時代別に見る!アメリカ文学の名作&当時の歴史的背景

海外文学と世界史は密接に関係しています。当時の社会情勢、政治的背景が思想につながり、文学は思想を中心として描かれます。独立を中心として思想も移り変わるアメリカ文学を、時代ごとに追ってみます。

17世紀のアメリカ文学は…

アメリカ文学の入り口とも言えるこの時代の文学は、自分自身と神について思いを巡らせる作品が中心となっています。

今のような「小説」を文学とするのではなく、日記や自伝なども多かったようです。

「宗教」や「聖書」が、人々に大きく影響を与えていることが分かる時代と言えるでしょう。

アン・ブラッドストリートは、アメリカ人の詩人としてはじめて著書が出版された女性詩人。
「わが愛するやさしい夫に」では、宗教的なテーマを中心に、夫への愛を語っています。

18世紀のアメリカ文学は…

17世紀の宗教を中心とした思想が、理性を強調する啓蒙主義によって弱くなってしまい、どちらの立場も互いの意見を主張します。

1776年の独立戦争の前後は、愛国心を主張する作品が話題を呼びました。
アメリカという国を愛し、独立へ向けて・また独立したからこそもう一度意識を見直そうという風潮があったのです。

トマス・ペインの「コモン・センス」はアメリカ独立のため、大きな影響を及ぼした小冊子として世界史の教科書で見かけた人もいるのではないでしょうか。
短い文章でありながら、簡潔に「なぜアメリカは独立する必要があるのか?」を述べており、当時の価値観へ訴える強い意識が見てとれます。

19世紀のアメリカ文学は…

19世紀になると、アメリカ文学は大きく進化して「アメリカン・ルネッサンス」と呼ばれる時代に突入します。
この時代は、耳にすることの多い有名作家もたくさん登場し、後世へ名を残す名作をつづっています。
アメリカ文学を語る上で外せない、いわゆる「黄金期」と言えるでしょう。

ラルフ・ウォルドー・エマソンは「超越クラブ」を設立し、自分の本能的精神を尊重しました。
物事を見る上、語る上で「理性ではなく、自分の本能を信じよう」という考え方を持っています。

95ページのコンパクトな冊子「自然」の中では、思想の根幹が見えるような「自然の秘密に近づくためには、子どものころから養った精神を鈍らせてはいけない」という主張をしています。

サロウは、そんなエマソンの影響を強く受け第一弟子とされた作家です。

サロウもまた「森の生活」という作品の中で自然との付き合い方を描いていますが、その中では「自分と自然」はもちろん「自然を通して見る社会」という視点も現れているようです。

師であるエマソンの思想をふまえ、自分なりに自然との関係性を導いているのです。

日本では「江戸川乱歩」さんの影響でも知られる、狂気・ブラック・グロテスクを描いた作家、エドガーアランポーもこの時代に登場します。
ブラックな表現と同時に美しく、非現実的な世界をも描くとして全世界に与えた影響ははかりしれません。

「モルグ街殺人事件」などの推理小説が有名ですが、ポーは本来詩や短い文章をリズム・効果を用いて作り上げていました。

その中でも3年の歳月を費やして描かれたという「わたりがらす」は、あまりに綿密な構成ゆえに「どこがどのようにいいのか?」「本当に良作なのか?」「むしろ、ポーは真面目に書いていたのか?」さえ審議されています。

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