cero

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cero
10

純粋すぎるほどに音楽を愛しているバンド

2014年に活動を開始し、常に新しい音楽を生み出し続けている3ピースバンド「cero」。
彼らの音楽は一言で表すことはできない。哲学的であり純粋無垢であり、絶対的に流行に囚われない自分たちだけの音楽性が確立されていることが魅力だ。
古来、音楽は常に「前時代のものを壊す」ことで新しいものが生み出されてきた。民族音楽に始まり、古典派、バロック、ロマン派、現代曲…その流れを踏襲しながら、現代のPOPSやロックなどが誕生した。
ceroの音楽は、正にその「前時代のものを壊す」ような強さがある。つまり、新しい音楽時代を作り出しているのだ。
彼らの音楽の中には、とにかく様々な音が登場する。それはシンセサイザーから流れる録音されたものもあれば、風の音、人の声、街のざわめき…。これらは生活の全てを「音楽そのもの」として捉えているからこそのアイディアだ。
ジョン・ケージなど有名な実験音楽家は、常に新しい音楽を模索していた。ケージらの音楽の中には、静寂、爆発音、時には風呂場のアヒルまで登場していたのだ。その奇怪な発想は当然、大衆が求めた美しく繊細な音楽からはかけ離れていた。そのアングラ性に魅力を見出した一部の人間だけが、実験音楽に価値をつけた。
ceroには、何故かその実験的な音楽性を感じさせる。それは音の作り方から来るものもあるが、純粋に「これをやったら面白いのではないか」という発想力がずば抜けているという人間性が、当時の実験音楽家を彷彿とさせるのだ。
新しいことをするためには、常に純粋に物事を見つめなければいけない。それを自然にこなしているceroの3人は、これからも日本の音楽シーンを支えていくことだろう。