LAST EXILE(ラストエグザイル)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

2003年にGONZOが制作した、10周年記念の作品。
主人公のクラウスはヴァンシップと呼ばれる小型飛行艇に乗り、ヒロインのラヴィと共に「空の運び屋」の仕事をしていた。ある日一人の少女に出会う事で戦争と、グランドストリームという空の彼方にある秘密へと挑んでいく。主人公は作中の個性的なキャラクター達と成長し、やがてエグザイルというグランドストリームの真実を知る偉業を成し遂げるのだった。

『LAST EXILE(ラストエグザイル)』の概要

GONZOが制作した、10周年記念の作品。同社の作品である『青の6号』のようなハイクオリティアクションアニメをもう一度という指針のもとに製作されたのが本作である。
主人公の少年は小型飛空挺「ヴァンシップ」のパイロットとして飛び、「空の運び屋」の仕事をしていた。
しかし、一人の少女に出会うことで戦争と「グランドストリーム」という空の彼方にある秘密へと挑んでいく。彼らの成長を通して描かれる、飛行冒険活劇。

産業革命頃のようなスチームパンクの雰囲気のある世界の空を、巨大な戦艦や小型飛空挺「ヴァンシップ」が飛び回る。
また、元気で明るいが少し臆病なヒロインや、主人公の操縦技術に興味を持ち行動を共にしてしまう皇子、プライドが高く勝ち気な女パイロット、ミステリアスな巨大戦艦の艦長など、個性的なキャラクター達も作品に色を添えている。
2011年に漫画『ラストエグザイル-砂時計の旅人-』が「ニュータイプエース」(角川書店)にて連載され、本編のその後が描かれた。
同年、続編である『ラストエグザイル-銀翼のファム-』が放送される。主人公は違うが、本編で活躍したキャラクター達も活躍している。
放送後も小型飛空挺「ヴァンシップ」の展示や上映イベントがあり、ファンを魅了し続けている。
キャラクターデザインは村田蓮爾(原案)、堀内修、ムラオミノル、田中雄一。監督は千明孝一。
音楽は Dolce Triade。
小説「LAST EXILE」がスニーカー文庫から出版されている。著者神山修一。

『LAST EXILE』のあらすじ・ストーリー

世界では、気候変動のために寒冷化が始まっていた。
限られた領地をめぐり「アナトレー」と「デュシス」の二つの大国が戦争をしていたが、それは世界を管理している「ギルド」によって支配される不毛な戦いであった。一部の貴族を除いた平民達は、質素な暮らしや一杯の清浄な水にさえ事欠く苦しい生活を強いられていたのである。
主人公は、アナトレーの下町に住んでいる少年のクラウス。
父親の遺した小型飛空挺「ヴァンシップ」のパイロットとして、ヒロインである幼馴染でナビゲーター兼メカニックのラヴィと共に「空の運び屋」を営んでいた。二人は両国を隔てる大嵐「グランドストリーム」を超えることを夢見て、日々仕事と機体の改造に励んでいた。

ある日、二人はギルドのヴァンシップに追われているパイロットを目撃する。救出したクラウス達にパイロットのラルフは、後ろに乗っていた少女・アルヴィス(通称:アル)を戦艦シルヴァーナに届ける依頼の引き継ぎを頼まれる。
シルヴァーナは見たものが行方不明になるなど、不穏な噂が絶えない戦艦だった。そんな船に関わりたくない、と言うラヴィだったが、クラウスは反対を押し切り、依頼を引き受けることにした。
その後、ギルドの妨害に遭いながらも、アルをシルヴァーナ艦長・アレックスに届けることに成功するが、アルを一人で残すことを心配したクラウスは、シルヴァーナへ共に乗船することにしたのだった。
戦艦シルヴァーナでは、副官のソフィア、ヴァンシップ隊隊長のタチアナやナビゲーターのアリスティア、シルヴァーナの整備長のゴドウィン率いるシルヴァーナの整備員達や銃兵のモラン達と交流し、二人は成長していく。
途中でクラウスの操縦技術に興味を抱くギルドの女王・デルフィーネの弟ディーオと、目付役のルシオラもシルヴァーナに乗船する。
シルヴァーナは個性的な面々で賑やかになっていくが、艦長のアレックスはその裏で着実に「グランドストリーム」へと歩を進めていた。

やがて「アナトレー」と「デュシス」の戦争は終盤を迎えて行く。
凍土となり国土全域が失われ、背水の陣を敷いたデュシスはアナトレーの皇都まで進軍し、戦火の渦中でソフィアの父であるアナトレー皇帝は崩御した。
その後、ソフィアは自らが皇帝に即位する。ソフィアは両国の会見の際、デュシス側にかつて届けられる筈だった皇帝の親書の写しを示した。
そして両国同盟の盟主となる旨を宣言し、世界を独裁的に支配しているギルドを打ち破るため、共に戦争を始めることとなった。
ギルドとの戦争が始まろうとする中、クラウスとラヴィは退鑑を促されるが、かつての戦艦同士の戦法から、「運び屋」である「ヴァンシップ」も使用した戦法に移行つつあり、仲間の「ヴァンシップ乗り」達を戦争に巻き込んだ責任から、二人は残り共に戦うことを選択した。

そして二人は艦長であるアレックスが探していた、グランドストリーム内に漂うエグザイルを入手する作戦に参加する。
エグザイルとは、クラウス達の祖先が別の星から移民する際に使った移民船であった。艦長は、エグザイルを入手し、起動させるための生体鍵であるアルと、ギルドの4大家系に伝わるミュステリオン(パスワード)の収集を行っていたのである。
その目的は、クラウスとアレックスの関係により明かされる。
かつてアレックスは伝説的なパイロットであるクラウスの父・ハミルカルに師事していた。
ある時、アナトレーの依頼を受けてデュシスへの和平の親書を届けるため、共にグランドストリームを越えようとしたが、ギルドの妨害によって失敗し、アレックスだけ生き残ったのだった。
その際、恩師と恋人のユーリスが死んでいく様を嘲笑したギルドの女王・デルフィーネへの復讐の機を狙っていたのだ。

しかし、入手作戦の中でシルヴァーナがデルフィーネの手に落ち、アレックス達は捕らえられてしまう。
デルフィーネもエグザイルを掌握しようと目論んでいたため、捕らえたアレックスからミュステリオンを聞き出そうとするが、最後の一つはアレックスも知らなかった。力の掌握が失敗に終わり、防衛能力が働き制御不能となったエグザイルは、両陣営を攻撃しはじめる。
一方クラウスの方にはデルフィーネによって自我を失ったディーオが現れる。
しかし、ルシオラの命を賭した手引きが成功し、クラウス達はアナトレーへと帰還することができた。
クラウスは、再びエグザイルと対峙するシルヴァーナに、ソフィアから受け取った最後のミュステリオンを届けるという重大な使命を背負い、ラヴィとアルの3人でグランドストリームに挑む。
グランドストリーム内ではすでにアレックスがデルフィーネへの復讐をシルヴァーナの砲火によって果たし、自身も爆炎の中に散っていった。
やがて、グランドストリームを抜けたクラウス達はディーオに再び出会うが、ルシオラの死を理解できないディーオは錯乱したまま地上へと落ち、行方不明となった。
その後、クラウス達はエグザイルへとたどり着く。
アルの接近に反応し攻撃を止めたエグザイルは、クラウスとアルが唱えたミュステリオンによって本来の移民船としての機能を取り戻した。
その時、クラウス達は自分たちの世界が砂時計のような形の人工惑星プレステールであることを知ったのである。
そしてクラウスとラヴィは、エグザイルの中に父達の朽ち果てたヴァンシップと、届けられなかった和平の書簡を見つける。
彼らが最後まで使命を全うしようとしたことを悟ったラヴィは泣き崩れていた。
女王であるデルフィーネを失なったギルドは壊滅し、戦いは終焉を迎えた。
エグザイルによって人工惑星プレステールから故郷の星へと還った人々は、やがて金色に輝く麦畑の大地と美しい水、青くどこまでも広がる平和な空を手に入れたのだった。

主な登場人物・キャラクター

クラウス・ヴァルカ

CV:浅野まゆみ

本作の主人公。アナトレーの下町で、ノルキアヴァンシップ組合に所属し、運び屋の仕事をしている。15歳。性格はのんびり屋で朝に弱く、幼なじみのラヴィからは“ねぼすけ”とよく言われている。その反面、情に厚く頑固な面もある。
大人顔負けの卓越したヴァンシップ(小型飛空挺)の操縦技術を持っている。
ディーオからは“インメルマン”と呼ばれる。
父親達の果たせなかった、グランドストリームを越えることを夢見ながら日々の仕事をこなしていたが、アルヴィスをシルヴァーナまで届ける任務を引き継いだ事により世界の大きな流れに巻き込まれていく。
ヴァンシップ乗りの間で知らぬ者はいないといわれるハミルカル・ヴァルカの息子。
終盤、ラヴィ達と共にグランドストリームを突破し、エグザイルを起動させる偉業を達成した。

ラヴィ・ヘッド

CV:斎藤千和

本作のヒロインであり、クラウスの幼なじみ。15歳。
クラウスのヴァンシップのナビを務めている。
明るく活発な性格で、のんびり屋のクラウスを引っ張っている。
情で動くクラウスに比べてやや現実的だが、頑固なクラウスに押し切られるかたちで振り回されることもしばしば。
クラウスとおなじく、グランドストリームを越えることを夢見ている。
クラウスがシルヴァーナにて戦闘に出るようになってからはナビを辞退し、メカニックを担当するようになるが、クラウスがアルを連れてグランドストリームを越える任務をうけた際には再びクラウスのナビに復帰した。
ヴァンシップ乗りの間で知らぬ者はいないといわれるジョルジュ・ヘッドの娘。

アルヴィス・E・ハミルトン

CV:白木杏奈

ギルド四大家系の一つ、ハミルトン家の娘。通称は“アル”。11歳。
人見知りで口数も少なく実年齢より幼く見えるが、クラウス達との出会いにより、性格も明るくなり意外な行動力を見せることもあった。
エグザイルが起動するための生体キーである。
デルフィーネのクーデター以降アナトレーに渡り、ある森で乳母ギータと執事のグラフと共にひっそりと暮らしていた。
ギルドに居所が知られると、皇帝の意向により“世界で一番安全な場所”と称されるシルヴァーナに移されることになる。
しかし、アルを乗せたラルフのヴァンシップはギルドに落とされ、引き継いだクラウスとラヴィの手によって運ばれた。
アナトレーの軍人や貴族はアルを“積荷”と呼称するが、クラウスやラヴィにとっては大切な友達である。

アレックス・ロウ

CV:森川智之

“世界で一番安全な場所”と称される、無敵艦シルヴァーナの艦長。28歳。
階級は大佐。
戦術・戦略おいて卓越した英才。
クラウスとラヴィが幼い頃、彼らの父親達と共にグランドストリームを越えようとするが失敗し、デュシスとアナトレーの和平の書簡を届ける事ができなかった。その時、恋人のユーリスも失っている。
その後士官学校上級科へ復学。20歳でシルヴァーナに乗り艦長となった。
グランドストリームを越えの失敗の原因は、デルフィーネの妨害であり、彼女への復讐だけが生きる目的となっていた。
その後復讐を成し遂げるが、自身もデルフィーネの座乗艦とともに爆炎の中に散っていった。

ソフィア・フォレスター

CV:山崎和佳奈

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