容疑者Xの献身(ようぎしゃエックスのけんしん、The Devotion of Suspect X)とは

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ある日川で発見された、顔をつぶされた死体。刑事たちに協力を求められた大学准教授の湯川学は、その犯人を追い求める中で、ある人物にたどり着く。それは、湯川が天才だと認めていた大学時代の同級生、石神哲哉だった。
東野圭吾のガリレオシリーズをテレビドラマ化したキャストとスタッフが再集結し、劇場版として公開されたミステリー映画。

概要

『容疑者Xの献身』は、2008年公開の日本映画。原作は東野圭吾のガリレオシリーズ第3弾で、第6回本格ミステリ大賞、第134回直木三十五賞受賞したほか、『本格ミステリ・ベスト10 2006年版』『このミステリーがすごい!2006』『2005年「週刊文春」ミステリベスト10』においてそれぞれ1位を獲得した。

監督を務めたのは、2007年10月から12月に放送されたテレビドラマ版『ガリレオ』の演出も手掛けた西谷弘。ドラマ版に引き続き主人公・湯川学を演じるのは、福山雅治。湯川と頭脳戦を繰り広げる天才数学者・石神哲哉を堤真一が演じた。

あらすじ

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高校で数学を教える石神哲哉は、毎朝出勤前に弁当屋に行くのが日課だった。弁当屋を営んでいるのは、アパートの隣人である花岡靖子である。彼女は暴力をふるう夫・富樫慎二と離婚し、中学生の娘・美里と2人で生活していた。

ある夜、靖子の部屋に突然富樫がやってくる。引っ越しても居場所を突き止めてやってくる富樫に「もう私たちに付きまとわないで」と訴える靖子。しかし富樫は聞く耳を持たず「お前は俺から逃げられない」と吐き捨てる。絶望を感じながら、靴を履く富樫の背中を見つめる靖子。その時、奥の部屋に隠れていた美里が急に飛び出し、スノードームで富樫の頭を殴打してしまう。

靖子は慌てて美里を止めるが、殴られた富樫は激高し美里に暴力をふるう。靖子は美里を守ろうと、咄嗟に炬燵のコードで富樫の首を絞め、暴れる富樫を美里も必死に押さえつけた。やがて富樫は動かなくなり、我に返った靖子はとんでもないことをしてしまったことに気づく。その時、玄関のチャイムが鳴る。隣で尋常ではない物音を聞いていた石神が訪ねてきたのだ。
「何かあったんですか」と尋ねる石神に、靖子は平静を装い「ゴキブリが出て…」とごまかす。しかし石神はそれが嘘であることを分かっていた。観念した靖子は、石神を部屋へ招き入れた。

数日後、河川敷で全裸の死体が発見される。指紋は焼かれ、顔は鈍器のようなもので潰されていたが、宿泊中だった旅館の鍵を持ったままだったため、富樫慎二だと判明した。
事件を担当する内海薫と草薙俊平は、元妻である花岡靖子のアパートを訪れ、富樫が殺されたと思われる12月2日のアリバイを尋ねる。靖子はその日美里と待ち合わせをして映画へ行き、ラーメンを食べてカラオケに行ったと話した。帰り際に出くわした石神にも12月2日の隣の様子を聞くが、特に変わった様子はなかったと言うだけだった。
刑事たちが帰ったあと、石神は公衆電話へむかう。靖子の携帯に連絡するためだ。靖子のアリバイは全て石神が用意したものだった。不安がる靖子に的確なアドバイスをする石神。彼は靖子と美里を守ろうと決意したのだった。

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警察は靖子を疑っていたが、アリバイを崩せずにいた。薫と草薙は助言を求めて帝都大学理工学部の准教授・湯川学のもとを訪ねる。そして容疑者の隣人が石神哲哉であると知ると湯川は驚く。石神は大学時代の同級生で、彼が天才と認めた男だったのだ。
いつものように公衆電話から靖子に連絡をした石神がアパートに戻ると、そこには湯川が立っていた。同じく大学の同期である草薙に住所を聞いたのだという。酒を酌み交わしながら思い出話に花を咲かせる二人。翌朝、川沿いに住むホームレスたちの前を通るという石神の風変わりな通勤コースを歩きながら、湯川はさりげなく靖子のことを尋ねる。しかし石神は「毎朝お隣さんがやってる店で弁当を買うが、あいさつ程度の付き合いしかない」と話すだけだった。

事件に興味を持った湯川は薫を死体発見現場に呼び出し、「君たちが考えている事件の流れを教えてくれ」と言う。警察は靖子が被害者を川へ呼び出し、駅で自転車を盗んでやってきた被害者をこの場所で殺害したと考えていた。現場に残されていた自転車から被害者の指紋が検出されたうえ、その自転車は持ち主が買ったばかりのもので被害届が出されていたため、どこで何時頃盗まれたのかが正確に判明したのだ。
しかし湯川はその出来すぎたシナリオに疑問を抱く。なぜ死体の指まで焼いた犯人が自転車の指紋を拭き取らなかったのか。なぜ被害届が出るような新品の鍵付き自転車を盗んだのか。それは、犯人にとってそのほうが都合良かったのではないか、と言うのだ。

石神が仕事を終え高校を出ると、そこには湯川が待っていた。靖子の店の弁当が食べたいので案内してほしいというのだ。湯川と石神の突然の訪問に戸惑いながらも接客をする靖子。そこへ靖子の古くからの知り合いである工藤邦明がやってくる。親しげな二人の様子に顔を曇らせる石神。その表情を湯川は見逃さなかった。
湯川が石神を疑っていることに気づいた薫は大学を訪ねる。そして湯川から「靖子が富樫を殺害してしまったことを知った石神が、警察の追及を逃れるために靖子のアリバイを作り、指示をしているのではないか」という推理を聞く。しかしその時、新たな証言がとれたと警察から連絡が入る。12月2日、映画館で靖子と美里に遭遇したと、美里の同級生が証言したのだ。

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新たな証言や富樫が賭博で借金を抱えていたことから、警察は組織犯罪の可能性もあるとして捜査方針を変更した。しかし湯川を信用していた薫は草薙を説得し、独自に石神の捜査を始める。そして石神が12月2日と3日に連続して午前中だけ仕事を休んでいたことがわかった。高校へ赴き石神にその理由を尋ねるが、体調が悪かっただけだとはぐらかされる。
しかしそのことを知った湯川はなにかに気づく。「話がしたい」と連絡をしてきた湯川に「週末山に登らないか」と誘う石神。そして週末、二人は雪山を登り、そこで湯川は彼に真相を追及する。しかし石神は「あの問題を解いても誰も幸せにならないんだ」と話すだけだった。

靖子は工藤と再会した後、時々二人で食事に行っていた。ある日、工藤に車で送ってもらったところを石神に見られてしまう。そして工藤のもとに「花岡靖子に近づくな」と書かれた文章と、二人を隠し撮りしたような写真が送られてきた。差出人は不明だったが、靖子はそれが石神の仕業だと気づき怯える。
そんな靖子のもとに、いつものように石神から連絡が入る。しかしそこで石神は「連絡を取り合うのはこれが最後だ」と話し、一方的に電話を切ってしまう。

翌朝、石神は「自分が富樫を殺した」と自首する。自分は靖子のストーカーで、富樫がアパートの前をうろついているのを見つけ、殺害したというのだ。石神の供述に矛盾はなく、殺害に使われた凶器なども自宅から発見された。靖子のもとには工藤との関係を問いただす手紙が届いており、靖子は石神からストーカー行為を受けていたことを認めた。
しかし、靖子のもとにはもう一通の手紙が届いていた。「読んだら処分するように」という言葉から始まるその手紙には、警察が来たらストーカー行為を受けていたと話すようにという指示と、工藤と結ばれることを望んでいること、そして、自分は靖子と美里に救われたという感謝の言葉が綴られていた。石神が花岡親子と出会ったのは、彼が人生に絶望し、自殺を図ろうとしていた時だった。その日から靖子と美里は、石神にとって生きる希望だったのだ。

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湯川は靖子を呼び出し、「石神はあなたと娘さんを守るために、あなた方も知らないとてつもない犠牲を払った」と言い、自分の推理をすべて話した。そして草薙に協力してもらった湯川は、拘置所に移監される直前の石神にも、その推理を話した。
実は、靖子が富樫を殺害したのは12月2日ではなく1日だったというのだ。靖子の部屋で富樫の死体を確認した石神は、殴打された傷や、腕に美里の指の跡が残っていることに気づき、自首しようとする靖子を止め、二人を守るための計画を立てた。その計画とは、もうひとつ他殺体を用意し、それを富樫の死体だと思わせるというものだった。
そして石神は12月2日に、毎朝通勤コースで見かけていたホームレスを殺害し、その死体を富樫だと見せかける工作をした。警察は富樫が殺害されたのは12月2日であると判断し、花岡親子には鉄壁のアリバイが完成した。
それによって花岡親子は嘘をつくことなく警察の追及を耐えることができ、石神自身は自分も一人の人間を殺害したことで、堂々と罪を主張できると考えたのだ。

湯川の推理を聞いても石神はそれを認めなかった。彼の覚悟は揺るがなかった。そして拘置所へ向かう車に乗り込もうとしたその時、石神は名前を呼ばれ振り返る。そこには、花岡靖子がいた。
湯川から全てを聞いた靖子は「私も罪を償います」と泣き崩れた。それでも石神はシラを切り通そうとした。しかし「ごめんなさい」と何度も泣きながら謝る靖子の姿に、堪えきることが出来なかった。そして、石神の慟哭が、建物内に響き渡った。

登場人物

湯川 学(福山 雅治)

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帝都大学OB。現在は同大学理工学部の准教授を務めている。天才的な頭脳を持ち、大学時代から「変人ガリレオ」と呼ばれていた。スポーツも万能で、女子学生のファンは多い。「非論理的」という理由で子どもが嫌い。
草薙からの依頼を受け、物理学の観点から警察の捜査に協力しているが、非科学的と思われるトリックを科学的に証明することにのみ興味を持ち、容疑者の動機や被害者の心情などには興味がない。常に物事を論理的に考え、感情的になることはほとんどないが、今回の事件では友人が犯した犯罪を暴かねばならず、苦悩することになる。

内海 薫(柴咲 コウ)

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警視庁捜査一課の女性刑事。女性扱いされることを嫌い、男性社会の中で奮闘するが、上司からはお茶くみとして使われてしまうことも多い。湯川とは対照的に「刑事の勘」を頼りに操作するため、論理的な湯川と対立することもしばしば。今回の事件では苦悩する湯川の姿を目の当たりにし、事件解決だけでなく、湯川の苦しみを理解し助けようとする。
もともと原作にはないキャラクターだったが、ドラマ化にあたり女性のパートナーを登場させたいという製作者側の要望を受けた東野が、先に原作に登場させてからドラマに使用するという条件で生まれたキャラクター。

草薙 俊平(北村 一輝)

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帝都大学OB。大学時代は社会学部。現在は警視庁捜査一課の刑事で薫の先輩にあたる。大学の同期である湯川に難事件の捜査への協力を度々依頼していたが、本庁に栄転することとなり新人の薫に湯川を紹介する。
今回の事件は草薙も担当することになり、薫と共に事件の真相を追う。いつも突っ走ってしまう薫をなだめながらも、薫や湯川の意見を聞き入れ、捜査がしやすいように便宜を図る。

石神 哲哉(堤 真一)

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帝都大学OB。湯川が友人であり天才と認める数学者で、大学に残り研究者になるつもりだったが、親の介護のため高校の数学教師になる。「数学に似ている」という理由で山に登ることを趣味とする。
人生に絶望していたとき、アパートの隣に越してきた花岡親子と出会い、二人の笑顔や楽しそうな様子に生きる希望を見出す。靖子が元夫の富樫を殺害してしまったことを知り、親子を守るためにとんでもない計画を立てる。

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