学戦都市アスタリスク(The Asterisk War)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

三屋咲ゆうの小説、及びそこから派生したアニメ、漫画作品。
2012年9月に1作目となる「学戦都市アスタリスク 1.姫焔邂逅」が刊行。既刊11巻。
6つの学園で構成された水上都市を舞台に、優勝すると好きな望みを叶えてもらえるという闘技大会での優勝を目指して切磋琢磨する少年少女たちの姿を描いた作品。
アニメは2015年4月から第1期、2016年4月から第2期がそれぞれ全12話構成で放送された。

『学戦都市アスタリスク』の概要

6つの学園から構成された水上都市を舞台に、優勝するとあらゆる望みを叶えてもらえるという学生たちの闘技大会に挑んでいく少年少女たちの戦いの物語を描く。
そんな中、主人公は闘技大会の優勝よりも、自分が本当にやりたいことは何なのかを模索していく中で、ヒロインや仲間たちと出会い、人間的に成長していく。そして、学生ならではの恋愛、葛藤、試験など様々なものが絡み合いながらも、「闘技大会の優勝」という目標に向け、主人公たちも他の学生と同じように切磋琢磨していくようになる。

『学戦都市アスタリスク』のあらすじ・ストーリー

第1期

アスタリスクにある6つの学園の1つ「星導館学園」に特待生として招かれた主人公の天霧綾斗は、転入初日、風に吹かれて飛んできたハンカチを拾う。持ち前のお人好しからそのハンカチの持ち主を探してあげようと元を辿っていくと、その先の女子寮の一室で着替え中だったユリス・アレクシア・フォン・リースフェルトと出会してしまう。
ハンカチを届けたことで一先ずは礼を言ったユリスだったが、着替えを見られたことで牙を剥いて綾斗に襲いかかってきて、あろうことか決闘を申し込んできた。戸惑いながらも綾斗はこの決闘に受諾するも、途中、何者かが放った矢がユリスを襲い、さらに現れた生徒会長であるクローディア・エンフィールドの仲介によって決闘は取り消しにされた。

そんな騒然とした転入初日から次の日、綾斗は教室で幼馴染の沙々宮紗夜とも再会し、会話に花を咲かせる。放課後、綾斗がユリスに学園を案内してもらおうとするが、これに嫉妬した紗夜が「自分が案内する」と割って入ってきたことで、結局ユリスと紗夜の2人に案内してもらうことになる。しかしその矢先、またしてもユリスは紗夜共々謎の襲撃を受けることになるが、襲撃者たちがすぐに姿をくらましたことで事なきを得る。その日の夜、クローディアに呼び出された綾斗は、アスタリスクで開催されるバトルエンターテインメント《星武祭》の大会のひとつであるタッグ戦《鳳凰星武祭》の出場者たちが何者かに襲われており、次のターゲットがユリスだという話を聞かされ、ユリスの側についていてほしいと頼まれる。
しかしその最中、その襲撃犯から呼び出しを受けたユリスは街の再開発地区に一人足を運ぶ。そこで彼女を待ち受けていた襲撃犯は、なんと自分を目の敵にする巨漢の学生レスター・マクフェイルの取り巻きであるサイラス・ノーマンだった。同じくサイラスに呼び出されたレスターと共に対峙することになるが、サイラスが操る大量の人形《擬形体(パペット)》の前に苦戦を強いられる。手傷を負わされ、もはやこれまでかと思ったその時、颯爽と現れた綾斗によって助け出される。邪魔者となった綾斗も始末しようとサイラスは擬形体の大軍をけしかけてくるが、この時、綾斗はかつてその暴走を恐れた姉・遥によって封印された、膨大な量の《星脈世代(ジェネステラ)》が持つオーラ《星辰力(プラーナ)》を解放。そのオーラによる超人的なパワーとスピードを発揮して、擬形体の大軍もろともサイラスを打ち破る。そうしてユリスに認められ、パートナーとなる約束を交わした綾斗は、優勝することで願いを何でも叶えられる《鳳凰星武祭》への参加を決意し、彼女と共に切磋琢磨の日々に明け暮れるのだった。

そして迎えた《鳳凰星武祭》。同じく大会に参加することになった紗夜と、そのパートナーとなり、かつて自分がある一件で助けた少女・刀藤綺凛の応援に会場へと向かっていた綾斗とユリスは町中で、6つの学園のうち1つで、凶暴かつ好戦的な学園として知られている「レヴォルフ黒学院」の男子学生たちと揉めているイレーネ・ウルサイスと出会う。そのイレーネもまた、レヴォルフ黒学院の出身で、要注意と目されている《鳳凰星武祭》の参加者のひとり。《吸血暴姫(ラミレクシア)》の異名を持つ強者だった。そんな彼女とその妹プリシラ・ウルサイスのタッグと早くも《鳳凰星武祭》で早くも対戦することとなる綾斗とユリス。だが、彼女が持つ鎌型の純星煌式武装《覇潰の血鎌(グラヴィシーズ)》の凶悪な力によって浸食されているということを戦いの前に知った綾斗は、またしても持ち前のお人好しに突き動かされ、彼女を助けたいと思うようになる。
しかし、本気を出したイレーネの前に綾斗とユリスは苦戦を強いられ、さらに力を発揮するためにイレーネはプリシラの血を吸い、手がつけられないほどの凶暴性を発揮。だがそれでも綾斗とユリスは諦めずに奮戦し、綾斗が一瞬の隙をついて《覇潰の血鎌》を破壊し、イレーネの暴走を食い止める。さらに試合での勝利も勝ち取り、ユリスと共に《鳳凰星武祭》へさらなる高みに上り詰めるのであった。

第2期

イレーネ・プリシラ姉妹との戦いの後、それぞれの思いと共に大会制覇を目指してさらに戦いに臨んでいく綾斗とユリス、そして紗夜と綺凛。界龍第七学院の双子の幻術使いである黎兄妹、アルルカント・アカデミーの戦闘用自動人形であるアルディとリムシィをはじめとして、次々と他学園から現れる猛者たちの登場により、《鳳凰星武祭》の戦いはさらに激しさを増していく。
そんな中、自分の願いを見出だせていない綾斗は、行方不明となっている遥の真実を求めてイレーネを通してレヴォルフ黒学院の生徒会長であるディルク・エーベルヴァインとコンタクトを取る。そこで遥がかつてアスタリスクで極秘裏に行われていたルール無用の裏バトル《蝕武祭(エクリプス)》に出場していて、さらにそのバトルで敗北したことを聞かされ、衝撃を受ける。
なぜ、一体、どうして。姉がそんな無法で危険な戦いに出ていたのか。困惑と失意に陥りかける綾斗だが、ユリスと紗夜の励ましを受け、姉を探すという目的を達するために、改めて《星武祭》を制覇することを決意する。

そして、自身が持つ「四色の魔剣」と呼ばれた強力な剣型の純星煌式武装のうち1つ《黒炉の魔剣(セル=ベレスタ)》を危惧したディルクの策略による妨害を受けながらも、《鳳凰星武祭》の決勝戦で綾斗とユリスはアルディ・リムシィペアと激突する。息のあった連携で対抗するふたりだが、事前の準決勝で紗夜たちとの試合で実戦経験を積んだアルディたちは手強く、さらにディルクの策略で《黒炉の魔剣》を使えないことで苦戦を強いられる。途中で紗夜たちによって訪れた転機によって使えるようになった《黒炉の魔剣》と、解放した星辰力で反撃に打って出るが、リミッターを解除したアルディを前にまたしても苦戦を強いられる。しかし最後は、ユリスの力の譲渡によってアルディを打ち破り、見事、《鳳凰星武祭》で優勝を飾るのだった。

《鳳凰星武祭》終了後、冬休みに入った綾斗たちはユリスの誘いを受けて、彼女の故郷であり、彼女が王女を務める王国リーゼルタニアヘ向かう。そこで翌年に待つ次の大会であるチーム戦《獅鷲星武祭(グリプス)》の参加をどうするかを話し合っていると、謎の男・ギュスターヴの襲撃を受け、さらにその後にユリスの旧友であり、《孤毒の魔女(エレンシュキーガル)》の二つ名で知られるレヴォルフ黒学院のトップのオーフェリア・ランドルーフェンとも邂逅。彼女と戦うことになるも、その圧倒的な力の前に為す術もなく、綾斗とユリスは惨敗する。それからさらに3日後、追い打ちをかけるようにギュスターヴが送り込んだ魔物たちが街を襲撃するが、綾斗たちはなんとかこれを切り抜け、ギュスターヴも綺凛によって確保され、事なきを得る。そしてこの一件から、ユリスはリーゼルタニアの王女として、《獅鷲星武祭》でも優勝し、《鳳凰星武祭》と同じく優勝者の特権によってリーゼルタニア王国をより良いものへと改革することを決意し、綾斗、紗夜、綺凛、クローディアも仲間として彼女と共に戦うことを誓う。

帰国後、綾斗は《星武祭》の運営委員長であるマディアスから「君のお姉さんが見つかった」という連絡を受ける。そこで中央区の治療院に駆けつけた先で、眠り続けている遥と無言の再会を果たす。マディアスの話によると彼女は5年ほど前にこの治療院に運び込まれ、その時の彼女は仮死状態で現在に至るまで何一つ変わっていなく、さらに綾斗は、目を覚まさない姉の様子を見て、理由はわからないが、姉が自らの体に何らかの封印をかけていると察した。
未だ目を覚まさない姉を見て、自分に何かできることはないのかと思い悩む綾斗。するとそこへ、奇妙な雰囲気をした白衣の女性・ヒルダ・ジェーン・ローランズが現れる。そして彼女が自分を《大博士(マグナ・オーパス)》と名乗ったことで、綾斗はリーゼルタニアでユリスから聞いた話を思い出し、彼女こそがオーフェリアを恐ろしい力を持った存在にした張本人だと悟った。
その翌日、綾斗はユリス、紗夜、綺凛と共にクローディアに生徒会室へ呼び出され、彼女はリーゼルタニアの事件が、自身を《獅鷲星武祭》に参加させたくない父・ニコラスの思惑によって起こされたものだと語る。それを父に代わって謝罪した上で、自分と共に《獅鷲星武祭》に参加してほしいと頼み、ユリスと沙夜と綺凛はこれを承諾。綾斗も姉を治療する方法を探すために、クローディアのチームに参加することを決意。そしてこのメンバーで、絶対に優勝するということを誓うのだった。

主な登場人物・キャラクター

星導館学園

天霧綾斗(あまぎり あやと)

CV:田丸篤志

主人公。星導館学園高等部に転入してきた特待生。
さっぱりとした性格で、困っている人を見ると後先考えずに首を突っ込むかなりのお人好しだが、やや間の抜けたところがあり、おまけに恋愛関係には鈍感。
代々続く古流武術「天霧辰明流」の生まれで、幼い頃から天霧辰明流剣術を学んでおり、その腕は天才的。
さらに、生まれながらにして莫大な星辰力を持っているが、今はその力が闇雲に人を傷つけてしまうことを恐れた姉の遥によって封じられている。
当初は姉である遥の足跡を追って学園にやってくるも、「自分に何ができるのか、何をやりたいのか、何をすべきか」という悩みを抱えながら過ごしていた。しかし、学園でユリスと出会ったことで自分のやりたいことや成すべきことが定まっていき、次第に《星武祭》へとその方向が向かっていくようになる。

ユリス・アレクシア・フォン・リースフェルト

CV:加隈亜衣

本作のヒロイン。綾斗が学園で初めて出会った同級生。
ヨーロッパの小国リーゼルタニアの王女で、プライドが高くおまけに短気なため友人は少ないが、根は優しく素直になる一面も。
焔を自在に操る能力を持った《魔女》で、その実力はかなりのもので星導館学園の《冒頭の十二人》の序列5位に名を連ねており、《華焔の魔女(グリューエンローゼ)》の二つ名で知られている。
統合企業財体の影響によって資金難に陥った祖国の孤児院を救うため、《星武祭》の制覇を狙っていたが、そのプライドの高さと融通の利かなさが原因でパートナーがなかなか見つからずにいた。
しかし、サイラスの事件を機に綾斗をパートナーと認めてタッグを組み、《鳳凰星武祭》を制覇。望みとして莫大な金銭を手に入れ、孤児院を救済できた。

クローディア・エンフィールド

CV:東山奈央

星導館学園生徒会長を務める才女で、綾斗を特待生として推薦した張本人。
両親は共に、星導館学園を支援する統合企業財体の幹部。
常に笑顔を絶やさず、誰に対しても物腰柔らかで丁寧で人当たりは良いが、その裏腹に計算高く腹黒い性格をしており、本人曰く「暗黒物質を煮立てて焦げ付かせたものをブラックホールに打ち込んで黒蜜をかけたくらいには真っ黒」らしい。
さらに星導館学園の《冒頭の十二人》のひとりであり、序列は2位で、《千見の盟主(パルカ・モルタ)》の二つ名を持つ。
《鳳凰星武祭》には出場せず、綾斗たちのサポートやバックアップに徹していた。その後、2期の最終話で《獅鷲星武祭》では自分がリーダーとなることで綾斗たちと共にチームを結成し、出場することを宣告する。

沙々宮沙夜(ささみや さや)

CV:井澤詩織

小学生時代に綾斗の家の隣に住んでいた幼なじみ。
落星工学の科学者を父親に持つ娘で、父親の作る銃型煌式武装をアピールしてほしいと言う願いで星導館学園へ入学している。
口数は少なく無表情で、さらに低血圧で寝起きも悪いためいつもボーッとして眠たそうにしているが、感情がないわけではなく表には出さないだけ。しかし一方で行動力は高く積極的で、自分の恋心を勘ぐるクラスメートに銃を向けたり、見知らぬ女子と歩いている綾斗に後ろから飛びつくという行動にも出る。
銃器の扱いはエキスパートだが、戦闘にはあまり興味がなく、公式序列戦にも参加していない。しかし後に《星武祭》では、「綾斗が出場するなら私も」という理由で出場することを決意している。

刀藤綺凛(とうどう きりん)

CV:小澤亜李

星導館学園中等部一年生。気弱で引っ込み思案な年相応の女の子。
多くの門下生を抱える刀藤流宗家に生まれ、剣術に関しては天賦の才を持つ。
剣術は綾斗を上回る腕で、決闘・公式序列戦問わず無敗で、《疾風迅雷》の二つ名で星導館学園序列1位に座していた。
刑務所に収監された父の誠二郎を救うため、伯父の鋼一郎に冷たく手荒に扱われながらもその計画に従っていた。しかし、綾斗との出会いと説得により伯父と決別して自分の道を進むことを決意する。
《鳳凰星武祭》では紗夜とタッグを組んで上位まで勝ち進んだが、準決勝にてアルディ・リムシィ戦で、力を解放したアルディを前に惜しくも敗北した。

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@tobal4

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