映画の誕生 キネトスコープ

キネトスコープ(Kinetoscope)は、1891年にアメリカのトーマス・エジソンによって発明された映写機の一種です。これは実写映像を使った映画に近い映像が観られることが特徴で、初めて商業利用の水準に達したことから「映画の誕生」と称されました。

キネトスコープとは

開発者 エジソン

キネトスコープ(Kinetoscope)は、1891年にアメリカのトーマス・エジソンによって発明された映写機の一種です。語源はギリシア語の「kinema(動き)」から。
この発明以前は、手書きの絵を使ったアニメーションを投影式の機械で映していましたが、この映写機は、実写映像を使った映画に近い映像が観られることが特徴でした。この時代は世界中の研究者が新しい映写装置の開発にしのぎを削っていましたが、これが初めて商業利用の水準に達したことから「映画の誕生」と称されています。

構造

1894年に市場に出た最初のキネトスコープの仮想再現

フィルムは現在の映画館で使われているものと同じです。前後をつないで環にした長さ 17mのフィルムが、内部に蛇腹状に折りたたまれて入っています。それを自動装置で回し、下にある電球の光に透かして、上から拡大鏡で覗くという仕組みになっています。

鑑賞法

キネトスコープは動画をスクリーン上に映写するのではなく、覗き穴から箱の中を覗いて観ます。その形式から、当時は「peep(覗き) show」とも呼ばれていたとか。原則として、一人ずつしか鑑賞できず、作品の長さはおよそ1分ぐらいだったそうです。また蓄音機による音声の再生もできるようになっていましたが、未だ動画と音声を同調させる技術には至っていませんでした。

世界初の映画館 キネトスコープ・パーラー

キネトスコープパーラー

1893年にはシカゴ万国博覧会に出展、1894年には商品化され、4月14日にはニューヨークのブロードウェイに世界初の映画館「キネトスコープ・パーラー」が設置されました。
店内には何台ものキネトスコープの映写機が置かれ、好きな台に1セント硬貨を入れ、その台に組み込まれている数分程度の映画を約10本観ることができるようになっていました。これが大いに好評を博し、その後も合衆国内の主要都市やパリやロンドン、そしてヨーロッパ中で開店され、世界的な大ヒットとなりました。

以下が実際の映像です。

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