目次

  1. あらすじ
  2. 視聴者の警戒網を巧みに掻い潜る巧妙さと演出
  3. サイドストーリーの粗さがちょっと残念
  4. まとめ

あらすじ

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世間を震え上がらせたハッキング事件を起こし、さらに殺人容疑で追われる天才ハッカーのベンヤミン(トム・シリング)が警察に出頭してくる。ハッカー集団「CLAY」に加担して盗んだ情報によって殺人事件を引き起こしてしまい、今度は自分が狙われていると告白。その自白を基にベンヤミンの身辺調査に着手した捜査員は、不可解な事実を次々に見つけだす。

出典: MOVIES.YAHOO.CO.JP

視聴者の警戒網を巧みに掻い潜る巧妙さと演出

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ミステリーの醍醐味といえば、やはりどんでん返し。どんでん返しのないミステリーはミステリーにあらず、意外性や驚嘆にこそミステリーの本質はあるはずです。その点においてこの映画は紛うことなきミステリー作品と言えるでしょう。序盤に大きな謎を提示し、そこに至るまでの道筋を主人公の回想形式で進めていく。もちろん回想は主人公の主観でしかなく、ウソはいくらでも盛り込める。小説でいう「一人称」形式がこの映画の肝であることは皆さん初見で気づくはずです。

しかし、ミステリーの種はもはや出尽くした感があり、観客も目がかなり肥えているのも事実です。つまるところ、たった1回のどんでん返しでは誰も満足できなくなってしまっているのです。それではどうすれば良いのか。そう、どんでん返しをいくつも用意すれば良いのです。反転に次ぐ反転。安堵の先に待つ、急展開。この映画はミステリーの粋を、そしてスリリングを盛り込んだ作品です。

サイドストーリーの粗さがちょっと残念

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大筋はかなり良く、序盤から引き込まれる展開が続いたものの、それを補強する役割を持つサイドストーリーがちょっと弱いのが気になりました。これはハッカーが主人公なのですが、ハッキングされる側の防衛網が弱すぎるような気がしました。ビッグネームにアタックするのは良いのですが、いとも簡単にハッキングできてしまい、いまいち主人公の凄さなどが伝わってきませんでした。ハッカー集団の割には肉体労働も多めでしたしね。直接ターゲットの建物に忍び込んでハッキングをしたりもするので、頭脳戦の向きは若干弱いように思えます。

また、1人、「MRX」という物語の肝になる人物がいるのですが、これもなんだかあっさりと捕まってしまい、かつ正体に意外性がないというか、今まで登場したことのない人物だったのでがっかり。そこにも1つ驚きを加えてくれたら中盤にももっと締まりが出たかなという印象ですね。割と一本道の物語で、映画の尺の都合上余計なシーンを入れられなかったのかもしれませんが、横に大きく膨らませるようなストーリーがあればボリュームが出たと思います。

まとめ

映画「ユージュアル・サスペクツ」を数歩先に進めたような映画、と言えばあるいは分かる人もいるかもしれません。若干ネタバレっぽくなりますが、結末は違うのでご安心を。絶賛の嵐の中で観ると多少がっかりするかもしれませんが、普通に面白いです。前評判が高いので期待値がその分上がってしまうのは仕方ありませんが、できればそういった評価は一旦頭の中から消して楽しんでほしいと思います。