目次

  1. あらすじ
  2. 障害がテーマだからといってストーリーが重くなりがちというのは間違い
  3. 映画史に残って欲しいくらいの歌唱シーン
  4. まとめ

あらすじ

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フランスの片田舎の農家であるベリエ家は、高校生の長女ポーラ(ルアンヌ・エメラ)以外、全員が聴覚障害者。ある日音楽教師トマソン(エリック・エルモスニーノ)に歌の才能を認められ、パリの音楽学校で行われるオーディションを勧められたポーラは喜ぶものの、歌声を聴けない家族から反対される。家族のコミュニケーションに欠かせないポーラは、考えた揚げ句……。

出典: MOVIES.YAHOO.CO.JP

障害がテーマだからといってストーリーが重くなりがちというのは間違い

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障害を扱う映画というのはどうにも重くなりがちになります。世間的に可哀想という認識があるからなのか、身体にハンディを持っている人が明るく楽しく生きている姿がいまいち現実性に乏しいということなのでしょう。しかし現実は違います。障害なんて関係なしに人生を謳歌している人の多いこと。この作品に描かれる聴覚障害を持つ人々はまさにそれです。彼らは本当に楽しそうに会話をします。ともすれば言葉よりも手話の方が感情豊かに表現できるのではないかと思えるほどに。

障害があることを気にしているのは当事者ではなく、その周りの人々。今作でいうと主人公の少女です。友達にはできるだけ家族のことは話したくないし、両親と弟のことは好きだけど、このまま一生世間と家族の橋渡し役を演じる羽目になることを思うと憂鬱になる。家族だからこその複雑な感情がありのままに描かれています。しかしそれでいて物語の雰囲気は暗くならず、むしろ明るくなっていきます。何気なくやっているようでこれはかなり難しい。テーマがテーマだけに分厚いストーリーを覚悟していたのですが割とライトな色調で紡がれる物語に大変好ましい印象を受けました。

映画史に残って欲しいくらいの歌唱シーン

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主人公の少女の歌声は本当に素晴らしかった。この声を聞くだけでも今作を観る価値はあるでしょう。しかし、より注目してほしいのはクライマックスの導入部分にある発表会のシーン。ここで主人公と男の子がデュオをするのですが、この時の描写が秀逸なのです。一切の音を排し、画面に映るのは口を大きく開けて楽しそうに映る主人公のみ。このシーンは聴覚障害を持つ家族から観たものです。無音なのに伝わる想いがそこにありました。心を打たれます。

クライマックスにはさらに心を震わせるシーンがあります。音楽学校のオーディションで歌う際、観に来た家族にも分かるように手話を交えて歌う主人公。その歌詞がまた感涙もの。家族への想いをそのまま表した歌詞となっていて、見事な歌声とも相まって感情を揺さぶられること間違いなしです。下手な技巧を凝らさず、ストレートに想いを伝える演出。こんなにも素直な感動を感じたのはいつぶりのことでしょうか。

まとめ

何かに行き詰った時、この映画を観ればきっと元気になれます。杜撰な点もあるでしょうし、描写不足や余分なシーンも中にはあります。しかし、この映画にはそれらを補ってあまりあるほどのエネルギーがあります。何も考えず、とにかく観て欲しい。そして少女の成長を見て欲しい。素直に観れば観るほどこの映画の素晴らしさが分かります。誰かにオススメしたい映画ナンバーワン。ぜひご観賞ください。