キカイダー01 THE ANIMATION(アニメ版キカイダー01)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『キカイダー01 THE ANIMATION』は石ノ森章太郎の漫画『人造人間キカイダー』を原作としたアニメ。人間と同様に悩みを抱く不完全なロボット、キカイダー/ジローを中心として、01/イチローらがプロフェッサー・ギルの遺産をめぐる戦いに身を投じていく。ロボットにとって人間と同じ心をもつことは幸せなのか?という問いかけが作中の根底にあり、原作漫画に忠実につくられたラストには衝撃が待ち受けている。

『キカイダー01 THE ANIMATION』の概要

『キカイダー01 THE ANIMATION』は、2001年11月~2002年2月にかけて、DVD・VHSで4巻作成されたアニメ作品。2003年9月には4巻をまとめ、さらにボーナストラックとして『イナズマン』のエピソードが含まれたDVDボックスが発売された。
2000年10月~2001年1月にかけてキッズステーションで放送されていた『人造人間キカイダー THE ANIMATION』の続編にあたる。

前作『人造人間キカイダー THE ANIMATION』が、石ノ森章太郎が描いた漫画『人造人間キカイダー』の前半部をもとに脚色を加えて放送されていたのと同様に、『キカイダー01 THE ANIMATION』は漫画の後半部をアレンジして作成されている。

1973年5月~1974年3月にかけて放送されていた特撮テレビドラマ『キカイダー01』では、主人公が完全な正義の心をもつキカイダー01/イチローであるが、アニメ版では主人公はキカイダー/ジローである点が最大の違いである。

主な登場人物・キャラクター

キカイダー/ジロー(CV:関智一)

戦闘形態にチェンジした姿、キカイダー

本作の主人公。光明寺伝博士によって創り出された人造人間(ロボット)。

最大の特徴は、悪意がこもった人間の命令に従わなくても済むように、人造人間自身が経験を積んで心を成長させていくというシステムである「良心回路」を搭載していることである。
このシステムは童話『ピノキオ』に登場するコオロギの名にちなんで「ジェミニィ」と名付けられた。
しかし、光明寺博士の研究所が、プロフェッサー・ギルが繰り出したロボット「ダーク破壊部隊」に襲撃されたため、良心回路が完成しないまま、ジローは起動してしまう。それゆえ、彼は善と悪の境で、さらに人間のような心を持たされたことで、機械と人間の狭間で悩み苦しむこととなる。

人間態であるジローの姿から、肩のスイッチを入れることで戦闘形態であるキカイダーにチェンジする。キカイダーの姿では格闘能力が飛躍的に向上するほか、電磁波を帯びた両腕を相手に叩き込む必殺技「電磁エンド」が使用できる。最大の武器は目から放出する破壊光線(ブラスター)。
愛機「サイドマシーン」は、カッターウィングや、ロボットの機能を狂わせる煙幕を装備したハイテクマシンである。

花や蝶を慈しんだり、アキラに楽しい記憶を与えてあげたいと思ったりと、優しい性格をしている。
しかし、新生ダークに捕らわれた後、ギルハカイダーの命令に従う兵隊としての役割を与える回路「服従回路=イエッサー」を埋め込まれてしまう。その結果、イエッサーが生み出す悪の心に負けてはいけないという気持ちからジェミニィもフルパワーを発揮し、嘘をつくことも、兄弟を殺すこともできるほどの精神的な強さを手にした。

01(ゼロワン)/イチロー(CV:森久保祥太郎)

ジローが謎の組織「シャドウ」と交戦している中で、記憶されていたデータに従って訪れた古寺の仏像の中に保管されていた人造人間。
実態は光明寺博士が3年前に開発していた人造人間であり、悪用されることを恐れ、彼の恩師である風天和尚に預けられていた。寺を訪れたジローと同調して覚醒し、その後はジローとともにシャドウと戦う。
良心回路が搭載されていないため、原作では「気をつけろ、キカイダーより荒っぽいぞ」と呼ばれるほど、その思考は単純さが目立ち、かつ好戦的である。「人間を守る」ということも当初は彼の意識の中になかったが、ジローの気持ちに打たれる形で徐々に変わっていった。

戦闘モードである01にチェンジ(作中で「キカイダー01」という呼称はされていない)すると、キカイダー以上に高い戦闘能力を発揮する。ただし、太陽光をエネルギーとして行動するため、夜間での戦闘は不得手である。
軽快に動き回って相手を破壊していくほか、左手首に内蔵された、太陽エネルギーを弾丸とする「太陽のかけら」を打ち出すマシンガンを主武装として使う。必殺技は全身の太陽エネルギーを超高出力の光線として放出する「サンライズビーム」。
専用機である「ダブルマシーン」は分離したウィングが風車状に回転して敵をなぎ倒したり、ミサイルが搭載されていたりと、サイドマシーン以上の火力を誇る。

第4巻でアキラを救い出すべく、新生ダークの最終兵器たる要塞「アーマゲドンゴッド」に戦いを挑むが、機械の動きを無効化する装備「ESE砲」によって機能を停止させられてしまう。
その後、イエッサーを組み込まれて物言わぬ人形と化し、キカイダーと交戦する。最後はギルの命令でキカイダーを破壊しようとするが、キカイダーのブラスター一発で粉々に破壊された。

00(ダブルオー)/零(レイ)(CV:井上和彦)

第3巻から登場。光明寺博士の研究所に残されていた素体をもとに、風天和尚が制作した人造人間。いわばジローの弟。良心回路は搭載されておらず、その性格は冷徹ともとれるほどにクール。
リエコの記憶と同調したことで、今後どのように行動したら良いか迷うビジンダー/ミエ子に対して「その気持ちは、同じ回路を持った人造人間が同調したただのプログラムにすぎない」と言い切る一方で、「ただのプログラムだから命じる通りに動けばいい」と励ましのような言葉を送る一面もある。

戦闘モードである00(劇中で「キカイダー00」という呼称はされていない)にチェンジすると、キカイダーや01以上の戦闘力を発揮する。
手首に内蔵された円輪状のカッターで敵を切り裂く「ダブル斬り」や、両掌の間にエネルギーを集中させて光線として撃ち出す「クロスライン撃ち」(技名は呼称されず、原作漫画に従っての名称)、そして全身から銃器を展開して周囲の敵を全滅させる「ブローアップ」といった強力な武装を備えており、その威力はジローが戦慄するほどであった。

第4巻でキカイダー、01、ビジンダーと共にアーマゲドンゴッド要塞に挑むが、要塞に侵入しようとした隙にESE砲を浴びせられ、ビジンダーと共に新生ダークの手に落ちてしまう。
その後、01同様にイエッサーを埋め込まれ、ギルの操り人形としてキカイダーを一時機能停止に追い込む。最後は01ともども、キカイダーのブラスターを受けて破壊された。

リエコ(CV:大原さやか)

リエコの腕の中に抱かれている少年がアキラ

プロフェッサー・ギルの一人息子であるアキラを保護する心優しき女性。親からの愛情を受けられず、ほぼ実験室で過ごしていたアキラに対して深い同情の念を持っている。

しかし、その実態はアキラを守るために、ギルに創られたロボット。人間としての記憶は実在する人物の記憶を精巧にコピーして電子頭脳に移植したものだった。リエコ本人はロボットであることをあくまで否定していたが、ギルハカイダーのビームを浴びせられ、ロボットとしての姿を顕わにしてしまう。
用済みとして破壊される寸前でビジンダーに助けられ、2人でアキラと共に逃げようとしたが、その際にジローからもらったピノキオの絵本を落としてしまう。それを見つけてアキラの前で笑顔を見せた直後、ギルハカイダーに射殺された。

アキラ(CV:秋田まどか)

プロフェッサー・ギルの一人息子。ダークが開発した最終兵器であるアーマゲドンゴッドの重大な秘密を握っているとして、ダーク崩壊後、シャドウに常に追い回されていた。常に怯えた様子でほとんど言葉を発さず、また身体もそれほど丈夫ではない。
隠されていた秘密とは、アーマゲドンゴッドを制御するコアがアキラ自身であるということ。ロボット軍団に常に狙われることで不安な環境に置かれ続け、さらに心の支えであったリエコが射殺されたことで恐怖と不安の感情が覚醒した。

その後、アーマゲドンゴッドのコアとして動力炉に組み込まれてしまう。アキラの恐怖と不安から起こる破壊の感情はアーマゲドンゴッドを制御し、都市をひとつ壊滅させるほどの超高出力破壊光線「アーマゲドンX」などの超兵器を作動させる。
しかし、自分を守り続けてくれたキカイダーが目の前で苦しむ姿を見て感情が目覚め、アーマゲドンゴッドの制御が不可能となる。アキラを落ち着かせようとしたギルハカイダーはビジンダーにアキラを預けるが、リエコの記憶とシンクロしたビジンダーによって要塞を脱出させられる。
最後は風天和尚に助けられ、リエコの名をもつ少女の前で弱りながらも笑顔を見せた。

風天和尚(CV:永井一郎)

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