龍が如く5 夢、叶えし者(ゲーム)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『龍が如く5 夢、叶えし者』とは、セガゲームスが発売するアクションアドベンチャーゲーム『龍が如く』シリーズの第5作目に相当する作品である。キャッチコピーは「その生き様に 男たちの血が騒ぐ」。本作は前作『龍が如く4』で桐生一馬と仲間たちが東城会と上野誠和会の抗争事件を解決した後、日本各地を舞台に起きる極道たちの動乱の物語を描いており、新たな主人公に品田辰雄と澤村遥、さらに物語の舞台に大阪、福岡、名古屋、北海道が追加されているのが特徴となっている。

『龍が如く5 夢、叶えし者』の概要

『龍が如く5 夢、叶えし者』とは、セガゲームスが開発するアクションゲーム『龍が如く』シリーズの5番目ナンパリングタイトルで、前作『龍が如く4 伝説を継ぐもの』の続編にあたる。前作の東城会と上野誠和会の抗争事件の後、福岡での東城会の6代目会長・堂島大吾の失踪と、近江連合の7代目会長の危篤というふたつの事態の急変によって、東城会と近江連合も含めた全国の極道組織を巻き込んだ動乱が起き、その動乱に桐生たちが巻き込まれていく物語となっている。今作も前作と同じように複数の主人公が登場する仕様となっており、そのメンバーは桐生一馬、秋山駿、冴島大河、そして新規キャラクターである品田辰雄と、これまでのシリーズを通してヒロインとして登場していた澤村遥の5人で構成されている。また、本作で初めて主人公として登場する遥はバトルがダンスでの戦いになったり、所持できるアイテムも異なるなど他4人の主人公とは異なった遊び方となっている。
本作は『龍が如く4』と同じようにストーリーごとに操作できる主人公が決まっており、ストーリーの進行に合わせて「桐生一馬編」「冴島大河編」「澤村遥編」「秋山駿編」「品田辰雄編」の順にシナリオをプレイしていくことになる。シナリオが終了した主人公は操作できなくなるが、終盤やクリア後に自由に切り替えてプレイすることができる(ただし、遥以外の4人となる)。そしてメインゲストに哀川翔、大東駿介、片瀬那奈、吹越満、奥田瑛二と豪華俳優陣、その他のゲストとして料理人の川越達也や手相芸人の島田秀平、すしざんまい社長の木村清や串かつだるま社長の上山勝也などが出演している。また、「ミス龍が如く5」として、東京、福岡、札幌、大阪、名古屋の5都市を代表する女性5人がオーディションで選ばれ、キャバ嬢としてゲーム内に登場し、さらにCM出演や各都市でのPR活動も行っている。

本作もシリーズ恒例のエクストラコンテンツと過去作のクリアデータ引継ぎによる特典、さらにストーリークリア後に引き続き自由にプレイできる「プレミアムアドベンチャー」や、クリアデータを引き継いで最初から始める「プレミアムニューゲーム」が存在する。しかし、プレミアムアドベンチャーでやり込んだデータをプレミアムニューゲームに引き継ぐことはできない。2019年6月20日に本作をPlayStation 4に移植したリマスター版が発売され、内容は基本的に同じだが、大きな追加点・変更点として以下の3つがある。

・PS4版への移植に伴って描画が1080p、フレームレートが60fpとPS3版より大幅に向上している。
・ディスクでのパッケージ販売とダウンロード販売の共通の特典として、本作のオリジナルサウンドトラックのプロダクトコードが、パッケージ版のみの特典として「龍が如くONLINE」で使用できるキャラクターの特典コードが付属されている。
・パッケージデザインがモノクロパッケージからカラーパッケージに変更された。

そして本作もこれまでに販売されたシリーズ作品のリマスター版と同じように、ディスクでのパッケージ版の販売だけでなく、PlayStation Storeでのダウンロード販売にも対応している。

『龍が如く5 夢、叶えし者』のあらすじ・ストーリー

桐生一馬編(第一部)

福岡での会談・堂島の失踪

九州最大の歓楽街として知られる福岡の永洲街にて、関東最大の極道組織・東城会の六代目会長の堂島大吾は、永洲街を拠点とする極道組織・山笠組の組長の斑目忠とリムジンの中で会談をしていた。リムジンで戻ってきたところで東城会と山笠組の組員たちに物々しい雰囲気で出迎えられる中、大吾は斑目に「それでは斑目組長……“例の件”、ご検討ください」と一礼する。すると斑目は「なかなか信用できる御方のようだ」と大吾に言った。リムジンを降りようとした大吾が振り返ると、本来の会談の場であるホテルではなく、護衛も同席できない狭い車の中で会談がしたいという自分の要求を大吾が受け入れたことを斑目は評価した。
それに対して大吾は、自分と斑目にとってこの会談はそれほど重要なものであり、福岡においては斑目と山笠組の決めたルールに従うつもりだと言った。3万人の組員を誇る東城会のトップである大吾が、500人に満たない組員の山笠組のトップである自分に従うのかと斑目が驚いたように言うと、「それが五分の盃というものだと」と、大吾は冷静に応じた。「なるほど……度胸だけではなく、礼節も弁えてる。その若さで、東城会の金代紋を背負うだけのことはありますな」と、斑目は大吾をさらに評価し、大吾が言った「例の件」である五分の盃については前向きに検討させてもらうと約束したのだった。

そして、会談を終えた大吾のところへ「ご無事で何よりです、会長。先方がホテルでの会合をキャンセルしてきた時はどうなることかと思いました」と、ひとりの男が駆け寄ってくる。その男は東城会の本部長で堂島の秘書を務める青山稔だった。青山の言葉に「相手もそんなに馬鹿じゃない。むやみに手、出してくるはずもない」と大吾は返し、本当なら山笠組には交わせないはずの盃をこちらが無理やり交わそうとしているようなものだからこそ、多少のリスクは覚悟の上だとも言った。するとそこへ、青山が呼んだ車がやってきて、青山は余所の街に長居するのは危険だから、拠点のホテルへ早く戻ろうと大吾に進言する。
しかし大吾は、せっかく福岡まで来たからこそ独りで息抜きがしたいと車に乗ることを断り、すぐに戻るから付き添いはいらないと付け足して青山と別れた。大吾が向かった先はタクシー乗り場で、客待ちの列を作るタクシーのうち1台にいる運転手に乗せてくれと声をかけた。「……前の車からお願いします。そういう決まりなんで」と、サングラスとマスクで素顔を隠したその運転手は断ろうとするが、「どうしてもこの車がいいんだ。客の希望があれば、理由もなく乗車拒否することはできなかったはずだが」と大吾は引こうとしない。結局運転手は折れて、ドアを開けて大吾を乗せると、適当に流してくれという彼の希望に応えてタクシーを静かに走らせたのだった。

ハンドルを握る運転手に向かって、大吾は独り言と称してこのようなことを運転手に語り始めた。東城会と対をなす勢力である関西最大の極道組織・近江連合の七代目会長が危篤の身となり、近いうちに七代目会長と五分の盃を交わしたことで保たれていた平和が終わってしまう。そして、七代目会長が取り決めた東城会との五分の盃に同意していない近江連合の組員たちが一斉に動き出し、極道たちによる本州全土を巻き込んだ大戦争がいずれ始まることになるという。そこで大吾はその全面戦争に備え、山笠組を仲間へ引き入れるべく盃交渉のためにこの永洲街を訪れていたのだった。
すると運転手は、大吾の話が最後まで終わらないうちに、人気の少ない通りで突然タクシーを止めた。まだ降りるとは言っていないと訝しむ大吾に、「お代はいりません……これ以上、目的地のないドライブにはお付き合いできません」と、運転手はドアを開け、素っ気なく大吾に降りるよう促す。大吾が仕方がないとばかりにタクシーを降りると、「これでも俺なりに精一杯、茨の道を歩いているつもりなんですよ……四代目」と、運転手に向かってそう言い残し、どこかへ歩き去っていった。そして運転手は、そのまま何事もなかったかのようにタクシーを走らせた。そう、その運転手こそが、大吾の戦友にして兄弟分であり、「堂島の龍」の異名を持つ東城会四代目会長・桐生一馬だったのだ。

2年前に起きた、東城会と、その親戚関係にあたる極道組織・上野誠和会の抗争事件を仲間たちと共に解決した後、自分が生まれ育った沖縄の養護施設・アサガオの経営者として桐生は穏やかな日々を過ごしていた。しかしある日、家族同然に暮らしていた施設の子供のひとりで、今は亡き恋人・澤村由美の娘である澤村遥がアイドルとして芸能界入りすることになる。その理由として大阪の芸能事務所・ダイナチェアの女社長である朴美麗がアサガオを訪れてきて、遥にアイドルの素質があり、自分がそのアイドルデビューを引き受けたいと言ってきたことにあった。そして朴は、極道の前歴がある桐生がこれ以上遥に関わると、彼女も何度かテレビで見て憧れていた芸能界入りも危うくなると言い、遥とアサガオから離れる代わりに自分がアサガオの資金援助を行うという取引を桐生に持ちかけてきたのだ。
桐生は苦悩の末、遥の夢と、彼女と共に家族同然に暮らしてきた子供たちを守るために、朴の取引を受け入れたのだった。その時遥は、桐生がアサガオを離れることに反対したが、桐生はアサガオの子供たちが学校の進学を諦めて働こうとしていることを挙げた。子供たちが働こうとしているのは、彼らもまた遥がアイドルとして成功することを願っているからで、それまでは自分たちがいつか遥が戻ってくる場所であるアサガオを守るのだと息巻いていた。そんな子供たちの心意気を認める桐生だが、彼らがアサガオを守るためとはいえそうして犠牲を払うには幼すぎると危惧した。「金がないという理由だけで自分の可能性を潰すような生き方を、選ばせるわけにはいかない。だから俺は、ここを去る。お前や、アサガオの皆のことを愛しているから……」と、桐生は最後に遥にそう言い残し、沖縄を離れてひとり福岡へ向かった。

そして現在、桐生は福岡でタクシー会社の社長である中嶋洋太郎と出会い、彼の厚意を受け入れて「鈴木太一」という偽名を使って、タクシードライバーという堅気の職業につく形で新たな人生を始めたのだ。さらに桐生は、福岡のクラブ「オリビエ」でキャバ嬢として働く女性・まゆみとも出会った。出会って以来何故か押しかける形で借家であるアパートへ転がりこんできては、甲斐甲斐しく世話を焼いてくるまゆみに、桐生は口では迷惑そうにしながらも、彼女のそのお節介と優しさに心が癒されるのを感じたからこそ、彼女を拒絶することはしなかった。そうして福岡で新しい生き方を見つけようとしていた桐生だが、ある日、いつものように仕事を終えてタクシー会社に戻ってきたところで、東城会の代紋を胸につけた極道風の男たちと出会う。
「鈴木太一さん……ですね? 少々お聞きしたいことがあるんですが」と、尋ねてきたその二人組の男は、東城会の組員で大吾の護衛役である森永悠と相沢聖人だった。人気のない橋の下に場所を変えてとりあえず桐生が話を聞くと、森永と相沢は、大吾が突然失踪したことを桐生に伝えた。そして森永と相沢は、大吾が失踪する直前に桐生が運転するタクシーに乗っていたことを突き止めており、さらに桐生が東城会の四代目会長で、大吾と面識も深いことから行方の手がかりがあることを期待して頼りに来たのだった。大吾の失踪という急報に驚きを隠せない桐生だったが、「人違いだ。俺は客を乗せ、高速を走り、再び永洲街の近くで降ろした。それ以外のことは何も知らない」と、素っ気なく森永と相沢を突き放そうとする。

するとここで相沢が「本当にあなたは堂島会長を見捨てたまま、平気でいられるんですか?」と呼び止めてきた。桐生が足を止めると、相沢はこう続けた。現在の東城会は大きな選択を迫られており、大吾が福岡に来たのはそのためで、その大事な場面で大吾が消えるなんてどう見ても只事ではない。そしてそれ以前に、今回の東城会と山笠組の五分の盃の件についても、ただのいち地方組織である山笠組と自分たちとは格が違いすぎることから、多くの東城会の幹部たちは反対していた。だが大吾は「俺は四代目の創った東城会を守りきる」という信念のもとに反対を押しのけ、山笠組との五分の盃へと踏み切った。そんな中で、事故も含めた最悪の場合が考えられるその大吾の失踪で、なぜ冷静でいられるのかと桐生に問う相沢だったが、自分は本当に知らないと言って桐生は去ろうとする。
その桐生の態度についに相沢が気色ばみ、「アンタそれでも男かよ……堂島会長は友達じゃねえのかよ? どういう事情があるんだか知らねぇが、どうしてそこまでシラ切り通すんだよ……!!」と、掴みかかる。桐生がその手を振り払うと、桐生は自分たちの話を聞く気はないと認識した森永も、ここで態度を一変させた。「分かりました……だったら話は簡単です。今からあなたには、痛い目にあってもらいます」と、森永は冷酷に宣言する。堅気に手を出すのかと言う桐生に、今は一刻を争う時だからこそ綺麗事を言ってられる状況ではないからこそ、力ずくでも桐生には本当のことを教えてもらうと言い放った後、相沢と共に向かってきた。そして突然始まった戦いの末、桐生は森永と相沢を退ける。なおも自分を呼び止めようとしてくる森永に「俺が知っていることは全て話した……それだけは本当だ。この後どうするかは、お前たちの仕事だ」とだけ言い残し、桐生は去ってしまった。

事件に巻き込まれていく桐生

桐生に詰め寄り、彼の素性を言い当てる芹沢。この時桐生は、芹沢が福岡も含めた日本全国を揺るがす極道たちの一大事件に大きく噛んでいることを知らない。

次の日、仕事を終えて桐生がアパートに帰ると、傷だらけとなった森永を抱えた相沢が現れた。傷だらけの森永の姿を見て、さすがに驚きを隠せない桐生は、いつものようにアパートに転がり込んでいたまゆみに森永の傷の手当てを頼むと、自分は相沢を連れて橋の下へと場所を変え、彼から話を聞いた。大吾を乗せたタクシーの運転手が「鈴木太一」という名前だとわかった後、東城会の本家を経由して森永と相沢は福岡の不動産関連情報を流してもらい、結果として桐生のアパートをすぐに突き止めることができたという。
それから森永がなぜ傷だらけだったのかを桐生が尋ねると、相沢は山笠組の組員に襲われたからだと言った。相沢によると、大吾と班目の会談以来、永洲街では山笠組の組員たちが東城会を襲う事件が頻発して、森永の他にも10人近い東城会の組員が餌食になっている。その理由として山笠組の組員たちは五分の盃に納得していなく、それ以前に東城会が福岡に来たことを快く思っていないのだという。そんな中で大吾が行方不明になった今、護衛役である自分たちは責任重大であり、さらに不意打ちとはいえ山笠組に襲われたことが青山にバレれば、大吾が見つかったとしても青山に厳しい処断を下されることは間違いないと相沢は言った。

その相沢の話を聞いて桐生は「極道組織は会社じゃない。管理徹底よりも大事なモンがあるはずだろう」と言ったが、相沢は桐生の言葉を肯定しながらも「青山組長のその厳しさがあるからこそ、今東城会は一枚岩となれているのも事実です」と返した。青山は裏切りや失敗、命令違反を犯した組員には決して容赦がなく、三代目会長・世良勝の時代から東城会に居続け、支え続けていた古株の組員でさえも不祥事を起こしたら破門などの処断を下している。しかし一方で東城会に忠誠を誓い、結果を残した組員たちには必ずと言っていいほど見返りを与えており、ドライな運営方針ではあるが青山によって東城会は組織としてうまくやっていけているのだという。
その後、相沢と共にアパートに戻った桐生はまゆみを帰してから、森永からも話を聞いた。森永によると、大吾は桐生のタクシーを降りた後、拠点であるホテルに戻った形跡も、他のタクシーに乗ったという情報もないのだという。さらにどこかに隠れているという点も考えられない今、何者かに拉致されたという可能性があると桐生たちが考えた時、森永の携帯に電話がかかってきた。その電話を聞いて森永が血相を変えたのを見て、相沢が何事かと尋ねると、森永は青山が会長代行に就任することが決まり、その説明をするため今すぐ戻れと言われたことを伝えた。驚き、そして納得がいかない顔をする相沢を宥めながら、森永は彼と共にホテルへと戻っていった。

その次の日、定食屋に行ったっきり戻ってこない中嶋を迎えに行くよう同僚から頼まれた桐生は、すぐさま中嶋が行ったとされる定食屋へ向かった。その道中、ひとりの黒いコートを着た中年男が現れて、「永洲タクシーの鈴木さんですよね?」と、呼び止めてきた。中年男は自らを大阪府警の刑事・芹沢和彦だと名乗り、極道関係の事件を追っている中で大吾がこの福岡で消息を絶ったことを知り、桐生にその心当たりがないかどうかを尋ねてきた。桐生が相手にせずに立ち去ろうとすると、芹沢は態度を豹変させて桐生に掴みかかってきた。「テメェの古巣だろうが……桐生さんよ。あんまし警察なめてんじゃねえぞ、なぁ?」と、低い声で恫喝をかけてくる芹沢。
桐生が一瞬驚きに目を見張ると、なぜ桐生が福岡にやってきているのかは知らないが、警察の人間として桐生の素性と所在なら掴んでいると芹沢は吐き捨てる。その上で芹沢は、近江連合の若頭である渡瀬勝が福岡に来ていると告げて、大吾が山笠組との五分の盃を交わすのを止めるのが目的だとも言った。その言葉に桐生が大吾が近江連合に拉致された可能性があると思いついた時、芹沢は渡瀬がオリビエにいて、今頃は部下たちと酒を飲んでいるだろうことを教えてきた。
そこで桐生がアンタの狙いは何だと尋ねると、芹沢はこう語った。かつて自分と同じ大阪府警にいたひとりの女刑事が極道と仲良くしていたことから、自分たち大阪府警への風当たりが強くなった。だからその風当たりをなくすべく、どんな手を使ってでも本庁よりも先にこの事件を解決し、府警が対極道の要だということをアピールする必要があるのだという。桐生は半信半疑ではあるが、とりあえずは自分と利害関係は一致していると判断し、芹沢の言葉を信じるのだった。そして定食屋にいた中嶋を見つけ、早く会社に戻るよう伝えると、オリビエへと向かった。

オリビエへと着くと、店の一番奥で部下と思しき極道の男たちと一緒に、白いスーツを着た精悍な顔つきの男が酒を飲んでいた。その男こそが近江連合の若頭で、直参渡瀬組組長の渡瀬勝だった。渡瀬は桐生があの東城会の元四代目だと気付き、丁寧に会釈する。周りにいた部下たちがそれに言葉を失う中、「まさか桐生はんの方から会いに来てくれるとは思うてまへんでしたわ。ワシらが福岡くんだりまで来たんは桐生はん、アンタに会うためでっせ」と、歓迎するかのように渡瀬は言った。
桐生は訝しげになりながらも大吾の居場所を教えろと渡瀬に迫るが、渡瀬は全く心当たりがない素振りを見せながらも、自分へ向けられる桐生の気迫に「……ええ顔や。いくら正体隠して生きとっても、ワシには見えてまっせ。アンタの背中の龍が目ぇ輝かせとんのが……!」と、嬉々とした表情になる。そして渡瀬は桐生の実力を試すべく、部下たちを彼へとけしかけてきたのだった。

部下たちを薙ぎ倒した桐生は、改めて渡瀬に居場所を教えろと迫るが、渡瀬は桐生に席について、まずは一緒に酒でも飲もうと勧めてくる。しかし桐生は、渡瀬がボーイに持ってこさせた酒のボトルを拳で打ち砕いて、「俺は独り飲みが専門でな……生憎、他人と飲む酒は嫌いなんだ」と、吐き捨てた。すると渡瀬は「そりゃちと聞いてた話と違いますな。この店やったら一緒に飲んでくれはると思てたんやけどなぁ〜」と、おどけたように言って、3日前に桐生がこのオリビエで中嶋やまゆみらキャバ嬢と一緒に楽しく酒を飲んでいたことを挙げた。それに桐生が驚くと、渡瀬は自分は青山とは代紋違いの兄弟分の関係にあり、この関係も東城会の抗争を避けたい七代目会長による政略盃のものだと明かした。さらに青山は桐生が永洲街にいることも知っており、大吾が行方不明になる前から桐生が変な動きをしないように逐一目をつけていた。そのため、3日前に桐生がこのオリビエにいたことも青山から教えてもらったのだという。
渡瀬は、7代目会長が危篤となった今自分は好きにさせてもらうつもりだと明かしたが、自分の狙いは8代目会長の座ではなく、自分が8代目になった時に起こす東城会との大戦争にあり、その時の東城会のトップに等しいのが桐生だと言った。そして渡瀬は、桐生がかつて近江連合で最強と謳われた「関西の龍」こと郷田龍司との死闘を演じたことも知っており、桐生こそが自分にとって最高の好敵手だと確信した今、東城会に戻るよう説得にやってきたのだ。自分の目的はただそれだけで、大吾については何一つ関与していないと渡瀬はそう締めくくったが、桐生は険しい表情でテーブルを薙ぎ倒し、渡瀬に掴みかかった。「俺を東城会に戻すために、お前が大吾をさらったということか」と、桐生が言い放つと、渡瀬は桐生の言葉を「全然わかっとりゃしまへんがな」と一蹴し、逆に桐生の手を掴み返した後、さらにこうも言った。自分にとって大吾が生きているかいないかは関係なく、自分にとって大事なのは桐生がここにいるのが問題だ。そして大吾が死ねば、東城会は内部崩壊を迎えるだけのただの死に体の雑魚であり、そんな雑魚と戦っても自分が心から望んだ戦いだとは言えない、と。
そして、桐生の手を勢いよく振り払った後、渡瀬は桐生に向かってこう吠えた。「ワシにとっちゃ喧嘩が全てや……!! 金勘定ばかりしくさっとる腑抜けの連中とはちゃう!! ワシは強いヤツと喧嘩しとぉてヤクザになったんやぁ!!!」その渡瀬の魂の叫びに桐生が思わずたじろぐと、渡瀬は自分がいつか必ず戦う相手となる東城会には強くなってもらう必要があり、そのためには桐生が戻ってくれないと困るとしおらしく訴えた。しかし桐生は「お前の極道は死に様……俺の極道は、生き様だ」と一蹴し、その場を去っていった。

その後、桐生は森永と相沢と会い、青山が永洲街の北にある山笠組本部に向かったことを知った。そして、青山にも詳しい話を聞くべく森永と相沢と共に山笠組本部へと向かうが、その本部の最上階の組長室で、班目が血を流して倒れている光景を目の当たりにする。さらにそこには、青山の姿もあった。「お前らが来るとは思っていたが……意外と遅かったな」と、不敵な表情で桐生たちを出迎える青山。目の前の光景に驚きを隠せない森永が青山にこれはどういうことかと問うと、青山は最初は金をチラつかせて班目を闇討ちにするつもりだったが、逆に班目に見破られて銃で反撃されたので、部下にナイフで胸を一突きにしてやったと悪びれることなく言い放つ。
さらに、天下の東城会が山笠組のような小さい組と五分の盃を交わす必要などないとも言い切ったことに、それは会長である大吾の意に反する行動だと森永が愕然となると、青山は「堂島会長だとぉ? 元・会長の間違いじゃないのか」と一蹴する。そして大吾が消えた今、自分こそが東城会のトップであり、自分の意思が東城会の意思だとも青山は豪語し、盃なんか交わしてる暇があるなら山笠組を潰してそのシマを奪えばいいとも言い切った。そんな青山の本性に愕然となりながらも、彼の暴挙を見過ごせない森永は銃を構えるが、逆に青山は森永を銃撃した。
さらに銃声を聞いて駆けつけてきた山笠組の若頭にして八幡組の総長・八幡と組員たちに桐生たちが班目を襲った犯人だと焚き付け、八幡と組員たちの目が桐生に向いた隙に何食わぬ顔で逃げ去った。「親父ば刺したはキサンね……? キッチリここでタマ獲っちゃあけん! 死にさらせボケがぁぁ!!」と、八幡は組員たちと共に桐生に襲いかかる。桐生は森永と相沢を逃がした後、八幡たちを迎え撃った。

桐生の決意

そして八幡と迫り来る組員たちを薙ぎ倒しながら山笠組本部を脱出した後、本部の門の前に停まったリムジンに寄りかかって青山が何食わぬ顔で桐生を待っていた。「流石ですね、四代目……この状況、私ならまず逃げ切れない。こうでもしなければね」と、さらに悪びれもせずに言いはなった後、青山は懐から取り出したリモコンのスイッチを押した。すると、青山が持ち込んだ爆弾によって、山笠組本部が大爆発を起こした。さらなる暴挙に怒りに震える桐生を一瞥すると、これで桐生が山笠組と争った痕跡も消えて、今まで通りタクシー会社で働くことができるだろうと嘯き、青山はリムジンに乗ってどこかへ去っていった。
その翌朝、アパートにやってきたまゆみは「今から会ってほしい人が居ます……桐生一馬さん」と言って、桐生をある場所に案内する。そこは福岡市内の病院の一室で、その病室のベッドに斑目の姿があった。斑目は青山の部下に刺されたが、防護具を着ていたことで九死に一生を得たのだ。そして4日前の会談で、大吾は斑目に東城会の内部に裏切り者がいると伝え、その裏切り者は自分だけでなく、斑目の命も狙っていると警告した。さらに大吾が自分に会談が終わった後に姿を消すことを許してほしいと頼んできたことも斑目は語り、大吾は拉致されたのではなく、その裏切り者である青山の手から逃れるために自ら行方をくらましたのだと桐生に言った。
それを聞いて桐生は、大吾は東京にいるのかと斑目に聞いたが、自分には確かめなければならないことがあり、そのためにも大吾は暫くの間姿を消すと言っていたと斑目は答えた。それから斑目は、まゆみは他ならない自分の娘で、彼女を近づかせて桐生が福岡で暮らしている情報を東城会に流していたことを告白した。そしてそれは大吾からの頼みであり、彼は桐生が福岡で素性を隠して暮らしていることを知っていて、福岡にいる桐生が素性を隠して生きていけるよう守ってほしいと、頭を下げてまで斑目に頼んできた。以来、斑目は大吾と裏で連絡を取り合うようになり、まゆみから得た桐生の情報を大吾に報告していたのだ。

そこまで語ってから、斑目は桐生に山笠組の解散の書状を渡し、これを警察に届けてほしいと頼んできた。驚きを隠せない桐生に、斑目は山笠組が東城会と一触即発になってしまった今、これが八幡ら組員たちを守る唯一の方法であり、組を解散してシマを明け渡せばもう狙われることはないと言った。そこまで身を退く覚悟があるなら、直接自分で八幡たちに説明するのが義理ではないのかと桐生は問うたが、九州生まれの男児である八幡たちは、この状況で自分の言うことなど聞くはずもないと斑目は首を振る。そして何より、八幡は一度自分と戦った相手がどういう人間かを理解できる性質を持っており、桐生と戦ったからこそその実力と男気をわかっているだろうから、桐生が解散の届け出を出せば納得してくれるだろうとも斑目は言い、桐生にもう一度頼んだ。
それにまゆみも「どうか父の頼み、引き受けてもらえませんか?」と、一緒になって頼むが、桐生はまゆみに「俺はお前が思っているほどできた人間じゃない。俺も所詮は極道だ」と言った。しかし、極道は全てが同じ極道ではなく、自分はできた人間ではないが男の頼みを聞けないほど腐ってはいないとも桐生は言った後、書状をかざしながら斑目にこう言った。「これは俺が預からせてもらう。腐れに育てられたガキの世話は嫌いじゃない……本気で俺に任せるというなら、何も聞かずに預けてくれ」その言葉に驚く斑目に、理由はどうあろうと弱りきっていた自分のそばにまゆみを置いてくれたことへの礼を桐生は述べ、そして絶対に青山の好きにはさせないと約束した後、病室を後にした。それから桐生は、永洲街の鈴懸小路にある八幡組のアジトへと向かい、待ち受ける八幡組の組員を蹴散らして八幡の元へ辿り着いた。何の用だと訊ねてくる八幡に、桐生は斑目の証明書を渡し、斑目が八幡たち組員を守るために山笠組を解散することを伝えた。

その書状に目を通して斑目は「なるほど……親父が考えそうなことやん」と、鼻で笑い、書状を桐生に突きつけ返した後にこう言った。自分たちは斑目を担ぐために極道の世界に入っただけで、山笠組がどうなろうと興味はない。斑目の仇を討つために青山と東城会に戦いを挑むしか、自分たちに道はない。それが自分たちが斑目に向けて果たせる極道の義理だ、と。その八幡の意気と覚悟を理解した桐生は、なんと斑目の書状を破り捨てた。驚きを隠せない八幡を、桐生はまっすぐに見据えて「山笠組は解散させない。お前らにはしっかりと仕事をしてもらう」と言った。そして桐生はこの永洲街は山笠組がいるからこそ均衡が保たれていると言い、もし山笠組が解散して他の組が抗争をするならタクシー運転手も含めた永洲街の堅気の仕事もし辛くなるほど悪くなるだろうと語った。だからこそ山笠組には、永洲街が正常に戻るためにも存続してもらわないと困ると桐生は訴えるが、八幡はこれ以上自分たちに絡むなら殺すぞと気色ばむ。
すると桐生は、青山と戦う前に自分を倒せるか試してみろと八幡を挑発し、再びの勝負を挑んだ。勝負の末、桐生の一撃を急所に受け、さらに前の戦いの傷が治りきっていないために八幡はその場にすぐに崩れ落ちそうになるが、自分が福岡を守るためにこの勝負をやめるわけにはいかないと必死に立ち上がってくる。そのさらなる八幡の意気と覚悟を認めながら、桐生は「俺が福岡にいる東城会の人間全員を潰す」と言った。

それから桐生は八幡に決闘を電話で青山に申し込ませ、決闘の場所に選んだ博多の埠頭に青山と共に現れる東城会の組員全員と戦うお膳立てを整えた後、永洲タクシーへと戻った。そこで中嶋に、自分が今まで偽名を使っていたこと、東城会の極道であったこと、これから東城会と山笠組の間で戦争が起き、それを自分が止めなければならないことを告白し。そして、その戦争を自分が止めるとこの永洲タクシーの関係者であることが割れて、必ず迷惑がかかってしまうことも伝え、桐生は中嶋に退職を申し出た。中嶋は桐生の事情と気持ちを理解したが、出した答えは「俺はそげんこと許可できん」だった。
それに桐生が戸惑うと、中嶋はこう語った。桐生はもう永洲タクシーの社員で、桐生の行動がどんな迷惑を引き起こしたとしても会社を辞める必要なんてない。だから自分の会社の社員には、正々堂々と自分がやるべきことをやってほしいと思っている、と。そして中嶋は、桐生が極道だということには薄々感づいており、いつかこんな日が来るのではないかとずっと思っていたことも明かした後、「細かか事は聞かん……なんがあっても戻ってきい。ウチの社員として、絶対に……!」と、最後にその一言で、桐生を激励した。その中嶋の潔さに胸を打たれた桐生は、必ず戻ってくると彼に約束し、博多の埠頭へ向かった。

それから博多の埠頭へ桐生がタクシーで向かうと、八幡率いる八幡組の組員たちが、青山が招集してきた東城会の組員たちと対峙していた。桐生の姿を見て東城会の組員たちが困惑、動揺すると、「やっぱり来ましたか」という一言と共に、青山が渡瀬を連れて現れた。桐生が斑目はまだ生きており、青山は結果として山笠組を潰し損ねたと言い放つが、青山は桐生のその言葉を鼻で笑い飛ばす。そして青山は、分は斑目を本気で殺すつもりなどなく、八幡らその組員たちと戦争する口実を作るために適当に痛めつけただけだと言い放った。さらに青山は斑目が大吾と繋がっていることにも気づいており、邪魔者である大吾を誘き出すためには斑目は格好の素材だと言い捨て、組員たちに八幡たちを皆殺しにするよう命令しようとする。
すると桐生は「この喧嘩、俺がひとりでお前ら全てを始末したら……組同士の戦争にはならねぇよな」と言ってきた。それに青山だけでなく、渡瀬や八幡たちも耳を疑うと、桐生は自分ひとりで東城会の組員を全員倒せば、その戦いは堅気と極道のただの喧嘩となり、組同士の争いにはならず、結果として山笠組を守ることができると語った。青山はその桐生の言葉を「古い人間のものだ」と笑い飛ばし、今は誰と誰が喧嘩したら戦争になるとかいう時代ではないと嘲るが、その青山を渡瀬が横からいきなり殴り飛ばしてきた。「人をバカにすんのも大概にせぇ、ガキが」と、渡瀬は青山に睨みをきかせた後、自分が立会人を引き受け、桐生が東城会の組員を全員倒したら山笠組との戦争にはさせないと宣言した。
それに驚きを隠せない青山だったが、渡瀬は七代目近江連合若頭として自分がこの勝負の立会人を引き受けると言っており、それに何か文句があるのかと睨みをきかされたので、反論することはできなかった。そして、渡瀬が勝負を始めろと号令を下したと共に、やけになった青山が組員たちに「何をしてるお前ら……! 四代目だからと言って手加減はいらない、行けっ!!」と、桐生の始末を命令する。そうして東城会の組員たち全員が戦闘態勢に入ったのを見て、桐生も拳を構えて「ああそうだ。手加減はいらねぇ……死にてぇ奴だけ、かかってこい!!!」と、吠えた。

桐生の行く先

こうして大激闘の末、桐生は東城会の組員を全員を打ち倒した。「堂島の龍」の異名を持つ東城会四代目会長としての桐生の実力を初めて目の当たりにした八幡は、「ま、マジや……!?」と、組員たち共々呆然となる。一方、部下たちを全員倒されたことに驚きを隠せない青山だったが、悪あがきに拳銃を取り出して桐生に向ける。すると渡瀬が横から割って入り、その青山の腕を止めた。この場面で桐生を撃つようなことがあったら立会人としての顔が立たないと諭してくる渡瀬に、「話が違うじゃないか! 桐生を倒したいと言っていたのはお前の方だぞ、兄弟!?」と、青山は気色ばむ。それに渡瀬は「ワシはお前の兵隊やない……自分の喧嘩は自分で仕掛けるわ、ボケがぁ!!」と、叫んで再び青山を殴り飛ばす。再び殴り飛ばされた青山は、渡瀬を睨みつけようとするが、その前に桐生に掴みかかられ、顔が歪むほど容赦なく数発連続で殴りつけられた。
やがて車のドアに叩きつけられてへたり込む青山は、無言で迫ってくる桐生に「き、聞いてた話と違う……。四代目は、人を殺さない……情けのある男だって……」と、哀願でもするかのように言うと、「俺はな……そんなに優しい人間じゃねえ!!!」と、桐生は吠えて最後に渾身の拳を繰り出した。しかしその拳は青山には当たらず、青山の後ろにあった車の窓ガラスを粉々に砕いただけだった。呆然となる青山に、桐生は「どんなに素性を隠して生きていてもな……中身は自分でも反吐が出るくらいの、ヤクザ者だ。計算だけで乗り切れるほど、極道は甘くねぇんだよ」と、吐き捨てて、踵を返した。そして青山は失意に表情を歪めて「なんで俺が、こんな目にあわなきゃなんねぇんだよ……こうなるって分かってたら、最初っからやらなかったのに……」と、ぼやいた。

そのぼやきを聞いて、今度は渡瀬が青山に掴みかかった。「ええ加減にせえ!! 東城会の頭張るんやったら、そない弱気なことクチにすんなや!! これ以上ワシをガッカリさせんなやあ!!!」涙を浮かべて叫んでくる渡瀬を前にさらに顔を歪めながら、青山は自分は桐生を引っ張り出せばそれでいいと言われただけだと掠れた声で言った。渡瀬がそう言ったのは誰だと問い、青山が答えようとした瞬間、青山の眉間をどこかから飛んできた銃弾が貫いた。渡瀬が目を見張り、桐生がその銃弾が飛んできた方向を振り返ると、「喋りすぎですよ、代行」という覚えのある男の声が聞こえてきた。
そこにいたのは、銃を構えた森永だった。こんな再会は嫌だったと言いながら、森永は自分も青山と同じように大吾に対して最初から忠誠を誓っていないと嘯いた後、桐生にこう語った。森永の仕事は、桐生を山笠組本部での斑目の闇討ちの場に連れていくことで、青山と同じく万一の装備として防護具を纏っており、撃たれたのは彼に命令されての芝居だった。しかし、青山をこの場で撃ったのは、桐生に殴られ、脅されただけで自分たちの秘密をべらべらと喋ろうとしたからだったのだ。
そうして語り終えた森永を桐生は呼び止め、相沢はどうしたのだと問うた。その桐生の問いに森永は自嘲気味に笑いながら、相沢は自分たちの秘密を知ってしまったと言い、自分の手で殺して犬吠山の山中に埋葬してきたと答えた。それに逆上した桐生は、雄叫びと共に森永に突進する。森永はその気迫にたじろぎながら、桐生に向けて銃を放った。銃弾は桐生の足を直撃したが、それでも桐生は突進をやめない。そこへ渡瀬が駆けつけて桐生を抱きとめ、制止を叫ぶ中、「今はまだあなたに殺されるわけにはいかないんです。そして、あなたにも死んでもらっては困ります」と森永は拳銃を収め、全ての答えは東京にあると言い残して車に乗り込み、どこかへ去っていった。
それから2日後、桐生は芹沢と再び会った。芹沢は桐生に「近江のケツは自分たちで拭く。その後で東京で白黒つけよう」と渡瀬の伝言と、さらに相沢と思しき死体が犬吠山で発見されたことを伝えた。そして、会長代行の青山までもが死んで、大吾は未だ行方不明であることから東城会は最悪の事態に置かれていることを挙げ、芹沢は東城会に戻ったほうがいいんじゃないかと桐生を焚きつける。桐生はその焚き付けを無視して「俺の行く道は、俺が決める」と言い放ち、停めてあったタクシーへ乗り込んだ。すると芹沢は「好きにしろ。だがその前に、ラジオのニュースくらい聞くんだな」と言い残し、その場を去った。
それにつられて桐生がカーラジオの電源をつけると、北海道の札幌にて発砲殺人事件が起きたというニュースが流れてきた。さらに北海道警察がその事件の被害者を真島吾朗だと断定したことをニュースから聞いた瞬間、桐生は愕然となり、そして再び逆上してハンドルに自分の拳を叩きつけたのだった。その後桐生はアパートに戻って身支度を整え、玄関に置いてあった写真立ての中に収められていた、自分と、遥らアサガオの子供たちの集合写真を見て、こう囁きかけた。「すまない、遥……」その囁きの後に、桐生はアパートを静かに出て、東京へと向かったのだった。

冴島大河編(第二部)

網走刑務所に収監された冴島

焼肉屋でのひと時の後、バッティングセンターに冴島を呼び出した真島は、自分は年を取り、力が衰えてしまったことを打ち明ける。

25年前、上野誠和会の会長・上野吉春を襲撃し、その幹部組員18人を銃殺したことから「18人殺しの男」の異名で知られた極道・冴島大河は、25年もの長い獄中生活を経て、直系冴島組組長という大幹部として東城会に復帰した。そして冴島は、東城会をより強固な組織とするべく自分が若頭として就任することを新たな目標として掲げることになった。しかし、そのための「禊ぎ」として冴島は、25年前に自分が起こした事件の償いをするためにもう一度刑務所に入らなければならなくなった。そんな入所前の最後の時を神室町の焼肉屋で過ごす冴島と共に過ごす真島は、毎日が活き活きとしていた昔の頃に戻りたいとしきりに名残惜しんでいた。
それを見た冴島は、丸焦げになった1枚のホルモンを真島の皿に乗せた。丸焦げの肉をよこされた真島が文句を言うと、「そのホルモンと同じや。俺も、お前も」と、冴島は静かに言った後、真島にこう語った。肉は焼き過ぎると硬くなって食えなくなるが、ホルモンは焼きすぎても脂が落ちることで味が磨かれ、真っ黒に焦げても美味いことから、焼かれることに価値はある。つまり焼かれるホルモンのように自分たちを強くしていかなければならない、と。真島がそのためにもう1回務所に入るのかと尋ねると、冴島は頷いて「約束したんや……桐生と。東城会をもう一度強うするって。そのためやったら、あと1年や2年……自分を焼くくらいの価値はある」と、答えた。

その後、冴島は適当に神室町をまわった後、最後に真島の待つバッティングセンターへと向かう。そこで真島はひとりバッティングに耽っていたが、空振りを連発するなど調子が芳しくなかった。らしくないと冴島が言うと、逆に真島は冴島に「お前は大丈夫なんか?」と問うてきた。25年もの間刑務所という過酷な環境で生きると共に鍛えられてきた冴島だったが、1度娑婆に出てからその鍛えられた体も鈍ってしまったことを、真島は懸念していた。だからこそ、たかが3年といってもその刑務所暮らしに耐えられるかどうか真島は聞いたが、冴島はその25年があるからこそ自分は心配ないと言った。すると、真島組の組員達が冴島が取り囲んできた。彼らは真島の命令を受け、冴島が刑務所暮らしができるかどうかを試すために集められたのだ。
そんな真島に「俺とここでやり合わんかったら、もう一生殴り合うことないのかもしれへんのやで?」と、冴島が問うたが、真島は構わずに組員たちに冴島の腕試しを命じた。そうして組員たちを全員倒した後、冴島は訝しげ表情で真島に「昔のお前やったら、真っ先に俺に殴りかかってきたはずや」と問うた。すると真島は「それがアカンねや、兄弟。俺はもう、お前の相手はできへんのや」と答え、神室町ヒルズの建設指示など東城会を裏で支える仕事を引き受け続ける中、いつの間にか年を取って、昔のような力を出せなくなってしまったからだと言った。だからこそ、真島は冴島には強いままでいてほしいと願っており、この腕試しで冴島が強いことを確認できたからこそ安心したとも言った。そして最後に「冴島……お前は東城会の力や。絶対に強いまま、神室町に戻ってくるんやで」と、真島は冴島の背を押して、警察に出頭していく彼を見送ったのだった。

それから2年後。冴島は北海道の網走刑務所に収監されており、同房の仲間である馬場茂樹、大島平八郎、日村と交友を深めながら日々の務めを果たし続けていた。しかし、直系冴島組組長という東城会の大幹部としての経歴は、網走刑務所において一際目立ち過ぎるものとなっており、特に釘原広志という異様な風貌の囚人が冴島に目をつけてきていた。釘原は部下の囚人たちを使って、人気のない資材置き場で毎日のように執拗な暴行を冴島に加えてきていた。そんなある日、同じく釘原たちの暴行を受けるうちに気を失った冴島は、懲罰房のひとつで目を覚ました。その扉の小窓の向こうから、網走刑務所の副所長である高坂誠司が顔を覗かせて「どうして手を出さない。大人しくしてれば、仮釈放が早まるとでも思っているのか?」と、問いかけてきた。
さらに高坂は、どんな理由があるにせよ刑務所内の風紀を乱す囚人は模範囚としては認めず、特に極道のように出所してからも裏社会に関わろうとしている囚人ならば尚更だと言い放った。しかし、自分も刑務官である以上、むやみに暴行を受けている冴島は放っておけないとも高坂は言い、刑期終了までこの懲罰房に匿う措置を取ってやってもいいと冴島に持ちかけた。対する冴島はその持ちかけを拒否し、高坂の質問にすらまともに答えず、結局折れた彼によって馬場たちの房に戻されることになった。冴島は1日も早く出所して自分の家も同然である東城会を真島と共に支えることを目的としていた。そして、模範囚として仮釈放を受ける日が来るまでは些細な騒動を決して起こさないと心に決めており、その上で馬場たちに危害が及ばないようにして、冴島は釘原たちの暴行を甘んじて受け続けているのだった。

網走での衝撃

だがある日、そんな冴島の苦行を嘲笑うかのように事件が起きる。釘原の部下たちに資材置き場に連れ込まれた馬場が、暴行されそうになったところを木工作業用のノミで部下のひとりを刺してしまったというのだ。驚きを隠せない冴島は、大島と日村と共に刑務所の中を駆け回って情報を集め、ついにその傷害事件が釘原の仕組んだ狂言だったという事実を突き止める。「なんで馬場に手ぇ出した? お前の標的は俺のはずや」と、釘原を問い詰める冴島だが、釘原は「何言ってんのかさっぱりわからねぇなぁ〜。手ェ出されたのはこっちの方だろうが」と、おどけるばかりでまともに答えようとしない。
そこで冴島が、大島が見つけてきた凶器であるノミを釘原に見せ、このノミが釘原の持ち物であり、事件が起きた時、刑務所内の作業所から綺麗になくなっていたことを明かす。さらに冴島は、釘原が嫌がる馬場を脅して資材置き場に無理やり連れ出したという事実を挙げ、傷害事件は馬場を陥れるための狂言だと突き付けてから、彼に手を出した理由を話すよう釘原に迫った。すると釘原は嘲笑を浮かべて「アイツも大人しく言うこと聞いてれば、こんな目に遭わずに済んだってのに。生意気に反抗するからこんなことになるんだ」と言った。冴島が気色ばむと、釘原は事件の前日、馬場に冴島の寝首をかけと脅したことを話し、それを馬場が断ったから部下たちを使って狂言を仕組んだと得意げに説明した。

怒りを禁じ得なくなった冴島が「お前……屑の中でも最低の屑や……」と、低い声で吐き捨てると、釘原は「屑に最高も最低もねぇだろうがよ!? 所詮アイツも人殺し……ここにいる全員屑なんだよ! 俺もお前もなぁ!?」と、盛大に笑い飛ばした。すると堪えきれなくなった冴島が、釘原めがけて拳を振るった。大島と日村が目をむいて驚き、釘原はまるでこの時を待っていたかのように「やっと手ェ出したな……? 何万回殴られてもやり返さなかったくせに、あんなバカひとりに手ェ出されただけでキレやがって……」と、勝ち誇って言い放った。その釘原の勝ち誇りの言葉を「じゃかましいわ。お前にキレとるんやない。俺は自分に怒っとんのや」と冴島は一蹴した。
冴島はこれまでは自分のことしか考えていなく、結果として馬場を釘原たちに好きにさせてしまったことで、自分に対して怒っていた。そして、馬場のように仲間だと認めた人間を見捨てていけるほど自分は人間できていなく、きっちり馬場が受けた痛みを釘原にも味わってもらうと言い放った後、冴島は上着を脱ぎ捨てて背中の虎の刺青を曝け出した。その冴島の気迫に一瞬圧倒されかけた釘原だが、次の瞬間には気のふれた笑いを浮かべて、「やれるもんならやってもらおうじゃねぇか……! 久々の喧嘩、楽しませてもらうぜぇぇ!!」と、冴島に襲いかかった。

激闘の末、冴島は釘原を下した。しかし、釘原は負けたにも関わらずなおも勝ち誇り、笑い続けている。それに冴島が気色ばむと、釘原は「この勝負……俺の勝ちだ……!!」と、言い放った。この激闘の場には大島と日村の他にも、多くの囚人が野次馬となって見に来ており、冴島が釘原に暴行を加えたことはこれで言い逃れできない事実となった。だいぶ手こずらされたが、この事実を作り出せたことで自分の目的は達成できたと釘原は言った。
訝しげになる冴島に、釘原は勝ち誇りながら自分がなぜ冴島に暴行を加えてきたのかについてこう話した。自分の目的は冴島の刑期を伸ばすことであり、殺すつもりなら最初からそうしている。こうして何度も暴行を加え、さらに狂言を仕組んで馬場を陥れたのも冴島が手を出してくるのを狙い続けていたにすぎない。そしてそれらの自分の行動は、上からそうしろと命令されただけのことだ、と。それに驚き、さらに気色ばむ冴島は、誰に命令されたと釘原に迫るが、騒ぎを聞きつけた高坂ら刑務官たちがその場に割って入った。そして刑務官たちに騒ぎの張本人と認識された冴島の姿を見て、「これで仮釈放はなしだぁ……! あと1年、俺らと仲良くやろうぜぇ、冴島の旦那ぁ〜〜!!」と、釘原は馬鹿笑いし続けたのだった。

そして冴島は連行されたが、その先は懲罰房ではなく、高坂の部屋だった。高坂は冴島にふたつの書類を見せた。ひとつは高坂自身が数日前から認めていた冴島の仮釈放申請書と、もうひとつはその前に所長あてに届けられたという、東城会の冴島への破門状だった。破門状を見て驚きを隠せない冴島に、もう極道ではなくなった冴島をこれ以上収監する理由はないと高坂は言い、仮釈放を受け入れるよう勧めた。しかし冴島は「アホらし」と仮釈放を辞退し、刑務官に連れられて大島たちの待つ房へと戻った。
その後、馬場の濡れ衣は晴れ、冴島も暴行事件については不問となったが、自分の戻る場所である東城会に追放された今、宛てが完全になくなってしまった。そんな冴島に追い打ちをかけるように、ある新聞が送られてくる。その新聞に大々的に報じられているのは、札幌に起きた発砲事件で真島が死んだということだった。愕然となる冴島だが、その直後に高坂に馬場ともども呼び出される。高坂はつい先ほど冴島の仮釈放申請が却下され、そして真島の死亡に関与しているのが、馬場がかつて所属していた札幌の極道組織・北方組の組長である北方大蔵だということを伝えた。
驚きを隠せない冴島と馬場に、高坂は「今回の一件、あらかじめ全てが仕組まれていた事のように感じる」と切り出してから、このようなことも話した。今から半年前、釘原がこの網走刑務所にやってくると共に始まった、刑期延長を目的とした釘原たちの冴島への暴行と、冴島の破門と仮釈放の申請却下。さらに仮釈放の申請却下は、東城会や近江連合のように法務省に手を回せるほどの力を持った組織でないとできないことだ。よって、それらはすべて、冴島をこの刑務所から出さず、東城会にも復帰させないかのように仕組まれたと高坂には感じられるという。こうした高坂の話から、東城会の内部に裏切り者がいて、釘原は裏切り者が送り込んできた足止め役で、破門と仮釈放の申請却下もその裏切り者が仕組んだことだと冴島は推測した。
そして高坂は、仮釈放の申請却下の理由を聞きに東京へ向かった所長が何者かに殺されたことと、時を同じくして100人近くの囚人が刑務所へ移送されてくることを冴島と馬場に話した。特に移送されてくる囚人100人は通常では考えられない数字であり、恐らくこれも裏切り者が仕組んだことだと高坂は危惧する。そこで高坂は、馬場と共に冴島に一刻も早くこの刑務所から脱獄しろと言って、刑務所に停めてあるスノーモービルの鍵を手渡したのだった。

網走での激闘

その夜、冴島と馬場は、高坂から教えられたスノーモービルが停めてある刑務所の裏門を目指して運動場へ向かった。しかしその時、運動場の真ん中に、ひとりの刑務官の死体が転がっているのをふたりは見つける。冴島と馬場が目を疑った時、辺りから100人の囚人たちが現れ、こちらを取り囲んできた。その時近くの監視塔から高坂が「逃げろ冴島ー!! 逃げるんだぁっ!!」と、必死の形相で叫んできた。それに冴島が振り返った時、高坂は背後から何者かに刺されて倒れてしまった。その後ろから「どこに行くつもりだ冴島ぁ〜!?」と、叫んで現れたのは、釘原だった。
高坂を刺した釘原は、気色ばむ冴島と、自分の部下である100人の囚人たちを見下ろしながら「テメェに逃げられちまったら、せっかく呼び寄せた兵隊たち無駄になっちまうじゃねえかよぉ!! もっと俺らと仲良く楽しもうぜぇ〜!?」と、気のふれた笑いを浮かべて叫んできた。どうやら戦いは避けられそうにないと覚悟を決めた冴島は、刺客の囚人たちを馬場と共に見据えて、こう吠えた。「よう聞けや!! この世には死ぬよりつらい生き方があるっちゅうこと、その身体に教えたるわ!! 生き残ったこと後悔させたる……お前らが死ぬ瞬間までずっとなぁ!!!」その闘志を滾らせた咆哮の後、冴島は馬場と共に刺客の囚人たちに向かって突撃した。

そして大激闘の末に、冴島と馬場は刺客の囚人たちと釘原を打ち倒した。釘原は地面に倒れ、苦悶と驚愕に顔を歪めて「そんな……あり得ない……!!」と呻き、膝をついた馬場は辺りを見回して「信じられない……この人数相手に、勝つなんて……!」と、同じく苦悶と驚愕に顔を歪めた。そんな中冴島は、地面に倒れた釘原の右手首を何度も容赦なく踏みつけた。容赦なく腕を踏みつけられ、骨と肉を砕かれる激痛に絶叫する釘原。冴島は釘原を見下ろして「後の処理は自分でせえ。お前は極道相手に戦争吹っかけたんや……こんくらいの覚悟、できとったはずやろ」と吐き捨ててから、馬場と共に改めて裏門へと向かおうとする。
すると、苦悶と憎悪に顔を歪めて、釘原が起き上がってきた。「ク、クソがぁ……行かせてたまるかよぉぉ……!!! し、死ねえ……冴島ぁーっ!!!」憎悪を滾らせたその叫びの後、釘原は懐に隠し持っていた拳銃を引き抜き、最後の悪あがきとして冴島に向けて発砲しようとした。しかしその直後、釘原は背後から何者かの銃撃を胸に受けて、そのまま絶命して崩れ落ちた。その釘原の向こうに立っていた人影を見て、冴島と馬場は目を疑った。「刑務官の拳銃って、旧式で使いにくいんだよなぁ〜。当たんないかと思ったよ」と、ぼやきながら冴島と馬場に笑いかけたその人物は、日村だった。騒ぎを聞きつけた日村は、刑務官の拳銃をこっそりと盗み出して、冴島と馬場の窮地を救いにやってきたのだ。

そして日村のおかげで刑務所を脱出できた冴島と馬場は、スノーモービルに乗って夜の雪山を突っ走って街を目指すが、その道中で馬場が誤って転落してしまう。それに気づいた冴島もスノーモービルから落ちてしまい、雪山のど真ん中に投げ出されてしまった。馬場を探そうとする冴島だが、その前に2メートルほどの大きさを誇る巨大熊が現れる。そして、死闘の末にその巨大熊もどうにか撃退した冴島だったが、これまでの戦いと寒さの疲れによって力尽きて、その場に倒れこんでしまった。
こうして雪山で遭難しかけた冴島だったが、雪山の麓の集落で猟師として暮らす奥寺に助けられ、さらに奥寺と、集落に住む同じ猟師の櫻井、集落の長である仁科たちの協力も得て馬場を発見、救出することができた。その後、馬場が回復するまで集落で過ごしてから、冴島は奥寺たちに礼を言って、馬場と共に北方組の縄張りである北海道の歓楽街・月見野へと向かった。そこで北方に会うべく、冴島は馬場と共に月見野の各所を回って情報収集していくと、北方組がシノギとして月見野の一角で裏カジノを経営していることを突き止める。潜入した裏カジノで冴島は北方組の組員たちと小競り合いになるが、組員たちを叩き伏せたところで、北方が大路公園で開かれる北海道の伝統行事・雪まつりに参加するという情報を入手した。

雪まつりの当日、冴島は雪まつりへと向かうが、裏カジノでの騒ぎを聞きつけた北方組の組員たちの襲撃を受ける。襲い来る組員たちを蹴散らしながら、冴島が北方の元へと辿り着くと、北方は「こうして会えて嬉しいぜ。ずっとアンタのこと待ってたんだ」と、意味ありげなセリフを投げかけてくる。それに訝しげになる冴島に、北方は冴島が真島の死の真相を突き止めるために自分のところへやってくることを予想していたと明かし、その真島の死について自分も伝えなければならないことがあると言ってから、冴島にこう語り始めた。
真島は大吾の命令で北方組と五分の盃を交わすべくこの月見野を訪れており、北方はその真島と会談を交わしていた。そして北方は真島と会談を交わしただけで真島の殺害には関与していなく、何より協力関係を結ぶために真島が自分に頭を下げてきたからこそ、北方には彼を殺す理由がないというのだ。そうして五分の盃を受け入れることを決意し、そのために別の日に会談の約束をして真島と会った北方だったが、彼が妙に黙り込んでいるという不自然な様子に気づいた。その時真島は、北方に「この盃、交わしたらアカン」と言った。さらに真島は、この盃交渉の裏に大吾とは別の誰かの思惑を感じるとも言っていて、このまま東城会と北方組が盃を交わすと、その誰かの思惑通りに事が運んでしまうかもしれないと危惧していたらしいというのだ。

馬場との戦い

それに困惑しながら、冴島が北方にその真島が睨んでいる別の誰かについて尋ねようとした瞬間、突然北方が何者かの狙撃を受けて倒れた。目の前の突然の出来事に驚いた冴島だったが、銃弾が飛んできた方向にひとりの不審な男が逃げるのを目撃した。すぐさま後を追って、その男を空き地まで追い詰めた冴島は、男が身につけていた覆面を剥ぎ取った。すると、その下から現れた男の素顔に、冴島は目を疑った。なんとその男は、馬場だったのだ。「馬場ちゃん……これはどういうことや? なんで北方撃ったんや? お前の親父なんちゃうんか?」と、問うてくる冴島に対し、馬場は「兄貴……アンタ、本当に素直な人ですね」と、バカにした笑いを浮かべて返した後、自分は本当は北方組の人間じゃなく、そうした肩書きをつければ都合が良かっただけだと言った。
馬場の目的は冴島の監視と行動のコントロールであり、自分が刑務所にいたことも、冴島と同じ房になったことも全部監視のために計画されていたことだという。さらにあの釘原も馬場の部下であり、狂言も馬場が釘原に命令して行わせたまでのことだいう。そして真島の死亡の報せが冴島に届いたら、冴島を脱獄させてこの月見野まで連れてくるよう馬場は命令されており、さらに冴島が自分の意思で脱獄するための一押しとして、刑務所の所長の暗殺と仮釈放の申請取り消しも、馬場に命令した人間が仕組んだことだったのだ。どうしてそこまで自分を刑務所から出す必要があると冴島はさらに問うと、馬場は自分に命令した人間が冴島の力が必要だったからだと言った後、その人間が誰かをここで教えれば自分も冴島も死ぬことになるとここで答えるのをやめ、拳銃を構えた。

それを見て、ここで自分を消すつもりだと身構えた冴島だが、馬場はいつまでたっても拳銃の引き金を引く様子を見せない。「どないした? 撃てや。さっさと撃たんかい、馬場ちゃん!!」と、冴島が叫ぶと、馬場は急に拳銃を下ろして、泣きそうな顔になって、なぜ雪山で遭難した時、危険を顧みずに自分を助けに来たんだと問うてきた。そして、自分なんか放っておいて、ひとりで月見野に行けばよかったんだと叫び返す馬場に、「兄弟を見捨てられる訳ない……それだけや」と、冴島は答えた。それに耳を疑った馬場は、盃を交わした訳でもなく、自分が「兄貴」と勝手に呼んでただけなのにかと言ってきたが、冴島は盃なんてただの儀式であり、人間の絆なんて自然にできるものだと返した。「馬場ちゃん……俺はお前のこと、ずっと弟分だと思とったで。裏に何があったかはどうでもええ! 俺にとってお前はホンマの兄弟!!」と、冴島が迷うことなく言い切ると、馬場は悲鳴と共に自分に銃口を向けた。
それを見た冴島は、馬場を殴りつけてその手から拳銃を弾き飛ばした。倒れた馬場に冴島は立てと促すと共に、人間はどんなに辛くても夢を持って生きなければいけなく、馬場にも叶えたい夢はあるはずだと訴えた。そして、極道の世界に入るしかない人間が、自分のように哀しい道を生きなくてもいいようにすることが自分と真島が描いた夢で、今ここにいる理由だとも冴島は語った。その言葉を聞いて、心動かされたのか馬場がゆっくりと立ち上がってきた後、「馬場ちゃん……都合良う死ねるほど、世の中甘ない。お前には死ぬっちゅうことがどういうことか教えたる。いっぺん死ぬほどの恐怖をその体に叩き込んだるわ」と、冴島は拳を構えた。それに答えて「なるほど……冴島さんらしいやり方ですね。きちんとケリ、つけましょう」と、馬場も拳を構える。冴島が「来いや……! 馬場ぁぁぁ!!!」と、吠えた後、馬場も覚悟の雄叫びを挙げて冴島へと躍り掛かった。

熱戦の末、冴島は馬場を下した。「どや? 死ぬほど痛い思いをした気分は」と、冴島が穏やかに言いながら手を差し伸べると、「……いいモンじゃないです」と、苦笑いしながら、馬場は冴島のその手を手に取った。そして、馬場は自分に命令した人間のことは聞かないのかと訊ねたが、冴島はそんなことをしても真島は帰ってこないと割り切り、北方に会ったことで何となくだが真島はまだ生きているとも言った。
その言葉を聞いて馬場は、「冴島の兄貴……ここは恥を忍んで言います。ここは一旦、見逃してください」と、冴島に頭を下げてきた。そして、自分がこの先どうするべきかの答えを自分で見つけ、その時は必ず冴島の前に現れて兄弟の盃を交わしたいという馬場の頼みを、「分かった……いつでもええ。待っとるで」と冴島は受け入れ、それから静かにどこかへ去っていく馬場を黙って見送った。しかしその直後、「そこまでだ。冴島大河だな?」という男の声が投げかけられる。冴島が振り向くと、部下の刑事と思しき男たちを従えた芹沢が立っていた。

その後冴島は、芹沢たちによって手錠をかけられ、護送車へと乗せられてどこかへ連行されていく。その護送車の中で、芹沢は北方には会えたのかと冴島に訊ねてきた。なぜそれを知っていると冴島が聞き返すと、「お前がどういう目的で動いていたかくらいわかってる」と、芹沢はあしらうように言った。芹沢は、真島を殺したのは北方組ではなく東城会であり、さらに福岡でも大吾が消えると共に青山が森永に殺され、名古屋でも幹部組員である安住が死ぬという事件が起きて、東城会の本家は今混乱の真っ只中だということを告げた。そして、馬場についても知っていて、わざと泳がせた甲斐があるとひけらかすように言ってきた芹沢に、「なんでそのこと……? アンタの狙いはなんや? 俺を捕まえることやったんちゃうか?」と、冴島は訝しげになる。
それに芹沢は一呼吸置いてからこう答えた。「俺の真の狙い。それは……この一連の騒動を裏で操ってる東城会の裏切り者を突き止めるってことだ」そして芹沢は、この護送車は東京へ向かうための空港行きであり、この騒動を府警の力で解決するためにも冴島には東京に行って協力してほしいと申し出て、もし断るならこのまま刑務所へ逆戻りだと脅すように言った。対する冴島は何も答えず、険しい表情で芹沢を見据えているだけで、そんなふたりを乗せた護送車は空港へ向かって夜の高速道路を静かに走り続けていた。

澤村遥編(第三部・上)

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『龍が如く』シリーズにおいて"堂島の龍"と呼ばれた伝説の極道・桐生一馬の人生

『龍が如く』シリーズにおいて"堂島の龍"と呼ばれた伝説の極道・桐生一馬の人生

セガが送る人気作品「龍が如く」。この歴代主人公を務める極道・桐生一馬。不器用だが実直で、けっして曲がらない「信念」を持つ、作中屈指の「漢」。彼は圧倒的な強さとまっすぐな心で、極道や警察、犯罪組織を巻き込んだ数々の事件を解決に導いていく。「堂島の龍」と呼ばれた伝説の極道の人柄、人生について解説する。

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澤村遥(龍が如く)とは【徹底解説・考察まとめ】

澤村遥(龍が如く)とは【徹底解説・考察まとめ】

澤村遥(さわむらはるか)とは、『龍が如く』シリーズに登場するキャラクターで、メインヒロインの1人である。1作目である『龍が如く1』から登場しており、シリーズを追うごとに年齢や身長も変わり、成長していく。作中では主人公の桐生一馬と共に行動する場面も多く、遥が関わるゲーム内イベントやストーリーも多い。

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堂島大吾(龍が如く)とは【徹底解説・考察まとめ】

堂島大吾(龍が如く)とは【徹底解説・考察まとめ】

堂島大吾(どうじまだいご)は『龍が如くシリーズ』に登場する東城会六代目会長。東城会直系堂島組の組長・堂島宗兵とその妻の堂島弥生の一人息子である。武闘派だった父親譲りの腕っぷしを持ち、射撃の腕にも優れる。 初登場時は弱小となった東城会に絶望して飲んだくれていたが、桐生一馬と再会したことをきっかけにして立派に成長していく。会長となった後も桐生のことを尊敬し続け、彼が快い生活を送れるよう心を配っている。

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芹沢和彦/黒澤翼(龍が如く)とは【徹底解説・考察まとめ】

芹沢和彦/黒澤翼(龍が如く)とは【徹底解説・考察まとめ】

芹沢和彦(せりざわかずひこ)/黒澤翼(くろさわつばさ)は『龍が如く5 夢、叶えし者』に登場する七代目近江連合会長。弱小の組から関西一円を束ねる近江連合の会長までのし上がった人物で、目的のためなら卑怯な手を使うことも辞さない。一方で会長となって手に入れたものが「権力」だけだったことに空しさを感じており、人を惹き付ける強いカリスマ性を持った男たちに羨望と嫉妬を抱いている。 作中では重い病を患ったことで息子に跡目を継がせようと決意。そのために「芹沢和彦」という偽名を使い様々な謀略を企てる。

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冴島大河(龍が如く)とは【徹底解説・考察まとめ】

冴島大河(龍が如く)とは【徹底解説・考察まとめ】

冴島大河(さえじまたいが)は『龍が如くシリーズ』に登場する東城会直系「冴島組」組長である。かつて起こした事件から「極道18人殺し」の異名で恐れられる人物だが、本人の性格は温厚で面倒見が良い。東城会の大幹部で真島組組長の真島吾朗とは兄弟分の間柄である。『龍が如く4 伝説を継ぐもの』でかつて起こした事件が冤罪だと判明し死刑を免れた後は、真島と共に東城会六代目会長の堂島大吾を支えている。

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伊達真(龍が如く)とは【徹底解説・考察まとめ】

伊達真(龍が如く)とは【徹底解説・考察まとめ】

伊達真(だてまこと)は『龍が如くシリーズ』に登場する警視庁組織犯罪対策第四課の刑事である。警察官としての誇りを持った人物で、その誇りのためならば上層部の人間に逆らうことも厭わない。後輩の刑事からは「伝説の名刑事」として慕われている。 初代では100億を巡る事件を追う過程で、「堂島の龍」と呼ばれる桐生一馬と協力関係を築く。一人娘の沙耶との和解を経て桐生のかけがえのない友人となり、以降のシリーズでも相棒として桐生を支え続ける。

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龍が如くシリーズの歴代出演芸能人・有名人(キャラクターモデル)まとめ

龍が如くシリーズの歴代出演芸能人・有名人(キャラクターモデル)まとめ

『龍が如くシリーズ』はセガが開発・販売しているアクションアドベンチャーゲームである。極道をテーマに、裏社会を生きる人々の抗争や生き方などを描いている。 『龍が如くシリーズ』ではメインキャラクターの声優に、俳優やタレントを起用することが多い。『龍が如く 見参!』からはキャラクターの声優を務める俳優やタレントが、そのキャラクターの顔のモデルとして起用されており、まるで映画のように物語を楽しめるようになっている。

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龍が如くシリーズの東城会まとめ

龍が如くシリーズの東城会まとめ

『龍が如くシリーズ』はセガが開発・販売する、裏社会を生きる人々の抗争や生き方を描いたゲーム。初代から『龍が如く6 命の詩。』が桐生一馬を主人公としたアクションアドベンチャー、『龍が如く7 光と闇の行方』からは春日一番を主人公としたRPGとなっている。 東城会(とうじょうかい)はシリーズに登場する架空の広域指定暴力団であり、桐生一馬も所属する。春日一番も東城会系荒川組の若衆だった。他にも多くの重要人物が所属しており、東城会の権力争いがストーリーの中心になっていることも多い。

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龍が如くシリーズの近江連合まとめ

龍が如くシリーズの近江連合まとめ

『龍が如くシリーズ』はセガが開発・販売するアクションアドベンチャーゲームのシリーズ。極道をテーマにした作品で、裏社会を生きる人々の抗争や生き方、人間模様が描かれる。 近江連合(おうみれんごう)はシリーズに登場する関西一円を束ねる広域指定暴力団である。拠点は大阪の蒼天堀。主人公の桐生一馬が所属する東城会とは反目しあっており、シリーズを追うごとに弱体化する東城会に反し、近江連合は拡大傾向にある。『龍が如く7 光と闇の行方』では東城会と共に解散する。

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龍が如く0 誓いの場所(ZERO)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

龍が如く0 誓いの場所(ZERO)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『龍が如く0 誓いの場所』とは、セガが発売するアクションアドベンチャーゲーム『龍が如く』シリーズの第6作目に相当する作品である。キャッチコピーは「日本中が狂喜乱舞していた時代。「龍」の伝説はここから始まった」。本作は初代『龍が如く』より過去の時系列の物語となっており、主人公の桐生一馬と、シリーズの顔役のひとりである真島吾朗がそれぞれ「堂島の龍」と「嶋野の狂犬」の異名で知られる極道になるまでの姿を描いている。

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龍が如く4 伝説を継ぐもの(ゲーム)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

龍が如く4 伝説を継ぐもの(ゲーム)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『龍が如く4 伝説を継ぐもの』とは、セガが発売するアクションアドベンチャーゲーム「龍が如く」のシリーズの第4作目に相当する作品である。キャッチコピーは「それは熱き男達の、奇跡の記録」。主人公の桐生一馬が東城会で起きた内乱を収めた後からの物語を描いており、従来の主人公である桐生一馬に加え、秋山駿、冴島大河、谷村正義と3人の主人公とその物語が追加されているのが特徴となっている。

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龍が如く3(ゲーム)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

龍が如く3(ゲーム)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『龍が如く3』とは、セガが発売するアクションアドベンチャーゲーム『龍が如く』シリーズの第3作目に相当する作品である。キャッチコピーは「伝説の龍が帰ってきた」。本作は前作『龍が如く2』にて近江連合との戦いを終えた桐生一馬が、生まれ育った沖縄へと帰ってからの物語を描いており、その物語の舞台として東京と沖縄のふたつが選ばれているのが特徴となっている。

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龍が如く7 光と闇の行方(ゲーム)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

龍が如く7 光と闇の行方(ゲーム)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『龍が如く7 光と闇の行方』とは、セガが発売するアクションアドベンチャーゲーム『龍が如くシリーズ』の第7作目に当たる作品である。キャッチコピーは「ゲームに飽いた人たちへ」。本作は、『龍が如く』の主人公であった桐生一馬に代わり春日一番が主人公となり、彼が刑務所というどん底に突き落とされてから本物の龍になるまでの姿を描いている。重くハードなストーリー展開はそのままに、これまでの喧嘩アクションに新しくライブコマンドRPGバトルが加わり、これまでのシリーズとは全く異なったRPG作品となっている。

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龍が如く 維新!(ISHIN)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

龍が如く 維新!(ISHIN)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『龍が如く 維新!』とは、PS3・PS4対応のアクションアドベンチャーゲーム『龍が如く』シリーズのスピンオフ作品。『龍が如く 見参!』に続く時代物の外伝作であり、キャッチコピーは「かつて日本には、英雄がいた。」である。日本の幕末が舞台となっており、忠実をベースに物語が作られている。主人公の坂本龍馬は育ての親である吉田東洋の殺害犯を捜すため、名前を変え新選組に入隊。吉田を殺した特異な剣術をヒントに、組織内部から新たな犯人を捜していく。

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龍が如く1(初代・極)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

龍が如く1(初代・極)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『龍が如く』とは、2005年にSEGAからPlayStation2用ソフトとして発売された3Dアクションアドベンチャーゲーム。『龍が如く』シリーズの第1作である。主人公の桐生一馬を操作して物語の舞台となる神室町でストーリーを進めたり、ヤクザやチンピラなどの敵と戦ったりする。企画当初は成人男性をターゲットにしていたが、リアルに再現された繁華街を自由に探索できるのと、日本の裏社会を題材とした濃厚なストーリーが繰り広げられることから話題となった。

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龍が如く OF THE END(オブ ジ エンド)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

龍が如く OF THE END(オブ ジ エンド)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『龍が如く OF THE END』とはアクションアドベンチャーゲーム「龍が如く」シリーズのスピンオフ作品で、2011年6月9日に発売されたPlayStation3用ゲームソフト。キャッチコピーは「伝説の男達、最後のケジメ」。本作は「龍が如く4 伝説を継ぐもの」後の神室町を舞台にしており、バイオハザードが発生した神室町を舞台に桐生一馬ら主人公たちが銃を手に戦いながら、事件の真相を追う姿を描いている。

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龍が如く1(初代・極)の必殺技・ヒートアクションまとめ

龍が如く1(初代・極)の必殺技・ヒートアクションまとめ

『龍が如く』とはSEGAから発売された裏社会を舞台とするアドベンチャーゲームである。主人公の桐生一馬は、堂島の龍と呼ばれた伝説の極道であり、極道組織東城会に所属している。100億円をめぐる事件を彼なりの方法で解決していく。 『龍が如く』のヒートアクションとは、『龍が如く』で敵と戦う時に使用可能な攻撃の種類のことである。ヒートゲージが溜まった状態で、コマンド△を押すと発動可能。通常攻撃では見ることのできないムービーが流れるのが特徴で、中にはムービー中にコマンドを選択するアクションもある。

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龍が如く8(ゲーム)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

龍が如く8(ゲーム)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『龍が如く8』とは、株式会社セガが販売するドラマティックRPGで『龍が如く』シリーズのナンバリング8作目。2020年に発売された『龍が如く7 光と闇の行方』以来、4年ぶりのタイトルである。キャッチコピーは「世界一、運が悪くて世界一ハッピーなヤツらの物語」。 どん底から再び這い上がる男「春日一番」と人生最後の戦いに挑む伝説の極道「桐生一馬」の2人の主人公を軸にシリーズ最高のドラマが繰り広げられる。2人の主人公が織りなすストーリーの濃密さと、サブストーリーの豊富さが魅力の作品。

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龍が如く7外伝 名を消した男(ゲーム)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

龍が如く7外伝 名を消した男(ゲーム)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『龍が如く7外伝 名を消した男』とは、セガより2023年11月に発売されたアクションアドベンチャーゲーム。 2020年に発売された『龍が如く7 光と闇の行方』の外伝作品である。 愛する人を守るため、自らの死を偽装した、主人公・桐生一馬。しかし、謎の覆面集団に襲われたことがきっかけで、再び極道の抗争に巻き込まれることになる。 本作は、『龍が如く7』での桐生一馬の「空白の時間」を埋める作品であり、「桐生一馬」という人間の魅力を前面に押し出している作品となっている。

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サクラ大戦シリーズ(ゲーム・アニメ)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

サクラ大戦シリーズ(ゲーム・アニメ)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

サクラ大戦とは1996年9月27日にセガゲームスより発売されたアドベンチャーゲーム。 蒸気機関が普及する「太正」時代を舞台に、主人公(プレイヤー)が特殊部隊「帝国華撃団・花組」を率いて都市に巣食う闇の勢力と対決する。 テレビアニメのほか、OVA、ドラマCD、小説、舞台、マンガ、パチンコ・パチスロなど幅広く展開されている。

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JUDGE EYES:死神の遺言(ジャッジアイズ)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

JUDGE EYES:死神の遺言(ジャッジアイズ)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『JUDGE EYES:死神の遺言』とは、2018年に発売されたリーガルサスペンス巨編のコンシューマーゲームである。本ゲームは、極道モノのアクションアドベンチャーゲームとして地位を築いている『龍が如く』シリーズ初の派生作品でもある。 主役は木村拓哉が務める。舞台は『龍が如く』でお馴染みの「神室町」で、関東一帯を束ねるヤクザ「東城会」の人間も登場する。猟奇殺人や、現代の日本の課題である「認知症」がテーマとなり、ストーリーを展開していく。

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LOST JUDGMENT 裁かれざる記憶(ゲーム)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

LOST JUDGMENT 裁かれざる記憶(ゲーム)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『LOST JUDGMENT:裁かれざる記憶』は、2021年にセガから発売されたリーガルサスペンスアクションゲーム。『龍が如く』シリーズの派生作品で、2018年に発売された『JUDGE EYES:死神の遺言』の続編となっており、主演は引き続き木村拓哉が務める。 前作から3年。「神室町」の探偵である八神隆之は、「横浜・伊勢崎異人町」に潜む「闇」に直面する。「法とは何か」「正義とは何か」時代を問わず、どこにでもあり得る「イジメ問題」をテーマにサスペンスフルなストーリが繰り広げられていく。

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プロジェクトセカイ(プロセカ)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

プロジェクトセカイ(プロセカ)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『プロジェクトセカイ』(プロセカ)とは、音声合成ソフトの「ボーカロイド」が題材のスマホ向けリズム&アドベンチャーゲームである。人気のボーカロイド楽曲(通称:ボカロ曲)で遊べるほか、『プロセカ』オリジナルキャラクター達が展開するストーリーを読む事ができる。全5ユニットでわけられているストーリーでは、さまざまな悩みや葛藤を抱える少年少女達が、仲間や初音ミク達バーチャル・シンガーとの交流にくわえ、音楽そのものを通して成長・変化していく様が描かれている。

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サクラ大戦TV(アニメ)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

サクラ大戦TV(アニメ)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『サクラ大戦TV』とは、セガサターン用アドベンチャーゲーム『サクラ大戦』及び、ゲームのストーリーを元に新たなストーリーや構成を加えたテレビアニメ作品である。ゲーム版の世界における日本の年号である太正12年、真宮寺さくらの帝国華撃団加入から、葵叉丹率いる黒之巣会との戦いまでを描いている。ゲーム版が帝国華撃団隊長の大神一郎を主人公とした恋愛シミュレーションであるのに対し、本作は華撃団隊員の真宮寺さくらを主人公としたメンバーの結束をメインテーマとして描いており、シリアスなストーリー展開が特徴である。

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ソニックアドベンチャー2(Sonic Adventure 2)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

ソニックアドベンチャー2(Sonic Adventure 2)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『ソニックアドベンチャー2(Sonic Adventure 2)』とは株式会社セガより2001年6月に発売されたアクションゲームである。2001年6月にドリームキャスト用として発売された後、同年12月にはゲームキューブ用に『ソニックアドベンチャー2 バトル』が発売された。また2012年10月にPlayStation 3用、Xbox 360用がダウンロード版として販売された。前作『ソニックアドベンチャー』の続編ではあるが、ストーリー的繋がりは無く本作からでも楽しめるゲームである。

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龍が如く2(極2)の必殺技・ヒートアクションまとめ

龍が如く2(極2)の必殺技・ヒートアクションまとめ

『龍が如く2』とはSEGAから発売された裏社会を舞台とするアドベンチャーゲームである。主人公の桐生一馬は、堂島の龍と呼ばれた伝説の極道であり、極道組織東城会に所属している。『龍が如く2』のヒートアクションとは、ゲーム内で敵と戦う時に使用可能な攻撃の種類のことである。ヒートゲージが溜まった状態で、コマンド△を押すと発動可能。通常攻撃では見ることのできないムービーが流れるのが特徴で、中にはムービー中にコマンドを選択するアクションもある。

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わくぷよダンジョン決定盤(わくわくぷよぷよダンジョン)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

わくぷよダンジョン決定盤(わくわくぷよぷよダンジョン)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『わくぷよダンジョン決定盤』とは、1999年にコンパイルから発売されたPlayStation用ローグライクゲーム。落ちものパズルゲームの代表作『ぷよぷよ』の名前がタイトルに付けられているが、パズルゲームではない。3人のキャラから主人公を選んで、ダンジョンの攻略を目指すRPGとなっている。 「すっごい魔法のアイテム」がどこかにあるというテーマパークに足を踏み入れた3人の主人公・アルル、ルルー、シェゾ。それぞれは期待を胸に、不思議なダンジョンが建ち並ぶテーマパークで大冒険をする。

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ぷよぷよテトリス2(ゲーム)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

ぷよぷよテトリス2(ゲーム)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『ぷよぷよテトリス2』とは、『ぷよぷよ』と『テトリス』という2つの落ち物パズルゲームによるコラボレーション作品で、2014年発売のゲーム『ぷよぷよテトリス』の続編である。2020年にセガから発売されたアクションパズルゲームだ。 前作同様『ぷよぷよ』同士・『テトリス』同士・『ぷよぷよ』対『テトリス』の対戦などが行える他、演出が強化され、「スキルバトル」という全く新しい対戦形式が実装されている。ルールが簡単な対戦ゲームとして、配信者の間でも人気となった。ストーリーは前作の続きとなっている。

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サクラ大戦3(ゲーム)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

サクラ大戦3(ゲーム)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『サクラ大戦3 〜巴里は燃えているか〜』とは、2001年にセガから発売されたドラマチックアドベンチャーゲーム。『サクラ大戦』シリーズの3作目であり、タイトルにもある通り物語の舞台をパリへと変更し、登場キャラクターも一新。極めて美麗なOPアニメーションが話題となった。 日本で帝国華撃団が悪党を退けた頃、フランスの都パリでも謎の怪人による事件が続発。事態を打開するため帝国華撃団の隊長である大神一郎がパリに派遣される。新しい仲間たちと協力しながら、大神はパリの市民を脅かす怪事件に挑んでいく。

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サクラ大戦2(ゲーム)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

サクラ大戦2(ゲーム)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『サクラ大戦2 〜君、死にたもうことなかれ〜』とは、1998年にセガから発売されたドラマチックアドベンチャーゲーム。大ヒットを記録した『サクラ大戦』の続編であり、仲間キャラクターはほぼ全員が続投。売上本数は50万本を超え、シリーズの歴史の中でも最大のヒット作となった。 叉丹との戦いから1年。演習航海を終えた大神一郎は、再び帝国華撃団の隊長に就任。前作の仲間たちに2人の新メンバーを加え、大神たちは新たに現れた大敵「黒鬼会」に立ち向かう。

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サクラ大戦(初代・無印)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

サクラ大戦(初代・無印)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『サクラ大戦』(サクラたいせん)とは、1996年にセガ・エンタープライゼスから発売されたドラマチックアドベンチャーゲーム。プロデューサーに広井王子、イラストレーターに藤島康介、脚本にあかほりさとると実力派スタッフをそろえ、売上本数46万本という大ヒットを記録した。後にアニメや舞台へとメディアミックス展開していく『サクラ大戦』シリーズの最初の作品である。 時は太正十二年。帝国軍人の大神一郎は、秘密部隊「帝国華撃団」の隊長に就任し、その隊員である少女たちと共に悪しき黒之巣会に立ち向かう。

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