ゲート 自衛隊 彼の地にて、斯く戦えり(GATE)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

「ゲート 自衛隊 彼の地にて、斯く戦えり」とは、著者:柳内たくみによるファンタジー小説である。ある日突如として出現した異世界と日本とを結ぶ門「ゲート」。この物語は、オタクの自衛官「伊丹耀司」を中心とし、異世界へと足を踏み入れた自衛隊と、ゲートの先の世界「特地」における異文化交流を描く異世界ファンタジーである。

『ゲート 自衛隊 彼の地にて、斯く戦えり』のあらすじ・ストーリー

本伝・特地迷宮攻略編

歩行者天国でにぎわう銀座の街に、突如「ゲート(門)」が開き、剣と魔法の世界を彷彿とさせる怪物や騎士の軍勢が現れる。6万もの軍勢は無差別に人々に襲いかかり、一般市民が次々に犠牲となっていくが、自衛隊や警察の応戦により軍勢は壊滅、敵6000人を捕虜とし事態は収束した。

物語の発端となる「銀座事件」である。

ゲートの先が異世界と通じており、そこには膨大な資源(レアメタルなど)が存在する可能性があると考えた日本政府は、自衛隊をゲートの先に送ることを決定、異世界を「特地(特別地域)」とした。

特地側のゲートが存在する「聖地アルヌス」と呼ばれる丘で、自衛隊は敵軍6万を一方的に殲滅し、現地を調査するため主人公「伊丹耀司(いたみようじ)」を隊長とする偵察部隊を組織する。伊丹は現地の人々との交流を主に、信頼関係を深めていった。

偵察任務の中、特地でも恐れられる「炎龍」がエルフの村を襲っているのを発見、村の唯一の生き残りであるハイエルフ「テュカ・ルナ・マルソー」を救い出した。炎龍から逃れようとする村人たちに協力を申し出、住人である魔道士「レレイ・ラ・レレーナ」や、道中に出会った特地で亜神として崇められる「ロゥリィ・マーキュリー」を加え安全な地へと向かうこととなった。

しばらく立った頃、避難民に再び炎龍が襲いかかり村人は恐怖におののいたが、伊丹を始めとする自衛隊員らの奮闘により炎竜の片腕を撃ち落とし、撃退に成功した。だが炎龍による被害も大きく、避難民に多くの犠牲を出すこととなった。

伊丹は、家族を失い行くあてのなくなった老人子供をアルヌスの自衛隊基地まで連れ戻り、結果的に基地は難民キャンプと化すこととなる。
しかし後に、コダ村の難民を中心とし「アルヌス共同生活組合」が結成され、組合を中心とした現地での商業活動によって、アルヌス周辺を急激に発展させていくこととなるのだった。

そんな中、避難民を基地まで送る道中に「イタリカ」という街で出会った帝国の第3皇女「ピニャ・コラーダ」を始め、特地側の代表数名を引き連れ、特使として地球側へ帰還した伊丹は、各国の刺客に狙われるなどの不幸に見舞われる。

特地側の特殊な人種などの情報を一般公表、ピニャによる日本との和平交渉、各国の政治的な陰謀など、様々な様相を見せ始めた物語は、その舞台を特地へと戻していくのだった。

新たな仲間ダークエルフ「ヤオ・ハー・デュッシ」との出会いや、迷宮探索、レレイの導師号取得など様々な出来事を経て、伊丹たちは冥府の神「ハーディ」に出会い、ゲートの開閉の技を授かる。地震などの影響によりゲートが開き続けているのだと言う。

ゲートの開閉を巡る争いの中、モルト皇帝が毒により暗殺を図られる事件が起きる。それに乗じた帝国第1皇子「ゾルザル・エル・カエサル」がクーデターを起こし、一命をとりとめたモルト皇帝、さらには第3皇女ピニャも囚われの身となってしまう。

和平派の筆頭であるピニャを救うため、伊丹たちは救出作戦を実行。自衛隊の大規模作戦により敗北したゾルザルは、救い出されたモルト皇帝により皇位を剥奪され、共に救出されたピニャを皇太女とすることを告げられた。

帝都より逃れたゾルザルにより争いが続く中、地球側の中国などの介入で伊丹たち自衛隊は特地からの撤退を迫られる。しかし、「森田」を内閣総理大臣の座から追い落とすことにより命令系統を掌握し、特地撤退を回避したのだった。

帝国の争いも、ピニャが正統政府を宣言した拠点イタリカを守りきり終結を迎え、平和が訪れたのだった。

主要登場人物・キャラクター(男性)

伊丹耀司(いたみ ようじ)

陸上自衛隊員でありながら、年季の入ったオタクでもある。本作の主人公。

物語の発端である「銀座事件」での功績で2等陸尉に昇進、特地の第3偵察隊の隊長を任される。探索中に、特地の住人「テュカ」「レレイ」「ロゥリィ」らと出会い、信頼関係を築いていく。

特地でも強大とされる「炎龍」を討伐した際にロゥリィと眷属の契約を交わしたことで、ある程度の負傷を肩代わりしてもらえるようになり、これを利用して遠距離での意思疎通をはかることもできるようになった。

モルト・ソル・アウグスタス

帝国の皇帝。好戦的で、権力欲の強い野心家。

領土拡大を狙い「アルヌスの丘」に開いた「ゲート(門)」を越え日本に出兵し、銀座事件を引き起こす。自衛隊による反撃を受け一方的な敗北をしたにもかかわらず、争いをやめるつもりはなかった。

日本の軍事力や自衛隊員の戦闘力を垣間見たことで、徐々に争う気も失せていき、最終的には第3皇女である「ピニャ」を皇太女とする。

ゾルザル・エル・カエサル

帝国の第1皇子。傲慢で幼稚な性格で、奴隷に冷酷な仕打ちをするサディストの面もあわせ持つ。

日本との主戦論者で、日本人女性「紀子」を奴隷にしていたことが発覚した際には、伊丹の命を受けた自衛隊員の部下「栗林」に半殺しにされ、手酷い屈辱を受ける。

亜人族の1種、ヴォーリアバニーの元女王「テューレ」を奴隷としているが、実際は復讐を企てる彼女の操り人形となっている。

主要登場人物・キャラクター(女性)

テュカ・ルナ・マルソー

エルフの中でもひときわ美しいハイエルフの少女。バイセクシュアルを公言しているが、男は伊丹以外には興味なし。

炎龍が焼き払ったエルフの村の唯一の生き残りで、伊丹ら自衛隊員に救助されたが、村を焼かれた際、炎龍に父親を殺された影響によりパーソナリティ障害となり、伊丹を父親だと思い込むようになる。

その後、伊丹と共に炎龍を倒したことで障害を克服するが、伊丹への想いを隠すため父親と呼ぶことはやめなかった。

レレイ・ラ・レレーナ

幼いながらも知性が光る魔法使いの少女。好奇心が旺盛。※TVアニメ版ではナレーション役。

魔法使い「カトー老師」のもとで魔法を学んでいたが、炎龍から逃げるため難民となっていた際に伊丹たちと出会う。

その旺盛な知識欲により、またたく間に日本語をマスターし、特地と日本間の通訳などもこなした。また魔法知識と科学知識とを応用した画期的な魔法をあみだし、戦闘の際には幾度となくその力を発揮した。

ロゥリィ・マーキュリー

漆黒の髪に赤い瞳を持つ少女。戦闘力は極めて高く、不老不死の体を持つ。虫は苦手。

死と断罪の神エムロイに仕える亜神で、「エムロイの使徒」とも呼ばれ恐れられているが、伊丹ら仲間たちには好意を抱いており、伊丹と眷属契約を交わしたのも身を案じてのことである。

亜神であるがゆえに人間とは違った価値観を持っており、エムロイの信条の下、魂を捧げるために盗賊の殺戮を行い、戦闘の際には喜々として敵の命を奪う。

ピニャ・コラーダ

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