目次

  1. 小学3・4年生におすすめの作品
  2. 『うちはお人形の修理屋さん』
  3. 『アーヤと魔女』
  4. 小学5・6年生におすすめの本
  5. 『リンゴの丘のベッツィー』
  6. 『ブリット・マリはただいま幸せ』
  7. 中学生におすすめの本
  8. 『エリザベス女王のお針子 裏切りの麗しきマント』
  9. 『イングリッシュ・ローズの庭で』
  10. 関連

小学3・4年生におすすめの作品

『うちはお人形の修理屋さん』

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『うちはお人形の修理屋さん』
作:ヨナ・ゼルディス・マクドノー
訳:おびかゆうこ
絵:杉浦さやか
発行所:徳間書店

 電子書籍がもてはやされても、活字離れがすすんでいると叫ばれても、紙に印刷された物語を読むのがすきな人は大勢います。当然、小学生にだって読書好きな子はいるものです。
 その子たちは、毎日のように学校の図書室を訪れ、「おもしろい本はないか」「まだ読んでいない作品はどれか」と書棚を食い入るように見つめています。周りの大人からすれば、「あの子に、つぎの一冊を渡したい」という気持ちになるのはあたりまえの心情といえます。

 そこで、小学3・4年生におすすめなのが『うちはお人形の修理屋さん』です。表紙を見た瞬間、女の子なら手を伸ばしてしまうこと請け合いです。爽やかなミントグリーンの壁紙の前に、人形を持った少女がほほえみながら立っています。作業場には修理を待つ人形や修復に使われる材料、そしていくつもの裁縫道具が並んでいます。
 絵本もそうですが、児童書も装丁が大切です。子どもたちは一目見て、作品を買うかどうか、借りるかどうかを判断します。大人のように、「通勤中の時間つぶしに買おう」だとか、「ミステリーだから読もう」というような選び方はほとんどしません。好みによりますが、表紙の「人物の服装がかわいい」「ピンクやハートがいっぱい」という理由で手にとることを覚えておくと、プレゼント選びのときに役立ちます。
 この本は、作品そのものも優れています。20世紀初頭のニューヨークの移民街という設定、そこで暮らす5人家族の絆と姉妹のやりとり。今を生きる少女たちにとって、主人公アナの世界は遠い時間と場所の出来事でありながら、自分と同じような悩みをもつ人物設定は近しい存在でもあります。
 この年齢の子が読むには、骨太な作品といえるでしょう。続巻の『お人形さんに来たネコ』とセットで贈るとよろこばれるはずです。

『アーヤと魔女』

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『アーヤと魔女』
作:ダイアナ・ウィン・ジョーンズ
訳:田中薫子
絵:佐竹美保
出版社:徳間書店

小学5・6年生におすすめの本

『リンゴの丘のベッツィー』

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『リンゴの丘のベッツィー』
作:ドロシー・キャンフィールド・フィッシャー
訳:多賀京子
絵:佐竹美保
発行所:徳間書店

 徳間書店の本ばかりが続いて奇妙に思われるかもしれません。作品のファンなだけで、出版関係者でないことはお約束します(笑)

 つぎは、小学5・6年生におすすめしたい2冊を紹介します。
 『リンゴの丘のベッツィー』はアメリカのバーモント州を舞台に、主人公ベッツィーの成長を描いた物語です。赤ちゃんのときに両親を亡くした少女は、町で大おばさんと暮らしていましたが、大おばさんが病気になってしまい、田舎にある親戚の農場で新しい暮らしをはじめることになります。
 これだけ書くと、『赤毛のアン』の二番煎じのようですが、ストーリーは一冊で完結しますし、なにより軽やかな文章と挿絵がこの作品の魅力といえます。
 田舎の家で、初めての朝を迎えたときの場面を本文から引用します。

大好きなミルクをコップにたっぷりつぐと、ベッツィーはおいしい朝ごはんを食べながら、天井の低い部屋のあちこちへ目をやりました。ここは、見たこともないような部屋でした。(中略)
細長い部屋の片側には、ガラスの格子窓がならび、フリルのついた白いカーテンがかかっていました。今、そのカーテンはあけてあって、くもりひとつないたくさんの窓から、お日さまの金色の光がさんさんとさしこんでいました。窓の下はつくりつけの長い棚になっていて、亜麻仁油をしみこませて水をはじくようにした、白いつやつやした麻布がかけてあります。その白い布の上には赤茶色の素焼きの鉢がならんでいて、茎の太いあざやかな緑の植物が葉を広げ、赤と白のきれいな花をつけていました。

 この場面には挿絵もあって、読みすすめるとわかるのですが、アンおばさんがアイロンをかけていたり、大きな食器棚が鎮座したりしています。翻訳と挿絵のバランスがとてもよくて、何度読んでも見ても飽きがこないページです。
 絵を担当された佐竹美保さんは、さきほど紹介した『アーヤと魔女』をはじめ、数々の児童書で挿絵を描かれています。表紙の色づかいも素敵なのですが、ページの途中にでてくる単色の挿絵には、人物の緊張感や昂揚感、緻密な風景や情景が表現されていて、10代少女の想像力を高める手助けをしてくれています。

『ブリット・マリはただいま幸せ』

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『ブリット・マリはただいま幸せ』
作:アストリッド・リンドグレーン
訳:石井登志子
発行所:徳間書店

中学生におすすめの本

『エリザベス女王のお針子 裏切りの麗しきマント』

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『エリザベス女王のお針子 裏切りの麗しきマント』
作:ケイト・ペ二トン
訳:柳井薫
発行所:徳間書店

 小学校を卒業するころには、大人の世界について少しは知ることになります。男女の関係だったり、政治の駆け引きだったり、不運な人生を送る人がいることだったり、数え上げればきりがありませんが、それらのテーマを扱った児童書を与えることも必要不可欠です。
 『エリザベス女王のお針子』は、刺繍が得意な少女メアリーの冒険を描いた物語で、表紙カバーには「ロマンティックでスリリングな物語」として紹介されています。ストーリーの中盤で明らかになる陰謀にハラハラさせられますが、お針子の専門用語や宮廷貴族のおしゃべりに中学生女子は心奪われるはずです。
 登場人物の一人にウォルター・ローリーという男性がいます。物語のなかで重要な役どころなのですが、そのローリーがメアリーの父親にマントを注文する場面があります。

「布地はベルベッドだ。色は黒がいい。金と銀の刺繍が映える。それに、黒は忠誠心をあらわす色だ。女王へのわたしの愛は不変だとしめしたい。いい仕立てをしてくれよ。真珠やダイヤモンドをあしらい、留め金も金を使って、女王に最高の敬意を表そう」(中略)
「刺繍は新世界アメリカをモチーフにしよう。バラ、アイリス、パンジー、サソリ、海獣、カニ、クジラ。裾には<amor et virtute>と刺繍してくれ。そう、<愛と美徳>という意味だ」
p.63より引用

 中学女子じゃなくとも興奮する一文です。女王への愛というのは、一般的な男女の愛とは少々意味が異なりますが、最高のマントを張おることによって不変であることを証明するといいます。しかも、「愛と美徳」という言葉を入れるとのこと。
 エリザベス朝時代のことなので、当然、文化や価値観はちがいます。けれど、物語をとおして時代背景を学べたり、男女の機微を知ることができたりするのは、これからの人生で役立つときがきっときます。スポンジのように見るもの読むものすべてを吸収し、これから立ちはだかるさまざまな試練をのり越えていける女性へと成長してほしいものです。

『イングリッシュ・ローズの庭で』

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『イングリッシュ・ローズの庭で』
作:ミシェル・マゴリン
訳:小山尚子
発行所:徳間書店

関連

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