A Tribe Called Questがデビュー25周年

USのみならずヒップホップ史を紐解く際に、必ず言及されるカリスマ・グループの魅力に、周辺グループも含め迫ってみよう

オールド・スクールからミドル・スクールへ

ヒップホップの始まりはクール・ハークによるブレイク・ビーツの発明だが、そこから1985年までがオールド・スクールという流れになっている。オールド・スクーラーはパーティ・ラップを中心にパフォーマンスしていたが、中にはGrandmasterFlash with furious fiveの「Message」のように政治的な主張をこめた楽曲もありました。
その後RUN-DMCが「Walk This Way」でスターダムにのし上がり、ヒップホップ第二世代"ミドル・スクーラー”が誕生。
「Message」で撒かれた種が萌芽するように、KRS-ONEが攻撃的で力強いメッセージ・ソングを出すなどいよいよ多様性が出てきます。

The Message/Grandmaster Flash

クイーンズからの新鋭、A Tribe Called Quest

そのタイミングでニューヨークはクイーンズ出身の若者たちがシーンを席捲していきます。
A Tribe Called Questの魅力といえばサンプリングの巧みさと、ナード感だと思います。それまで鼻息を荒げるような力強い、言わば男性的なラッパーたちが活躍してきましたが、A Tribe Called Questはそれをせず、特にQ-Tipに代表されるような緩急つけたフロウでライミングしています。音も柔らかく、どこか曇らせたようなトラック・メイキングも魅力でしょう。
またキャノンボール・アダレイ、ゲイリー・バーツ、ロイ・エアーズなどをサンプリングし、ジャズの価値観を再構築したことも大きな功績でしょう

彼らの名前をしらしめた「Can I Kick it?」

ネイティブタンの隆盛

A Tribe Called Questが中心となって結成されていたヒップホップポッセ、ネイティブタンも隆盛を極めます。ネイティブタンとは、A Tribe Called Questに加え、De La Soul、Jungle Brothersなど「非マッチョイズム」のヒップホップポッセ=(集団)です。
彼らはそれまでヒップホップを支配していた「銃」や「拝金主義」とは違い、ヒップホップをより音楽的、文化的に捉えていました。
その姿勢は「文系ラップ」として日本のスチャダラパーなどへも受け継がれます。

De La Soul「Buddy」

解散後も絶大な人気を誇る

A Tribe Called Questは1998年『The Love Movement』をリリースし解散してしまいますが、2006年再び活動を再開させます。
活動再開後にアルバムはリリースしていませんが、2015年にデビュー25周年を迎えたことで何か動きがあるかもしれませんね。

keeper
keeper
@keeper

目次 - Contents