目次

  1. アメリカで1941年、日本で1966年に出版『ひとまねこざるときいろいぼうし』
  2. ジョージのその後はどうなったか?
  3. 原作ではない、ジョージシリーズがあります『おさるのジョージ キャンプにいく』
  4. イラスト資料のようなアルファベット絵本『ひとまねこざるのABC』

アメリカで1941年、日本で1966年に出版『ひとまねこざるときいろいぼうし』

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『ひとまねこざるときいろいぼうし』
文・絵:H.A.レイ
訳:光吉夏弥
発行所:岩波書店

 ジョージの飼い主(飼い主というよりは、パートナーと呼んだほうがいいでしょうか?)が、きいろい帽子のおじさんというのは知っていますか?しりたがりのジョージと暮らしていて、ジョージが何かをやらかす度に助けてくれる人です。
 物語は、きいろいおじさんがアフリカを探検している途中、現地のサル・ジョージと出会う場面から始まります。船に乗せて、ジョージに動物園へ連れていくと話します。人間の言葉がわかるだとか、人間とおなじように生活できるだとかいう理がないまま、話はすすみます。
 しりたがりやジョージですから、じっとはしていられず、さまざまなハプニングが起こります。自分で解決したり、運がジョージに味方してくれたりして、問題は解決していくのです。
 この絵本は、アメリカで出版されたのが1941年で、日本では1966年とのこと。作者の色づかいは素朴だからこそ温かみがあって、とても味わいぶかい作品です。ジョージの表記が平仮名の「じょーじ」であることも、一役買っているような気がします。

ジョージのその後はどうなったか?

 アメリカで最初に出版されたのは、『ひとまねこざる と きいろいぼうしのおじさん』ですが、日本で最初に翻訳出版されたのは『ひとまねこざる』のようです。裏表紙に初版が1954年と記されています。
 こちらの物語は、動物園で暮らしていたジョージが外の世界に興味をもち、園から脱走するというもの。町中を歩きまわり、もちろんイタズラをしてしまって、脚を怪我するハメにあいます。ジョージの騒動を記事にした新聞が、たまたま、きいろい帽子のおじさんの目にとまり、2人は再会を果たすのです。

「わたしは、じょーじの ともだちですが」と、おじさんはいいました。
「じょーじが、はやく よくなるように、よろしくおねがいします。(中略)わたしが つれてかえれるまで、また いたずらをしないように、おとなしくさせておいて ください」
―本文より引用

 なんて、心優しいおじさんなんでしょう。動物のジョージのことを友だちだと言い切るとは。少年のような心を持つ人とは、こういう人のことをいうのでしょうか?
 しりたがりやのジョージは病院でもひと騒動を起こしますが、これは読んでからのお楽しみです。

原作ではない、ジョージシリーズがあります『おさるのジョージ キャンプにいく』

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『おさるのジョージ キャンプにいく』
原作:M&H.A.レイ
訳:福本友美子
発行所:岩波書店

 さきほどの2冊と本データを見比べるとわかるのですが、『おさるのジョージ』シリーズになると、作・絵H.A.レイでなく、原作M&H.A.レイとなっています。Mとは、ハンスの妻・マーガレットのことで、共作として出版していたようです。
 巻末を読むと、「新しいシリーズは、レイ夫妻のキャラクターをもとに制作された」、という一文があります。第一集から第四集までの16冊があり、『キャンプにいく』は第三集として収められています。
 専門的なことはいえませんが、やはり前述の2冊とは雰囲気が異なります。「じょーじ」の表記が片仮名「ジョージ」となっているし、ジョージの表情や動きに深みがなくなったようにかんじます。
 しかし、物語の幅がぐっと広がったといえます。いくつものお話を読めますから、本来の読者・子どもたちは、どの話を読もうか選択する楽しさを与えられたわけです。

イラスト資料のようなアルファベット絵本『ひとまねこざるのABC』

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『ひとまねこざるのABC』
文・絵:H.A.レイ
訳:山下明生
発行所:岩波書店

 アルファベットを覚えるための絵本『ひとまねこざるのABC』。
 きいろい帽子のおじさんがジョージのために、AからZまでのアルファベットで、イラストを描くもの。もちろん、ストーリー付きだから、読みものとしても楽しめます。
 「おおきなH」のときの本文を引用します。

HOUSE(いえ)だよ。
HILL(おか)のうえの HEDGE(かきね)のむこうにたっているんだ。
ジョージの HOME(おうち)は、もともとは ジャングルだったけど、いまは、おじさんの HOUSEに すんでるね。

 本文のうえに「H」の文字を活かした家のイラストが描かれています。
 きいろい帽子のおじさんが、ジョージに話しかける姿が目に浮かんできます。あぁ、なんて優しいまなざし、なんて安心できる例え方。おじさんの話でジョージは、「ジャングルで駆けまわってたころもよかったけど、大好きなおじさんのそばで暮らすことが一番だ」と、思ったにちがいありません。