宇宙刑事シャリバン(特撮テレビ)のネタバレ解説・考察まとめ

宇宙刑事シャリバンとは、1983年に放映された東映製作の特撮ヒーロー番組である。前年度の宇宙刑事ギャバンに続く宇宙刑事シリーズ第2作目で、直接の続編である。主人公・伊賀電と宇宙犯罪組織マドーとの戦いと、彼の出生にまつわる宿命を交えて描く。ギャバンよりパワーアップしたヒーローアクションや高いドラマ性が今日まで高く評価されている。

第31話より登場。西暦2601年のガマゴン星にてガマラ王国を支配している王で、ヒキガエルのような外見の頭部だけの怪物。いくつもの長い舌を伸ばし、相手を捕えて飲み込んでしまう。
真っ赤な仮面に赤いローブを纏った四人の従者が担ぐ輦台によって移動するが、瞬間移動で素早く飛び回ることも可能。光に敏感な習性を持っていることから、レイダーによって招集され、イガクリスタルの収集に協力した。
シャリバンとの戦いでは、シャリバンを追い詰めるものの、シャリバンが聖なる剣を用いたことで形勢が逆転し、シャリバンクラッシュの前に敗れ去った。

海坊主/戦士サイコラー(演:山田一善)

シャリバンの行く先に現れる怪しい男。その正体とは?

こちらが正体である戦士サイコラー。魔王サイコの分身体にして最強の戦士だ。

シャリバンの行動を密かに監視する、スキンヘッドで白いスーツ姿の男。シャリバンの行く先々で先回りして度々その姿を現し、暗躍し続けていた。その正体は、魔王サイコの分身である戦士サイコラー。玉座に座ったままのサイコと違って自在に動き回れる。二本のサーベルが武器。
サイコと命を分け合っており、どちらか片方が倒されても、すぐにもう一方がエネルギーを与えて生き返らせてしまうため、両者が同時に倒されない限り決して死ぬことはない。一度はサイコを倒したレイダーの攻撃を全て跳ね返し、レイダーを葬り去るなど高い戦闘能力を持つ。
最終話でサイコと共にシャリバン・ギャバンと対決し、終始圧倒していたが、イガクリスタルによって電子頭脳の電気を吸い取られ、弱ったところをギャバンのギャバンダイナミックを受けて倒された。また、これと同時にサイコ本体もシャリバンのシャリバンクラッシュを受けて倒されたため、両者の命は完全に断たれることとなった。
ちなみに、第1話より登場しているものの、当初は敵か味方かすら設定を定めないまま脚本を描いていたとの事。

魔怪獣

毎回登場する怪人たち。凶暴かつ醜悪な恐ろしい生命体だ。

核酸細胞の分裂と結合を繰り返すことによって誕生する生命体。名前には必ず「○○ビースト」が付く。
その多くは言語能力を持たない凶暴な獣だが、言語能力を持つ者や、弁護士・女子大教授・占い師など影響力のある人間に変身して社会に紛れ、作戦を遂行するものも存在する。幻夢界では4倍のパワーを発揮することができる。
体の一部(主に顔)が変形したり、分離して武器になったりする個体が多く、また従来のヒーローモノの怪人のように動物などの明確なモチーフを持つ者は少なく、抽象的なモチーフやネーミングの個体(レイカイビースト、シュンカンビースト等)が多いのも特徴的である。

ファイトロー

マドーの下級戦士で人工的に作られた存在。集団で襲い掛かるほか、人間に変身することも可能。
「グゴグゴッ」という奇怪な声を発するが、これは実は言語であり、ファイトロー語の字幕が出たこともある。また、ドクターポルターは彼らの言葉が理解できる模様。

名作エピソードガイド

第1話「幻夢」

全国各地で起こる天変地異。それは地球征服に乗り出した宇宙犯罪組織マドーの首領・魔王サイコが引き起こしたものだった。地球を守る為、銀河連邦警察より若き宇宙刑事が派遣される。その名は伊賀電こと宇宙刑事シャリバン。電は相棒のリリィと共に超高層ビルの捜査を開始するが、そこでマドーの襲撃を受ける。さらにマドー戦闘機を追いかけてきた少年たちが狙われる。コンバットスーツを「赤射」したシャリバンは少年たちを救い、魔怪獣ゴリビーストを粉砕した。こうしてシャリバンは初任務を見事勝利で飾ったのだった。

前作・ギャバンの明確な続編であることを強調しつつ、怪奇性を強調した天変地異、超常現象の特撮シーンはスケールが大きく見ごたえがある。赤い炎をバックにした赤射シーンやクライムバスターの華麗なガンアクション等、続編でありながらも明確な個性を出す工夫が随所に見られ、シャリバンのヒーロー性を追求するスタッフの熱意が良く伝わる一編だ。

第7話「鏡の中に浮かぶ 私は誰れ!?」

魔怪獣ダブルビーストは、超能力を持つ少女・小沢サチ子に取り憑き、悪の心に染めようとする。電は夢遊病状態になったサチ子を保護したが、清純さと派手な雰囲気を併せ持つサチ子の精神の不安定さが気になった。サチ子を送り届けたその日の夜、小沢家を怪奇現象が襲う。ダブルビーストによってサチ子の超能力が発現したのだ。駆け付けた電も、サチ子に翻弄される。そしてサチ子の心が完全に悪に染まらんとする寸前、電は赤射し、ダブルビーストを叩き伏せる。平凡な娘に戻ったサチ子に笑顔が戻るのだった。

宇宙刑事シャリバンの怪奇、ホラー描写が前面に出た一編。サチ子が映画「エクソシスト」ばりに暴れるシーン、やけに高齢で訳アリ風なサチ子の両親(実際は特に何も無かったが)等、雰囲気を大いに盛り上げている。また登場する魔怪獣、ダブルビーストの醜悪な変形は一見の価値アリだ。

これがダブルビースト。鳥のくちばしのような顔がめくれ上がるシーンは、大人でもちょっとビビる。

第34話「総毛立つ幽鬼は死霊界への案内人」/第35話「倒れたら立ちあがれ電!愛は生命の輝き」

電はバイクのテストドライブ中、怪しい幻影に惑わされる。幻夢城に突如として現れた死霊界の軍師、レイダーの仕業だ。レイダーは魔怪獣ヒャクメビーストと共にシャリバンを襲う。霊的な力でシャリバンの精神を攻撃しダメージを与えるレイダー。ビーストは倒したものの電は意識不明の状態になってしまう。電は生死の境をさまよっていた。その時、電の前に「聖なる者」が現れ、電のゆく道を光のコンパスで導く。穏やかな楽園に見える「死の国」に心揺らぐ電だが、イガ星再興の使命の為、敢えて荒涼たる岩場に見える「生の国」を目指す。途中エクトプラズムに襲われるも、それを振り切った電は、岩場の頂に輝くイガクリスタルを見た。その時電は、奇跡的に死の淵から蘇るのだった。
奇跡的に生還した電であったが、レイダーはそんな電を「屍も同然」と評する。その言葉通り、電は死霊の恐怖から脱しきれておらず、闘争本能を失い本調子とは程遠い状態となってしまう。電の闘争本能をよみがえらせるべくコム長官が尽力するも、効果が無い。コム長官は電に休養が必要と考えるが、そんな折マドーからの挑戦を受ける。ワシビーストの猛攻に苦戦するシャリバンであったが、亡き母の夢で生命力を取り戻し、死霊の恐怖を振り切って見事勝利を収めることが出来たのであった。

死霊界の軍師・レイダーの登場編。かつてない強力な力でシャリバンを追い込んだ上、一度は立ち直ったかに見えたがレイダーの恐怖からは脱しきれていなかった…という展開が壮絶で、レイダーの強敵感を強めている。そんな中、死の誘惑を振り切り懸命に生の道を歩もうとする第34話、母・優子の面影が脳裏によみがえり生気を取り戻す第35話のシャリバンの姿はそれぞれ胸を打つものがあり、ヒーロー物の枠を超え、人間の生きる意味、指針というものを見事に描ききった力作回と言えるだろう。

第51話「赤射・蒸着」

戦士サイコラーの出現に脅威を覚えた電の元に、コム長官、秘書マリーン、そして烈が地球へ応援にやってきた。サイコラーの奇襲を受ける烈と電だが、臆することなく二人は叫ぶ。「蒸着!」「赤射!」遂に並び立つ二人の宇宙刑事。両宇宙刑事は一度は幻夢界に閉じ込められるが、聖なる者の導きで幻夢城へと突入を果たす。ミスアクマ1とドクターポルターを討ち、魔王サイコ、戦士サイコラーと対峙する両雄。サイコが人工頭脳の超高圧電流を放ち、コンバットスーツの機能が狂わされていく。追い込まれる2人であったが、出現したイガクリスタルが魔王のパワーを奪い、勝機を与えた。ギャバンダイナミック、シャリバンクラッシュの2大必殺技が炸裂し、遂に滅びる魔王サイコとサイコラー。宇宙に平和が訪れ、新たにイガ星担当の宇宙刑事となった電は、みゆきたち他のイガ戦士たちと共に母星を再興させるべく、新たに旅立つのであった。

長かったマドーとの戦いの終焉と、シャリバンの新たな旅立ちを描く決着編。これまでコンバットスーツ姿を殆ど見せなかったギャバンが満を持して蒸着し、シャリバンと並び立つ姿は否応なしに興奮させられる。苦戦の末に炸裂する2大必殺技が最高のクライマックスを演出し、戦い終わった両者が夕日に佇む場面は忘れえぬ名シーンだ。電の旅立ちと、それを見送り別れるリリィの寂しげな姿がほろ苦い余韻を残すラストシーンもまた、傑作と呼ばれるにふさわしい。

並び立つ両雄。これ程燃えるヒーローの共闘シーンも珍しいだろう。

『宇宙刑事シャリバン』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話

細かい配慮がうれしいEDの使い分け

宇宙刑事シャリバンのED「強さは愛だ」は、第13話以降、エピソードによって2番の歌詞を使用することもあり、エピソードの余韻を強めることに貢献している。こうした細かい配慮もまた、名作と呼ばれる所以なのだ。

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