目次

  1. リズムマシンの草分け的存在「TR-808」
  2. 発売当時は不人気だった「TR-909」
  3. 「TR-909」不人気の原因?「LM-2」
  4. 現代に続くビンテージの血脈

リズムマシンの草分け的存在「TR-808」

かつてはリズムマシンといえば、決まったパターンを刻むだけしかできず、自分でリズムパターンを作ることはできませんでした。自分でリズムパターンを打ち込むことができるようになったのは、我が日本のRolandから発売された「TR-808」が最初だとされています。それまでは「リズムボックス」と呼ばれていたのですが、TR-808はそれらとは一線を画するためにリズムマシンと呼ばれるようになりました。リズムマシンの草分け的存在といっていいでしょう。

Tr 808

発売された1980年当時はサンプリングという技術が一般化していなかったため、ドラムの音はアナログ回路によって合成されたものでした。ただ、当時は自由にリズムパターンを作れるリズムマシンがなかったこともあり、発売当初は人気になりました。マイケル・ジャクソンの「スリラー」をはじめ、多くの曲で使用されているのが分かっています。

発売当時は不人気だった「TR-909」

この後継機ともいえるのが、1983年に発売された「TR-909」です。シンバル系はサンプリングに置き換えられたものの、それ以外はアナログ回路による合成音でした。ところが、この時期になると後述するサンプリング式のドラムマシンが台頭してきます。18万9000円と若干、定価が上がってしまったこともあり、TR-909はTR-808のような人気にはならず、不人気なまま投げ売りされるようになっていきました。そして、サンプリング音源の台頭とともに、TR-808も時代の片隅に追いやられようとしていたのです。

Tr 909

そうして中古屋で投げ売りされていたTR-808やTR-909に目をつけたのが、お金のなかったハウスやヒップホップのミュージシャンです。アナログ回路であるがゆえにリアルさには欠けるものの、このマシンでしか出せない癖の強い音を生かし切ったのです。そうして作られた楽曲がヒットし、同時にTR-808やTR-909もメインストリームに返り咲き、中古価格が暴騰する事態になったのです。ミュージシャンが貧乏ゆえに知恵を絞らなければ、TR-808もTR-909もビンテージにはなりえなかったのかと考えると、感慨深いものがあります。

「TR-909」不人気の原因?「LM-2」

そして、TR-808やTR-909を時代の片隅に追いやりかけた罪なリズムマシンがこの「Linn LM-2」です。初代のLM-1は日本では100万円を超える極めて高価な楽器だったうえに、たったの500台しか生産されませんでしたので、メインストリームにはなりませんでした。メインストリームになるのは、値下げされたうえに5000台生産されたLM-2からです。

Lm 2

サンプリングレートは12ビットで、16ビットが当たり前の現代においては大したものではないかもしれませんが、発売された1982年当時はサンプリングという技術が一般化していませんので、どう聞いても本物のドラムにしか聞こえませんでした。それまでのアナログ回路を使用したリズムマシンが駆逐されてしまったのも、仕方なかったかなという感じです。

現代に続くビンテージの血脈

TR-808とTR-909は本家本元のRolandから「AIRA」のシステムのひとつ「TR-8」として復刻されています。シミュレートしたソフトシンセやサンプル集は数が多すぎて、ここでは紹介しきれません。

Tr 808 3

一方、LM-2は開発元であるLinn Electronicsが倒産してしまったこともあり、後継機は存在していません。この音をサンプリングした音源はたくさんあるのですが、やっぱり開発者のロジャー・リンに復活させてもらいたいというのが人情ではないでしょうか。