賭博堕天録カイジ(福本伸行)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

2004年から「週刊ヤングマガジン」にて連載されている福本伸行によるギャンブル漫画。保証人としてかつてのバイト仲間の借金を肩代わりさせられたことをきっかけにギャンブルの世界へのめりこんでいく様が描かれた「賭博黙示録カイジ」、そして膨れ上がった借金の代償として地下労働を強いられ、そこから地上へと戻ってくるまでが描かれた「賭博破壊録カイジ」の続編として、再びカイジが勝負の世界で奮闘する模様が描かれる。

カイジ、「白」単騎の三倍満和了

離席した間に牌を覗き見る村岡の無法を逆手にとった絶妙な「白」偽装によってカイジの決定的な反撃の一打が炸裂するシーン。カイジの嵌め手は積極的にルールを侵し先制して相手を騙しにいくというよりは、基本的に相手の謀略に応じて、それを絡めとるために策を弄するところに特徴がある。覗き見さえしなければ別段なんということもない不使用のはずの牌の「白」偽装。ここでもそれが再現されている。

光山の懺悔

友情確認ゲーム終盤で仲間を裏切り、死に追いやろうとする光山が懺悔するシーン。金への欲望と死への恐怖から仲間への裏切りを働くというシンプルな事実が、「二人の死を見届け、その罪を背負って生きていく!」という力強い宣言によってヒロイズムへと塗り替えられていく。裏切られる当事者からすれば理不尽以外のなにものでもない裏切る側の飛躍的論理が巧みに描かれている。

「あぁ…!心の芯が痺れていく…!博奕だな、これが…!」

死の淵から生還し、引き寄せた流れの中連勝を重ね、ついに和也とのチップをひっくり返して迎えた23回戦。微妙な手持ちのカードと相手のリアクションから次なる選択への思考は二転三転し、より深い感性を求めて自らの内へと分け入っていくシーン。ギャンブルジャンキーのカイジが改めて実感するギャンブルの醍醐味を表した台詞。

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