目次

  1. はじめに
  2. まずは『虐殺器官』を読むべし
  3. 次に『ハーモニー』を読むべし
  4. 最後はあなたの選択次第

はじめに

あなたは伊藤計劃を知っているだろうか?
もし知らないとしても本が好きならば、一度は名前を聞いたことがあるはずだ。
彼はSF作家で、現在でもファンを増やし続けている人気作家で、作家デビューからわずか2年ほどで夭折した作家だ。

日本では第30回日本SF大賞を、アメリカではフィリップ・K・ディック記念賞の特別賞を受賞した。
ただ彼の作品が愛されているということを理解するのには、賞を紹介するよりも書店に行って本の奥付を見る方が早い。

伊藤計劃に関する書籍は今も出続けている。
いまや彼のフォロワーとして誕生した作家たちによる短編集すら出ているのだ。
未読だとしたら、それらの書籍をどこから読むか、どこまで読むか迷うかもしれない。
長編作品は2つ。『虐殺器官』と『ハーモニー』、どちらも長編小説である。
発表順がそのまま時系列順になっているので、あなたはまず『虐殺器官』から読むのがいいだろう。

まずは『虐殺器官』を読むべし

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サラエボで起きた核爆弾テロ以来、世界中で民族対立と内戦による虐殺事件が続いていた。
虐殺事件にはいつもある元言語学者ジョン・ポールの影があった。
アメリカ情報軍所属の軍人クラヴィス・シェパードは彼の暗殺を命じられ、チェコ・プラハに潜入する。
「人間には虐殺を司る器官が存在し、器官を活性化させる“虐殺器官”が存在する」
任務途中、襲撃を受け拘束されたクラヴィスにジョン・ポールはそう語った。

ジョン・ポールのつむぐ言葉と思想に、主人公クラヴィスを動揺させられることになる。
彼は虐殺を引き起こした張本人でもあるにもかかわらず、また危険な思想であることは間違いないにもかかわらず、クラヴィスは彼の言葉に魅せられてしまうのだ。
おそらく、あなたは彼らの関係性から映画『地獄の黙示録』を思い出すことだろう。完全な善はなく、また完全な悪もない。

ちなみにWikipediaで調べるより先に作品を読むのがオススメだ。
Wikipediaの記事には、物語の結末までが書かれてしまっている。

次に『ハーモニー』を読むべし

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アメリカでの暴動をきっかけに起きた「大災渦(ザ・メイルストロム)」、それによる世界人口の減少によって従来の政府は崩壊した。いまや「生府」が人々の生命・身体を管理する医療経済社会が築かれ、個人の生命・健康は公共のリソースとして保護されている。
女子高生であるトァン、ミァハ、キアンは「生府」に反感をおぼえていた。正確にはミァハの語る「生府」への憎悪につられていたのかもしれない。ある日、3人は「生府」への反乱(自殺)を企てたが失敗、ミァハだけが死んでしまう。

Web関連の仕事をしている方ならば、この小説がもつ文法が何を表しているかにすぐ気づくことだろう。
だが、それが何を表しているかはわかっても、なぜその文法がつかわれているのかまではわからないはずだ。それはラストで明かされる。くれぐれもネタバレに注意して、早く作品を読むことをオススメしたい。

最後はあなたの選択次第

どこから読むかはすでに述べた。次は、どこまで読むか、だ。
彼に関する書籍は数多く出版されている。まだWeb上で読めるにもかかわらず、ブログを書籍化したものさえあるのだ。
はっきりいってしまうと、小説家を好きになったらその作品を読むだけで十分ではないかと思う。
とはいえ、作品を面白いと思ったら書いた本人についても知りたくなってしまうものだ。
映画化を期に、再び伊藤計劃関連のムック・マガジンが発売され始めている。
まずは宝島社『蘇る伊藤計劃』を手に取ってみてはいかがだろうか。