目次

  1. 『フルーツバスケット』という物語
  2. 草摩家の呪い
  3. 猫憑き
  4. 本田透
  5. 草摩由希(子)
  6. 草摩潑春(丑)
  7. 草摩杞紗(寅)
  8. 草摩紅葉(卯)
  9. 草摩はとり(辰)
  10. 草摩綾女(巳)
  11. 草摩依鈴(午)
  12. 草摩燈路(未)
  13. 草摩利津(申)
  14. 草摩紅野(酉)
  15. 草摩紫呉(戌)
  16. 草摩楽羅(亥)
  17. 草摩夾(猫)
  18. 草摩慊人(神)
  19. 草摩籍真の祖父(猫)
  20. 「呪い」の発端
  21. アニメ版OP
  22. まとめ

『フルーツバスケット』という物語

「神様が宴会の為に動物たちを呼び、十二の生き物が集まった。これが十二支の始まり。ネズミに違う日にち教えられたネコは出席できず、十二支に入れなかった」という昔話がベース。舞台は現代日本で、いじめ、虐待、恋愛模様といった題材に「名家の闇」、「呪い」という要素を絡めた作品。根底に重苦しいものがあるが、絵柄のかわいらしさやギャグ描写、何より主人公本田透のひたむきさにより緩和されている。「物の怪憑き」並びに「神」である慊人や周辺人物の救済を描く。『花とゆめ』にて連載されていた。白泉社コミックス全23巻。著者は高屋奈月氏。

草摩家の呪い

古株の使用人や当主の慊人が絆と呼び固執する、草摩家のトップシークレット。それ即ち、「物の怪憑き」。その実態は、生まれながら十二支と同じ動物の「物の怪」に取り憑かれた者たちで、十二支、猫が存在します。それとは別に神もおり「神と十二支は切れない絆で結ばれている」というのが使用人や慊人の主張。しかし物の怪憑きにとっては重荷でしかありません。理由は物の怪が心に巣食い、裏切りの気持ちが起きないよう監視していること。神による拒絶、否定の言葉でさえ身を切られるような辛さを味わうため、神を宿す人物には基本的に逆らえません。

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相関図。

最大の理由として、異性と抱き合う、体力が落ちるなどするとその動物に変身してしまうことがあります。まさに門外不出の物の怪の秘密は、他者に漏れた際は記憶の隠蔽と呼ばれる一種の催眠術で忘れさせるのが掟。燃えるような恋をしても友達ができても一族の者であっても、記憶の隠蔽を施された者は綺麗にそれまでの恋も友情も忘れてしまうのです(「重ねがけ」という術もあるようで、これを施していないと思い出すこともあると言及されていました)。徹底して神と十二支同士以外の親しい交際を許さない。それが呪いです。物の怪付きの保護者には莫大な養育費が支払われますが、それでも耐え切れない親は多い模様。母親は極端に過保護になるか、拒絶するかのどちらかが多いそうです。物の怪憑き同士や神となら抱き合っても変身しません。ちなみに物の怪憑きはその動物と意思が通じ、何もしなくても寄ってきます。

猫憑き

草摩家の陰湿な部分を象徴するのが猫憑きに対する扱い。正月には神の十二支だけの宴会が開かれるのですが、その宴会への参加がまず許されません。人骨から作られた特殊な数珠を着けていないと、異臭を放ち人とも猫とも言い難い異形に変身することも含め、一族中から疎外される身です。猫用の隔離施設まで存在し、一生幽閉が常。十二支仲間からは「あれよりはまし」と優越感を持たれる身でもあり、精神的な生け贄とも言えます。

本田透

一話目でテント暮らしをし、バイトに励む女子高生として登場。苦労人なのにおくびにも出さない前向きな子です(「考え方で物事に吉にも凶にもなる」など名言も多い)。彼女は本来「部外者」だったのですが、偶然物の怪憑きのことを知り、草摩家(紫呉の家であり、本家ではない)で暮らすことに。ある事情により敬語で話します。交通事故死した母との関係は良好で、母との約束もあって高校だけは卒業するため、また年金暮らしの祖父に迷惑をかけないために学費だけはとアルバイトをしているわけです。

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十二支の昔話を聞いて猫を「かわいそう」と思い、泣きながら「猫年になる」と決意。今尚十二支の置物に猫がいないことを気にかけるほどの猫年ファンでもあります。ちなみに戌年生まれです。テント暮らしをしていたのは、祖父が改築中の娘の家に行くことになったため。友人はいますが迷惑を掛けられないと、少ない額で買えたのがテントだった、というわけです。呪いを説く方法を探るなど健気な印象を与えますが、夾に惹かれているのに自分の気持ちを誤魔化していたなど、普通の少女であることも明らかに。慊人が神でなくなり、皆に「置いていかれること」を恐れていると知り、歩み寄ります。しかし足元の地盤が雨でぬかるんでいたため落下。一命はとりとめ、一旦はギクシャクするものの夾と交際することに。幼少期迷子になったことがあり、誘導してくれた帽子の少年から褒美のようにかぶせられた帽子を大事に取ってありますが、それは本来夾のもの。ですが、帽子の少年は夾ではありませんでした。

草摩由希(子)

ネズミの物の怪が憑いており、容姿、頭脳、身体能力とあらゆる面で優れており、人がうらやむ要素てんこ盛りの「王子様」。しかし本人は「ネズミ憑き」であるが故の暗い幼少期により自信が持てず、絶世ともいえる美貌を意識どころか自覚さえしていません(むしろ「女顔」であることがコンプレックスで、文化祭の余興として女装させられた時は不機嫌そうな顔をしていた)。「一番に着いた」ことになっているためかネズミ憑きは神同様の尊い存在とされて、神である慊人の遊び相手として何の疑問もなく未就学時期を過ごしました。

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「ネズミ憑き」の親は他の十二支よりも高い養育費、地位を得るとのこと。

しかし慊人が「ねじれて」以降、その高待遇や兄を始めとする十二支仲間との交流がなかったことに不自然さを持ち、次第に居心地の悪さを覚えるようになります。猫憑きのことも知らされていなかったのか、オレンジ色の髪に惹かれて夾に話しかけようとしても「ネズミ」というだけで敵意を向けられる始末。親からは慊人の機嫌取りをするように言われるし、学校でせっかくできた友達も由希の変身が元で記憶を消されることに。友人も親の愛も得られない上、慊人からは「ネズミは嫌われ者」と毎日吹き込まれたことで、小学生にして人生に絶望するのでした。

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ネズミがわらわら。

先述の帽子の少年でもあります。たまたま拾った帽子を、「ネズミが触った帽子なんていらない」とした夾により持ち帰ることに。絶望の中で「何かが弾け」、外に飛び出し幼い透を間接的に助けたことで少し希望を見い出すものの、慊人よる呪縛もあって精神が疲弊。紫呉の家で暮らすことになりました。事情を知らない人間からすれば完全無欠のまさに王子様ですが、実際には家事一般が苦手。透が来るまで、食事は毎回外食か出前。掃除もできず部屋は「腐海」と呼ばれるほど散らかっていました。透に対し思わせぶりな言動もあったため長らくファンから「透は由希と夾とどっちとくっつくか」議論されていましたが、彼自身は透に母性を求めていただけで、生徒会役員の倉伎真知と交際することに。物の怪付きたちの名前は「月の異名」からとられていますが、彼だけは別で、著者の高屋奈月氏曰く「ゆき」という名前が「降って来た」とのことです。

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【倉伎真知】生徒会役員。副会長の真鍋翔の異母妹にあたります。父がそれなりの金持ちらしく、愛人の子だが長男で1歳年上である翔との後継者争いを強制されて素直に従い努力したものの、中学生になった翔が暴れて後継ぎ争いから身を引いたこと、弟が生まれたこと、母から「つまらない子」と言われたことで自身に価値を見い出せずにいました。挙げ句弟を殺そうとしたとの両親の思い込みが引き金となり、独り暮らしをさせられる羽目に。お出かけにも制服で出かけ、自分の好きな物、色も分からないなど勉学以外では自分のことさえ疎い状態。完璧な物が嫌いで、降り積もった雪やおろしたてのチョークを見ると息が詰まりそうになるほどトラウマになっています。しかし、そのことを知っていた由希がさりげなくチョークを折ったことで惹かれていき、恋仲になります。

草摩潑春(丑)

ぼんやりした印象ですが、切れると「ブラック春」と呼ばれる第二人格(のようなもの)が降臨。口八丁で生徒会長を丸め込んだり、変身するため、「かわいいから」と透に抱き着いたりと不良っぽく過激なのがブラックの特徴。普段のホワイト春は表情に乏しく、突拍子のないことを言うことがあるものの、さりげない気配りのできる性格です。お化け屋敷に入った際、透があまりに怖がるのでお化け人形に「生き別れた親子」という設定をつけ、感動の対面と称して破壊したことも。一度暴れて教室をめちゃくちゃにしましたが、呼び出しを食らった母は「化粧だ何だで一時間は来ない」ような人だそうです。ホルスタインの牛をイメージしているのか、毛髪は一見白髪で頭皮に近い部分は黒。

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ブラック春です。

昔話を元に「ノロマで間抜けな牛」とからかわれた過去があり、その関係で由希を憎んでいました。「君は本当にそうなの?」との言葉で自身も由希を卑怯者のネズミと決めつけていたことに気付き、以降は「俺の嫁」的な発言をするように。実際には後述の依鈴と恋仲です。由希、夾同様に武術を習っていますが、あまり上達しなかったそうです。ブラックモードだとかなり強く、夾と互角にやり合い、挑発行為も見せました。名前の由来は1月の異名、初春。