末、実家に戻っていた蛍は古い社報を読み、元旦が高野の誕生日だと知った。たったひとりで過ごす高野を不憫に思った蛍は予定を変更して急遽帰宅。高野の誕生日を祝う用意を始めた。
高野はひとり楽しく過ごしていたが、蛍に年寄り扱いされたことを思い出し、少し若く見える服を購入するため行きつけの店へ。ところが店員から少し前に妻が若い男用の服を購入していたことを知らされ、やりきれない気持ちを持て余しながら帰宅すると、そこには自分の誕生日を祝う飾りつけと、その近くで飲んだくれている蛍を見つけた。
社報は誤植で実際は1月11日が誕生日なのだが、蛍の気持ちが嬉しい。しかも、実家に戻る前は父親以上祖父未満だと言っていた蛍の「部長は足が長いですね、父親とも祖父とも違いました」というセリフを聞き、「それ、今日聞けてけっこううれしいプレゼントなんだけど」と笑った。
妻の行動に落ち込んでいた高野が、蛍によって救われたシーン。

引用:ホタルノヒカリ 2巻

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