『ONEPIECE』歴代OPの「問題作」から、「モノづくり」について考える

漫画もアニメも人気の『ONEPIECE』。15年以上もやっているため、アニメの主題歌も何度も変わってきました。しかし、中には不評なものも…そう、『風をさがして』です。物凄く今更ですが。その次のOP『One day』が非常によく思えたのは、単に「前がひどかったから」ではないのです。『風をさがして』も曲自体はよかったんですけど、ね…。

12代目OP曲『風をさがして』(矢口真里とストローハット)

曲はよかった。

明るめの曲と、励ましているかのような歌詞。普通に応援ソングとしてなら誰も文句は言わなかったでしょう。しかし、問題はこの曲が使用されていた「作品内」での出来事。主人公ルフィが、処刑寸前の兄エースを救うために奮闘するという(通称インペルダウン編、海軍本部編、頂上決戦編)、シリアスかつ重い展開でした。友人を見捨てて(自ら囮となった)行かざるを得ない状況にもあるのに、曲も歌詞も非常に場違い。アニメーションも、この段階でははぐれたはずの仲間が一緒になってまあ色々と楽しげにやっていました。

ケーキ作ってる場合じゃありません。

一応、作中での出来事に合わせた展開もありましたが、合っていないことこの上ない!という出来です。これから処刑されそうな人やら作中の敵やらを登場させといて、明るく楽しげな歌詞と曲が乱舞…。ある意味カオスです。

作詞者はアノ人

「矢口真里とストローハット」というユニットは、既に芸能界を引退した某大御所お笑い芸人の方が作詞したもの。しかし彼は「漫画は大人が読むものじゃない」という持論のもと、一遍も原作を読まずに作詞したとか。これにはファンも激怒しました。個人的には激怒、とまではいかないまでも、「いくら本職でないしたって…」と思ったものです。作品に対しての愛が足りないどころか「やっつけ仕事」程度の心境だったんでしょうか。尾田栄一郎先生やアニメのスタッフに対し失礼だとか思わなかったんでしょうか。娘さんに歌詞を見せたら「違う」と言われたそうです。

13代目OP『One day』(The ROOTLESS)

「笑顔」なのに、楽しい気分になれない。むしろ、痛ましい。

前作と打って変わったような、重低音。仲間も一人ずつ登場し、表情も特になし。もしくは顔が見えず、各々の「職業」「キャラクター」を象徴するような行動をとっていました。そして、つぶやくような歌いだし。ルフィの心情を歌ったような歌詞、挑むような曲調ともども、「作品内」の出来事と非常にマッチしていて、静かに終わる。アニメでも、笑顔なのに悲壮感が強調されているように思えました。

実は…

この曲を作った「The ROOTLESS」の面々は皆『ONEPIECE』ファンとのこと。「ここはこうしよう」「こんな風に思ってたんじゃないか」など、角突きあわせて曲作りに励む姿が目に浮かびます。作品に対する愛情。それが「モノづくり」には必要なんだなあ、と思った次第です。

えどまち
えどまち
@edono78

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