パディントン(Paddington)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『パディントン(Paddington)』とは、イギリス作家マイケル・ボンドの児童小説「くまのパディントン」を実写映画化した2014年制作のファミリー映画。ペルーのジャングルから、住む家を探しにロンドンにやってきた礼儀正しいクマが、ブラウンさん一家と出会い、大騒動を巻き起こす物語。全世界で320億円超えの大ヒットを放った作品。

パディントン&ブラウン一家とミリセントの博物館屋根上の対決

ミリセントに捕まり剥製にされそうになったパディントンを助けようと大奮闘するブラウン一家と、そうはさせじと執拗にパディントンを追いかけまわす様を、自然史博物館の建物や展示品を効果的に使って、スリル満点に見せる名シーンだ。
パディントンが標本室に逃げ込んで通気口をハンディ掃除機を使ってよじ登るところじゃ、「ミッション・インポッシブル」のテーマ曲が流れニンマリさせられる。
また、パディントンとブラウン一家が屋根上に追い詰められたとき、ヘンリー氏がパディントンも家族の一員だとミリセントに言い放つところはグッとくるし、パディントン駅での出来事を思い出したパディントンがひらめいた作戦など、巧みに構成されたクライマックス・シーンに感心させられる。

『パディントン』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話

パデイントンの声は、最初はコリン・ファースだった

パデイントンの声は、最初は「英国王のスピーチ」「キングスマン」のコリン・ファースが担当していたそうだ。でも、監督のキングは、制作中に彼の声がどうもパディントンに合ってないように思い、彼に降りてもらったそうで、ファースも残念がりながらも、納得して身を引いたそうだ。
そして、もっと明るくて若い声ということで、ベン・ウィショーに決まった。
監督は、パディントンは古い蓄音機で英語を勉強したから、古風できちんとした発音をすると考え、ウィショーはそれに応えて見事なパディントンの声を作りあげたんだそう。

パデイントンのファンだったニコール・キッドマン

映画版のオリジナル・キャラであるミリセントを演じたニコール・キッドマンは、「くまのパディントン」の大ファンだったので、悪役ながら出演オファーに感激し、自分の大好きな作品に関わることができて、とてもハッピーと語ったそうだ。
それゆえに、衣装や脚本のアイデアを彼女自身が出すなど、撮影にノリノリだったらしい。

スタッフ&キャスト

脚本・監督:ポール・キング

1999年、大学卒業後にテレビ番組の監督を志し、04~07年にTVコメディ「マイティ・ブーシュ」シリーズの演出を務め、05年に英国アカデミー賞にノミネートされた。
09年に「Bunny and The Bull」で長編映画デビューし、翌年10年にTVコメディ「マットとデヴィッド ボクたち空港なう。」の演出で再度、英国アカデミー賞にノミネート。「パディントン2」の監督も引き受けた、今注目の俊英監督だ。
本作「パデイントン」には、「マットとデヴィッド ボクたち空港なう。」に主演したマット・ルーカスが、パディントン駅からブラウン一家が乗るタクシーの運転手の役で出演し、パディントンの居所を探すミリセントに捕まって、橋のたもとで逆さ吊りにされる悲惨な場面まで演じている。

原作:マイケル・ボンド

1926年イギリスのバークシャー州、ニューベリーに生まれる。
第二次大戦中は、イギリス空軍と陸軍に従事。1945年に執筆活動をはじめ、最初の短編小説が「ロンドン・オピニオン」に掲載され、これを機に作家を目指すようになった。
初の著書でもある「くまのパディントン」は、1956年のクリスマス・イブに、マイケルが妻ブレンダへのプレゼントとして買ったクマのぬいぐるみを元にして書いた児童小説。
パディントンの名前は、当時、パディントン駅の近くに住んでいたことから名付けたんだそう。
「くまのパディントン」は、好評を博し、シリーズ化されたおかげで、その頃働いていたBBC(英国放送協会)のカメラマンの仕事を辞め、執筆活動に専念することになったらしい。
後に、児童文学の功績が認められ、1997年に大英帝国勲章を受章している。
現在も、パデイントン駅からあまり離れていない街で暮らしている。

パディントンが、ブラウン一家と乗ったタクシーから見た街中のカフェにいる紳士役でカメオ出演したマイケル・ボンド。ボンドが挨拶するようにグラスをあげると、パディントンが手を挙げてニッコリとそれに応える。

パディントンの声:ベン・ウィショー

1980年、イギリス・ベッドフォードシャー州に生まれる。99年「ザ・トレンチ 塹壕」で映画デビュー。舞台「ハムレット」で“ローレンス・オリビエの再来”と絶賛され、06年「パフューム ある人殺しの物語」の主役に抜擢される。12年「007スカイフォール」でQ役を演じ、広く知られるようになり「007/スペクター」にも同じ役で登場。
他の出演作に「クラウド・アトラス」「ゼロの未来」「白鯨との闘い」「リリーのすべて」などがある。

続編「パディントン2」が2018年日本公開

続編「パディントン2」は、ブラウン一家と幸せに暮らしていたパディントンが、落ち目の俳優の罠にはまって刑務所に入れられてしまうストーリーだそうで、主要キャストは前作から続投し、落ち目の俳優フェニックス・ブキャナン役に「ラブ・アクチュアリー」のヒュー・グラント、刑務所の仲間マギンディに「ハリー・ポッター」シリーズの“マッド・アイ”ムーディ役で知られるブレンダン・グリーソンが新キャラとして登場するそうだ。

ロンドンでの暮らしに慣れたパデンントンは、大好きなルーシー叔母さんの100歳の誕生日のプレゼントを探し、骨董品屋のグルーバーの店で素敵な飛び出す絵本を見つける。
その絵本を買うために、いろいろな雑用仕事を始めたパディントンだったが、ある時、その絵本が盗まれてしまった。
そして、なぜか強盗容疑をかけられたパディントンは刑務所に入れられてしまう。

詳しいあらすじは今のところ不明だが、プロデューサーのデヴィッド・ハイマンは、前作は“異なる相手を受け入れること”がテーマだったが、続編では“人の良い面を見つけることの大切さ、コミュニティーの重要性”がテーマになっていると語っている。

外国版予告編

2tara9
2tara9
@2tara9

Related Articles関連記事

ムーラン・ルージュ(Moulin Rouge!)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

ムーラン・ルージュ(Moulin Rouge!)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『ムーラン・ルージュ』とは、2001年製作のアメリカ映画。ハリウッドを代表する2大スター、ニコール・キッドマンとユアン・マクレガーを主演に、 『ロミオ+ジュリエット』のバズ・ラーマンが製作・監督・脚本を担当したミュージカル大作。劇中の楽曲には20世紀を代表するポップ・ナンバーがふんだんに使用されている。19世紀末の夜のパリを象徴する魅惑のナイトクラブ“ムーラン・ルージュ”で繰り広げられる、若き作家と高級娼婦の悲恋物語を絢爛豪華にして幻想的に描く。

Read Article

ラ・ラ・ランドのオマージュしたミュージカル映画まとめ

ラ・ラ・ランドのオマージュしたミュージカル映画まとめ

2016年に全米で公開されたミュージカル映画「ラ・ラ・ランド」。 母国アメリカをはじめ世界中で大ヒットを記録し、アカデミー賞では監督賞をはじめ6部門で賞を受賞しました。そんな「ラ・ラ・ランド」にはミュージカル映画の名作のオマージュがちりばめられていて、それも見どころになっております。 今回は、「ラ・ラ・ランド」でオマージュされている映画について紹介します。

Read Article

アクアマン(DCEU)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

アクアマン(DCEU)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『アクアマン』とは、アメリカ合衆国で2018年12月21日に公開されたスーパーヒーロー映画。日本では2019年2月8日に公開された。「DCコミックス」のアメリカン・コミック『アクアマン』の実写映画で、『DCエクステンデッド・ユニバース』シリーズの6番目の作品である。監督はジェームズ・ワン。海底王国アトランティス帝国の女王である母と、人間の父との間に生まれた主人公アーサー。人間として地上で成長したアーサーだったが、ある日を境に海底王国間の戦争に巻き込まれる事になる。

Read Article

LION/ライオン 〜25年目のただいま〜(映画)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

LION/ライオン 〜25年目のただいま〜(映画)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『LION/ライオン 〜25年目のただいま〜』とは2016年に公開されたドラマ映画で、アメリカ合衆国、オーストラリア、イギリスの3国が共同して作成した。サルー・ブライアリーのノンフィクション本が原作となっている。5歳の少年サルーが家族と離れ離れになり、オーストラリアに養子として迎えられる。そして大学生になったサルーがGoogle Earthを使って故郷を探し出す物語である。家族愛が描かれた感動の物語である。

Read Article

ダンスシーンに思わず心を揺さぶられるおすすめ映画まとめ!『ムーラン・ルージュ』『ヘアスプレー』など

ダンスシーンに思わず心を揺さぶられるおすすめ映画まとめ!『ムーラン・ルージュ』『ヘアスプレー』など

本記事ではダンスシーンに思わず心を揺さぶられてしまうような、おすすめの映画をまとめて紹介している。記事中では『リトル・ダンサー』『ムーラン・ルージュ』『ヘアスプレー』『Pina/ピナ・バウシュ 踊り続けるいのち』『THIS IS IT』など多数の作品を掲載した。ヒップホップ、バレエ、ストンプ、社交ダンスなど様々なジャンルの踊りが楽しめるので、ぜひ気になる作品をチェックしてみてほしい。

Read Article

目次 - Contents