いまを生きる(映画)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

ニューイングランドの全寮制名門進学校「ウェルトン・アカデミー」を舞台にした1989年のアメリカ映画(日本公開は1990年)。
同校へ型破りな英語教師ジョン・キーティングが赴任してきた事をきっかけに、生徒たちが自主性に目覚め夢を持つようになる物語。
1989年アカデミー賞脚本賞、同年英国アカデミー賞作品賞・作曲賞など数々の賞を受賞。
ニューイングランドの初秋から冬にかけての風景も魅力的。

『いまを生きる』のあらすじ・ストーリー

ニューイングランド・バーモント州にある全寮制エリート進学校「ウェルトン・アカデミー」。
過剰に規律を強いる学校や、将来”立派な”職業に就くことこそが子供の幸せだと信じて疑わない両親のもと、生徒は抑圧され、自主性を奪われ、将来の夢を持つことを諦めていた。
そんなウェルトン・アカデミーに1959年、同校のOBである英語教師ジョン・キーティングが赴任してきた。
キーティングは、ホイットマンの詩の一節になぞらえ自身を「おお船長!我が船長よ」と呼んでくれと言い、教科書を破り捨てさせたり生徒を机の上に乗せたりと型破りな授業を展開する。
キーティングはこの授業を通し、生徒に詩の素晴らしさや常に別の視点を持つ大切さ、自由に考え生きる大切さを説き「いまを生きろ」というメッセージを伝えようとする。
最初は戸惑っていた生徒たちだったが、徐々に彼の思想に惹かれていき、将来の夢を考え始める。
彼に影響を受けた生徒の一人であるニールは、ある日キーティングが学生時代に所属していたクラブ「死せる詩人の会(Dead Poets Society)」の存在を知る。
ニールはトッドやノックス、チャーリーなどを誘い、学校に内緒で「死せる詩人の会」を復活させる。
彼らはクラブの活動を通して、自身の考えや将来の夢を語りはじめ、次第に自主性を重んじるようになる。
ノックスは片思いの女性に自身の想いを伝え、ニールは俳優を目指し劇団に入る。
ニールの俳優活動を知った父は激怒し、舞台公演の前夜にもかかわらず芝居をやめさせようとする。
この事をキーティングに相談したニールだったが、キーティングに「自身をさらけ出し、強い信念と情熱で父親を説得しろ」と言われ落胆する。
父親に自身の意見を言えないニールは、父親の名前で舞台に出ることを承認すると嘘の手紙を書き、キーティングにも父親に自分の情熱を伝え認めてもらったと嘘をつく。
こうして舞台に上がったニールだったが、父親がこの事を知り劇場まで足を運ぶ。
客席の父親に気づいたニールは、役のセリフを通して父親に自身の思いを伝えるが、父親は芝居が終わるとすぐニールを家に連れ戻し、陸軍学校へ転校させようとする。
この事を悲観したニールは、家にあった拳銃で自殺する。
ニールの自殺に悲嘆するキーティングと友人たちだったが、学校はニールの自殺について罪をかぶせる身代わりを探すため調査を始める。
キーティングに全ての責任があると結論づけた学校は、「死せる詩人の会」の面々にキーティングが扇動したと無理矢理署名させ、キーティングは退職に追い込まれる。
キーティングが学校を去る日、彼に影響を受けた生徒たちは「おお船長!我が船長」と言いながら机の上に乗り、キーティングの教えが自分たちの心に根付いている事を伝える。

『いまを生きる』の登場人物・キャラクター

ジョン・キーティング(ロビン・ウィリアムス)

出典: pds.exblog.jp

ウェルトン・アカデミーのOBで、英語教師。
型破りな授業を通し、自主性と自由を奪われている生徒たちに「いまを生きろ」と伝える。
学生時代には「死せる詩人の会」というクラブのメンバーであった。
これを知った生徒たちがこの会を復活させ、自身の意志や夢を語り始めるようになる。

ニール・ペリー(ロバート・ショーン・レナード)

成績がよく優等生で、学校からも高く評価されている。
俳優になる夢を持っているが、父親に対し自身の意見を言えない。
キーティングがかつて所属していたクラブ「死せる詩人の会」の存在を知り、復活させた張本人。
父親に内緒で舞台に立つが、最後まで自分の情熱を伝えられず、最後は拳銃自殺する。

トッド・アンダーソン(イーサン・ホーク)

物静かで気弱な少年。
自分から人に話しかけることはなく、自己主張も一切しない。
だが、キーティングの授業を通じて、自身をさらけ出せるようになる。
キーティングが学校から去る日、一番最初に「おお船長!我が船長」と言い机の上に立ち、思いを伝えた。

ノックス・オーバーストリート(ジョシュ・チャールズ)

親の用事で訪れた家でクリスに一目惚れをする。
キーティングの授業に影響され、詩を通じて想いを伝える。
拒絶されたかに見えたが、ニールの舞台公演の夜にクリスが寮を訪れ、二人は一緒に舞台を見ることになる。

リチャード・キャメロン(ディラン・カスマン)

真面目で理数系が得意な少年。
ニールたちと「死せる詩人の会」の活動をするが、自身の身を守るため会の活動を学校に告げ口する。

ノーラン校長(ノーマン・ロイド)

規律を重んじるウェルトン・アカデミーの校長。
教科書の内容を重視し、型破りなキーティングと対立する。

『いまを生きる』の用語

死せる詩人の会(Dead Poets Society)

キーティングが学生時代に結成したクラブ。
全て没した詩人の作品のみ朗読する事から名付けられた。
キーティングは会の内容を「人生の真髄を吸収する会」「詩はまるで蜜のように僕らの口から流れた。心は空を舞い、女は酔い、神が生まれた」と表現している。
会のはじめにソローの詩の一節を読むのが慣わし。
古いインディアンの洞穴で、順番にソローやホイットマン、シェリー、時には自分の詩を読み、魅力的な時を過ごす会。
ある日ニールが「死せる詩人の会(Dead Poets Society)」の存在を知り、クラブを復活させる。

yuntatann7
yuntatann7
@yuntatann7

Related Articles関連記事

ガタカ(映画)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

ガタカ(映画)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『ガタカ』とは1997年にアメリカで製作されたSF映画。 遺伝的優劣によって人生が左右される近未来社会の中で、遺伝的問題を抱えた1人の青年が不屈のチャレンジ精神で人生を切り開き、夢を叶えようとする姿を描いている。遺伝子がすべてと言われる世界の中で、当り前である概念を打ち砕き、不可能を可能としようとする姿に周囲が心動かされていくヒューマンストーリーでもある。現実感のある設定と名言の詰まったセリフの数々は、見る者の心に訴えかけ、今もって語り継がれる作品となっている。

Read Article

トゥルーマン・ショー(映画)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

トゥルーマン・ショー(映画)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『トゥルーマン・ショー』とは、1998年にアメリカで公開されたコメディ映画。誠実なサラリーマンの主人公トゥルーマンは、どことなく不自然な生活を送っていた。その訳とは、彼の私生活はすべて隠しカメラで取られており、テレビ番組『トゥルーマン・ショー』として世界中に生中継されていたのだ。違和感を覚えるようになった彼は、家族や友人、仕事も含め、自分の人生が全部作りものだということに気付く。そしてなんとかしてこの世界から脱出しようと試みるのだった。

Read Article

グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち(映画)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち(映画)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち』とは、アメリカ合衆国で制作されたヒューマンドラマ映画である。天才的頭脳を持ちながら過去の虐待による心の傷が原因で、仲間とともに非行を繰り返す主人公の少年ウィル・ハンティングと、ウィルに向き合う、愛する妻を失った心理学者ショーン・マグワイアの心と心の交流を描いた作品。アカデミー賞脚本賞、ゴールデングローブ賞脚本賞受賞作であり、マッド・デイモンの出世作。ショーン・マグワイア役のロビン・ウィリアムズもこの作品でアカデミー助演男優賞を受賞している。

Read Article

デイブレイカー(映画)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

デイブレイカー(映画)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『デイブレイカー』とは、オーストラリア出身のスピエリッグ兄弟の監督・脚本によるSFアクション・ホラー。人口の9割以上がヴァンパイアと化した近未来を舞台に、人間の減少により血液不足に陥った状況を解決するために代用血液の開発を進めていたヴァンパイアの男が、人間とヴァンパイアの双方を救う新たな道を探ろうとする。09年・オーストラリア・アメリカ製作。

Read Article

真実(映画)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

真実(映画)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『真実』とは、2019年の日仏共同制作のヒューマンドラマ映画。2018年にカンヌ国際映画祭でパルム・ドールを受賞した是枝裕和監督の作品。代表作は『万引き家族』『誰も知らない』など。主演には、フランスを代表する大女優カトリーヌ・ドウーヴを起用し、すべての撮影をフランスで行った監督の初の国際共同製作映画ということで、世界から注目を浴びる。『真実』の出版を機にベテラン女優ファビエンヌとその娘リュミールが心に秘めている真実、彼女たちを取り巻く人々の思いが暴かれてゆく。

Read Article

【タイタニック】今すぐ見るべき「名作映画」ランキングTOP30!【ゴッド・ファーザー など】

【タイタニック】今すぐ見るべき「名作映画」ランキングTOP30!【ゴッド・ファーザー など】

これだけ観ておけば話の種に困ることはない、名作だけに絞った映画ランキングを作りました!タイタニックやゴッド・ファーザーなど、映画好きなら全て観ておいて当たり前の作品ばかりです!もしまだ観たことがない映画があれば、この機会に是非鑑賞してみてください!

Read Article

【かもめ食堂】深イイ話…人生・生き方を見つめ直すためのオススメ映画10選【いまを生きる】

【かもめ食堂】深イイ話…人生・生き方を見つめ直すためのオススメ映画10選【いまを生きる】

人は何のために生まれてきたのか、何のために働くのか、誰のために生きるのか。こうした悩みは人間である限り絶対に避けられないことで、誰もが心の中に抱えていることだと思います。でも、なかなか人に相談できることではないですから、つい1人で抱え込んでしまいますよね。そんな時は、ぜひ今回ご紹介する映画を観てみましょう。あなたの生き方のヒントになる作品があるかもしれません。

Read Article

【トム・フェルトン】意外にも実はゲーマーだった海外セレブまとめ【ロビン・ウィリアムズ】

【トム・フェルトン】意外にも実はゲーマーだった海外セレブまとめ【ロビン・ウィリアムズ】

海外セレブの中には、意外にもゲーマーな人たちがたくさんいます。この記事で、そんな彼ら/彼女らについてまとめました。たとえば、『ハリー・ポッター』シリーズでドラコ・マルフォイ役を演じたトム・フェルトンや、コメディアンのロビン・ウィリアムズあたりでしょうか。こんなに有名な人たちが私たちと同じように普通にゲームをやってるんだと思うと、なんだかちょっと親近感が湧いてきますよね。

Read Article

目次 - Contents