幼女戦記(ラノベ・漫画・アニメ)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

幼女戦記(ようじょせんき)とは、カルロ・ゼンによるライトノベル・オンライン小説および株式会社NUT制作のアニメーション作品。
第一次、第二次世界大戦中のヨーロッパの情勢によく似た、魔法と科学が息づく異世界が舞台となっている。この世界に日本人のサラリーマンとして生きていたある男が「幼女」として「帝国」と呼ばれる国に転生し、「帝国」の魔導士として「協商連合」や「連邦」などの敵と戦っていく。

『幼女戦記』の概要

「幼女戦記」というタイトルやアニメの作画、原作がオンライン小説であるという点から、昨今多く見られる萌えアニメの系統かと思いきや、いざ蓋を開けてみると本格的な魔法・軍事系の作品。

カルロ・ゼン氏によるオンライン小説で、当初は個人運営の小説投稿サイト「Arcadia」にて連載されていたものを、2011年、エンターブレインから改稿するかたちで小説版が発売された。
また、漫画版も発売されており、これは東條チカ氏によって『月刊コンプエース』から2016年6月号から連載されている。
アニメは2017年1月からTOKYO MX、サンテレビなどの地上波放送や、ニコニコ動画、AbemaTVなどのインターネットテレビ局でも放送された。

物語のメインとなる舞台は、現実世界とは全く異なる世界となる。地形や情勢、文化や国の名前などが第一次世界大戦と第二次世界大戦の頃のヨーロッパによく似た、魔法と科学が共生する世界で、時はまさに戦争の真っ最中という頃合いだった。

現実世界と全く同じ世界の日本のサラリーマンとして生きていたある男が逆恨みにより命を落とした時に「神への信心が足りない」という理由で、神によって転生させられることになる。
この男が転生した先が上記の異世界で、男は「幼女」として再び生を受けることとなった。そして幼女となった男は「帝国」と呼ばれる国で、魔導士として「レガドニア協商連合」や「フランソワ共和国」などの敵と戦っていくこととなる。

『幼女戦記』のあらすじ・ストーリー

転生

徹底した合理主義である主人公は、現代世界の日本で一流商社の人事課で働いていた。エリートサラリーマンであった主人公は、リストラを言い渡した元社員からの逆恨みによって駅のホームに入ってくる電車の前に突き飛ばされ、命を落とす。その際に神と名乗る者から、神への信仰心が足りないという理由から異世界へ転生させられることとなる。

戦争で混乱している時期の世界で苦労して反省し、信仰心を取り戻させるという神の意図から、転生先は戦争真っ只中の異世界で、日本人男性のサラリーマンであった主人公は金髪碧眼の欧米人のような出で立ちの「ターニャ・デグレチャフ」という孤児の幼女に様変わりしていた。

転生先の世界は、第一世界大戦~第二次世界大戦中のヨーロッパ諸国に似た世界で、ターニャが生まれ育った「帝国」は技術大国であるが、周辺の様々な国とまさに一触即発といった様子であった。
神の意思により前世の記憶を持ったまま転生を果たしたターニャは、天性の魔導の才能から幼いうちから徴兵されることになろうとしていたが、それならばいっそ自ら士官学校へ進むことを選択する。

神などという存在を認めないターニャは神のことを「存在X」と呼び、この存在Xの意思に徹底して背こうと動く。
前世の記憶を活かして軍人としてのキャリアを積み、苦労などせずに安全な後方で安泰な生活をしようと目論むターニャであったが、ことごとく思惑は外れ、自らの意思と反して大戦の最前線に送り込まれ続けてしまう。

士官学校~魔道部隊結成

士官学校を卒業してからは、将来のキャリアのために理想的な軍人としての成果を残そうとした結果、士官として初の任地となった「ライン戦線」で意図せず大活躍してしまい、銀翼突撃章と二つ名「白銀」を賜り、前線向きと見られ始めてしまう。その「ライン戦線」での異様な戦いぶりから「ラインの悪魔」と恐れられるようになった。また、元来の合理主義者という側面から他者に容赦せず、そのせいで戦争狂、異常者と見られてしまうこととなる。

この活躍ぶりと、士官学校時代の成績から、陸軍学校への入学が決まり、後方へのキャリアが開けたことに喜ぶのだが、その喜びも束の間、大学図書館で偶然出会った参謀本部のゼートゥーア准将に前世の知識から、世界を巻き込んだ大戦と総力戦の展望を話してしまう。また、ターニャの生まれ育った「帝国」が現代の戦時中のドイツに似ていたことから、ターニャは「帝国」が世界大戦に敗北する体で話をしてしまう。
ゼートゥーアにそれを指摘され焦ったターニャは、失言を挽回するために、有効な手段として魔導大隊設立を提案してしまう。
このことでターニャに関心を持ったゼートゥーアは、彼女の提案通り魔導大隊の設立を決め、その編成も含めた指揮官として、大学を卒業したばかりのターニャを任命する異例の人事を行なう。

安全な後方に行きたいターニャは、編成期間を利用して遅延や計画の白紙化をたくらむのだが、存在Xの手出しもあって全て裏目に出てしまう。
候補者の選出が済んでしまってからは、候補者の脱落を目論んだ過酷な訓練をしたのだが、かえって彼らを精鋭と化してしまい「第601編成部隊」が編成される。

周辺諸国との戦い

今までも小競り合いをしてきた敵国「協商連合」が、突如帝国の北方へ大規模な侵攻をしてきた。この侵攻の陰には「共和国」や「連合王国」が大きくかかわっていた。
これに反抗するために、参謀本部直轄で、ターニャが率いている「第二〇三航空魔道大隊」は機動部隊として、目まぐるしい活躍を収め連合王国にも大きな損害を与えていた。

しかし、北方司令部と、参謀本部との戦略の違いからターニャと大隊は北方勤務から外され、再びライン戦線へ戻ることになった。
ライン戦線では協商連合とは異なる敵国「パルチザン」から兵站を脅かされながらも、ターニャ率いる魔道大隊は着実に戦果を残していった。
だが、膠着していた戦況は変わらず、ゼートゥーアら参謀本部が出した作戦によってターニャと大隊は酷使される。

そしてターニャと大隊のおかげで敵勢力をほぼ殲滅し、帝国の勝利となったのだが、現代世界で生きていた頃の知識からこの戦争で生き残った敵将ド・ルーゴ将軍を逃せば、後の禍根になると確信しているターニャは残存部隊の追撃を主張するが、歴史的な戦争に勝利した帝国軍は思慮深いゼートゥーアですらその主張を却下した。

そしてド・ルーゴ将軍は南方の植民地で決起したため、戦争終結が遠のいてしまった。南方へ派遣されたターニャと大隊はなんとかド・ルーゴ将軍の計画を阻止することができたのだが、結果として不安な世界情勢は変わらぬままとなってしまったのだった。

『幼女戦記』の登場人物・キャラクター

二〇三航空魔道大隊

当時陸軍大学の生徒であったターニャ・デグレチャフが、ハンス・フォン・ゼートゥーアへ語った世界大戦の展望から生まれた部隊。ターニャの意見を元にゼートゥーアが提案し、参謀本部直轄の実験的な部隊として運用するということで編成されることとなった。編成、設立にあたり、大元の発案者であるターニャを部隊長に任命し、隊員の選抜もターニャ本人が立案した厳しい方法で行った。

ターニャ・フォン・デグレチャフ

CV:悠木碧
本作の主人公。
帝国軍参謀本部直属 第二〇三航空魔導大隊 大隊長兼第一中隊長。アニメでの最終的な階級は少尉。
「白銀」の二つ名や「ラインの悪魔」として恐れられる。作戦時の主だったコールサインは「フェアリー(妖精)」である。
現代日本からの転生をし存在Xの意思に抗って、後方の安全な場所で暮らすという野望を持っていたが、思惑が空振りし、結果的に多大な戦果を残す軍人となる。
魔道の才能も超一流で、前世での知識を活用しながらキャリアを形成し、存在Xへの復讐方法も探っていた。
しかしながら、前世での知識が前進的だったため、時として戦闘狂のように見られることもある。

ヴィクトーリヤ・イヴァーノヴナ・セレブリャコーフ

CV:早見沙織
本作での数少ない女性キャラクター。
帝国軍参謀本部直属 第二〇三航空魔導大隊副官。階級は伍長。
ターニャの副官で通称は「ヴィーシャ」である。
彼女は、ターニャにとって最初の部下であり、信頼できる彼女の副官として最も長く戦場を共にする。
幼年学校卒業時にターニャと同時にライン戦線に配属され死線をくぐる。ターニャっがライン戦線を離れる際に士官学校への進学を薦められ、入学するが魔道大隊設立時に、軍人として数少ない同性であることや、既知の仲であることから副官に任命された。

マテウス・ヨハン・ヴァイス

CV:濱野大輝
帝国軍参謀本部直属 第二〇三航空魔導大隊 副長兼同大隊第二中隊長。
階級は中尉。
帝国の航空魔導師士官。常識的で生真面目な性格をしている。裏方でターニャを支えるのがヴィーシャならヴァイスは実戦面でターニャを支えている。
ターニャを敬愛し忠実に従う。

陸軍上層部

ハンス・フォン・ゼートゥーア

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