村上隆「村上隆の五百羅漢図展」

現在六本木の森美術館で開催中の「村上隆の五百羅漢図展」。初詣ついでに村上隆の新作を見てみてはいかがでしょうか?きっとご利益があるはずです。

五百羅漢とは??

今回村上隆が題材とした「五百羅漢」とは一体どのようなものなのでしょうか?

平安時代をルーツとする「五百羅漢信仰」が最盛期を迎えたのは江戸時代のことである。ただし、信仰の担い手となったのは、公家や武士といった上流階級ではなく、町民など一般庶民であった。人々が「らかんさん」と呼んで親しんだのは、当時、本所五ツ目(現在の江東区大島)にあった500体あまりの羅漢の木像であった。

作者は江戸の名彫刻師・松雲元慶。松雲の「五百羅漢像」の最大の特色は、その表情の豊かさにある。参拝者はさまざまな顔をした五百羅漢像の中から、亡き人の面影を探しあてて偲んだり、自分や友人に似た姿の像を見つけて楽しんだりしたという。

つまり、五百羅漢とは、その人間味あふれる表情や姿形で庶民を「元気づける」存在だったのだ。

出典: tocana.jp

現存している「五百羅漢」はどれもとてもキャッチーで親しみやすい表情をしています。五百羅漢とは仏陀に付き添った500体の弟子のことで笑っているもの、お酒を飲んでいるもの、考えているもの…などその表情は様々。約500体の「五百羅漢」はその一体一体から私たちの生活を身近に感じることができるのです。

羅漢像が作られたころ、人々がこの像を見て、励まされた様子が伺えますね。古い言い伝えには、夜中にそっと羅漢像をなでると一体だけ温かく感じる像があり、それは亡くなった大切な人の顔に似ているからというものがあるほどです。いつの時代も人々の心にそっと寄り添ってくれるのが「羅漢像」なのです。

村上隆が描く「五百羅漢図」

村上隆がカタールの王女から依頼されたことがきっかけで、世に生まれた「五百羅漢図」。先にカタールで公開された際には世界中で大きな話題となり、時を経てやっと本作が国内展示されるに至りました。高さ3メートル、全長100メートルにも及ぶ超大作であり、今だかつてない大きく見たこともない作品に仕上がっています。

巨大なキャンパスには羅漢や竜、物怪などが大小さまざまに描かれています。しかもそのキャラクターにはどことなく親しみがわき、じっと見ていると内側から元気が出てくるようです。その様子はまさに「五百羅漢」そのものであり、村上隆の手によって、現代の人々を元気づけるために蘇ったようです。さらに現代風にアレンジされた羅漢図を見ていると、ポップな色彩や構図に目を奪われます。村上隆と何人ものアシスタントが試行錯誤の末、生み出された傑作です。

展示会に足を運んだ際には、ぜひ難しいことを考えずに一体一体の表情やしぐさを楽しんで欲しいと思います。それこそが羅漢図の在り方であり、新年の初詣にピッタリの芸術鑑賞になるでしょう。

「村上隆の五百羅漢図」は3月6日まで公開中

「村上隆の五百羅漢図」は森美術館(東京・六本木)にて2015年10月31日~2016年3月6日まで公開中。村上隆氏、実に14年ぶりの大規模な国内展示なので、どうぞこの機会をお見逃しなく。

www.mori.art.museum

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