目次

  1. 作品情報
  2. 予告編(日本語字幕付き)
  3. 何重にも張り巡らされた伏線
  4. ヴィクトリアン・ホームズとワトソン
  5. 「語られざる事件」
  6. 「過去」と「現代」を行き来するストーリーの意味
  7. 小ネタ。
  8. 最後に

作品情報

SHERLOCK-SP.JP

原題 Sherlock:The Abominable Bride

日本語題 忌まわしき花嫁

製作 2015年 イギリス

配給 KADOKAWA

WWW.KADOKAWA-PICTURES.JP

予告編(日本語字幕付き)

緊迫感が漂っています。

何重にも張り巡らされた伏線

2016年2月に日本で劇場公開された「SHERLOCK/シャーロック 忌まわしき花嫁」。
1度目よりも2度目、2度目よりも3度目の方がより一層面白くなるような、見返すたびに新しい発見がある巧みな作り方がなされていました。

初見ですべてを把握するのは難しい作品です。
また、TVシリーズ1~3をそれなりにしっかりと見て把握している人にしかわからない伏線も存在します。

少しづつストーリー内にしかけられた伏線に気づき、面白みが増してくるのは何度か見直してからです。


まずはそういう点に注意して見ていただけると、この作品の真の価値がわかっていただけるでしょう。

ヴィクトリアン・ホームズとワトソン

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この時代の乗り物は蒸気機関車と馬車でした。馬車に乗ってベーカー街に戻ってきたホームズとワトソン。ロンドン外で起きた事件を解決しての帰還でしたが、ホームズのこの帽子、実はストランド誌に描かれたホームズの挿絵にあわせて(なかばしょうがなく)被っている、というのがまず笑えます。
同じように、挿絵にあわせてワトソンもわざわざ口ひげを生やしたことになっています。
そしてワトソンが書いた最新作で、「私の扱いが納得いかないわ!」とハドソン夫人は少々おかんむりです。

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部屋に戻ると、待っていたのはワトソンの妻メアリー。
メアリーは、「シャーロック」内でも大変重要な役割を負って登場していましたが、
本作でも同じように大きな役割を帯びて登場します。

さらに、レストレード警部も慌てた様子でやってきます。
どうにも不可解な事件「リコレッティ夫人が亡霊となって蘇り、その夫を射殺した」という一件についてホームズに相談しに来たのです。

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レストレード。現代版よりも若干年齢が行って見えます。

「語られざる事件」

この「リコレッティ夫人の幽霊の謎」については、聖典(オリジナルのホームズ物語)の中に「語られざる事件」として登場しています。

語られざる事件(かたられざるじけん、The Untold Tales)は、イギリスの小説家アーサー・コナン・ドイルが、シャーロック・ホームズを主人公として創作した一連の推理小説の作中において、事件名などへの言及がありながら、その事件について述べた作品がドイル自身によっては書かれなかった事件群のこと。数え方によって、70件程度から100件以上あるとされ、後の作家たちによって、その事件を取り上げたパスティーシュが創作された例もある。

出典: JA.WIKIPEDIA.ORG

リコレッティ夫人は、夫トーマスとの結婚記念日当日に、花嫁姿で通りに面したバルコニーに建ち、二挺拳銃で乱射を行う。それから自分の頭を撃ち抜いて自殺した。しかしその夜、死んだはずの彼女は夫トーマスの前に現れ、彼をショットガンで殺害し、夜霧の中に消えていった。

出典: JA.WIKIPEDIA.ORG

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死んだはずの人間にそんなことがもちろんできるはずがありません。この謎をとくため、まずホームズ達が出向いたのは、リコレッティ夫人の遺体が安置されているというモルグ。
検死官のフーパー(口ひげを生やしているが、実はモリー)から、遺体が間違いなくリコレッティ夫人であることを聞くと、ホームズは事件そのものに関心を失ったようになり、その場を立ち去ります。

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こちら、モリー。現代版のちょっとおどおどして可愛らしいモリーとは違った凛々しい佇まい。


しかし同様の不可思議な事件がその後立て続けに5件もおこり、レストレードはすっかり手詰まりになってしまった様子。
一方ホームズとワトソンは、ホームズの兄マイクロフトが入り浸るディオゲネス・クラブへ。
ここでマイクロフトから、レディ・カーマイケルに関わる一件を調査するよう依頼されるのです。・・・・・


レディ・カーマイケルの一件では、オレンジの種が5粒入った手紙を見た途端に我を失った彼女の夫、サ・ユースタスの話が発端になっていますが、これはホームズ譚で書かれた「オレンジの種5つ」が下敷きになっています。

「過去」と「現代」を行き来するストーリーの意味

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冒頭の「現代の」シャーロックを振り返る画像の後、すぐにヴィクトリア時代へタイムスリップし、ミルク色の霧に包まれた冬のロンドンが舞台になります。
こんな始まり方ですから、見る側は当然この物語は聖典のホームズとワトソンがヴィクトリア時代に起きた事件を調査し、解決していくものだと思って見始めるわけです。

しかしここですでに製作者側のトラップが仕掛けられています。

ある場面で突然ヴィクトリア時代のホームズから、現代のシャーロックへと画面が変化するのです。
それも、シーズン3のラストシーンでシャーロックが乗り込み飛び立ったジェット機の中へ。

はっと目を覚ましたシャーロックの周りには、心配そうに見守る兄マイクロフト、ジョン、メアリーの姿がありました。

「え、なに?じゃあこれまで流れたヴィクトリア時代の事件は全部シャーロックが夢の中で見たものだったの?」
と初見の時は思いました。
しかしその後、シャーロックが単純に眠っていたのではなく、「いつもの悪癖」であるところの「薬物」をかなり多量に使ったためなかば昏睡状態に陥っていたことがわかるのです。

ここにもうひとつトラップがあります。

キーポイントは「薬物」です。

薬物の影響のため、その後シャーロック(というか、その意識)は、激しく過去と現代を行き来するようになります。
そのせいで、見る側も今自分が見ている映像が果たしてシャーロックの妄想なのか、それとも現実に起きていることなのかが判断しにくくなっていくのです。

ヴィクトリアン・ホームズの元には、やはりヴィクトリア時代の衣装を着た、モリアーティ「教授」も出現。