車輪の国、向日葵の少女(ゲーム)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『車輪の国、向日葵の少女』は、あかべぇそふとつぅが2005年11月25日に発売したPCゲーム、およびそれを原作としたコンシューマー版である。舞台は日本とよく似た架空の国。主人公の森田健一が、様々な義務を背負う少女と出会い、その義務を更生させる人物「特別高等人」を目指していく。物語のテーマは「人間」「社会」。

『車輪の国、向日葵の少女』の概要

『車輪の国、向日葵の少女』(Sharin no Kuni: The Girl Among the Sunflowers)は、あかべぇそふとつぅより2005年11月25日に発売されたPCゲームである。
初出のPC版はR-18のアダルトゲームで、内容はシナリオ重視のいわゆる「泣きゲー」の類。
そのストーリーは非常に高い人気を誇り、多くのシナリオゲーマーがこの作品を「名作」として好評している。
2010年の10月に、一度は開発中止になるなどの紆余曲折を経て、Xbox360への移植版が発売された。対象年齢は15歳以上対象(CERO:C)で、R-18の個所はすべて差し替えられた。
また、2012年の2月にはXbox360同様の修正をかけたPS3、PSPへの移植版が発売され、現在はPC、PS3、PSP、Xbox360の4つのハードでのプレイが可能。

物語

物語のジャンルはヒューマンドラマ。SFや非現実的な要素はほとんどなく、「日本によく似た架空の国」が舞台だが、犯罪の取り締まりなどのシステム以外は、ほぼ全て日本と同じである。
また、物語は終始「社会」、「人間」をテーマとしていて、人間の在り方、社会の姿などを強く訴える描写も多い。
構成は全5章。物語のあらゆるところで伏線を幾重にも張り巡らしていて、その伏線を知る前と後では、大きくとらえ方が変わってくるシーンも少なくない。
感動的なシナリオはもちろん、こうした物語の重厚さが、この作品が「名作」と呼ばれる所以だろう。

『車輪の国、向日葵の少女』のあらすじ・ストーリー

物語の舞台は日本によく似たとある架空の国。
この国は罪を犯すと懲役や刑罰に代わり、その罪に応じた「義務」というものが科せられていく。
その義務を負うものは「特別高等人」という超法規的存在によって更生、指導される。
主人公、森田賢一は、その特別高等人を目指している候補生。
幾つもの非常に過酷な試験を突破した賢一は、最終試験の課題として、ある3人の少女を更生するよう指示される。
異性との接触を禁じられる、恋愛できない義務を背負う「日向夏咲」。
1日が12時間しかない義務を背負う「三ツ廣さち」。
親の命令には絶対服従の大人になれない義務を背負う「大音灯花」。
森田賢一の特別高等人になるための大きな試練が始まる。
多くの遺産が眠るという洞窟の探検、さちのルームメイト「まな」が南方の国に売り飛ばされるのを防ぐためにさちが一億円をかけて描く一枚の絵。
子供に義務を負わせた責任を問う「親権者適正研修」、灯花の父親をめぐる事件と虐待の過去。
彼女らの更生の中で、様々な困難が賢一と被更生人たちを悩ませ、追い詰めていく。
そしてさちと灯花の更生後、夏咲の更生の途中、試験監督の法月将臣からの試練が待ち受けていた。
なんと、法月は夏咲を断頭台にかけ死刑にするという。
そんな賢一と夏咲のピンチに現れたのは、極刑を背負う賢一の姉「樋口璃々子」だった。
璃々子や更生した少女たちと共に、賢一は法月の試練を乗り越えていく。

『車輪の国、向日葵の少女』の登場人物・キャラクター

森田 賢一(もりた けんいち)

物語の主人公。特別高等人を目指している。
史上最年少の特別高等人候補であり、頭脳明晰で運動神経抜群、容姿端麗で冷静沈着、行動力もある完璧超人。
人間科挙とも呼ばれる特別高等人試験のほぼ全てにを上位成績で合格しているが、試験の中で唯一『意志力要請訓練』というものにだけには合格することが出来ていない。
その補習として地獄と言われる南方紛争の最前線に送り込まれてしまい、そのショックから精神障害を抱えている。
そのため、言動や行動に落ち着きがなく、「あんたもそう思うだろう?」など、誰かに話しているかのような独りごとが多い。
さらに、精神障害を落ち着けるため非合法の麻薬にも手を出していて、よく吸っている。森田の監督である法月は社会への莫大な貢献を条件に容認している。

日向 夏咲(ひなた なつみ)CV: 新城麻奈

本作のメインヒロインで、大きなリボンが特徴。課されている義務は「恋愛できない義務」。
異性を騙し騙しにとっかえひっかえしているような者が背負う義務。
この義務は、異性との接触を一切禁止するもので、相手が接触してきた場合は相手も同罪になるというもの。
そのため、この義務を背負うものは、異性は同罪になることを恐れ、同性はその義務を負うことへの侮蔑から誰からも近寄られず、常に孤独である。
性格は非常に気弱。しかし自分が正しいと思った主張は譲らない、芯の強さをのぞかせる一面も。
男性との接触を極度に恐れていて、それを警戒し挙動不審なことも多い。
昔は快活で元気な心優しい女の子だった。課された義務も実は冤罪で、無理やり罪を着せられ、今のような性格になってしまった。
暇があると向日葵畑に行き、「ケンちゃん」という人物を待ち続ける。リボンもそのケンちゃんからもらったもの。

三ツ廣 さち(みつひろ さち)CV:芹園みや

本作のヒロインの1人。
快活で非常に元気な性格。賢一とはなかなかウマが合う。
「アガるね!」など、独特の言葉を使うことがある。
課されている義務は「1日が12時間しかない義務」。
この義務はその名の通り1日が12時間しかない。残りの12時間は薬により強制的に眠らされる。しかしこの眠りで一般的な睡眠のように疲れをとったりなどはできず、さちはこの時間の眠りを「止まる」と言っている。
これは通常、博打などで散財を繰り返すものに対して、時間の大切さを教えるという意味で課せられる義務である。
だが、本人にあまり更生の気はなく、現在も為替による収益で生活している。
実は絵画の才能があり、昔はコンクールなどでも入賞していた。現在は描いていない。
家には「まな」という数年前に拾った孤児の移民がいて、一緒に生活している。

大音 灯花(おおね とうか)CV:紫華すみれ

本作のヒロインの1人。課されている義務は「大人になれない義務」。
この義務は親権者の言うことには絶対に服従しなければならないというもの。遠い昔の、家長が絶対的権力を持っていたような時代に制定された義務で、現代においては時代錯誤な義務と言え、本来なら親権者の一声で義務の解消は可能。
学級委員長だが、それは母親からの命令によるもので、本当はみんなと遊びたかったり、子供っぽい一面も見せる。
性格は真面目だがかなりのドジっ子で、テストでは計算の桁数を間違えるなどのうっかりミスが非常に多く、点数は全く芳しくない。
怒るとよく「ぶっこぉすぞ!」と言うのが特徴。これは「ぶっ殺すぞ!」と言いたいのだが舌足らずでこのようになっている。

樋口 璃々子(ひぐち りりこ)CV: 籐野らん

本作のヒロインの1人。苗字は違うが賢一の姉である。
課されている義務は「極刑」。
通称「世界から存在を認められない義務」。この世界の中で最も重い義務である。
この義務を背負う者は、一切の存在を感知されず、周りの人間も目を合わせたり、会話をするだけでも重罪となる。唯一存在を認められるのは特別高等人のみ。
この世にいながら誰にも存在を認めてもらえない、一生地獄のような孤独を味わい続ける、まさに極刑と呼ぶにふさわしい義務である。

卯月 セピア(うづき せぴあ)CV:盛啓介

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